アッシュフォード学園 某所
「これより神聖なる会議を始める」
「「「御意!」」」
真っ暗な部屋の中には仮面やら紙袋やらを被り、顔を隠している複数の生徒たちが真剣な眼差しで机に向き合ってきた。
「第一次から第五次聖女戦争より半年。我らはあまりにも多くの犠牲を払いすぎた。だが我らは団結し取り決めを行った」
「その通り、我ら三大派閥はより平和に聖女を語り合わなければならない」
「その通り、これも全て会長派閥のリヴァ…ではなく。ミスターRのお陰だ」
「やっぱり、話し合いが大切でしょ!」
会議の面子は男女問わずに多くの人間が参加。数多の激戦を潜り抜けた幹部たちがついに結んだ平和条約のお陰だ。
アッシュフォード学園には古くから存在する《元気と勢い健康系元気満タン!お祭り大好きミレイ・アッシュフォード派》が政権を握ってきたが今年になって新興派閥が二つも誕生した。
《病弱おしとやか系癒し美女、病弱な彼女に献身的に看病して欲しいカレン・シュタットフェルト派》
《これこそクール&ビューティー。趣味も好物、口調さえ男らしい、でもところどころに魅せられる優しさが心に染みるカオル・ヴィヨネット派》
「諸君、この季節がやって来た。我らの学校には天候関係なく使用できる屋内プールが存在する」
「くっ、カレンお嬢様はお体が弱く学校に来られていない!」
「では我らから行こう」
男の手から出てきたのは複数の写真。そこにはプール授業の際に隠し撮りされたカオルの写真が並んでいた。
「「「おぉ!」」」
「シルクのような美しい肌、穢れのない髪の毛。まさにこの世のヴィーナス。いや、彼女は単なる女神ではない!美と戦いの女神フレイヤ!」
「この筋肉、素晴らしい!」
「おぉ、プロフェッサー筋肉。分かるのか?」
「この肉体は無駄なく鍛えられている。その上、この美しい肌体型を崩さない程度に納めている。脂肪と筋肉の比率が完璧だ!」
「そして全てを達観したような無表情がさらに我らをかきたてる!」
「それだけじゃないわ!」
「ミスL!」
「この休憩の写真よ!」
それはカオルが休憩中に水筒の氷を噛み砕いてる場面だ。
「嘗めるのではなく噛み砕く。男らしい、こんなお姉さまに迫られたら私は瞬時に昇天してしまうわ」
「くっ、駄目だ!俺には会長を敬ってきた歴史がある!うごくな俺の心ぉ!」
「ふふっ、ならこれならどうだ?」
「こ、これは男女逆転パーティーの!」
男が取り出したのは一枚の写真。カオルは普段から男装をしているのでこの日だけは女装を命じられた。その時にミスターRがフィルムに納めた写真だ。
普段男装しかしない色気が抑えられている彼女が…。
「チャイナドレスだとぉぉぉぉぉぉ!」
「チャップレン!」
血反吐を吐き出しながら倒れるチャップレン。
「まだだ、我らのターンは始まっていない!」
「会長の男装はどうだぁぁぁぁ!」
「「「ぐわぁぁぁぁぁぁ!」」」
「カレンお嬢様だって。飼育部の飼っているウサギと戯れている写真だぁぁぁだ」
「「「ぐぉぉぉぉぉ!」」」
「まぁ、待ちなって。良い写真ならあるよ」
「なんだと?」
泥沼の戦場となろうとしていた会場だったがミスターRの言葉に全員が落ち着きを取り戻す。
「さぁ、見てらっしゃい寄ってらっしゃい!一枚だけの限定品!」
中身が分からない封筒。それを見せびらかすミスターRに会員たちが続く。
「1000!」
「2000!」
「いや、5000だぁ!」
一気に競り市場と貸した会場でウハウハのミスターRは競りを閉廷する。
「はい、終わり。7500円で落札だ!」
「よっしゃぁぁぁぁぁ!」
封筒を渡される落札者。それを全員が注意深げに見つめる。
「題名は《会長とカオルのツーショット。会長の膝枕を添えて》」
「「「「ぐわぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!」」」」
こうして第一次聖女会議が終わりを告げるのだった。
今日もアッシュフォードが平和である。