私はライカレ派。
式根島からさほど遠くない海中。そこには黒の騎士団の潜水艦が息を潜めて停泊していた。その食堂では黒の騎士団中枢メンバーによる会議が開かれていたも
「やはりこれ以上、ここの海域に留まるのは危険だ。引き返そう」
「あぁ…」
「いえ、あくまでもここに留まりゼロを探すべきです!」
「そうだな」
残念ながら現在の最高責任者は扇だ。そんな彼だが藤堂とディートハルトの二人に頷いて判断しかねている。食事を配っていたバレットは思わずため息を溢す。
「だが捜索隊も出せない状況。ラクシャータのおかけで隠れられているがもはやゼロや白蛇たちが生きている確証も掴めない。一歩間違うと組織の存亡に関わる」
「なにを言うのです。逆です、ゼロあっての我々。ゼロが居るからこそ組織が成り立つのです」
「人あっての組織だ。貴様の物言いは実にブリタニアらしいな」
「ではブリタニアついでに失礼します」
「ジェシカ…」
水を注いでいたジェシカは藤堂の言葉に反応して話に割ってはいる。
「黒の騎士団について明確な指針を持っているゼロと白蛇様、無くしてこれからどうしろと言うのです。この組織は日本人だけの組織ではありません。ブリタニアやEU、中華連邦の人間までいるのですよ。あくまで引き返すと言うのなら我々はここで待機し白蛇様たちを待ちます」
「そのような勝手が許されると?」
「我々、特務隊は白蛇参謀直下の独立遊撃部隊です。我々に命令を下せるのは白蛇様のみ」
ジェシカの言葉は侍女隊含め、特務隊の総意だ。それを見て藤堂は眉間にシワを作る。
「藤堂さん、ゼロや白蛇様もですが。こちらのエースであるカレンとライも行方不明です。流石に全てを捨てるのは…」
「伊丹大尉。しかしな…」
「では食料の確保してある明日の昼まで待ちましょう。とりあえず…」
伊丹の発案に渋々納得する藤堂。ジェシカたちは不満そうだったが伊丹の気持ちを思ってなにも言わずに下がる。
(やはり白蛇は必要か…)
そんなやり取りを見ていたディートハルトは心の中で呟く。白蛇貴下の部隊は実践経験の豊富な貴重な組織だ。
最初こそディートハルトは白蛇のカリスマを疎ましく思っていたが同時に白蛇の存在は元白蛇グループの不満のストッパーになっている。
白蛇グループの戦力を取り入れるためには白蛇が必要不可欠なのだと改めて実感したのだった。
ーーーー
「う、うーん」
「気がついた?」
「か、カレン!?」
とある島の一角。そこの浜辺では気絶していたライを気遣うようにカレンが彼の顔を覗き込んでいた。
「ここは?」
「分からないわ。どうやら式根島ではないみたいだけど」
「確かに。島が静かすぎるね」
どこかの島に流されてしまったようだが時間もそれほど経っていなさそうだし距離的には離れていないはずだが。
「インカムは?」
「持ってたけど海水でお陀仏。そっちは?」
「僕はどっかに流されたみたいだ」
こういった電子機器と言うものは役に立たないのが常道であるが実際に起きると迷惑以外の何物でもない。
「仕方がないね。なら、食料を確保しながらの周辺探索かな」
「そうね。賛成するわ」
取り合えず。二人はこの島を無人島を想定して動き出すのだった。
ーー
「あっつ!」
「美味しそうね」
二人の食卓に並べられたのは魚や貝類の魚介類。調味料がないのが惜しまれるが中々に豪華な料理を作れた。
「カレンの槍捌きはすごかったね」
「まぁ、運動神経は自信があるからね」
木の枝をナイフで加工して作った槍で魚を大量に仕留めてきたカレンを見ておもわず驚いたのは無理もない。
「まぁ、食べきれるかな…」
「うっ…調子に乗ったのは認めるわよ」
和やかに食事を進めていた二人は自然とゼロと白蛇についての話になっていく。
「そうなんだ。ゼロって突然現れたんだね」
「えぇ、私たちがピンチの時に助けてくれた救世主で正義の味方。それがゼロよ」
「伊丹さんたちから聞いた話だけど白蛇も似たような感じだったらしい。まぁ、伊丹さんたちが必死に探し当てた結果なんだけどね」
「見てて分かるわ、白蛇と貴方たちは家族みたい。私たちとは少し違う感じね。素顔を知ってるの?」
「うん、知ってるよ」
「え!?」
冗談のつもりだったんだがライの言葉に驚くカレン。対してライもこうもスラッと話してしまったのは驚くが彼女に対してだと何故だが話してしまうのだ。
(薫みたいなのかな?)
「僕含めてごく一部だけどね。まぁ、素顔が分からなくても僕は白蛇に忠誠を誓うよ。彼女は僕に人生をくれたからね」
「人生…」
「うん、僕は元々。ブリタニアの実験人間だったんだよ…」
白蛇…薫は僕に手を差し伸べてくれた。生きると言う喜びを、変化を教えてくれたのだ。ライにとって薫は母であり、姉であり、親友であったのだ。
「そうなの…」
ライの話を聞いたカレンは彼に対して猛烈な親近感を覚えていた。カレンはゼロにライは白蛇に助けられ忠誠を誓った。今思えば、ゼロに亡き兄の姿を重ねているのかもしれない。
人の中に無と言うものは存在しない。人は無意識のうちに無を補完してしまう。カレンはゼロの仮面と言う無に兄であるナオトの顔を補完していたのだろう。
「カレン、ゼロは絶対の存在じゃない。人間だよ、もちろん白蛇も。だからこそ僕たちは考えなきゃならない。本当にゼロが白蛇が正しいのか問い続けていかなきゃならない。一点を見るのではなくその点を線で繋いで見るんだ。線で見てこそその人の本質が見えてくるんだよ」
「……」
「他人がどう言おうと。君が実際に見たこと聞いたことは嘘はつかない」
ゼロを疑えと言う言葉に普段なら激昂するカレンだが彼の言葉は何故だか受け入れられた。それが何故だかは分からないが彼の言葉にはそれだけの重みがあったのだと思う。
「分かったわ。ありがとう、ライ」
「どういたしましてカレン」
何故だが二人は握手を交わす。お互いに笑みを浮かべながら握手をしているとなんだか気恥ずかしくなり、やめるのだった。
ーーーー
そして夜が明けた次の日。ライとカレンは島の中心部に向かうことにした。夜に見かけたサーチライトの光、ブリタニア軍がこの島にやって来た可能性が高い。
「まさか、ここまでブリタニア軍が来るなんてね」
「ちょうどいいわ。船なりヘリなり奪ってみんなと合流しないと」
「そうだね。最悪、通信機器さえ手に入れば…」
カレンと話していたライは突然。話を中断して足を止める、そんな彼の行動に疑問を示すことなくカレンも周囲を確認する。
「なに、この殺気…」
「カレンも気づいた?」
不穏な空気を感じた二人は戦闘体勢に入る。すると森の茂みから幼い少年が姿を現すのだった。