クロヴィスの追悼式典。全てのブリタニア領土に宣伝された放送に全員が見つめる。
「人は平等ではない。生まれつき足の速い者、美しい者、親が貧しい者、病弱な身体を持つ者。生まれも育ちも才能も、人間はみな違っておるのだ。」
「これが、僕たちの敵ですか…」
「そうです。白蛇さまの障害となる者たちです」
「相変わらず壮大だな。ブリタニアは…」
ウラヤスゲットー、白蛇本部。そこで放送を見ていたライ、ジェシカ、伊丹たちはブリタニア皇帝シャルルの演説を見ながらも睨み付ける。こいつが全ての元凶、許せるはずがない。
「そう、人は差別されるためにある。だからこそ人は争い、競い合い、そこに進歩が生まれる。」
(極論だな。でも俺は認めない、強者が弱者を食い尽くすのが人間の本質ならただの動物と変わらない。人はただの動物より理性的に生きなければ…)
アッシュフォード学園の講堂で画面を見つめる薫は大画面に表示される敵に反感をもって見つめる。
「不平等は悪ではない。平等こそが悪なのだ。
権利を平等にしたEUはどうだ?人気取りの衆愚政治に堕しておる。富を平等にした中華連邦は怠け者ばかり。だが、我がブリタニアはそうではない。争い競い、常に進化を続けておる。」
「それが人間の本質。どうしようもないなら、強者が弱者を導いてやるしかないだろうに」
飛行機のテレビ画面で演説を見つめる青年。薫に瓜二つの青年、彼は凶悪な表情を浮かべながら笑う。
「ブリタニアだけが前へ、未来へと進んでいるのだ。
我が息子クロヴィスの死も、ブリタニアが進化を続けているという証。戦うのだ!競い、奪い、獲得し、支配する。その果てに未来がある!!オール・ハイル・ブリタニア!!!!」
「「「オール・ハイル・ブリタニア!」」」
シャルル・ジ・ブリタニアの演説と共に叫ばれる大合唱。それを見ながら薫たちは覚悟を改める。世界の3分の2を占めるブリタニア、その強大さに。
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ウラヤスゲットー。そこに駆けつけていた薫にジェシカが貯まっていた業務について話す。
「白蛇さま。コーネリア軍に潰されたサムライの血の生き残りから配下に入れて欲しいと打電が」
「断る理由などない。受け入れてやれ」
「分かりました」
クロヴィスに代わりエリア11の総督になったコーネリアは破竹の勢いでレジスタンスグループを壊滅させていく。ブリタニア軍の中でもトップクラスの練度を誇るコーネリアの軍隊は中部最大グループである《サムライの血》を簡単に壊滅させた。
「ナイトメアを持っていなかったとはいえ、現状における最大勢力の一つが潰されるか」
「我々の存在がバレればその矛先がいつこちらを向くか…」
「コーネリア・リ・ブリタニアか…」
圧倒的な武力を誇る彼女に対抗するにはやはり、ルルーシュの力がいるか…。
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「いやぁ、流石ですね。コーネリア総督」
「ヴィヨネット卿、私は着任したばかりで忙しいのだ。無駄話は止めてもらおう」
エリア11の政庁。その総督室には部屋の主であるコーネリアと客人であるヴィヨネットがいた。
「日本の2柱であるレジスタンスグループ、サムライの血を挨拶代わりに潰すなんて。…あ、皇帝陛下のご命令でしばらくの間。このエリア11でお世話になります」
「そっちが本命だろうが。おまけみたいにいうな」
「すいません」
藤色のマントをはためかせた彼はご機嫌だ。そんな彼とコーネリアが話をしていると部屋に訪れたユーフェミアが声をあげる。
「あら、シュン!」
「ユーフェミア、久しぶりだな」
「本当にお久しぶりです。来ていたなら連絡ぐらい」
「なにせ急な命令だったもんでね」
ナイトオブラウンズの13番目。シュン・ヴィヨネット卿は満面の笑みでユーフェミアを迎える。それをコーネリアは面白くなさそうに見ていたがそこは置いとく。
「しかし解せんなヴィヨネット卿。貴様はシュナイゼル兄様とEUを相手取っていたのではないのか?」
「そうですけど、ナイトオブラウンズの中で一番、身軽なのは俺ですからね。白羽の矢が立ったんですよ。それに、ちょっと気になることがありましてね」
「ん?」
「ゼロとか言うテロリスト。矛を交えばかなりの逸品かと」
「相変わらずの戦闘狂だな」
「お褒めいただき光栄のいたりです」
薫と瓜二つの顔であったが唯一違うのは眼。燃え盛る炎のような真っ赤な瞳を持つシュン・ヴィヨネットは狂暴な笑みを浮かべて笑うのだった。
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「ふぅ…やっと着いた」
コーネリアの元を後にしたシュンはアッシュフォード学園の向かい側にある大学に足を運んでいた。
「ロイドさん。来ましたよ」
「ヴ、ヴィヨネット卿。なぜここに?」
「セシルさん。いや、ロイドさんには話してあるんだけど?」
「ロイドさん。私聞いてませんよ?」
「え、言ってなかったけ。それより、良く来たね」
特別派遣嚮導技術部。シュナイゼル殿下貴下のブリタニア屈指の技術力を誇る技術チーム。シュナイゼルと懇意にしている彼はロイドたちとは見知った仲だった。
「皇帝陛下直属のナイトオブラウンズを呼び出すなんて…」
「良いんですよ。俺が頼んでる立場なんで」
「まぁ、君はスザク君とは違った扱い方だから興味深いよね」
相変わらずハイテンションであるロイドを相手にしながら彼は幕を被った機体を見つめる。これを見る限り、まだ未完成のようだがある程度形にはなっているようだ。
「ヴィヨネット卿が提供してくれたグロースターをベースに改造を施しました。ですが、予算の都合上、ランスロットほどの出力は得られませんでした。申し訳ありません」
「いえ、スザクくんの方が適正が高いんだから仕方ないよ。それに高スペック過ぎると戦闘が味気なくなるだろ?」
「相変わらずイカれてるねぇ」
「お互い様でしょう?」
彼のマントの色に合わせた藤色のランスロット・クラブ。それを見た彼は満足そうにしていた。
「サイタマゲットーには間に合わなくて良いんですよ。その代わり、次に大きい作戦があるんでそこには参加します」
「分かりました。それまでにはなんとか手配を」
「ありがとうございます」
用件を伝え、大学を後にするシュンは帰り道にアッシュフォード学園を静かに見つめる。
「さて、原作通りの世界なら問題ないんだけどねぇ」