フラグが建ったよ!建ったんだよ!
「疲れてない…」
人生初のテロリスト活動から夜が明けてアッシュフォード学園。カオルは疲れきっておらず、むしろこれまで以上に快調であった。
(全身くまなくやってくれたからな)
本当なら次に集まる日を決めて帰ろうと思ったのだがメイドたちに捕まり、全身くまなくマッサージを施してもらったのだ。そのおかげで肩が異常に軽いのだ。
(胸で肩凝りって都市伝説じゃなかったんだな…)
そんなこと言ってるとどこぞの大阪弁空母に怒られそうだが仕方がない。自分もそれなりのバストを誇っているというのをあまり考えないのが主な原因だろうが。
元男なのでそこら辺は勘弁してほしい。ついでにこの前、身体検査があってしっかりとしたサイズを計ってきました。シャーリー〈俺〈ミレイの順だった。
「おはよう。珍しいな、ボーッとして」
「あぁ…少し色々あって…」
「無理するなよ」
「ありがと」
ルルーシュからの優しい言葉を貰うと机に突っ伏す。正直、拍子抜けという言葉が正しいのかもしれない。本当になにもしていないのだから。
だが次の作戦こそが本命だ。ルルーシュをゼロにさせない方法。それの最大の理由はC.Cとの出会いだ。元々、因果な関係とはいえ二人が出会わなければ彼がゼロにはならなかっただろう。
(ならそのフラグを潰す)
つまり、ルルーシュが介入してくる来年までにC.Cを奪還し俺がゼロの代わりとして動くのだ。
つまり、次に行う作戦は政庁に捕らえられているC.Cの救出作戦を実行する。扇グループにも出来たのだ、出来ないことではない。
(問題はどうやって内情を探るかだな…)
ジェシカたちをブリタニアへの間者として紛れ込ませるにしても一年以内にそんな中枢に潜り込めるとは思えない。
(桐原さんの所に相談にいくか…)
使える権力は使うべきだ。そう思い立ったカオルは考えることを止めることにした。
「カオル、今日は部活休みだったから一緒に帰ろ?」
「いいな、ちょうど生徒会もなかったんだ」
前にも言ったかもしれないがシャーリーと俺は帰れるタイミングが中々ない。こちらは生徒会、向こうは水泳部。水泳部なら予定はしっかりしているが生徒会に関しては明確な予定などはない。
「お互いに予定が合わないから大変よね」
「そうだな、シャーリーが一番最初の友達だから。もっと仲良くしたいんだが…」
「そう、もう仲良しじゃない?」
「お前のそういうとこ好きだよ」
「もう、カオルってば」
お互いに歩いて帰る。もちろん電車は使って、普通ならバイクでも買った方が楽なのだが。歩いた方が話しやすいしいろいろと寄り道しやすいのだ。
「それにしても、最近大丈夫?」
「何がだ?」
シャーリーから話を切り出されたのはクレープを露天から買ったときであった。
「最近、電話が多いし。変なことに巻き込まれてないかなって…」
「……」
まぁ、巻き込まれたのは間違いないが。内心、こっちもノリノリで参加している点もあるので全否定はできない。ルルーシュとナナリーは辛い過去を持っている。そんな二人には幸せであってほしいのだ。
「やっぱりなにか…」
「いや、何もない」
「ほんとに?」
「あぁ…」
こっちを本気で心配してくれているのに嘘をつくのは忍びないが仕方がない。実はテロリストをやってて困ってるんだよなんて言えるはずもない。
「まぁ、気にしないでくれ。そう言えば、今日は公園でアイスの露天が出てる日だ」
「あぁ、この前言ってた店?」
「あそこは旨いぞ」
カオルの寄り道コースは必ず公園を通る。そのお陰で色々な露店商と顔見知りになった。とくにお気に入りはホットドッグ屋とアイス屋だ。
「最近は甘いもの食べれなかったから嬉しいな」
「期待していいぞ」
やっといつも通りの会話になってきた頃。歩いていた道で派手な激突音が響いた。
「なに?」
「ん?」
車同士の激突事故。後ろから激突してきた若い男が前に停車していた老人夫婦に怒鳴り散らす。明らかに若い男の方が悪いが老夫婦は言い返せずに困っている。
「なんだ、あの男は!」
同じ男としても許せない光景だ。こう言った理不尽は個人的には許せない。
「ちょっとカオル!?」
ズカズカとその男に近寄るカオルをシャーリーは慌てて止める。ちょっと今までにない雰囲気だったので戸惑ったのだ。
「あれ、ルルーシュ?」
「ルルーシュくん?」
そんな時、突如あらわれたルルーシュはレッカー車のウインチを持って登場。若い男の車に引っ掻けるとそのままリヴァルの待つバイクに戻っていく。
「あいつ…」
ウインチを引っ掻けられたと知らないレッカー車は若い男の車を連れていく。その様子をみていた周囲の人間たちは笑うが等の本人であるルルーシュはつまらなそうにしていた。
「へぇ…」
シャーリーはつまらなそうにするルルーシュを興味深げに観察する。
(もしや…やっとフラグが建ったのか!)
やっとやって来た原作ぽい現象にカオルは内心テンションが上がる。
(やっとぽいの来たなぁ)
そんな感覚に思わず笑みを浮かべたカオルは黙ってルルーシュを見つめるのだった。
ーーーー
その後、シャーリーと久々の癒しタイムを得たカオルは無事に帰宅。秘密の携帯を起動させるとキョウトへと連絡をいれる。
「もしもし、白蛇です。桐原公にお繋ぎ下さい」
「承知しました」
「薫かどうした?」
「桐原公。ブリタニアの政庁についての情報を欲しいのですが」
「ほう…。前回の作戦の成功報告は伊丹から聞いておる。また仕掛けるつもりか?」
「えぇ、ブリタニア政庁内部での実験施設のありかを探りたいのです。バトレー将軍関係にあるかと思いますが」
映画の記憶が正しければあの太った将軍がC.Cに関与しているのは間違いない。
「お主、その情報をどこから得た?」
「ただの勘ですよ。ですが詳しい場所などは不明です。そちらの方で詳しく分かるでしょう?」
ただの当てずっぽうだがこっちが期待しますよって感じて話せば向こうも頑張ってくれるとこっちは信じている。
「…分かった。わしもその筋から聞いてみよう」
(ほんとに内通者がいたのか…)
なんか日本側ってブリタニアに劣っているって言う感じの描写が多かった気がするけどやっぱり情報戦においては負けてないみたいだな。
「よろしくお願いします」
電話越しだけど深々と頭を下げながら電話を切る。
「ふぅ…C.Cさえ手に入れればルルーシュは普通の生徒として居るしかない…」
ルルーシュには危ない目に会って欲しくない。薫はその手を握りしめると窓から見える夜景を見つめる。
(ちょっとかっこよく言ってみた…)