「うぅーちょっともよおして来ちまった」
とあるサザーランドのパイロットは突然、沸き上がった尿意に耐えきれずに機体から降り、近場の影で済ましていた。
「ふぅ、スッキリしたぜ!…あれ?」
やること済ませて帰ってきたパイロットは自分の機体が忽然と姿を消したことに気づく。
「おわぁぁぁぁ!」
あまりのことで絶叫するパイロット。そんな彼の機体は同じ頃、他のサザーランドと大激突していた。
ーー
逃げる、ひたすら逃げる。ここはイバラキゲットー。え、どこかのバカがシンジュクゲットーって言ってた?残念でしたここはイバラキゲットーです。
このイバラキを統治している基地では最近、突発的に殺戮が行われるようになっていた。トウキョウ租界の目を出し抜きながら人狩りをする。そんな彼らに我々、日本人たちはなす術もなく殺される。
「もうだめじゃ」
「しっかりするんだ。まだこの子は生きてるんだよ」
初老の女性、片桐はレジスタンスの一味だった。護身用の拳銃を懐に忍ばせているがナイトメア相手だと全く意味がない。一緒にいるのは傷ついた子供と隠れていた男の老人。
客観的に見ても逃げられるような面子ではない。
「来たぞ!」
後ろから迫るのはブリタニア軍の主力。サザーランド、人の歩みなど遥かに越える速度で追いかけてきた機体はゆっくりとライフルを構える。
「うわぁ!」
もうダメだと叫ぶ。そんな時にビルの影からサザーランドが現れると追いかけてきたサザーランドに体当たりをしたと思えば後方にて追随していた2機のサザーランドをたった二発で片付ける。
「救世主だ…」
「ついに神の御使いが現れた!」
連れてきた老人がうるさいが本当に凄い。3機のサザーランドを二発で仕留めた。
「いや、まだだ!」
体当たりをされたサザーランドが起き上がり両腕に装備されたトンファーを展開する。
「まだやられていないぞ!」
片桐は思わず叫ぶ。しかし助けに来たサザーランドは敵のサザーランドが立ち上がるのを許してしまう。その上、味方に振り返ろうとしない。
「後ろだ!聞こえないのか!」
その瞬間、サザーランドは目にも止まらぬ速さで敵を足払い。構えたライフルでコックピットを撃ち抜く。玄人レベルの動き、これは並みではない。
そんな動きに驚いているとサザーランドはしゃがみコックピットハッチが開き、顔全体に包帯を巻いた少女が姿を表す。真っ白な髪に病的なまでに色白の肌。そのスラッとした出で立ちは神の使いである白蛇のようだった。
「助けてください。ブリタニア軍は私たちを憂さ晴らしのために殺しているんです!」
必死に叫ぶ。明らかに年下だろうが思わず敬語で話してしまう。そんな雰囲気を持っている人物だった。
「このままじゃ私たちも人狩りで殺されてしまう!」
なにかが変わるかもしれないという思いを込めて片桐は叫んだ。するとその女性――これからは《白蛇》と言おう――彼女はゆっくりと歩むと抱えていた子供を見つめている。そんな彼女に自分が持っていた無線機を渡す。これで仲間を助けてくれと分かるはずだ。
「うむ…」
「ありがとうございます!」
静かに頷く白蛇に頭を下げて喜ぶ。
「レジスタンスがまだ戦っています!助けてあげてください!」
「……今回だけだ」
思わず泣きそうになる。今まで死にかけていたから余計にだ。やはり年を取ると涙腺が緩くなっていけない。そんな女性に感謝しつつ片桐は全力で地下鉄に逃げるのだった。
ーー
「くそっ、ブリタニアめ!」
「このままじゃ全滅だ!」
赤く染めた髪を伸ばした女性。伊丹智香はランチャーを片手に周囲を確認する。彼女は元軍人でブリタニア侵攻時も前線で戦った猛者だ。
「伊丹さん、ここは逃げるしかない!」
「馬鹿者!ここで逃げたら民間人はどうなる、片桐さんと連絡は取れないのか?」
「応答が取れません」
鋭い目付きの若者。伊坂シュンは脱出を提言するが彼女はそれを否定する。
「このままでは…」
『―――おい、このグループのリーダーは誰だ?』
その時、なぞの声が全員の持っていた無線機から流れる。
「なに、誰だお前?どうしてこの番号を知っている?」
伊丹はその状況においても冷静に返事をして脇に伏せていた青髪の女性。柏木に目線を移す。
「恐らく、片桐さんからの無線ですねぇ。声の主は違うようですけどぉ」
『誰でもいい。勝ちたいのなら私に従え、そうすれば後悔はしない』
勝ちたいのなら…全員がその言葉に反応して目を合わせる。千載一遇のチャンスか、それとも破滅への罠か。どうせ死ぬのなら乗るしかない。そう感じ取った伊丹は静かに了承するのだった。
「…分かった」
『指定座標に集まれ、そこにプレゼントを用意してある』
「おい、行くぞ」
「「了解!」」
その言葉に従い、移動する一同。さて…鬼が出るか蛇が出るか。
ーー
「緊張してもう吐きそう…」
指定地点を遠くから見えるビルの影にサザーランドを移動させ様子を窺う薫はレーダーを見ていた。
数は20機ほど、指揮者は居ないようでそれぞれバラバラで狩りに興じていると言ったところか。
改めてみるとブリタニアって惨いこと平然としてるな。ブリタニア人以外、生き物と見てないなこれは。
列車の中にあるのは7機のサザーランド。ルルーシュとは違ってそんなに奪えなくてごめんなさいね。あとは映画を思い出して動くだけだ。
「エチケット袋はどこだ?」
結局なくて外で吐きました。
『これがプレゼントか?』
「あぁ、役に立てるかな?」
口からレボリューションしているときに通信が到着。口の中がイガイガのまま話をする。無線機のノイズが酷すぎて相手が男か女かすらも分からないが文句を言ってられない。
ーー
『あぁ、役に立てるかな?』
「っ!」
急に声が低くなった相手に伊丹は戦慄する。企みが実現に限りなく近づき相手が本性を現したのだろう。
(この殺気、藤堂中佐並みかそれ以上の人物か)
「我々は貴方の傘下に入る。我々を勝利に導いてくれ」
『愚問だな、では準備を完了させろ』
「了解した」
自分達のリーダー的存在である伊丹が緊張しているのを見て伊坂たちも緊張を持つのだった。
ーー
とりあえずはよし。これでルルーシュのようにレーダーを見ながら指示を出せば。
『こちらは準備が完了した』
「よし、そちらに2機が向かっている。お前たちから見て西の方角到着は15秒後だ。壁越しに撃ちまくれ」
『了解した』
そして恐らく扇グループであろうサザーランドが西の方角に向く。あれれぇ、おかしいぞぉ?なんで東に向いてるんだぁ?
改めてレーダーを見る。右が西じゃないの?アレ、右は東か?ヤバイんじゃね、完全に反対に向かせちゃったのだが。しかももう撃っちゃった!なにも居ないよそこにわぁ!
もう15秒経ったの?早くね、ってか早く修正しないと!
「続いて東だ。すぐに来るぞ!」
ミスったなんて思わせない。ミスはミスじゃない、もみ消せばいいのさぁ!
ほら。赤い人も言ってるじゃん、過ちを気に病む必要はない、ただ認めればいい。それが大人の特権だってね! 方角の記号の右は東、左は西って覚えたから許して。
なんとか2機は撃墜。半分ぐらい減らしたら逃げるでしょ、気を取り直して次だ。
「移動しろ、S28だ」
『了解』
「前方に装甲車3両、踏み潰せ。南西の方角から3機……今だ!」
もう5機も撃墜。やれるじゃないか、私はこのまま殲滅してやるぜ!…あれなんか忘れてるような。
そうだ、ランスロットだ!あのイカれ運動神経のスザクが乗る鬼畜ナイトメア、ランスロットが控えているじゃないか!ヤツが来るまでに逃げねば!
「そろそろ頃合いだ。脱出ルートは確保した。各自、地下道から撤退しろ」
『もう少しでブリキ野郎を殲滅できるんだ!やらせてくれ!』
「貴様たちは何も分かっていない。戦場では何が起きるか分からない。敵が新型を投入してきたらどうする?(主にランスロット)貴様たち素人に切り抜けられるのか?」
ごめんなさい、めっちゃ偉そうに言いました。でもこう言うときって下手に出たら舐められるからこれでたぶん正解だと思います。はい…。
『―――なのだな?』
「あぁ…?」
ごめん、なにも聞いてなかった。なんぞや?
『分かった…我々は退く』
「それでいい…」
どうやらお遊びで出てきた敵もゲットーの外に逃げているようだ。そういえばG1っていうデカイ乗り物が見当たらないけど…クロヴィスってやつ殺さなきゃいけない感じ?
それはいいか、俺は別にここを逃げたいだけだし。これからどうしようかな、せっかくコードギアスの世界に来たからアッシュフオードには見学にいかないとね。
「ふふふ~ん」
鼻唄をしながらこちらも地下道で逃げる。地下道を迷いながらも進んでいくとそこにはサザーランドが沢山停まっており道を塞いでいた。
「ちょい待て!アレって扇グループ!?」
なんで待ち伏せしてんの?ルルーシュより無能だから殺しに来たのか!しかたねぇだろ、今さっきまで将来のことすら考えてなかった高2だったんだぞ。
『白蛇よ、我々は貴方に礼を言いたいのだ。どうか降りてきて頂けないだろうか』
「はくじゃ?」
なんすか、もうアダ名着いてるんですか?もしもの時はゼロって名乗ってやろうかと思ったけどそれを使わせてもらおうかな。
まぁ。とにかく出なきゃいけない空気ですね、俺はKYなんてもんじゃありません。出ますよ出ますよ。
「私は伊丹智香。このグループのリーダーをしている人物だ」
「グループリーダー?」
「あぁ」
ホワイ!扇さんじゃないのかよ!おいどこ行ったリーゼント、なんでこんな美人がリーダーしてんだよ!
「よせ、照れるじゃないか」
あんまり見つめてたから照れたじゃねぇか。可愛いなぁおいっていうのは置いといて。ちょっと質問、
「ここは?」
「ん、イバラキゲットーだ…」
イバラキゲットー!?シンジュクじゃねぇのかよ!俺の勇気と覚悟を返せ!マジでゼロにならなくちゃならないと思ったじゃねぇか!
…ん?なんかこっち見つめてるぞ、ごめん、なんかまた質問した?
「まぁな…」
取り敢えず返事しとくわ。あれ、みんな気まずい顔してるぞ選択しミスったかな。
「気にするな。俺の問題だ」
取り敢えずフォローしとくよ。フォロー大切。
「…どこなのだ?」
「シンジュクゲットーだ」
シンジュクゲットーだと思ったんですよ。ごめん。頭混乱してるあんまり話聞いてないわ。聞く気ないわ。
「俺は疲れた。悪いが帰らせてもらう」
家ないけど取り敢えずアッシュフォード目指しますわ。超初心者だけどファンの一人として。
「待ってくれ!」
なんすか…ウッぷ。やべ、まだ吐きそう。早くどっか行かないとヤバイ!
「下す…」
「なんだと?」
「全てを戻す…。(もう吐きそうです、ヤバイです!)そのために急がなきゃならない」
「分かった…」
ありがとう。言葉って大事、事情を話したらすぐに解放してくれた。その後、心置きなくスッキリするまでレボリューションしました。
汚くてごめんね、血まみれの人とか無理なんす。