「いやぁ、派手にやりましたね」
「かなりの激戦だったからな」
キョウトの開発区画。そこで白夜叉のオーバーホールをしていたクリミアは一回の戦闘でボロボロになった白夜叉を見て一息つく。
「それにしてもこのMVSは興味深い。高周波ブレードなんてもんをナイトメアに乗せてるなんて…」
あの紫のランスロットから奪ったMVSを興味深げに解析するクリミアの開発陣。
「多重装甲シールドがなければ死んでいたよ」
「どんな切られ方したか知らないけど…。うわ、3層まで真っ二つか…」
白夜叉の多重装甲シールドはそれぞれ性質の違う5層の装甲板で構成されている。耐ショック、耐貫、防刃、防弾、耐熱で防刃の装甲でしっかりと受け止められていた。
通常の剣なら剣が砕けてもいいぐらいの硬度を誇っているのにこの有り様。
「それにこのコックピット周りの傷も…レールガンかリニアカノンでも受けたの?酷いわね」
「携行式のな」
「ブリタニアって化け物なのか…」
傷だけでどんな損傷か分かるものなのかと内心感心しているとクリミアはこちらに振り返って近づいてくると。
「そのリニアカノン、持って帰ってきてね!」
「出来たらな…それも解析するのか?」
「私は残念ながらこんなに素晴らしい脳は持ってないの。新たな武器を産み出すのは天才のやることよ。月下の輻射波動もそう、でもそれを学んでより良きものを作り出すのは凡人でも出来る。基盤は目の前にあるもの、私たちなりに昇華させて見せるわ」
「期待してるよ。貴方は我々の貴重な開発者だ」
「もちろん。そのための私よ」
ーー
「ゼロと俺を?」
「あぁ、日本解放戦線がなくなった以上。日本の灯火はゼロとお主だけ。その為にもゼロを見極めておく必要がある」
いつも通り桐原の私室にお邪魔していた薫は一つ問いただす。
「桐原さん、俺個人として聞きます。ゼロの正体、気づいているのでは?」
「いや、ただの妄想だよ…」
「なら、その役目。俺にやらせてもらえませんか?」
「なに?」
「貴方の代わりに俺がゼロの真意を暴きます」
桐原の驚いた顔とは対照的に薫は凛とした声色で聞く。その声色に彼は黙ってうなずくのだった。
「すいませんが、カンペみたいなものをください」
「うむ、分かった」
ーーーー
「白蛇、ゼロが来た」
「そうか、ライ。護衛は任せたぞ」
「うん…」
キョウトの用意した車が到着する。薫は暗幕の中に移動して仁王立ちで待つ。暗幕の前には桐原が用意したSPが構える。
「ここは、富士鉱山!」
「嘘だろおい、そんな所に来られるわけ…」
「でも間違いないわよ。この山、この形!」
「ってことはこの下にサクラダイトが。戦争の元になったお宝だろ、侵入者は尋問なしで銃殺だっていうのに」
「こんなところまで力が及ぶなんてやっぱりキョウトは凄い…」
来るや否や興奮して窓に張り付く扇たち。確かに、ここまでの位置にテロリストの親玉がいるなんて考えもつかないだろう。さて、ここからがこちらの勝負だ。
「醜いだろう?」
出来るだけ威厳のある声で声を張ると緊張した面持ちでカレンたちがこちらを振り向く。
「かつては山紫水明、水清く緑豊かな霊峰として名を馳せた富士の山も今やブリタニアに屈しなすがままにされる日本の姿そのものだ。富士の真の姿もその高潔なる愛国心も今や心に止めるのみとなった。嘆かわしい…」
薫の言葉にカレンたちは黙って聞くことしか出来ない。それほどに彼女の声には力があった。この声に逆らってはいけないという強迫観念に近いものが存在していた。
「顔を見せぬ非礼は詫びるがそれはゼロも同じ。お前を見極めるために見せてもらうぞ!」
鞘に納めたままの刀を振りかざすと奥から無頼が4機出てくる。これも桐原が用意したナイトメアたちだ、それと同時に奥で待機していたライもいつでも動けるようにする。
「お待ちください、ゼロは我々に力と勝利を与えてくださいました、それを!」
「扇、お前がゼロの仮面を外せ!」
カレンが必死に擁護しようとするが無視。映画によるとルルーシュは無頼に潜んでいるはずだ。
「扇さん!」
「すまないゼロ。俺も信じたいんだ俺も…だから信じさせてくれ」
扇はゆっくりとゼロの仮面を取る。その仮面が外され、露になった素顔、そこにはC.Cの姿があった。
「お、女!?」
「そんな」
「違うわ、私は見た。この人がゼロと一緒にいるのを!」
「だろうな。俺も見たことがあるぞ、サイタマの地下でな」
「っ、お前は白蛇か…」
「ふふっ。その通り、本来なら桐原公自ら出る予定だったが俺が出させてもらった」
C.Cの言葉に白蛇は笑いながら暗幕から姿を表す。
「白蛇さん!?」
「カレン、久しぶりだな。これからはもっと会うことになるだろうがな」
「ゼロが居ないというのでは仕方がない」
すると隣にいたSPがカレンたちを抹殺しようと合図を送ろうとした瞬間。一機の無頼が動き、3機の無頼を叩きのめした後に白蛇にライフルを突きつける。
「やめろ、遠隔射撃されるぞ誰も手を出すな!」
「やはりそこにいたなゼロ」
「くっ、やはり俺の思考を読んでいたか…。なぜだ、なぜ私の先回りをする!貴様はいったい何者だ!」
ゼロは無頼から降りると白蛇に詰め寄る。仮面と仮面が近距離で近づきかつてないほどに二人は接近する。ここからの位置だとカレンたちには無頼が邪魔になって見えない。
「それは、お前の怒りも悲しみも、考えも分かっているからさ」
「だからなぜだ!」
「ゼロ、冷静になれ。俺はお前の敵じゃない、お前の味方だよ」
そう言うと薫は静かに仮面を外す。仮面の下の素顔が明かになるとゼロは明らかに動揺する。
「な、なぜお前がここに…お前が白蛇だったのか?」
「そうだよ。俺は日本人だ、当たり前だろ?」
ルルーシュは仮面を外して改めて薫と向き合う。
「俺は…お前を殺そうとして…」
「あぁ、ナリタは本当に死ぬかと思ったよ」
「すまない…か…白蛇!」
「気にするな。俺とお前の仲じゃないか」
抱きついてくるルルーシュをなだめる薫は背後にいたライに下がるように命じるとそのまま頭を撫でてやる。
「扇、カレン」
「「はい!」」
「キョウトは全面的に貴様らをサポートすることを誓おう。そしてゼロを信じろ、ゼロは俺の最初の友にして同志。彼は必ず日本に勝利を与えてくれるだろう」
「は、はい。ありがとうございます!」
ーーーー
「まさかあの時、人身御供として預かっていた子とはな」
「はい、彼は間違いなくブリタニアの敵。疑いようがありません」
「そうだな」
そして薫は取り敢えずルルーシュを先に帰らせて映像越しに見ていた桐原と私室で話していた。
「最初の友にして同志か…」
「桐原さん?」
「いや、運命とは面白いと思ってな」
「そうですね。まさか、枢木神社にいたガキたちが世界を相手に戦うなんて思ってなかったでしょう」
「現実は小説より奇なりか。面白いのぉ」
「えぇ、全くです」
ピリリリリ…
桐原と話していると電話が鳴り響く。それを桐原の了解を得て取る、相手はミレイであった。
「ごめんね、でも緊急で」
「どうした?」
「シャーリーのお父さんが亡くなったの…ナリタ騒ぎで」
「あっ……」