「カオル…」
「気がついたか。すまない、黒の騎士団が来ていたので逃げてきたんだ」
「私、気絶して…」
「すまん、お前を助けるために飛び付いたんだ」
かなりむちゃくちゃな気がするが仕方がない。シャーリーにルルーシュの正体を気付かれるわけにはいかなかった。
「シャーリー、聞きたいことがあるならルルーシュ本人に聞くんだ。お前が真剣に聞けば向こうも真剣に答えてくれるはずだ」
「…分かった」
「いい子だよ…帰るぞ」
「うん」
ーー
その後はシャーリーを家まで送り届けてそれでおしまい。特別なことはなにもない。
「ごめんね、カオル。変なことに巻き込んで」
「気にするな。今日はゆっくり休んでまた学校で会おう」
「うん」
今の自分にはこれぐらいしか出来ない。シャーリーの為にはどうするべきかなんて自分には分からなかった。
ーーーー
「あぁ、その件なら俺だ」
「なんだと、薫もあの場にいたのか?」
「シャーリーとな」
翌日、電話を掛けてきたルルーシュに昨日の顛末を話すとルルーシュは安心したようにする。
「良かった。それなら安心できるな、お前が居てくれて本当に良かった」
「そうだな、だがシャーリーに疑われていることには変わりない。咄嗟だったからもしかしたら見られたかもしれないしな」
「…分かった。こっちもこっちで調べてみる」
「頼むよ、分かったら連絡を」
ナリタ騒ぎからというものもルルーシュや薫はゆっくりとした時間が取れずにいた。折角、正体を明かしたというのにそれに関してまだなにも話し合っていない。
「とにかく、シャーリーの件だけはハッキリ終わらせておかなきゃな」
この世界に転生してから出来た初めての親友。彼女を守らずしてなにが男か。
ーーーー
「お前か、佐脇薫というのは」
「初めましてだな。C.Cさん?」
「私の名前を知っているのか?」
「まぁ、色々あってな」
念のため実家に帰ったシャーリーの家の近くで見張っていた薫はルルーシュの私服を着たC.Cと出会う。彼女が向こうからわざわざ接触してくるとは思わず内心驚く。
「色々と聞きたいことがあってな」
「答えられるなら…」
思わぬ場所で対談することになった二人は場所を移して話すことにした。
「お前はいったい何者だ?」
「一つ目の質問にしては大胆だな…」
「それが最大の疑問だからこうしてわざわざ足を運んできたんだ」
「………」
C.Cの言葉に思案する。ここで正体を話しておくべきか…。
彼女の黄金の瞳は自分を捉えて離さない。その目に観念して薫はため息をつく。
「俺はたぶん、普通の人間じゃない…。これはルルーシュにも言ってないことだ…」
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「嘘ではないようだな…」
「ギアスなんてオカルトもあるんだ。100%不可能というわけでもないだろうさ」
「それならお前はこれから起こる未来を知っているということになるが…」
C.Cも半信半疑だろうが。否定する要素が少ないから俺の話を一旦、飲み込んだのだろう。
「途中までな。それにもう俺の知ってる世界とはズレが起きてる。ナリタ連山での2機目のランスロットなどもその代表だ」
「ふむ、そうか…」
俺が話し込んでいる間にも彼女は喫茶店のピザを全て制覇し二週目に突入している。もしかして、俺が払うのか?
「なら過去もなにもないお前がなぜ、ルルーシュに肩入れする?お前にとっては幼馴染みでもない他人だろう?」
「そうだな、ルルーシュはあくまでも他人だよ。俺が命を懸けるほどの思い入れはないさ。でもな…」
俺は見てしまったんだ。蹂躙される日本人をささやかに笑みを浮かべるナナリーの姿を。
「俺は日本が好きだ。ここは俺の故郷だ、たとえ世界が変わろうとも日本は変わらない。日本は俺の故郷であるし、ルルーシュは俺に優しくしてくれた。初めての男友達なんだ」
ルルーシュと居ると楽しいしスザクといると心が暖かくなる。ナナリーといると癒される。そんな彼らを守れるなら、どうせ二度目の人生だ。その力が俺の手にあるなら命だって賭けてやるさ。
「例え、目を失っても命を失っても後悔はない。理由は分からないけど、そう思えるんだよ」
「無粋なことを聞いたな」
「気にするな。それより、どんだけ食べるつもりだ?」
「あぁ、気にするな。お前の金だ」
「おい、このピザ女。ふざけるな!」
「全く、お前もルルーシュと同じ呼び方をして…」
ルルーシュの気持ちがよく分かるな。
ーーーー
(財布が軽くなったな…)
主にピザのせいで軽くなった財布をポケットにしまうと悲しくなる。
「C.Cめ、もう少し遠慮しろよ…」
「へぇ…興味深いね」
「なに?」
気配が一切感知出来なかった。真後ろにいたのは長身の男性、サングラスとイヤホンを着けた男性はこちらを静かに見つめる。
「随分とへんな人だね君。思考は読めないのに深層は読めるなんて…」
「何をいってるんだ?」
「C.Cのこと教えてよ。悪いようにしないからさ」
明らかに不審者な男性に教えるわけがない。それにC.Cはルルーシュの弱点になりえる存在だ。
「教えるわけないだろ…」
「残念だな君も魅力的なんだよ。とても静かだからさでも体で金を稼ぐ売女はちょっとね」
「は?」
俺は処女だ(ここ重要)!しっかり確認しましたので間違いありません!
「それにかなり殺してるね。凄いなぁ」
(なんだこいつ…)
妙に腹が立つその男性にイライラしてくる。なにかしってるような雰囲気だし…人目の無いところで…。
「うっ!?」
あの時に似たフラッシュバック。認識できない速度で頭の中の静止画が連続で流れてくる。
(この記憶はこの世界の薫のか!?)
冷や汗が止まらなくなる。思わず頭を押さえて苦しんでいるとその男は楽しそうに笑みを浮かべる。
「急に読めるようになってきたね。へぇ…君があのテロリストのねぇ…」
男性がなにか言っているようだったが薫は頭の痛みに耐えきれずに倒れるのだった。