コードギアス 白蛇は勘違い   作:砂岩改(やや復活)

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イバラギゲットー壊滅作戦 Ⅰ

 

「おい薫!」

 

「な、なんだよ?」

 

「お前、隠していることがあるだろう?」

 

「はい?」

 

 いつも通り、登校し教室にたどり着いた薫はいきなりルルーシュに捕まると質問をされた。

 

(え、まさかテロリスト活動がバレたのか!?)

 

 いや、ルルーシュに対しては特に注意を払って行動していた。そう簡単にバレるわけがない。筈だが、こっちが気づかないうちにミスしている可能性なんて山ほどある。

 

「俺にはなにも問題はない」

 

「そういう風には見えないがな…」

 

 完全に疑いの目マックスのルルーシュ。それを見てチビりそうになる。こんな目をされたのは最初にあったとき以来だ。完全に疑われている。まぁ、前回とは違ってこっちを心配してくれているのは分かるけど。

 

「大丈夫だ…俺を信用してくれ…」

 

「薫…」

 

 ルルーシュの手を取り、目を合わせる。他人に信用されるためには目を合わせて、スキンシップを取る。近しい仲だからこそ出来る芸当だがこうすることでこちらの誠意が伝わるだろう。

 

「分かった…辛かったら言ってくれ」

 

「ありがとう、ルルーシュ」

 

 少し卑怯な手だがテロ活動の事は聞かれては不味い。事情が説明できない以上、こちらからは嘘しかつけない。

 

(悪いな…)

 

ーーーー

 

 友人に嘘をつくというのは気分のいい話じゃない。なんだかんだ言ってルルーシュはこの世界での最初の友達。あまり無下にはしたくなかった。

 

「どうしたの薫?」

 

「いや、ちょっと罪悪感に浸ってただけだ」

 

 その日の授業は残念ながら早退し現在はライと共に電車に乗っていた。イバラキゲットーに向かうためだ。なぜそこまで急いで向かっているかというと伊丹から緊急の連絡が入ったからだ。

 

(もしもの時に作っておいた緊急コールが鳴るなんてな)

 

 作ってはいたが使っていなかったために存在を忘れかけていたが。

 

 列車を降りるとそのまま着替え、本部に辿り着く。そこではせわしなく動くメンバーたちがいた。

 

「伊丹、何があった!?」

 

「白蛇様!」

 

 薫の存在に気づいた伊丹は急いで駆け寄ると状況を説明する。

 

「実はキョウト含め、協力組織からブリタニアに不審な動きありと報告を受け、祖界で活動しているツァールに調べさせた所」

 

 ツァールはメイド組の一人で祖界にて情報収集に当たらせている人物だ。

 

「テレビ局でイバラキゲットーの殲滅作戦が報道されることになっているらしいのです」

 

「イバラキゲットーの殲滅作戦だと?」

 

 ちょっと笑えない状況じゃないか!?ライを連れてくる場面じゃなかった。イバラキのブリタニア軍を退けたせいで逆に報復をしようとしているのか。

 

「はい、既に基地では政庁に居るはずの純血派の機体も確認されています」

 

「不味いな」

 

 純血派ってジェレミアとかの部隊じゃん。カレンを圧倒してたし実力はかなりあるんじゃ…。

 

「とにかく、民間人の避難を最優先に。他県で受け入れてくれる所は?」

 

「白蛇様のお陰で関東圏の県は快く受け入れてくれるそうです」

 

「荷物は最低限度に、地下鉄から避難させろ。避難完了地区から順次トラップを仕掛ける。可能な限り武器をかき集めろ。民間人の避難完了まで我々が持ちこたえる!」

 

「「「了解!」」」

 

 敵の攻撃時間が分からない以上。出来るだけの手をうっておくべきだ。

 

「避難は今から始めろ!すぐに行動するんだ!」

 

 手持ちの戦力は薫専用機《白号》とサザーランドが5機、無頼が10機。あとは歩兵が持てる火力しか持ってない。

 

「周辺の地図を…」

 

「はい!」

 

 凡庸な脳みそをフル稼働させて考える。考えろ、今まで散々戦闘系のアニメを見てきたんだろ。知識はあるはずだ。

 

「この通りにワイヤートラップを仕掛けろ。ここは封鎖する、ナイトメアの配置は中央部に集中させる。縦深防御に徹する」

 

 ガルパンで大洗が大学選抜に仕掛けた戦術だ。相手をあえて進行させてるのを引き換えに敵の被害を増大させる戦術。

 

「では周辺地帯はトラップなどを張り巡らし数を減らす。撃ち漏らしはナイトメア隊で叩く。ランチャーなどの火力歩兵は建物の中からゲリラ戦を仕掛ける」

 

 障害物の多い都市部の戦闘では歩兵の火力はロボットには不利だ。それによって多くのMSが連邦軍に撃破されたか。

 

 問題は純血派の部隊だ。向こうが精鋭であるならばそれなりの備えが必要だ。

 

「なら、あの戦術が使えるか?」

 

 元々はとある超人を撃破するために巡らされた計だがそれを応用すれば。持ちうる限りの戦術を展開する白蛇とそれを地図にメモする部下。それを見ていたライもその作戦書を見る。

 

「それだとここに抜けられたらまずい。爆薬を仕掛けて通路を封鎖させたら」

 

「なるほど、遠隔操作式の爆薬を仕掛けよう」

 

 ライの的確な判断に舌を巻く薫だったがその意見も取り入れて中央部の防衛を磐石にしていく。

 

(戦術にも詳しい。やっぱり、フォウみたいな強化人間の類いなのか?)

 

 そんな時、裏の携帯がポケットの中で震えるのを知覚し慌てて出る。

 

「薫…」

 

「桐原公…」

 

 電話の主は桐原。突然の連絡にただでさえ慌てていた頭がさらに混乱する。

 

「報告は受けておる。どうするつもりだ?」

 

「もちろん、迎撃します。民間人の避難が最優先です」

 

 軍人になったつもりはないがこの街を守れるのは俺たちしかいない。なら、危険だから逃げるなんて事は決してできない。かなり過疎地域だがここには一万近くの日本人が暮らしている。

 人員が増えてきていたからと言っても300に満たない人員だ。真っ正面から戦って勝てるわけがない。

 

「すまないがそこは政庁に近すぎる。こちらからは手を出せん」

 

「必要ありません。我々で適切に対処いたします、この程度の危機など危機ではありません」

 

 あたりまえだがこれは完全なる嘘だ。余裕なんてものはない、でも桐原にこれ以上心配させたくなかった。

 

「お主の無事を祈っておるぞ」

 

「ありがとうございます」

 

「お前の作り上げた組織はこの日本に必要とされている組織だ。ワシらキョウトとしても事後対処は行う」

 

「桐原公…この恩は必ず」

 

「うむ…」

 

 電話越しだがブカブカと頭を下げて礼を言う。これほどまでにこちらを気にかけてくれるとは思わなかった。歳こそかなり離れているが裏の世界で一番気を許しているのは桐原なのかもしれない。

 

「薫、僕にもナイトメアを貸してほしい」

 

「おい、何を言っているんだ!?」

 

 電話を終えるとライは必死の形相で頼み込んでくる。それを見た伊丹が驚きながら止める。そらそうだ、誰か知らない奴にナイトメアという最高戦力を預けられるわけがない。

 

「あれは知っている。僕は乗れる…」

 

「ナイトメアにか?」

 

「うん」

 

 ライが強化人間ならばナイトメアに乗れることも納得がいく。むしろ、人知を越えた操縦技術を持っているかもしれない。だがナイトメアの数も有限だが。腕のいい兵士を起用しないのは勝率を下げることになるし。

 

「サザーランドにのれ。俺の直衛につけ」

 

「ありがとう!」

 

「白蛇様!?」

 

「すまん、伊丹。だがこいつは信用できる…信じてくれるな?」

 

「っ!いえ、貴女を私は信じ続けます!」

 

 殺し文句みたいになってしまったが仕方がない。最近、こう言った卑怯な言い方が上手くなってきた気がする。

 

ーー

 

 薫が到着してから突貫作業で防衛陣地の制作に徹していた。いつ敵が来るか分からない状況に恐怖を覚えながら作業を続ける。

 

「避難民の状況は?」

 

「全員が避難を始めていますが。完了しているのはまだ半分ほどです。一応、地下鉄構内に避難させていますが受け入れの車が足りず、何度も往復させています」

 

 こういう時、誰かが駄々をこねて逃げかねないものだが従順に従ってくれているようだ。

 

「武装は?」

 

「他のグループからもナイトメアで使えそうな武器を持ち寄ってくれましたが。めぼしいものはなく」

 

「仕方ない、向こうはナイトメアを持ってないんだ」

 

 工事用ナイトメアで使うようのピックや巨大な鉄板などあまり良いものとは言えないが他組織からの精一杯の誠意だ。無下にするわけにはいかない。

 

「白蛇様、ツァールから報告が…」

 

「来たか…」

 

ーーーー

 

 イバラキ基地から堂々と出撃していくナイトメアたち。その中には肩を赤く塗ったサザーランドたちがいた。

 

「ジェレミア卿、なぜこの様な作戦に参加なされるのですか?」

 

「クロヴィス殿下、直々の命令だ。それに久々の実戦、他の者たちを鍛えるのにも最適の狩り場だと思わないか?」

 

 文官たちは渋っていたがクロヴィス殿下は前から機嫌が悪く。頭角を表してきたイレブンたちを目障りに思ったのだろう。

 機嫌の悪さの根元は大事にしていた被検体を失ったことに起因しているだろう。

 

「確かに、そうですね」

 

「それにイレブン風情が付け上がるのも癪にさわる。今のうちに教育をしてやらねばならんだろう」

 

 ジェレミアは余裕の笑みを浮かべながら目の前に広がるイバラキゲットーを見るのだった。

 

 

 

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