黒の騎士団の宣言からしばらくした後。黒の騎士団は義賊として法では裁けない悪を一方的に罰していった。その気運もあってテロリストたちも活発化を果たしていた。
「まさか片瀬少将に呼ばれるとはな」
「やっぱり草壁中佐の事かな?」
「たぶんな」
カワグチ湖コンベンションセンターでの出来事は俺の方も被害者なので呼び出される謂れはないのだが仕方がない。せっかく、日本解放戦線から本部に招待されたのだ。行かないわけにはいかない。
「でもなんでうちの主力を全員連れてきたの?」
「いや、やな予感がするんだよ…」
薫たち一行は大型トレーラー四台編成でうちの主力ナイトメア、人員を全員根こそぎ連れてきたのだ。確か、コーネリア軍が日本解放戦線を倒すために軍事行動を行うはずだ。いつかは知らないが。
もしもの時は俺たちだけでブリタニア軍を突破しなければならないかもしれない。そのための戦力を連れてきたのだ。
「薫の言うことなら信じるけどね」
トレーラーを運転していたライは助手席で休む薫を横目にナリタ連山に向かうのだった。
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「ん、なんだ?」
ナリタ連山の山荘に訪れていたゼロは山の中に入っていく大型トレーラーを確認していた。山荘に置いてあった資料を見ると白蛇と記してある項目を見つける。
「白蛇…お前もここにいるのか。まさか、ブリタニアの動きを把握してここに…」
やつらの戦闘能力がどれ程のものかは知らないがイレギュラーが発生する可能性もある。
「不穏要素は早めに排除しておかねばな…」
これもスザクやナナリー、薫のためだ。日本解放戦線や白蛇たちは味方などと思っていない。駒として使えるのは黒の騎士団のみ、他はこちらを生かすための存在でしかないのだから。
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「操縦はマニュアル通りです」
「おけ、ありがとうセシルさん」
ナリタ連山外縁、そこには待機しているコーネリアの旗艦G-1ベース。その脇には特派のトレーラーが止まっておりランスロット・クラブの説明を行っていた。
「僕たちは命令系統が違うからねぇ。ランスロットが出せないかもしれないからちゃんとクラブで取ってきてね!」
「了解です。ロイドさん」
ナイトオブラウンズのシュンはクラブを受けとると作戦内容を記した書類に目を通す。ダールトンの部隊に混じっての進撃となるが何も問題はない。
「本当にランスロットがもう一機あったんですね」
「そうよ。まぁ、これはグロースターの改造機だから純粋なランスロットじゃないんだけど」
もう一機のランスロットの存在にやや驚くスザク。そんな彼を見つけたシュンは笑顔で彼に近づく。
「おぉ、君がスザクくんか!」
「はっ、枢木スザク准尉です!」
「遊びに行っても中々いないから本当にいるかと心配したよ!」
「すいません、普段は学校に行っているもので…」
「まぁ、気にするな」
(薫に似ている…)
やけにフレンドリーに接してくるシュンを見たスザクは彼の顔に驚く。多少の顔立ちの違いこそあるがほとんど薫にそっくりだったからだ。
「あの、佐脇薫って人を知っていますか?」
「えっ…。その名前をどこで…」
「ヴィヨネット卿、もうすぐ作戦時間だ。ナンバーズと馴れ合う前に配置につけ!」
「ちっ…」
明らかに食い付きが違ったシュンだがコーネリアからの通信を貰うと渋々クラブに乗り込む。
「スザクくん、その話はまた後にしよう」
「あ、はい」
こうしてランスロット・クラブがダールトン隊に組み込まれたことで全軍の配置が完了する。
「総督、時間です」
「よし、作戦開始!」
それと同時にコーネリアの時の声でブリタニア軍が進軍を開始する。
「日本解放戦線、刻に取り残されし者どもが…自愛を忘れた者どもが…今こそ、まほろばの夢と共に朽ちて消え逝け…」
こうしてナリタ連山攻略作戦を開始するのだった。
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その少し前、薫たちは日本解放戦線の首魁である片瀬少将と面会をしていた。
「よく来てくれた。君たちの活躍は聞いているよ」
「ご招待いただきありがとうございます」
「藤堂も会いたがっておったのだがキョウトに新型を取りに行っていてな。今は居らんのだ…」
「今なんと?」
挨拶を済ませ話に進もうとする片瀬の言葉を遮り、薫は聞き直す。今、藤堂が新型を取りに行っていて居ないと言っていた。新型とは無頼改で間違いないと言うことは映画で見た場面と同じではないか!
「片瀬少将、失礼ながら進言します」
「どうしたのだ?」
白蛇の突然の行動に控えていた将校たちは身構えるがそんなことは気にしない。
「コーネリアを主力とする部隊がこのナリタ連山を落とすために軍を進撃させています。すぐに脱出の準備を!」
「馬鹿言え!このナリタ連山は我らが日本解放戦線の本部、例えコーネリアと言えど容易く手が出せる場所ではないわ!」
そばに控えていた将校の怒声に怯むことなく片瀬を見つめる白蛇。
「もしそれが本当なら一大事だな…」
「片瀬少将!」
「片瀬少将、緊急事態です!ブリタニア軍が!」
白蛇の意見に耳を傾けようとした片瀬を諌めようと将校が声を出した瞬間。客間に兵が駆け込み事態を告げる。時は既に遅く、ブリタニア軍は動き始めていた。
「敵襲だと!?」
「はっ、ブリタニア軍はこのナリタ連山を包囲しています。その数、およそ100以上!」
ナイトメア一個小隊が4機だと計算して約一個連隊ほどか…。それにしても大部隊だ。コーネリアの手持ちの部隊を総動員していると推測される。
「我々は完全に包囲されました。地下協力員も一斉に逮捕されたようです!」
「片瀬少将、コーネリア軍から投降せよという連絡が入っておりますが…」
「馬鹿め、ここで降ったら日本の抵抗活動はおしまいだ!」
「では少将、撃って出ますか?それとも籠城策を…」
「藤堂は、藤堂はどうした?」
「いまだにキョウトより帰投しておりません。四聖剣も行動を共にしています。予定ではもうそろそろ着くはずですが」
「藤堂は間に合わん。無頼、出撃準備!敵の包囲網を突破し脱出する!日本の誇りと意地をかけよ、回天の時である!」
「片瀬少将、我々も出ます」
一通りの指示を出し終えたのを確認すると白蛇は片瀬に進言する。すると嬉しそうに振り返ってくる。
「おぉ、助かる。田端少佐の部隊と共に出てくれ、そこが我らの本命だ」
「仰せのままに…」
片瀬から許可を貰うとそのまま司令部を後にする。そばに控えていたライは歩きながら耳打ちをする。
「なんで、もう少し状況を見て出ないの?」
「日本解放戦線と心中する気なんてさらさらない。俺たちは俺たちのタイミングで逃げるさ。最低限の義理だけ果たしたらな」
「なるほど、了解」
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「各機、深追いは禁物だ。敵はコーネリアの精鋭たち、油断すればしぬぞ」
「「了解!」」
白蛇の持ってきたトレーラーから顔を出したのは白蛇専用機、白夜叉。ライの月下、伊丹の白号、ジェシカたちの無頼改。
「流石は白蛇さまだ。まさか、ブリタニア軍の動きを察知していたとは」
「それをも想定しての我ら、この信頼に応えずして何が部下でしょう」
機体を起動させながら白蛇を誉める伊丹とジェシカ。白蛇グループの共通回線を使っているので本人にも聞こえているのだが…。
(ヨイショするなら密かにやってくれよな…)
本人はとても恥ずかしかった。
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「我らは貴様らを信用している訳じゃない。それを忘れるなよ」
「それで結構、我らは独自行動を取らせて貰うからな」
格納庫から山の表面に上がるためのエレベーターでは白蛇たち以外に田端少佐率いる部隊も運ばれていた。田端はこちらを敵視しているがこっちはそんなこと関係ない。
「なに?」
「身内同士でいがみ合うより先にやることがあるのでは?」
「貴様…」
そう言っていると表面に到着し下を見るとブリタニア軍がわんさかと湧いてこちらに進軍してくるのが見える。
日本解放戦線が次々と進撃していく中、白蛇は山荘前に陣を敷いてそのまま動かない。
「重いなぁ…」
薫は白夜叉の機体重量と背面に装備してあった十字剣を取り、呟く。現時点ではナイトメアが持つ剣の中で最高硬度を誇るらしいがとにかく重いのだ。
(まぁ、機体は操れないことはないが…)
「白蛇様、敵です!」
「ほう、ここがゴールだというのに随分と速いじゃないか」
目の前にはバズーカーなどの高い火力を誇る武装をしたグロースター。その中に紫色のランスロットの姿が見える。
(嘘だろ、ランスロット?いや、よく見れば形状が微妙に違う、でもランスロット?なんでそんな機体がここに?)
映画ではもっと後からヒーローっぽく登場するはずだ。
(本当にランスロットか?)
信じれないと言うより信じたくなかった薫はよく見るために機体を前に進めると地面から変な音がした。
ピシッ…。
(ん?)
その瞬間、地面が少し崩れバランスを崩した白夜叉はそのまま脚を滑らしながら斜面を降っていく。
(ほわぁぉあぁぁぁ!)
「各機、白蛇様に続け!」
「「おぉぉぉぉぉ!」」
白蛇の前進を皮切りにライたちも出撃、山頂に進軍していたダールトン隊と激突するのだった。
ーー
(もうなんともなれ!)
滑り落ちた先に居たのはダールトンのグロースター。ダールトンは他の機体からランスを受けとると白蛇が振るった十字剣を受けるが機体重量と勢いの差でグロースターが吹き飛ばされる。
「ライ!」
「分かってるよ!」
すると側面から紫色のランスロットがMVSを起動させながら突っ込んでくるがすぐ側にいたライの月下が回転刃刀で受け流すと左手の輻射波動で掴もうとするが逃げられる。
「僕はこの新型を相手する。白蛇を頼む!」
「白蛇様を援護しろ!」
「「了解!」」
(くそっ、敵のど真ん中に来ちまった!)
白蛇は目の前のグロースターのバズーカ弾をシールドで受けると左手で頭部を掴むと逃げられなくして十字剣をコックピットに突き刺す。
コーネリアの精鋭と言えどまだ対処できる。そう踏んだ白蛇は腰についたスラッシュハーケンでその後方にいたサザーランドを破壊する。
(よし、まだ戦える!)
混戦となった戦いは乱れ熾烈を極める。白蛇がダールトン機と戦っていると突然、山が揺れる。
「なに、地震か!?」
「こんなときに!」
「白蛇さま!」
異変に気づいた伊丹が山頂を指差す。その先には巨大な山崩れによって発生した濁流がこちらに襲ってくる光景。
(しまった、これを忘れてた!)
「総員、左に退避!急げ!」
ダールトンとの戦いを中断して逃げる白蛇たち。それはダールトンたちも同じで逃げに徹する。
「くそっ、ルルーシュめ!」
今回ばかりは彼を恨まずには居られない。だが鈍足の白夜叉では逃げ切れない。
「まずっ!?」
「白蛇さまぁ!」
こんな場面ですが正月に入るのでしばらくお休みします。