「白蛇さま!?」
「分かっている。コーネリアめ、まさかサイタマゲットーを狙ってくるとはな!」
ブリタニア軍の中でも屈指の軍事力を誇るコーネリア軍。彼女は事もあろうにサイタマゲットーの壊滅作戦をマスコミに報道させ大々的に作戦を公開した。
「白蛇さま、これにはどういう目的があるのでしょうか?」
「たぶん、ゼロに挑戦状を叩きつけてるんだ。クロヴィスが殺されたシンジュクゲットーを再現して向かって見せろと挑発してるんだよ」
「だろうな。そしてゼロは必ず現れる」
サイタマゲットーのテロリストグループとは交流がある。当然ながら救援要請を出してきたが向こうが完全に包囲していてナイトメアを潜り込ませるだけの隙がない。
「人的支援だけで止めるしかない、避難民を地下鉄を使って救出する。俺も直接指揮を執る、集められるだけの移動手段を揃えろ」
「「了解!」」
(ルルーシュの性格なら出てきてしまう。ブリタニアの皇族に嘗められたと憤慨するだろうな)
ルルーシュの性格は知っている、一年間も共に過ごしたのだ。だからこそ、これは確信だ。アイツは絶対にサイタマに現れる。
(なんだ、この嫌な感触は…)
ザワザワするような変な感覚、それを拭うことが出来ない薫は冷や汗をかいていた。
「俺は、お前に会うまでずっと死んでいた。無力な屍の癖に、生きているって嘘をついて…何もしない人生なんてただ生きているだけの命なんて緩やかな死と同じだ。また昔みたいになるくらいなら…」
その頃、ルルーシュはクラブハウスの私室で自身の頭に銃口を突きつけていた。
「待て!」
「ん。」
「確かに意味は無いな。そんな命。」
対峙していたC.Cは静かに銃を下ろすとルルーシュを見直す。
「気を付けろ。今回は今までとは違う、敵はブリタニアだけではないのだからな」
「分かっている。俺は白蛇とかいう奴の手の上で躍り続けている。だが俺は人形ではない。奴に思い知らせてやる俺がどのような存在なのかを」
ーーーー
「何故です!ここには子供も老人だっている。我々はなにもしていないのに!」
「だからこそだ。貴様たちはここに反ブリタニア組織が居たのを知りながら庇い、隠した。これは明確なブリタニアに対する反逆行為だ!」
サイタマゲットーの管理者たちは一列に並べられブリタニア軍に銃口を向けられている。絶体絶命、責任者は涙を流しながらこれからはじまる悲劇を悔いる。
「なるほど、黙っていたから殺すか。随分と器量のない国だなブリタニアは」
「なに?」
歩兵の隊長が声の主に振り向く。そこには蛇のお面をした女性が静かに立ち、リボルバーを構えていた。
「ブリタニアのくそ野郎が!」
「っ!」
「隊長!」
至近距離で放たれた銃弾は脳天を貫き隊長を絶命させる。それと同時に全方向から銃弾を浴びせられ部隊が全滅する。
「白蛇さま!」
「地下水路に脱出路を確保した。早く住民を避難させろ」
「ありがとうございます!」
サイタマゲットーの管理者は深々と礼をしながら去っていく。
「ナイトメアは相手にするな。出来る限りの住民を避難させるんだ!」
「「「了解!」」」
ーーーー
「なに?そうか…分かった」
「どうした?ダールトン」
サイタマゲットー外縁に布陣しているG-1ベースにて報告を聞いていたダールトンの表情は険しいものだった。
「管理者の掃除の件ですが。失敗したようです」
「ほう、テロリストどもがもう動き始めたか?」
「いえ、随分と手練れのようでして一瞬にして部隊が全滅したそうです」
「なに?」
歩兵とてコーネリアの部下に素人などいない。エリア18を平定した猛者たちばかりだ。それを一瞬のうちに掃除されるとは、ただのテロリストではないだろう。
「どうやら、変なネズミが紛れ込んだようです」
「想定外の部隊が潜伏している可能性があります」
ギルフォードとダールトンの言葉は注意せよと言う警告だ。そんなことは分かっている。だがこれはゼロを誘き寄せるための罠、想定外の敵がいようと捩じ伏せるのみ。
「作戦は続行する。そのネズミもろとも焼き払え」
「イエス・ユア・ハイネス」
こうしてコーネリアのサイタマゲットー壊滅作戦が決行された。
ーーーー
「外環はだめだ!」
「埼京線は突破できないか!」
「装甲列車が塞いでいて…。」
「農道も使えない。」
「援軍は?」
「白蛇さまたちが。今、住民の避難をしてくれてる。それまで時間を稼がなきゃ!」
サイタマゲットーのテロリストグループであるヤマト同盟はひとまず住民たちの安全に安堵しながらもコーネリアに対して時間を稼がなきゃならないことに焦っていた。
「イズミさん!」
「どうだった、戸田や川口方面は?」
「それよりコレ!」
「私はゼロ!」
「ゼロ?」
「ゼロってあの…?」
「シンジュク事変の事は聞いているはずだ。私に従え。そうすれば助けてやる。」
突然、湧いてきた好機。これを逃す手はなかった。
ーーーー
「確保できるだけ確保しましたが。ここいらが限界です」
「逃がせたのが100人ほどか。0よりはマシだろうな」
「白蛇、これ!」
伊丹の報告を聞いていた薫だったがライの慌てた様子に気が向く。彼はヤマト同盟たちの無線機を片手に音声を最大まで上げた。
「P6、P8、どうした!B7、N4のカバーに回れ!」
「こちらB7別の獲物を見つけた。先にこっちをやる!」
「違う、そいつは囮だ!B7命令に従え!」
「何言ってんだい!ここでやらなきゃ…」
「下がれ、上から来る。B7!」
「うわぁぁぁぁぁ!」
「バカが!B8そちらから状況の報告をしろ!」
明らかに不利に陥っているヤマト同盟。というより、これでは指揮系統が目茶苦茶で戦略どころではない。
(嘘だろ。ルルーシュが負けるなんて…)
いや、これはルルーシュの問題ではない。ルルーシュを最後まで信用しきれなかったヤマト同盟に問題がある。だがそんなことが言い訳になるとは思えないが。
「全員撤退だ。これ以上は全滅する」
薫の言葉に素早く反応する一同。薫たちもそれぞれバラバラのルートを使って撤退する。ルルーシュの事は気になるが巻き添えはごめんだ。
ーー
「不味いな…一個早く曲がっちゃった」
それぞれバラバラのルートで撤退した白蛇たちだが肝心の薫は道を間違え複雑な地下水路で迷子になってしまった。
「条件が同じならば、負けはしなかった!」
「条件をそろえるのも実力のうちだ…」
「だったら揃えてやるさ!ブリタニアに負けない、オレの軍を!人を、国を!!」
水路に響き渡る声。これは間違いなくルルーシュの声だ、そして相手はC.Cだろうか。というか、こんなシーンは知らない。やっぱり原作アニメは予習しておくんだった。
(やっぱり、苛立ってるなぁ…)
「っ!誰だ!」
激おこプンプン丸のルルーシュを影から観察しているとC.Cがこちらに素早く反応し仮面を被る。対してルルーシュも急いでヘルメットを被り顔を隠す。
(やばっ、バレたか…)
ここで逃げるのも手だが道も分からない場所で鬼ごっこをしても殺される可能性が高い。なら、堂々と出るしかないか。
「誰だとはご挨拶だな。ずっとお前を見守って居たんだよゼロ…」
「貴様が白蛇か!」
「そうだ。以後、お見知りおきをゼロ。俺がこの関東一帯を支配下に置くテロリスト。白蛇だ」