どうも皆様。カオル様、もとい白蛇様の侍従長をしておりますジェシカと申します。
我ら総員20名、現在は白蛇様の指揮下のもとそれぞれの能力に合わせた仕事を行っております。
ミレナ、バレット、エクレを筆頭に現在は白蛇様のグループの運営について試行錯誤を行っております。
元々はリーダー格の伊丹、桐山が組織の運営についての事務仕事を行っていましたが現在は資産運用部門、備品管理部門、整備部門、実働隊部門、にと大まかに分け、組織を管理運営しています。
「やはりそうでしたか…」
「女性しか見かけないと思ったら。実情はこんなもんですよ」
メンバーリストを新調していたブリタニア系人種のケルナはほぼ完成したメンバーリストを見て呟く。
この白蛇のグループは七割が女子供と言った者達ばかりだ。リーダー格が二人とも女性だというのもあるだろうが伊丹たちが拠点にしていたのはブリタニア軍の横暴が顕著だったイバラギゲットー。男手がこぞって既に戦死しているのだ。
「レジスタンスとして活動していたのが嘘のようですね」
「これではただの難民集団ですよ」
実働隊部門の管理をしていたバレットはため息をつきながらやって来る。彼女は元ユーロピアの兵士だった。ユーロピアの軍も大概腐っているが練度はそこそこあった。
「仕方ないさ。我々の4割は白蛇さまの噂を聞き付けてやって来た者達ばかりだ。銃の扱いも分かってない」
「これは伊丹様」
白蛇のグループはテロリストグループの中でもトップクラスの戦力を保有している。ナイトメア、しかもブリタニア軍で正式採用されているサザーランドを数機保有しているからだ。
だが持っているだけ、それを運用できる人間を集められていないのだ。
「機体の完熟訓練もいまいちだな」
「私はすべてのシミュレーターをクリアしましたが」
「流石だな…」
実はジェシカはナイトメア特性が高く。真っ先に完熟訓練を終わらせた猛者だ。ついでにバレットも元パンツァーフンメルに乗っていた為にすぐに終わらせれた。その他の柏木などの古参メンバーもパスしている。
「レジスタンス組織ではよくあることですが人員の育成が必要ですね。せめて、白蛇様の緻密な作戦を実行できる程度には」
「そうだな…」
伊丹も思わず腕を組んで悩む。組織とは人だ、人あってこその組織なのだ。
「ジェシカ、当番表が出来たよ」
「エクレ、ご苦労様です」
「それは?」
エクレが持ってきたのはメイドたちの名前が記載された表。そこには順番が割り振られている。
「白蛇様のお世話をする際の順番を明確にしたものです」
「来た時みたいに全員でやればいいんじゃないのか?」
「いえ、それに関して少々トラブルが発生いたしまして…」
「そうか…」
なにやらややこしそうだったので聞かないでおく伊丹。そのトラブルの原因は言わずも分かる通り白蛇こと、薫にあった。
ーーーー
「お疲れ様です白蛇様。こちらへ」
「あ、あぁ…」
ことの発端はジェシカが薫に対してマッサージを行ったことだ。鎧のような服を脱いだ薫は下着姿で用意されたベッドに寝転ばせる。
「「「………」」」
一切、飾りっ毛のない下着を身に纏っていた彼女だがスタイルは整えられており同性であるメイドたちも少し息を飲んだ。
「では失礼します」
いつも通りの手筈でマッサージを開始するジェシカ。
「心地いいな…」
「ありがとうございます」
薫もジェシカのマッサージにご満悦。心地良さそうにしていた彼女だったが特に凝っていた肩や足あたりになってくると。
「ん……」
ほんの小さく薫の艶やかな声が漏れる。彼女自身は痛いのを我慢しているだけなのだがその声でジェシカや周りでサポートしていたメンバーたちの変なスイッチが入った。
(肌の艶もさることながら、非常にさわり心地が良いですね)
今まで、男の固い肌などをマッサージしてきたジェシカにとっては全てにおいて最高レベルの体を持つ薫のさわり心地は最高によく感じられた。
その光景を見て周りのメイドたちもジェシカがマッサージ以外の事に意識を寄せているのは分かっていた。
憧れの存在。そのような方の無防備な姿と言うものは同性ながら、グッと来るものがある。
(ゴクッ…)
こうして次に薫をマッサージするのは誰かという争いが勃発。これが完璧な連携を見せていたメイド同士の初めての争いだった。
ーーーー
まぁ、ひと悶着はあったものの無事に解決した彼女たちはしっかりと仕事をこなしていた。キョウトの支援もあってブリタニアからの監視の目も緩い。
「白蛇様は次は何をされるんだ?」
「あぁ、私も独り言を聞いただけなのですが政庁に潜入するとかなんとか…」
「なに、政庁だと!?」
このエリア11を束ねる政庁。皇族でもあるクロヴィス殿下の根城に潜入するなど考えもつかなかった。
(白蛇様はいったい何を…)
ーーーー
「ほぉ、外の者を引き入れたか…」
場所は変わり富士鉱山。そこに居を構える桐原は伊丹たちから送られてきた報告書を読んでいた。
資金と人員を補充を済ませただけではなく。その事をブリタニアに察知されていないというのは大きな点だ。
この作戦は前哨戦の様なものだ。彼女の本命はどこにあるのか…。
「桐原公。白蛇より連絡が来ております」
「うむ、まわせ」
連絡を貰った桐原は回線を繋がせ薫と話す。
「薫かどうした?」
「桐原公。ブリタニアの政庁についての情報を欲しいのですが」
政庁の情報。検問やらの情報かと思った桐原はそのまま会話を続ける。
「ほう…。前回の作戦の成功報告は伊丹から聞いておる。また仕掛けるつもりか?」
「えぇ、ブリタニア政庁内部での実験施設のありかを探りたいのです。バトレー将軍関係にあるかと思いますが」
薫から放たれた言葉。それを聞いた瞬間、桐原の表情は変わる。その情報に関してはこちらに先程届いた出来たての情報だったのだ。
「お主、その情報をどこから得た?」
「ただの勘ですよ。ですが詳しい場所などは不明です。そちらの方で詳しく分かるでしょう?」
(政庁内の協力者も察せられていたか…)
確かにキョウトはNACという表の顔を持ちエリア11の高官と密接な関係にある。その協力者たちについて彼女は知っているような口ぶりだった。
(キョウトでも僅かな人間しか知らぬことを…)
「…分かった。わしもその筋から聞いてみよう」
「よろしくお願いします」
彼女はなにか大きなことをしようとしているのはよく分かった。桐原は彼女の察しの良さにヒヤヒヤしながらも通信を切る。
「彼らに連絡をとれ」
「はっ…」
早速、薫が求めている情報を得るために部下を動かす桐原。
「本当に世界を動かすつもりか…」