コードギアス 白蛇は勘違い   作:砂岩改(やや復活)

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ナリタ連山攻防戦 Ⅲ

「くっ、各機。ポイント9に進撃する遅れるなよ!」

 

「ゼロ、白蛇は!?」

 

「行くぞ!」

 

 こちらに絡まれても厄介だと判断したルルーシュは即座にコーネリア討伐に向かう。それを黙って見送った薫は伊丹たちの方へ振り替える。

 

「伊丹、お前は侍女隊を連れて退路を作れ」

 

「はっ!」

 

「ライ、俺と来い。俺たちはコーネリアを潰す」

 

「分かった!」

 

 ランドスピナーで加速した月下を薫が追う形で二人は山頂に登る。すでに戦況もかなり終盤に差し掛かっているのだった。

 

ーーーー

 

(この戦力なら…)

 

 紅蓮と月下、白夜叉の3機がいればランスロットを排除しコーネリアを捕縛できる。

 

「白蛇、よこ!」

 

「っ!」

 

 森の奥から出現したのは紫のランスロット。二振りの剣を構えて突撃してくるが薫も十字剣で受け流す。

 

「来たな、知らないランスロット!」

 

「お前は何者だ!白蛇!?」

 

「邪魔するなぁ!」

 

「弾かれた!?」

 

 MVSを真っ正面から受け止め弾く堅牢なシールドを目の前にして舌を巻く。まさかこんなナイトメアが存在していたとは。

 

「スザク並みに強いぞ、こいつ!?」

 

「白蛇、僕に任せて!」

 

 バルカンとヴィレッタから奪ったライフルで牽制をしつつ後退する薫をカバーするように月下が前に出る。

 

「また月下かよ」

 

 回転刃刀と輻射波動のコンボに猛襲されるがそれをすべていなして距離を置く。

 

「化けもんかよコイツ!」

 

 シュンが一瞬怯んだ瞬間に薫のスラッシュハーケンが左のMVSを弾く。

 

「くそっ、イレギュラーどもめ!」

 

 ブレイズルミナスで輻射波動を抑え込むとピッケルを持った白夜叉が距離を詰めてくる。先に潰すなら白夜叉の方だと判断したシュンはハーケンを撃ち込むがシールドにいなされる。

 

「白蛇!」

 

「距離を詰める、援護を!」

 

 近距離のハーケンを対処するのは通常では不可能だ。それをやり遂げてしまう薫も尋常ならざるパイロットに成長していた。

 振るわれるMVSそれと同時にMVSの鍔にピッケルが引っ掛かる。

 

「なに?」

 

「貰った!」

 

 ピッケルを器用に使ってMVSを上空にかち上げる。

 

「ちっ!」

 

 シュンは悪態をつきながら後退し腰に懸架してあったヴァリスを構えると速射、銃弾は十字剣に当たり弾かれる。

 

「もらった!」

 

「まだだ!」

 

 ヴァリスの二射目。それが放たれると同時に薫は落ちてきたMVSを掴むとヴァリスの銃口を切り裂く。

 だがヴァリスの二射目は見事にコックピットを直撃し派手な爆発が起きる。

 

「白蛇!」

 

「退くしかないか!」

 

 ゆっくりと倒れる白夜叉を見たシュンはコーネリア救出を断念して後退する。対してライは急いで駆け寄ると薫の安否を確かめようとする。

 

「無事だよ…死にかけたがな…」

 

「よかったぁ…」

 

 コックピット周りに仕掛けられた爆発反応装甲が早速、役に立つとは思わなかった。ヴァリスというチート兵器相手に凌ぎきったのは大きいだろう。

 まぁ、その衝撃で頭から血が出ているが…。

 

「大丈夫、薫?」

 

「まぁな、それより。戦況は?」

 

「ブリタニア軍が撤退を始めて日本解放戦線が前線を押し上げてるみたいだね」

 

 仮面を外してライに包帯を巻いてもらっている薫は無線を聞きながら戦況把握に勤める。

 

「やることはないか…。俺たちも撤退するか」

 

「薫…」

 

「なんだ?」

 

「無茶しないでよ。薫が死んだら、僕はどうやって生きていけば良いか分からなくなってしまう」

 

「ライ…」

 

 シュンとなるライを見て頭を撫でてやる。全く、見た目は一人前以上なのに中身はまだ子供のようだ。 

 

「バカ言え、誰が好き好んで死んでやるか」

 

「そうだよね」

 

「あぁ、そうさ…」

 

 こうしてナリタ連山攻防戦は終了、戦いの主役であった日本解放戦線とブリタニア軍、双方とも甚大な被害を出して終了するのだった。

 

ーーーー

 

「総督の作戦で日本解放戦線はほぼ壊滅しました。逃走中の団員も次々と捕まっています」

 

「それは嫌味か?我が軍が建て直しを迫られているというのに」

 

「あぁ…いえ。そんなつもりは」

 

 ナリタ連山の攻防戦から翌日。政庁において事後会議が開かれていた。

 

「そもそも占領後の政策が間違っていたのでは?エリア11の地下鉄網や鉱山坑道をなぜ放置された。ゲットーでは各地の所有権も曖昧なまま反政府活動の温床が放置されている」

 

「えぇ…地下鉄はほぼ全国に張り巡らせておりまして租界以外を埋めるには予算が…」

 

「テロリストの拠点や逃走経路になっていると分かっていてもか!」

 

 ギルフォードの怒りは最もだ。実際に白蛇やゼロは地下鉄を利用した逃走経路を多用している所から見てテロリスト側からすれば地下鉄網は逃走経路にうってつけなのだ。

 

「クロヴィス殿下の指示でして…強く出ると内乱状態になり、中華連邦につけいる隙を与えると」

 

「すでに与えている。ゼロの勢力が力をつけつつあるしな」

 

「事務次官、内政省の管理下にこのエリア11の自治を司るイレブンの代表たちが居ましたな。確かNACとかいうグループの。先日の作戦でNACの尻尾を掴みたかったのですが資料は土砂の下。しかし、疑いは濃厚です。ここを先に抑えれば」

 

「うむ、名門と財閥の集合体。もはや過去の異物か…」

 

 NAC、テロリストからはキョウトと呼ばれるグループ。つまりすべてのテロリストの頂点に立つ存在。相変わらずダールトンの分析は細かく、正確だ。

 

「お待ちください、それはあくまでも噂。証拠は全くございません彼らを抑えればイレブンたちの経済がたち行かなくなります。本国への徴税にも影響がでましょうし」

 

 事務次官の必死の擁護を面白そうに見つめるシュン。彼は一貫して沈黙を守り、会議には参加していなかった。

 

「それで、日本解放戦線に身を寄せていた白蛇グループの件だが。どうだったダールトン?」

 

「はっ、一言で言えば。油断ならない敵です。少なくとも私以上の操作技術と鋭い観察眼、度胸を兼ね備えている人物です」

 

「ダールトンをそこまで言わせるとはな」

 

「現在に至るまで白蛇に関する情報が上がってきて居ないということは既に敵は潜伏を始め、潜んでおりましょう。もしものためにそういった場所を確保していたのかもしれません」

 

 謎のグループ白蛇。黒の騎士団並みに警戒を強めなければならない相手だ。

 

「しかし、我々と共に土砂崩れに巻き込まれかけていました。ゼロと白蛇の関係はまだ皆無といった方が良いでしょう。二人が手を組む前に何とかしなければ」

 

 確かにゼロと白蛇が手を組めばブリタニアにとって厄介な敵になることは容易に想像できる。それまでにどちらかの勢力を潰しておかなければならない。

 

「しかし、黒の騎士団を含め。未確認機が3機も」

 

「しかも凄腕だよ。死ぬかと思ったもん」

 

「ヴィヨネット卿までもがいいますか」

 

 紅蓮、白夜叉、月下。このナリタ連山での戦いで3機も新型が現れたのだ。こちらもうかうかしてられない状況だろう。ギルフォードは思わず眉を潜める。しかも相手はナイトオブラウンズをすら手惑わせる強者だ。

 

「参りましたね…」

 

ーーーー

 

「ブリタニアの皇女がこれほどとはな」

 

「解放戦線は分裂し日本の灯火は消えました」

 

「待たれよ。逃走中とは言え藤堂は今に健在ですぞ!」

 

「しかれども、無頼改まで失っては…」

 

「白蛇も手を尽くしているが対応しきれんだろう。時間が必要だ」

 

 キョウト本部。その御前会議で桐原たちはコーネリアの苛烈なほどの侵略スピードに思わず舌を巻いていた。

 

「希望ならありますわ」

 

「黒の騎士団…紅蓮の件もそうですが枢木スザク救出以降、ゼロにご執心ですな」

 

「白蛇とゼロ。二人が手を取り合う必要がありますわ」

 

「手配いたしましょう」

 

ーーーー

 

「なにその包帯は?」

 

「ん、いや。寝ぼけて頭を打ってな…」

 

「嘘つき…」

 

「うっ…」

 

 アッシュフォード学園生徒会室。まだ誰もいない部屋にはミレイと薫の二人だけがいた。

 

「昨日のナリタに居たのよね?」

 

「敵わないな、ミレイには」

 

「嫌でも分かるわよ」

 

 そうやってミレイは薫の後ろから抱きつき頭を撫でる。

 

「止めろなんて無粋なことは言わないわ。でも心配はさせて…」

 

「ミレイ…」

 

「日本の解放が貴方の生きる道なら、私にとっての生きる道は貴方よ。貴方は助けてくれた、誰も手が出せない、出そうとしなかった手を差し伸べてくれたのよ。ルルーシュでもリヴァルでもない、貴方が」

 

「例えどんなに時間がかかっても帰ってくるさ。俺の帰る場所はお前だからな」

 

 つくづく思う。俺は果報者だと生まれ変わってからこんな良い女性と出会って結ばれたんだから。

 

「薫…」

 

「ミレイ…」

 

 ピリリリリッ!

 

「なんだ、無粋な」

 

 せっかく良い雰囲気だったのに。それをぶち壊された薫は苛立ちながら電話を取る。

 

「なんだ、ジェシカか。どうした?」

 

「はっ、実はキョウトから参上せよと勅書が」

 

「なに、キョウトから勅書…分かった。週末だな」

 

 まさかの呼び出し…流石にそれは予想してなかった。

 

「仲間から?」

 

「あぁ、すまないが…」

 

「週末のデートは中止ね…」

 

「埋め合わせはするから」

 

「期待しないで待ってるわ」

 

 すっかり不機嫌になってしまったミレイ。だがそれも可愛いと思うのは惚れた弱味という奴か。

 

「一泊二日の温泉旅行なんてどう?富士辺りにいい旅館があるのよ」

 

「温泉か…いいなぁ」

 

 そう言えば最近、風呂には入るが温泉には浸かっていない。それも良いかもしれない。

 

「でしょでしょ!富士山が見える温泉があるんだって!それもサクラダイト採掘場が見えない側の」

 

「それはひかれるなぁ」

 

 昔の状態の富士山を眺めながら温泉、最高じゃないか。

 

「じゃ、決まりね。また予定が決まったら教えてね」

 

「分かった」

 

(温泉も楽しみだが取り敢えずキョウトだな…)

 

 

 

 

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