コードギアス 白蛇は勘違い   作:砂岩改(やや復活)

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猫だ、猫を探せ!俺の貞操のためにぁぁぁぁぁ!

 

 いつも通りのアッシュフォード学園の朝。だが今回だけは違った、朝のホームルーム。その時に誰もが予想しなかった人物が転校してきた。

 

「今日よりアッシュフォード学園に通うことになりました枢木スザクです」

 

 クロヴィス殿下を殺した枢木スザク。そのレッテルは重く、教室に居たもの全員が警戒するのは仕方のないことだった。

 ホームルーム後もスザクを取り囲むように教室のメンバーが彼の噂をする。クロヴィス殿下を殺したのはゼロだ。でも怪しかったから捕まった。

 

(全く、悪事千里を走ると言うけど。スザクは完全に被害者なのに…)

 

 ありもしないような噂が立ち上がり蔓延する。カオルはそんな陰口を耳に入れながら静かに立ち上がる。

 

「おい、カオル…」

 

「カオル?」

 

 スザクの元に真っ直ぐ歩いていくカオルを見て止めようとするリヴァルとそれを見つめるシャーリー。

 

「スザク」

 

「薫、駄目だよ来ちゃ…」

 

「ふざけるな。それは俺の勝手だ」

 

 小声で来るなと言うスザクを無視して隣の席に座るカオル。すると腕を首に回して拘束。ルルーシュに目伏せをして立ち上がらせる。

 

「行くぞ」

 

「ちょっと、薫!?」

 

 首に腕を回され動けないスザクは引きずられて行くようにして教室を後にする。それを見ていた一同はさらにあり得ない光景を目にして唖然とするのだった。

 

「もう、随分と強引だな。昔の君はどこに行ったんだい?」

 

「対してお前は随分大人しくなったな。あの頃の生意気な小僧はどこに行った?」

 

(あれ、俺ってスザクの幼少期を知らないはずなのに…何で言えたんだ?)

 

「七年もあるんだ。人は変わるさ」

 

「ルルーシュ、無事だったんだね」

 

「あぁ、お陰でな」

 

 校舎の屋上で合流した三人は幼馴染みとしての面を露にする。

 

「薫、君は七年もの間。どこで何をしていたんだい?」

 

「………」

 

 スザクの質問に俺は言葉を詰まらせる。残念ながら記憶などない、知らないことを話すことは不可能だ。

 

「無理をするな、薫。スザク、その事に関しては俺が説明する」

 

「ルルーシュが?…分かったよ」

 

「まぁ、とにかく…再会を祝おう。放課後にクラブハウスでな」

 

「あぁ」

 

「分かったよ」

 

ーーーー

 

「カオルって枢木スザクくんと友達だったの?」

 

「あぁ、幼馴染みというやつだ。俺は昔から日本に住んでいたからな」

 

「あ、そうなんだ。なんか意外」

 

「そうか?」

 

 お昼時間、一緒にランチをしていたシャーリーの言葉に薫は疑問を覚える。こちらとしては純日本人のつもりだったのでその反応は意外だった。

 

「カオルってかなりの美人だし、何となくだけどずっとブリタニアに住んでいたんたと思ってた」

 

「美人なのは否定しないが。俺はブリタニアの土を踏んだことはないぞ」

 

「へぇ…」

 

 全て本当のことだ、俺の記憶の範囲では。改めて思うと自分の過去の事を話したことがないな。というより話せないんだが。

 

「じゃあ、カオルって気持ち的には日本人って感じ?」

 

「そうだな、俺はブリタニア人だってあんまり考えたことはない。というより一切ない」

 

「そうなんだ…」

 

 ミレイはなにか腑に落ちたと言わんばかりの顔をしてそれ以降は話さなくなった。

 

「どうしたんだろ、会長?」

 

「分からん、なにか考え事があるんだろう」

 

 ミレイの事はかなり気になるがこっちもスザクの事で頭が一杯だ。とにかく放課後にならなければ話にならない。

 

ーーーー

 

 そして放課後、スザクはナナリーと感動的な再会を果たして現在に至る。

 

「あの頃の四人がやっと揃いましたね」

 

「そうだな、ナナリー」

 

「まさか、スザクとの再会がテレビ画面だとは思わなかったがな」

 

「もう、本当に大変だったんだよ」

 

 薫の言葉にむくれるスザク。そのやり取りを見て笑みをこぼすナナリーとルルーシュ。

 

 不思議な状況だ。片やブリタニア軍の新型を操るパイロット、片や一大レジスタンスグループのリーダー、片やクロヴィス殿下を殺した仮面の男、そして無垢な少女。

 そんな四人がテーブルを挟んで笑いあっている。いつ崩れるか分からない綱渡りの上に俺たちは今、立っている。

 

(無性に悲しくなってきた)

 

「薫…」

 

「どうした?」

 

「お前、泣いてるぞ…」

 

「え?」

 

 慌てて顔に手を当てると一筋の涙が俺の頬を伝っていた。

 

「あれ、なんで泣いてるんだ?」

 

 先程の悲しさでは涙を流すのは少しやり過ぎな気がする。自分でも理解できない。なんで泣いているのかが。

 

「カオルさん」

 

「なんだ?」

 

 するとナナリーに手招きされ歩み寄り、しゃがむと頭を撫でられた。

 

「悲しいときは人の体温が効くそうですよ」

 

「ナナリー…」

 

 ナナリーが眩しい!これはこの世の天使か!

 

 あぁ…とけりゅぅ…

 

 ワシワシされている犬のような気持ちでナナリーのナデナデを堪能する俺。うむ、素晴らしい!棚からぼたもちとは良くいったものだ。

 

「ありがとうな」

 

「いえ…私で良ければいつでも」

 

 久しぶりの絶対天使ナナリーに浄化されました。

 

ーーーー

 

 ナナリーに無事、浄化された俺は快眠し次の日の学校を迎えた。スザクには自分には近づかないようにと言われたが既に俺は手遅れだったので休み時間の合間に机にお邪魔している。

 

「もう、薫の評判が悪くなるだけだよ…」

 

「気にするな、評判なんて基本的に気にしない。それにずっとこのまま学校に通い続ける訳か?」

 

「うっ…」

 

「いい加減に諦めろ」

 

「ありがとう」

 

 うむ、素直になったスザクは可愛らしい。まるでワンコのようだ、コードキアスはワンコの成分の奴が多い気がするが気にしない。

 

 放課後、クラスメイトが少ない教室で談笑していると放送が校内に鳴り響く。

 

「猫だ!」

 

「は?」

 

「え、なに?」

 

「校内を逃走中の猫を探しなさい!部活は一時中断、協力してくれた部活は予算を優遇します!」

 

「ミレイがなにか始めたな」

 

「え、こんなことあるの?この学校」

 

「たまにな」

 

 ミレイの突発イベント開催にヤレヤレと方をすくめる薫だったが次の瞬間、彼女の目の色が変わる。

 

「そして、猫を捕まえた人はスーパーなラッキーチャンス。生徒会メンバーからキッスのプレゼントだ!」

 

「生徒会って…俺も含まれてるのか!?」

 

「「「そうですよね!」」」

 

「「うわぁ!」」

 

 教室の掃除ロッカー、教卓の裏、廊下、外の窓から大量の人間が出現し一瞬で薫を取り囲む。というか、ここは二階だぞ。

 

「生徒会の風紀委員ですし」

 

「あぁ、お姉さまの唇!」

 

「手の甲とかにキスしてお姉さまぁぁぁ!」

 

「え、場所って指定可能!?」

 

 何故か女子の比率が多い気がするが。おいそこ、スカートなのに二階の窓の縁から顔出してるんじゃねぇ。

 

「ということは…」

 

「これって相当不味いんじゃ…」

 

「スザク、分かっているさ」

 

「「「いくぞぉぉぉぉぉぉぉ!!」」」

 

 一斉に動き出す一同。それと同時に薫も慌てて立ち上がる。さすがにマウストゥーマウスはキツい!

 

「薫、捕まって!」

 

「え、なに!?」

 

 廊下を駆け抜けようとした薫だったがスザクに抱き抱えられお姫様抱っこをされると二階の窓から飛び降りる。

 

(ぎゃぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!)

 

 内臓が浮くような感覚に内心絶叫しながらスザクにしっかりしがみつく。

 

(てか、この話、俺は知らないぞ!) 

 

「スザク、見つけたら俺に連絡しろ!」

 

 無事に着地するとスザクから解放される、我に帰った薫はすぐに走りだし猫を探すのだった。

 

「生徒会メンバーってことはルルーシュくんもOK?」

 

「キャー!」

 

「私ミレイさんがいいな」

 

「こんなところでカミングアウトしないで…」

 

「「「ファイトー!」」」

 

「マタタビだ!マタタビを探せ!」

 

「機動力なら馬術部の右に出るものは居ない!」

 

「カオルさんのキスは我らの共有財産だぁぁぁ!」

 

「科学の力に限界はないのだぁぁ!」

 

 上品な学校を保っていたアッシュフォード学園、校内は様々な者たちの欲望を駆り立て阿鼻叫喚の地獄と化す。

 

「我ら3同盟の結束の時がきたぁ!皆で推しのキスをいただくのだぁ!」

 

「「「うぉぉぉぉぉ!」」」

 

《元気と勢い健康系元気満タン!お祭り大好きミレイ・アッシュフォード派》 

 

 《病弱おしとやか系癒し美女、病弱な彼女に献身的に看病して欲しいカレン・シュタットフェルト派》 

 

 《これこそクール&ビューティー。趣味も好物、口調さえ男らしい、でもところどころに魅せられる優しさが心に染みるカオル・ヴィヨネット派》

 

 影の3同盟も雄叫びをあげながら猫捕獲作戦に全戦力を投入する。

 

「ニャー」

 

「うぉぉぉぉぉ!」

 

 それに加え、ナナリーの猫真似により男子諸君はさらに興奮する。

 

(ヒャッハー!)

 

 その声には当然ながら薫も興奮していたのは本人しか知らなかった。

 

ーーーー

 

「くそっ、どこだ…。女はまだ良いが男とファーストキスなんて嫌だぞ…」

 

 これだけ追い回されているんだ人気の少ないところに移動しようとするはず。少し校舎から離れた時計塔まで来てみたがどうしたものか。

 

「カオル!」

 

「ルルーシュ、大丈夫か?」

 

 すると息を切らしたルルーシュが登場。彼も相当焦っているようだ。

 

「猫はどこだ?」

 

「それを俺も探してるんだよ」

 

「ニャー」

 

 すると時計塔の中から猫の鳴き声が鳴り響く。

 

「そうか、猫は上だね」

 

「おう、スザク。お前も来てたのか」

 

「何となくね」

 

 スザクみたいな脳筋タイプは直感も物凄く働く。その勘でここまでたどり着いたんだろう。

 

「スザク、カオル。お前たちは帰れ!」

 

「でも生徒会長さんが捕まえろって!」

 

「いいから帰れ。猫は俺が!」

 

「そこまでキスが欲しいのか?」

 

「バカ、違う!」

 

 薫の言葉に顔を赤くしたルルーシュが必死の形相で追いかけてくる。体力面で言えば、スザク、薫、ルルーシュの順番なので必然とそう言う順番で階段を駆け上がる。

 

「運動は僕たちに任せて。前に小鳥が逃げた時だって」

 

「古い話を持ち出すな!」

 

「たった7年前だよ!」

 

「全く、相変わらずの体力バカが!」

 

 二人のやり取りを聞いているとやっぱり幼馴染みなんだと気づかされる。だが俺にはその頃の記憶なんてない。だからこそ、余計に悲しくなった。

 

「大丈夫、怖くないから」

 

「スザク、よせ」

 

「大丈夫、まかせて」

 

「ルルーシュ、無理をするな」

 

 屋根によじ登って確保しようとするスザクを止めようとするルルーシュ。なにか必死な様子で何事かと疑うが走り回ってクタクタのルルーシュにはこの足場が不安定な場所は危険すぎた。

 

「大丈夫だ薫。この程度、俺にだって…っ!」

 

「ルルーシュ!」

 

 案の定、落ちてしまったルルーシュの腕を掴む薫だが彼女自身も身を半分乗り出していたので一緒に落ちてしまう。

 

「やばっ!」

 

「薫!」

 

 足をスザクに捕まれた薫は上下逆さまになりながらもルルーシュの手を離さない。

 

「薫、手を離せ。このままだと死ぬぞ!」

 

「バカ、お前が一番、死んだらダメな奴だろうに!」

 

 気がつけば下には観衆が集まり、三人を見守っている。これで薫がスカートだったら様々な方面に物凄い被害が出ていたが彼女は男装をしているためにその悲劇?は防がれた。

 

「スザク、俺の足をどこかに引っ掛けろ。なんとかする」

 

「分かった!」

 

 足を引っ掛けられる場所に取りつくと体を固定。その隙にスザクがルルーシュを回収する。

 

「なんとかなったな…」

 

 一息ついて安心する薫。スザクは先に猫を回収して降りていくとルルーシュはなにかやるからとまた屋根に登っていった。懲りないやつだ。

 

「ルルーシュのポエムが」

 

「そういうことですか、会長」

 

「あぁあ~せっかく弱みを握れると思ったのに」

 

「ルルって格好付けだから」

 

「全く、個人の興味に学園を巻き込むなよ」

 

 ルルーシュの恥ずかしい何かを手にいれたいというくだらない理由でのこの騒動。流石に呆れるがそれが彼女らしい。

 

「ねぇ…2人って知り合いなの?」

 

「だって…イレブンと……」

 

 するとニーナが一言、こぼす。

 

「あっ…」

 

「……いや、僕は…」

 

 必死に言い訳をしようとするスザクだったが

 

「友達だよ。会長、こいつを生徒会に入れてやってくれないか?うちの学校は必ずどこかのクラブに入らなくちゃならない。でも…」

 

 ルルーシュは迷わず答える。イレブンがなんだ、スザクはスザクだ。ルルーシュや薫にとってそれは変わらない事実である。

 薫も直接の思いでこそないが彼が優しい人物だというのは良く分かった。それだけでいい。

 

「副会長の頼みじゃ、しょうがないわね」

 

「これで一件落着ですね。皆さんお耳を」

 

 ナナリーに呼ばれた三人は彼女に顔を近づけると頬にキスをされる。

 

「ナナリー?」

 

(ほわぁがぁぁぁぁだ!?)

 

「ミレイさんが公約したご褒美です。お三人ですから半人前の私で我慢してくださいね。余分の半人分はお兄様を助けてもらったお礼です」

 

 思わずピョンピョンしそうになる薫だがギリギリのところで理性が働きピョンピョンを阻止する。

 思わず笑みを浮かべるルルーシュとスザクを横目で見て薫もホッコリするのだった。

 

 

 

 

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