「次の作戦が決まった…」
イバラギゲットーレジスタンス本部。そこで優雅にティータイムと洒落込んでいた者たちは白蛇の言葉に背筋を伸ばして耳を傾ける。
「ついに本格的な戦闘ですか!?」
「いや、今回も前回と同じくスニーキングミッションだ」
幹部の中で一番の若手である伊坂は彼女の言葉にションボリと肩を落とす。なんかこっちが苛めてるみたいだが断じて違うので。
「それで、今度はどこに潜入するのですか?」
「トウキョウ租界の中心。政庁だ」
「なっ!?」
まさかの言葉にその場にいた全員が驚愕の表情を浮かべる。中には立ち上がっているものまでいる。
「すまないが今回、伊丹たちはなにも出来ない。今回は俺と侍女隊で作戦を遂行する」
「我々が参加できないのは薄々、理解できます。しかし、なぜ政庁などに潜入するのですか?」
伊丹たちは日本人顔が政庁潜入に向いていないと判断したのだろうが本音はカオル自身が素顔を晒して潜入しなければならないことが大きな理由だ。
その点、ジェシカはカオルの素顔を知っているので問題ない。
「クロヴィス殿下の殺害とか?」
「うそだろ…」
「違う…」
柏木の軽口で伊坂を始め、多くの者がさらに動揺するがすぐに白蛇は納める。
(確かに、政庁に入れるのならクロヴィス暗殺もできるのか…。いや、それだとC.Cの存在がどこにいくか分からないしなぁ)
原作ブレイクを狙ってこそいるが派手に動き回ればブリタニアから目をつけられる。それだと組織そのものが崩壊する可能性がある。
(ジェシカ達のおかげでかなり組織らしくなったけど不安な面も多いし)
やはりディートハルトと言った変態連中がこういう時には大切だなと思えてくる。
「今回の目的はブリタニア政庁内にて実験されている。強化人間の奪還だ」
「強化人間ですか?」
「戦うために作られた兵士。それに近い存在だ」
完全に嘘だ。誰が不老不死で不思議な力を持っている少女を助け出すと言って信じるものか。今回嘘を着いたのは完全に声優繋がりなのだが。まぁ、気にしない。
「そのような人道に外れた行為は決して許されない。我々はそれを奪取しその計画を潰す。我々の身がバレないようにな」
「そのような情報を一体どこから…」
まぁ、ブリタニア軍でもごく一部しか知らないであろう存在だけど。こっちは一部だが予知に近い記憶がある。それが廃れる前に存分に使って行かなければならない。
「キョウトの情報だが。奴等はどこかの島にその人物を搬送して何かしらの実験を行うらしい。その輸送中に強奪する」
輸送中に襲うのは常套手段だが今回は政庁内でも知っている人物は限られてくる。相対的に護衛も少ないはずだ。
「では作戦会議を始める」
ーーーー
「しかしよろしかったのですか?このような少数で」
「仕方ないだろう。偽造パスポートがそれしか手に入らなかったんだから」
政庁の検問を車で待っているのはカオルとジェシカの二人。桐原がなんとか用意してくれた偽造パスポートも二枚だけ。それに一気に大量の部外者がやって来たら誰だって怪しむ。
「検問はジェシカが担当してくれ」
「分かりました」
(一応、ブリタニアの学生だしな)
こちらは一応。アッシュフォード学園の生徒としての面も持っている。ここであまり顔を知られるのは困るのだ。
(でもC.Cを奪取するには俺は必ず参加すべきだし)
なんだかんだ考えていると無事に検問を突破。今は研究員の格好に身を包んでいる。そしてカオルは牛乳瓶の底のような分厚い丸眼鏡を着けて申し訳程度の変装をしている。
(仕方あるまい。俺は美少女だから!)
ーーーー
「では私は先に船で向かう」
「はっ、後で追いかけます」
「頼むぞ」
バトレーたち主なメンバーは先に機材などを積んである船から出発。カプセルは空輸で運ぶようだ。
ーー
「政庁に入ったのはいいが…」
「中々の構造ですね」
「あぁ、テレビ局と同じだな。テロなどで占領されにくいように複雑な構造になっているんだろうな」
桐原の情報だと、この時間なら輸送機に運び込まれている頃だと思うが輸送機の場所がわからない。
「どうされます。このままでは時間が…」
「政庁の内部図までは手に入らなかったからな」
「おい、そこでなにをしている?」
困っていた二人に背後から声をかける人物。紫色のカスタム軍服を見に纏った女性がこちらを睨み付けていた。
それを見てジェシカは竹で出来たナイフを袖に忍ばせる。それをカオルは慌てて止めると顔を向ける。
「は、はい。私たち、道に迷ってしまって…バトレー将軍に輸送機に向かえと言われたのですが」
「やはりお前たちはバトレー将軍貴下の研究員か」
「もしや、純血派のヴィレッタ・ヌゥさんですか。お会いできて光栄です!」
「そ、そうか。それは良かった…」
(原作キャラ来たぁぁぁぁぁ!)
銀髪のポニーテールに褐色の肌。あの金髪メディアに撃ち抜かれていたヴィレッタじゃねぇか。すげぇ、ダイナマイトボディ。まぁ、俺には敵わないがな!
てか、なんでこんな時に原作キャラに会うんだよ!嬉しくねぇよ!町中で会いたかったよ!というかこの人って確か、誰かといつも一緒じゃなかったけ?
「どうしたヴィレッタ?」
「ジェレミア卿。実は研究員が迷っていまして」
ジェレミア・ゴッドバルト!ルルーシュのギアスで人生めちゃくちゃになった人じゃねぇか!当初の落ち着いた雰囲気とかたぶん一話から出てきた所からラスボスこの人じゃねって思って脱落した人じゃん!?
「あぁ、バトレー将軍の…いつも地下に引きこもっているから他の場所が分からなかったのか?」
うわ、嫌みすげぇ。
「この道をまっすぐ行けばナイトメアハンガーに着く。その手前を右に曲がって真っ直ぐだ」
「あ、ありがとうございます!」
撤退撤退!
用件を済ませたらジェシカを連れて速攻逃げるカオル。それを不思議そうに見つめるジェレミアとヴィレッタであった。
「白蛇様、あれは?」
「純血派のツートップだ。まさかこんなところで会うなんてな」
「純血派…」
ブリタニア軍はブリタニア人のみで構成すべきという思想を持ったグループそれが純血派だ。ブリタニアの支配領域は広大かつ戦争状態が続いている。
広大な土地に延びきった戦線。これを維持するにはブリタニア人だけではとても賄えない状況なのも事実。まぁ、純血派はブリタニアの選民主義の代表組織のようなものなのだ。
「そういえば白蛇様はなぜ私たちを受け入れてくれたのですか?」
「お前が助けを求めてきたんだろう?」
「そうですが。まさか組織にその中心にまで入れるとは思いませんでした」
「選民主義は身を滅ぼす。志あるものは皆平等だ、意志のない者に、何もやり抜くことは出来ん」
「白蛇様…」
ハルバートン提督の名言だ、有能な人ほど早く死んでしまう。ルルーシュだって死に直面するのは避けられないはずだ。
「とにかく、今は輸送機が先決だ」
惚れ惚れとしていたジェシカを連れて飛行場に急ぐカオルであった。
ーーーー
「おい、あれだろ?」
「あぁ、化学兵器らしいな」
その頃、飛行場ではブリタニアの兵士が気味悪そうに話していた。
「今日、実験をするらしいぜ」
「マジかよ。クロヴィス殿下もよく許したな」
正体不明の紫色のカプセルはブリタニア兵士たちにも気味悪がられている。無差別に人を殺せる殺戮兵器を好ましく思う連中などそんなにいない。決して日本人が可哀想だとかそういった感情は一切ないが。
「バトレー将軍貴下とはいえなにやってるんだか…」
「おい、早速来たぞ」
そこに見えたのは二人の研究員。白髪と金髪の女性だった。
「おい…」
「金髪だな」
「俺もだ」
輸送機を護衛していた兵士はジェシカを見て密かに品定めをしているとあっという間に二人は輸送機に入っていく。本来ならIDカードの照合を行わなければならないのだが政庁内部というだけあって警備意識は皆無に等しかった。
ーー
「これか…」
「この中に人が入っているのですか?」
「そのはずだ…」
原作通りのカプセル。これは間違いない、C.Cが入っていたカプセルに間違いない。
(どうやって開けるんだこれ?)
映画では勝手に開いていたから分からないし。ここでゴタゴタしていても始まらない。
「ジェシカ、適当なところまで飛ばせ。後で爆破して海に流す」
「承知いたしました」
ジェシカはすぐさま操縦席に向かい輸送機を操作する。幸い、まだ準備の途中のようで操縦士も見当たらずに上手く出発することが出来だった。
「少し、上手く行きすぎてる気がする…」
しばらくの間は怪しまれないだろうが素人の作戦がこんなに通用するなんて。ブリタニア軍が緩みきっているのか、それともなにかしら変な力がはたらいているのか…。
(まぁ、ここは現実世界だしそんなことないか…)
少し気疲れしてしまいカプセルにもたれ掛かる薫。その時、何かの鼓動が聞こえた気がした。
「なんだ?」
慌てて振り返る薫。するとカプセルがゆっくりと開き、中から拘束着を着た人間が現れる。
流れるような長い緑髪、美しい顔立ちの美少女が姿を現す。訳ではなく、美しい銀髪を持ったイケメンの男性が現れる。
(イケメン死すべし慈悲はない!)
おっと、前世の陰キャ思考が条件反射として沸いて出てしまった。
ってかC.Cじゃない!?誰だこいつ?銀髪の超イケメン男性って誰だよ。人によってはルルーシュよりのイケメンキャラがコードギアスに居たなんて…。
キャラデザ的に主要キャラなのは分かるけど…。もしかして2期のキャラクターか?ブリタニアの実験対象と言うことは2期のライバルキャラかな?
「おい、無事か?生きてるか?」
「……っう」
(わぁお、イケメン。俺が女だったら惚れちゃうねって、今は女でした)
脈もあるし、息もしてる。碧色の瞳はまるで宝石のようだ。
「君は…」
「俺は薫、佐脇薫だ」
「カオル…」
「かなり衰弱しているな。安心しろ、俺が安全な場所まで連れていってやる」
「ありがとう…」
そう言って静かに意識を失う青年。まるで眠り姫のようだ、相手が女なら良かったんだが…。まぁ、イケメンだから絵になるし許してやろう。
(まぁ、問題が増えただけだよなぁ…)
未確認のキャラの存在に頭を悩ませる薫。目の前で眠る男性を見ながら頭が痛むのを感じていたのだった。
と言うことで例のキャラも参戦します!