「ここがクラブハウスだ。主に生徒会の書類決済など、様々な用途で使われている」
「クラブハウス…」
ナナリーに会わないかという想像を絶する言葉を耳にした俺は皆さんお馴染みのクラブハウスまでやって来ました。
「そして俺とナナリーが住んでいる場所でもある」
よく存じております。映画しか見てないけど彼がナナリーを大事にしているのはよく分かるし友達もルルーシュはナナリーのことに関してはヤバイ。つまりシスコンって言ってたし相当なのだろう。そんな彼女を会わせてくれるってことは俺はスザクに並ぶ親友キャラってことになる。
(あれ、これって外堀埋まってね?)
「ところで、なぜ男装を?」
「スカートを履きたくない。女性の格好は怖い…」
あぁ、聞かれると思ってましたよ。シャーリーは詳しく聞いてこなかったけどね。あえて触れなかったんだよね。やっぱりシャーリーは優しいわ。
この前、言った通り。あれですよ、スカートなんて履きたくないんですよ。だって男があんなミニスカート履いたら恐怖でしょ?怖いわ。
「そうか…」
うん、彼も深くは聞いてこないな。あんまり言えることじゃないからねこれに関しては。
「ごめん、ルルーシュ。その前にトイレに行かせて貰えるか」
「どうしたんだ?」
「さっきから腹が痛くて…」
「そうか、トイレならそこを左だ。俺は咲世子さんに準備をさせるから」
助かります。ずっと水に浸かってて腹痛かったんですよ。ってかプール見ましたか?凄い広いんですよ、どこの遊園地のプールですかって話ですよ。
「ほんとうに疲れるわぁ。なんでこんなに外堀埋まってるんだよぉぉ」
やっぱりさ、アニメとかって第三者視点だからこそ楽しめるのであって当事者になるとたまらんわ。そらそろ胃痛とお友だちになってくるも知れない。
「これも全てブリタニアのせいだ!」
ルルーシュのブリタニア嫌いが込み上げてますね。本当にお母さんのこと好きだったんだなぁ。こんなに愛されるなんてよほどいい人だったんだろうな。
「ルルーシュ?」
「あぁ、薫。この先にナナリーが居る、ゆっくり休んでいってくれ」
「はい…」
シスコンの権化であるルルーシュの妹、ナナリーとの面会。下手なことをすれば即刻地獄行き。気を引き締めなければ、ここからは地雷まみれだ。
「ただいま、ナナリー」
「お帰りなさい、お兄さま。入学式はいかがでしたか?」
「あぁ、退屈だったよ。それより、ナナリー。お前に会わせたい人が居るんだ」
「あら、珍しい。お兄様がここに人を招くなんて」
「そうかい?」
天使や…。こんなにキレイな子がこの世にいるなんて…ルルーシュの気持ちも分かる気がする。でも背後にいるルルーシュの視線のせいで泣きそうです。
ルルーシュを見て恐る恐る近づく。すぐ目の前にはナナリー、彼女は目が見えない。なにかしらアクションをこちらが起こさないと気づいてくれない。手を握るのはハードルが高すぎるし、頭を少し触る程度なら…。
「ひゃっ!」
(ひゃぁ!)
驚くよね、それは驚くよね。ごめんなさいね!
「優しい手ですね。とても懐かしいです…」
「ナナリー…」
「その声は…もしかして薫さん?」
「うん…」
「薫さん!生きていたんですね!」
優しく、とても優しく手を握られた。慈しむように優しく、ふっと母親を思い出してしまう。
(でも別ベクトルで泣きそうなんですが!)
背後にいるルルーシュ、殺気を!殺気を感じる気がしますよ!漏れてる殺気!ルルーシュさん、俺を殺す気ですかぁ!
(ごめん、もう泣く)
ーー
「懐かしいですね。あの時は女の人は二人だけでしたから、よく遊んでいましたね」
「……」
「薫さん?」
「え、うん…」
無事に生き残りました。ところで皆さん、俺は今。ナナリーとお茶をしています。紅茶なんて全くわからなくて美味しくもなんともないがマイ天使ナナリーが笑っているだけで幸せです。
ルルーシュも先程まで出していた殺気を綺麗に納めて対応中、ナナリーの前だと猫かぶりすげぇなおい。
「ナナリー、ちょっと良いかい?」
「はい?」
そうして連れ去られる。ナナリー…あれっ。なんかやばくね、俺もう先がない感じ?でもルルーシュの反応見る限り、そんなに敵視してないと思いたい。
(なにかやらかしただろうか…)
いや、とにかく。今は状況を整理しよう。ルルーシュとナナリーはブリタニアの棄てられた皇子たち。母親を殺され、父親から見捨てられた悲劇のヒーローとヒロイン。
そんな二人が俺と知り合い。しかも同じ学校に所属しているとなるとこれは偶然ではないだろう。
(でも俺に出来ることなんて…)
前回は上手く行ったかもしれないけど、無能な俺じゃなにもできない。
(そうか…俺はもう人を殺してるんだな)
実感はないが人を殺している。俺が指示したからブリタニア軍が大勢死んだ。そう思うと凄い虚脱感に襲われる。
(もう俺は人殺しか…)
改めて襲ってきた罪悪感に心が壊れそうになる。気づかなくていいことに気がついてしまった気分。ルルーシュたちもこんな思いで戦っていたんだな。
そんな事を思っているとナナリーとルルーシュの二人が帰ってくる。
「そうだ、どうせなら今日は泊まっていってはどうですか」
「「え?」」
突然、発せられたナナリーの一言。さっきまで沈んでいた気分など気にしてられないぐらいのショックが襲ってくる。思わずルルーシュを見つめて聞く。
「いいんですか?」
「ナナリーが言っているんだ」
渋々、うなずくルルーシュ。絶対納得してないじゃないですか!これはあれか原作開始までに俺を殺そうとしてんのか、ナナリーの無垢な善意が俺の命を付け狙う!
「昔みたいに一緒のベッドで」
「「ほわぁ!!」」
ほわぁぁぁあぁぉとぉぉぉぉこ!一緒のベッドでですか!?男女七歳にして同衾せずという言葉を知っていますかぁ?
ダメですよ、ナナリー今何歳?俺は16歳ですよ!七歳どころじゃねぇよ!その倍を行ってんじゃねぇか…あ、今の俺は女か。やかましぃわ!俺の魂は男なの、青春期真っ盛りの男なのですよぉ!駄目ですよねぇルルーシュさん!
「いいの?」
「……いい」
……いい。じゃねぇよ、ごらぁ!否定しろ、少しは否定しろ!お前はNOと言えない人種じゃねぇだろ!
お前ら、俺に心を許しすぎなんだよ!俺は別人です、たぶん別人なんだよ!お前らの知ってる昔なんて知らねぇんだよ!
「大丈夫なのか?」
「大丈夫でふ!」
ほらルルーシュさん、ちょっと怒ってんじゃねぇか。俺はなんもしねぇよ、したら殺される未来しか見えねぇよ。しなくても殺される気しかしねぇげどなぁ!!
おかげで舌噛んだよ!メチャクチャ痛いよ!
まぁ、そんなこんなでナナリーと寝ることになりました。
ーー
ルルーシュたちのメイドさんたちの手助けのもとベッドに移動したナナリー。そうか、ナナリーは一人じゃベッドにも行けないのか。
「大丈夫ですよ薫さん。私は」
「ナナリー…」
「昔もそうやって心配してくれましたね。薫さんは変わりませんね」
ベッドに腰かけるともう寝そべっているナナリーは笑いかけてくれる。自分が一番辛いはずなのになんで笑っていられるんだ。こんなに人の事を想っていられるんだろうなぁ。
「偉いなぁ。ナナリーは俺とは大違いだ」
「薫さん?」
優しく出来るだけ労りの気持ちが伝わるように頭を撫でる薫。彼女の幸せのために立ち上がったルルーシュの気持ちが痛いほど分かる。こんな子を泣かせちゃいけないよな。
「もう遅いですし。寝ましょ?」
「そうだな、いい夢を見てくれよ」
「はい!」
元気よく返事をするナナリーの横にそっと寝そべる。
やべ、毒気は完全に抜かれたけどめっちゃドキドキする。すると手を握って笑うナナリー。貴方は天使だ(確定)…結婚しよ。
「おやすみなさい」
「おやすみ」
結局、寝れなかった薫だが脳内処理がオーバーヒートして気絶するように就寝したのだった。