「聞くがよい、ブリタニアよ。我が名はゼロ、力あるものに対する反逆者である!零時まで待とう、降伏し我が軍門に降れ。これは最終通告である。零時まで待とう、降伏し我が軍門に降れ!」
ルルーシュたち黒の騎士団を中心とする対ブリタニア戦力とコーネリア率いるブリタニア軍はトウキョウの境目を境に向かい合う。コーネリア軍は外縁部に陣を敷き、徹底抗戦の構えを見せていた。
「あぁ、すぐにそっちに向かうと思うから。その時は頼む」
「分かったわ。貴方がいるから安心ね」
「学園の制圧が終わったら俺も前線にとんぼ返りだ。いいな、大人しくさせろよ」
「分かったわ」
薫は学園にいるミレイに連絡を取って学園の生徒たちに部屋に戻るように放送をしてもらう。学園のみんなには怪我などをしてほしくないからだ。
「ミレイは泣くかなぁ…」
自分が右目を失ったのを見てミレイは正気でいられるか不安になってくる。無事に帰るって約束したのに…その約束を破ってしまった。
「そっちの方が憂鬱かもな…」
ーーーー
そして始まるトウキョウ奪還作戦。外縁部のフロアパーツの一斉解除により外縁に布陣していたほとんどの部隊を負傷、または壊滅させる。
「ゼロ、やっぱおまえはすげえよ…」
「これ程の手回しをおこなっていたとは…」
「まぁ、これもゼロの力の一端だな…」
ブリタニア軍が崩れた足場に巻き込まれていくさまは全ての兵士たちの度肝を抜いた。だがここで立ち尽くしている場合ではない。
「ライ、お前は特務三、四番隊を連れて前線を押し上げろ!」
「分かった!」
「歩兵と一番隊と二番隊は俺に続け!学園地区に司令部を置く!」
「「「承知!」」」
薫は手早く指示を出すと白夜叉をアッシュフォードに向けさせる
。秩序のある黒の騎士団が学園を制圧すれば日本人たちの傍若無人な振る舞いを抑制できると踏んだ結果であった。
ーーーー
「これで、全ての放送局が…」
「失礼ながら、こちらは我々が占拠いたします。ご無礼を!」
テレビ放送で外の状況を確認していたミレイたちの元に武器を持ったメイドたちが部屋に押し寄せてきた。
「銃を下ろせ!」
「リヴァル、大人しくして!」
「でも…」
「いいから!」
「懸命な判断です。我々も無抵抗の民間人に危害は加えません」
抵抗するリヴァルを抑え込んだミレイはメイドたちを見て無抵抗であることを示す。
「凄い来ましたよ。会長!」
シャーリーの言葉にミレイは窓を見る。窓の外には無頼や無頼改、白夜叉などがスラッシュハーケンを使ってよじ登り。学園に踏み込んできていた。
「貴方がミレイ様ですね?」
「え、はい」
「白蛇さまがお呼びです。別室に案内を」
「分かりました」
予想通り。薫からの呼び出し、だがそれは端から見れば危険な行為、リヴァルたちが反対する中。彼女は笑顔で安心させて薫の元へと向かうのだった。
ーー
「コーネリア殿下、ダールトン将軍がお戻りになりました!」
「なに、ダールトンがか!」
その頃、政庁で籠城の準備をしていたコーネリアの元にダールトンが帰還した。
「姫様、申し訳ありません。ユーフェミア様をお救いできずに…」
「よい、ダールトン。お前が無事で何よりだ。それより、手当てを…」
ダールトンの脇腹には銃で撃たれた後が残り。そこから血が溢れている。彼を医務室に送るとコーネリアは改めて黒の騎士団を睨み付けるのだった。
ーー
「薫…その目は…」
「すまん、ユーフェミアにやられてな」
「もう、だから無理しないでって言ったのに!」
ミレイは泣きながら薫を抱き締める。彼女が本当に存在しているのか確かめるように。
「これがブリタニアだったなんて…私は悔しいわ」
「俺が気を抜いたツケが回ってきただけだ。大したことじゃない」
「この体で前線に出るの?」
「俺は指揮官だ。前線に出ないと見えないこともある」
「そんな…」
ミレイの目には愛する人を止められない悲しみとユーフェミアへの深い憎悪が渦巻いていた。それを曝せなくて必死に自分の中で押し止めようと我慢しているのが目に見えて悲しくなる。
「私も一緒にた…」
その言葉だけは絶対に許さない、薫は口づけでミレイの口を塞ぐ。
「駄目だ。お前はここにいろ」
「でも…分かってよ!貴方が傷つくのを黙ってみてる私の身になってよ!」
「……」
逃がさないように強く握りしめられた手にやさしく手を添える薫。
「ごめん、今の俺は…こうすることでしか未来を描けないんだ」
見てしまった。それが全て、血の感触、臭い。人が冷たくなっていく様を知ってしまったから。もう、ただの人では居られなくなってしまった。彼女と二人で何もない所に逃げられたらどれだけ良いのだろうか。
「ごめんなさい、わがままを言って…」
「気にするな…」
ミレイも必死に引き留めたいと言う衝動を抑えて離れる。離れ際に触れるようなキスを送られる。
「私は待ってるわ…お願い。帰ってきて……」
「ありがとう…」
ーー
「こちら。特務五番隊!ランスロット、急速接近!」
「くそ、早すぎる!」
「足止めできねぇ!」
無頼たちが必死に弾幕を張るがランスロットの足止めさえできない。怒り狂ったスザクを止められることなく部隊の半分を犠牲にする。
「五番隊より白蛇さま!申し訳ありません、突破されました」
「あそこにはライとカレンが居た筈だ。特務三番隊は援護に回れ!」
「承知!」
ルルーシュも敵の爆撃機の迎撃で忙しい。全体の指揮を執っているのは白蛇であった。
「スザク!」
「まさか、カレンか!?」
「アンタとは戦いたくなかったけど。残念ね、ここで死んでもらう!」
「カレンであってもゼロの仲間なら許さない…ゼロはどこだぁ!」
「くっ!」
学園地区近くの街で紅蓮とランスロットが出会い、戦闘が始まる。
「ライ、ランスロットはフロートユニットを装備している。油断するなよ」
「分かってる」
「藤堂さんは?」
「政庁を包囲しましたが敵の守りが固く。苦戦しています」
「あそこは要塞だからな…」
やはりと言うべきか…。こちらも苦戦している、向こうは正規軍に対してこちらは素人ばかりの烏合の衆。ゼロがいなければなにもできないポンコツばかり。
「やはり、こちらが二手、三手遅れるか…」
「白蛇さま…」
「うん…」
側に控えていたジェシカは薫に痛み止めを打つ。右目は完治している訳じゃない。いつ抑えてある血が出てくるか分からない状態だ。ルルーシュに必死に止められなければこんな後方で指揮を執るなんてことは絶対にしない。
「白蛇さま、ランスロットが現れました」
「ゲフィオン・ディスターバーの用意をしろ!」
ーー
「最期に言い残すことはないかい?」
「くっ!」
紅蓮の右腕を失い、絶体絶命のピンチに陥っていたカレン。すると横合いから回転刃刀が飛来しランスロットのヴァリスを破壊する。
「なに?」
「え?」
「良かった。間に合った!」
「各機、放ててぇ!」
物陰に潜んでいた無頼たちが一斉にランスロットに向けて放火を放つ。突然の一斉射にスザクも防御に回る、ライはその隙に紅蓮を回収するとその場を離れる。
「待て!」
「これ程の砲火。さすがにランスロットと言えどねぇ!」
柏木の狙撃も攻撃に加わりるがランスロットに攻撃を当てられない。
「この化け物がぁ!」
ランスロットの三つのハーケンが縦横無尽に暴れまわり特務三番隊を蹴散らす。
「三番隊って言っても白蛇さまの直援部隊だよ。それを一瞬で…」
三番隊のメンバーは白蛇旗揚げ当初からいた古参メンバーで構成されている。ブリタニアの一般兵に比べても退けをとらないのに…。
「ゼロはどこだぁ!」
「うぉ!?」
柏木のサザーランドの前に迫るランスロットだったが横からのハドロン砲が食い込み命を長らえる。
「ゼロ!」
「枢木スザク。君に対する執着が私の甘さだったようだ。断ち切るためにも一騎討ちにて決闘をおこないたいのだがどうだろう?」
「望むところだ!」
「ふぅ~」
飛び去っていくガウェインとランスロットに柏木は息を吐きながらコックピットシートに深く座るのだった。
ーー
「俺は外で罠が破られた時のために備える。扇、お前に任せるぞ」
「あ、あぁ…分かった」
ルルーシュがスザクを連れてくる。もしゲフィオンが外れれば彼が危険な状態に陥ってしまうための予備として白蛇は白夜叉へと向かう。
「副司令。不審者をとらえました」
「学生か?なら逃がしてやれ監禁する理由などないのたから…」
「いえ、裏門から校内に侵入したところを…」
「侵入?」
薫とちょうど入れ替わりで一人の女が連れられてくる。それは薫が撃ち、扇が港で拾ったヴィレッタであった。
ーー
「会長、本当に大丈夫なんですか?」
「大丈夫よ。黒の騎士団は私たちに絶対に危害を加えないわ」
ミレイの確信の表情に全員が押し黙る。彼女には信じるだけの理由も確信も確かに存在していたからだ。
「卑怯者!」
その瞬間、響き渡る怒声。それはスザクのものであった。
「何が一対一か」
「仲間になる機会をことごとく奪ったのはお前だ」
「あれってテレビで出てたやつだろ!」
「会長、本当に大変ですよ!」
「落ち着いて!」
ガウェインにハーケンを向けられているというのにミレイは冷静だった。
「大丈夫だから…」
ーー
(懐に入ってハーケンを…)
「ゼロぉ!」
「今だ!」
スザクが急降下。機体を地面で走らせた瞬間に薫の言葉が響き渡る。それと同時にゲフィオン・ディスターバーが起動。ランスロットを機能不全に陥れる。
「これは!?」
「ふふ、これの対策をしている暇はなかったようね。ゼロ、手はず通りに…」
「あぁ、その機体は好きにしろ…」
「ゼロ!お前はまた人を騙して!裏切って!」
「ふん、偽善なる遊びに付き合っている暇はない。さらばだ、枢木スザク…」
「くそぉ!」
二人のやり取りを静かに見ていた薫はランスロットを見つめる。
「スザク、お前があくまでもブリタニア軍に帰属するのならであった。俺はお前を殺す」
「白蛇!」
「クリミアか?それが?」
「そうよ、試作品だけどね」
すると謎の板が空中から飛来してきた。それはクリミアが発案したSFSであった。
「上手くやっておるようだな」
「桐原公まで…」
「白蛇が心配だからって付いてきたのよ」
クリミアと姿を現したのは桐原。彼もSFSに乗って来てしまったのだ。すると包帯の巻かれた顔を優しく撫でる。
「無事のようだが…痛ましいのぉ…」
「ご心配いただき、ありがとうございます」
桐原の温情に感謝しながらも頭の中では常に戦況を確認している。
「では、俺も行きます」
「うむ」
「クリミア、ゲタを借りるぞ。ゼロの援護に向かう」
「わ、分かったわ。操作はガウェインと同じだから」
「分かった」
一回とはいえ、薫もガウェインを操縦している。フロートユニットの扱いは素人ではない。桐原に頭を下げながらも白夜叉に乗り込み、ゲタに乗る。
「行くぞ!」
フワリと浮かび上がったゲタはそのまま、空へと飛び立っていくのだった。
その頃、クラブハウス内で扇が撃たれ意識不明の重体になったのはまだ彼女は知らなかった。
ーー
「どうしたゼロ!」
「くっ、スペックでは圧倒している筈なのに!」
政庁の野外庭園にて交戦していたルルーシュとコーネリア。この戦いはコーネリアの圧勝であった。
「脆弱者がぁ!」
ハドロン砲やフロートシステムと言った最新兵器を搭載しているガウェインだが。あくまで実験機、戦闘のために開発された機体ではないために動きは鈍重。
対してグロースターはサザーランドなどを経て開発された実戦的なナイトメア。接近戦を想定し、素早い動きのグロースターをガウェインは捉えることが出来なかった。
「捕まえた!お前の命は今、まさに私の手の中にぃ!」
「コーネリア!」
空に逃げようとするルルーシュだがハーケンを使って接近を許してしまう。ゼロ距離からの攻撃はいくら分厚い装甲を持ったガウェインでも耐えきれない。
「これが裁きだ!」
「させん…」
止めと言わんばかりのコーネリアのグロースター。だがその背後から投擲された巨大な十字剣がコックピット付近に突き刺さる。
「なに…」
「一人で突っ込むからだ。馬鹿者が…」
「白蛇か、すまん!」
無事にコーネリアを確保した二人。その頃、生徒会室では…。
「貴方は…誰?」
「ナナリー、君を迎えに来たんだ…」
気を失って倒れる生徒会メンバー。その中で、謎の人物とナナリーだけが対峙していたのだった。