説明をください!切実にぃ!
どうも薫です。あの乱入から数日後、ルルーシュから物凄い大金が渡されました。あの貴族からの金というんだがこんな大金は流石に気が引け、半分ほどルルーシュにあげました。
と言っても現在、俺の資金は一生、遊んで暮らせるほど口座にあり金には一切困っていないのだ。
ついでにいえばその日を境に会長との距離が近くなり、これまで以上に仲良くなった気がする。そしてリヴァルが生徒会に参加。入るやいなや、どうやら会長に一目惚れしたらしい。
(そういえば、アタッシュケース)
そういえば、忘れてたけど伊丹から受け取ったアタッシュケースはまだ未開封です。だって怖いんだもん、と言って開けずに約束をすっぽかすのも人間としてどうかと思うので開けます。
「ほっ…」
中に入っていたのはお金と書類。そこには日時と場所が指定してあった。今から3週間後でシンジュクゲット―となっている。
おそらく、京都では伊丹の上司と会うのだろう。そこでまた一緒に戦ってくれなんて言われるんだろうが丁重にお断りします。俺みたいな一般人がテロなんて無理です。
(証拠は少ない方が良いよな)
そこで俺は衣装を新調することにしました。怖い人と会うんだから普段来ている服を着ていくと町中で目をつけられる可能性がある。ということでちょっとしたコスプレ的な服をこの軍資金で買おうかと思います。
(いや、決してコスプレしたい訳じゃない。俺はこの外見でちょっとカッコいい衣装を趣味で買いに行くわけでは決してない)
そう、別に買いにいきたい訳じゃない。これは俺の命を守るための必要事項だ!
ーー
と言うわけでやって来ました。服屋さん、ネットで色々と調べていたらコスプレや何でもオーダーメイドで仕上げてくれる店を見つけて直行した訳です。外見はパッとしないけどまぁ、気にしない。
「いらっしゃいませ!」
「真っ白な服を仕立てて欲しいのだが」
「っ!少しお待ちください!」
元気よく出迎えてくれた若い男性店員は俺を見ると驚いた顔して店の奥に消えていく。どうした、俺の顔に見惚れたか?
まぁ、俺から見ても外見はかなり良いと思う。似たような反応を前にもされたことがある。あの時はあと少しで電話番号を交換させられるところだった。気を付けよう。
「あんたが客かい?」
「あぁ…」
奥から出てきたのは威厳のある男性。年齢的には50代と言ったところか、この容姿だと恐らくは日本人だろう。
「用件はなんだ?」
「先程、述べた通りだよ」
せっかく、肌も髪も白いんだから真っ白な衣装の方が統一感があるでしょう。黒系もいいけどやっぱり白の方が良いでしょう。
「この紙に記入してくれ」
渡されたのはチェック欄がある用紙。手渡された用紙に希望に近い方をチェックしていく。
「アンタ、主義者かハーフか?」
「いや、見た目はアレだが純日本人だよ」
「そうか…他にカスタムして欲しいものとかあるか?」
「これも頼む」
俺が渡したのはシンジュクゲット―で拾った。蛇のお面、おでこから鼻まで隠すぐらいの大きさの面を渡すと店主は物珍しそうに調べる。
「いいのかい?」
「いいよ。問題ないでしょう」
「分かった」
その後、店主らしき男性と二、三回。言葉を交わすと彼は満足したようにうなずく。そして体のサイズを測り、無事に終える。
「デザインは俺に任せてくれるんだな」
「あぁ、カッコよくしてくれ」
「分かった。二週間後、取りに来い。その時に付属品も渡してやる」
「ありがとう」
最初はどうなるかと思ったけど何とかなったな。コスプレなんて初めて買ったからどんなものか楽しみだ。アンケートの備考に女らしい服装は禁止って書いといたから大丈夫でしょう。
ーー
そして二週間後。え、飛んだって?気にしないで、日常回は前回やったでしょう。
「これが注文の品だ」
「素晴らしいな、まるで武士のようだ」
あの店に立ち寄ってみると見事に完成しており用意された姿見で仕上がりを見てみる。和洋折衷とはよく言ったもので外見は完全に和服、着方は完全に洋服だ。袴は白を基調に鮮やかな刺繍が入れてある。でも中身はズボン。しかも動きやすく違和感がない。
しかし少し防具が重い、胴と腰回りそして鉄のブーツ。両腕には手甲、鉄っぽいけど軽いから違うよね。
「これが付属品です!ご要望通り、安全なものを用意しました」
「ありがとう」
格好のイメージ的には決戦仕様瑞鶴の改二甲バージョンです。それがミニスカートじゃなくて普通の袴になってます。わからない人はググってね。さらに蛇のお面も紐ではなく顔にくっつく謎仕様に変更された上に視界を一切遮らない親切仕様となっている。
そして若い店員から渡されたのは刀。ちょっと思ったよりかなり重いけど刀を抜いてみる。安全に配慮して刀の刃は潰してもらった。模造刀でも危ないからね。
「どうだ?」
「予想以上だよ。これほどいいとは思わなかった」
これは中二心がくすぐられますわ。やばい、テンション上がって来たわ。所々にプロテクターのようなものもついててさながら鎧武者、これに興奮しないやつはいないだろう。
「アンタは他とは違う。刀は俺からのプレゼントだ」
「すまない」
店主の心遣いに感謝しながら値段を見る。ネットで見かけたコスプレの四倍ほどの値段が書いてあったがこれほどまでやってもらって断る理由はない。快く払った。
ーー
そんな、やや高めのテンションを維持しながらさらに一週間。
俺はシンジュクゲット―の廃墟で着替えを済ませると指定の場所で伊丹を待っていた。家の姿見で確認したがかなり良いと思う。中身は洋服だから着崩れしないし見た目に対してスゴく楽だ。
「白蛇さま」
「白蛇でいい」
年上から様づけとか居心地が悪すぎるので却下。ゲット―の奥からやって来た伊丹を見つけると顔を向ける。よく見ると他にも人が居る。
(あれ、なんか見たことあるな)
奥からやって来たのはなんな見覚えのある奴ら。彼らは正真正銘の扇グループ。あのリーゼントは間違いないね、なんで彼らも居るんだ。
「そっちは…」
「はっ、このシンジュクのレジスタンス扇グループの方々です。是非ともお目にかかりたいと」
「よろしく…俺は…」
「お前が白蛇か、噂は聞いてるぜ。ブリキ野郎たちを追い払ったそうじゃないか。こんな女がか?」
値踏みするように近づいてきたのは玉城、彼はこちらをじっくりと疑惑の眼で見てくる。
(なんか、声が違う…)
そこで薫が思ったのは不快感でなく、純水な疑問。玉城の声が違うのだ。俺が見た映画では倍返しの人だったのに全く違う。どちらの玉城も特徴的な声をして居るので詳しくない俺でも分かる。
「玉城!」
そんな玉城の行動に南が怒ると俺から玉城を離す。
「あぁ…すまない。うちの団員が」
「気にするな扇。ご覧の通り、ただの小娘だ。気にしなくていい」
「あぁ…」
毅然に、決して下手にはでないようにキャラ作りはしてきた。この衣装に相応しいキャラを作ってきたはずだ。
「それで、行くんだろう?京都に、ご託はいい。早く向かおう、ここからは遠いしな」
「え、あ…。はい!」
なんか驚いてるけどまぁいいか。
薫は扇グループとの顔合わせを終えると伊丹に案内されてその場を去る。するとそこには黒塗りのリムジンが待機しており、そこに乗り込まされる。
(拉致とかじゃないよね?)
なんか不安になるけど伊丹からはなにも変な雰囲気はないしナナリーの顔でも思い出して落ち着いておこう。待てコラ、端から見ればただの変態じゃねぇか。
腰に吊り下げていた刀を外して横に置くと少し寝ようと体勢を変える。
「休んでおけ、しばらくかかるぞ」
「は、はい」
動揺する伊丹をよそ目に少し寝る俺。車のシートはかなりフカフカでぐっすり眠れるだろう。
「……」
「…………」
こうして眠りについた薫は夢の中で誰かに呼ばれていた。
「なんだ?」
そこに現れたのは自分。いや、正確にはカオル・ヴィヨネット。このコードギアスの世界のカオルだろう。俺はそれを本能ながらに察した。
「お前か…」
座っていた俺は立ち上がりそのカオルに歩み寄る。
「お前か、俺に白蛇と名乗らせたのは…」
「……」
馬鹿なりに現在の状況は察している。ここまで事態が大きくなったもの何かしらの影響はあるかと思っていた。それが今、このカオルのせいではないかと薫は思っていた。
「お前は俺に何を望む?俺をこんなところに呼び出して何をさせようと言うんだ!」
「ルルーシュ…ナナリー…スザク…」
「なに?」
カオルは泣いていた。ひたすら涙を流してこちらを見つめていたのだ。
(助けて…)
「………」
言葉が見つからない。彼女は本気で助けを求めている、それに対して頭がついてこなかったのだ。カオルの言葉は断片的にしか聞こえないが相手は相当、切羽詰まっているというのはよく分かる。
それにしても先ほどは普通に話していたのに今度は念話のようなものを送られた。彼女はいったい何者なのだ?
(皆を助けて)
か細い声だが心からの叫びに聞こえた。この世界に俺を呼んだのは間違いなく彼女だ。神の手違いでもお遊びでもない。彼女が俺に助けを求めて体を明け渡したんだろう。
「助けろだと?日本を解放するだけではない、ブリタニアを完膚なきまで叩き潰すのか?」
ルルーシュなら出来るかもしれないが俺は無理だ。原作の知識があれば上手く立ち回れたかもしれないが俺はそんな知識はない。
「日本は俺の故郷だ。この状況をなげかないわけはないだろう。だが俺には力がない、覚悟も足りない」
(力ならある…貴方にはそれを成せるものが揃ってる)
持っている?それはどういうことだ、確かに人は自然と集まってきている。状況は整っているが…本当に俺にこの世界と向き合えっていうのか。
(貴方は為せる力を持っている。どう使うかは貴方次第)
優しく微笑む彼女はそう言って少しずつ消えていく。時間切れのようだ、だが彼女の思いは痛いほど分かった。
(分かったよ。俺が出来る限りの事をする、それがお前の…俺のためになるんだよな…)
まだ混乱しているが覚悟は少し完了した。そんな彼を見た彼女は嬉しそうに消えていくのだった。
意識が覚醒する。
「ん?」
そう思って周囲を見渡すとなぜか俺は立っており周囲に人が立っている。それを庇うように伊丹が目の前に立っていた。
「面白い、気に入った。お主に協力しよう」
(は?)
「白蛇、その仮面の下もなにも問わん問わせん。だがお主の怒りはしかと受け止めた。存分に働け…」
(誰か説明をよこせぇぇぇえぇ!!)