コードギアス 白蛇は勘違い   作:砂岩改(やや復活)

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ブラックリベリオン 後編

 

「そうか…ゼロの正体はお前だったか…」

 

 政庁の庭園にて残骸と成り果てたグロースター。そこから薫は十字剣を抜き取るとゲタに乗る。

 

「ブリタニア皇族に対する恨み…ダールトンの分析は当たっていたな…ナナリーのためにこんなことを」

 

「そうです。私は今の時代を破壊し、新しい世界を創る…」

 

「C.C俺は先に戻るぞ」

 

「あぁ…」

 

 あれは二人の空間だ。自分が立ち入っていい空間ではない。そう感じた薫は去る。

 

 

 しばらく、滞空の優位性を使って敵の部隊の牽制に努めていると南から通信が入る。

 

「南さんですか。どうしました?」

 

「扇が撃たれたんだ!今手当てしてるが意識がない。犯人もまだ」

 

「は?なんで司令部でそんな事が起きるんですか!?」

 

「扇の諜報員だった女が裏切って…」

 

 なんで所属不明の人物を入れたのか、意識が甘すぎるんだ。だからこんなことになる。

 

「扇さんをG-1に運んで。そこなら医療器具とスタッフが居るはずです。状況確認と報告を南さんが引き継いでください、俺もすぐに

戻ります!」

 

「分かった。ありがとう、ゼロは扇を捨て駒にしたのに…」

 

「え?」

 

 最後の言葉が聞き取れなかったが向こうは満足したようになので通信を切る。 

 

「薫!」

 

「今度はなんだ!」

 

「ナナリーを確認してくれ!今すぐにだ!」

 

「分かったよ。待ってろ!」

 

 次から次へと…。こっちだって暇ではないことを分かっているのか。渋々、クラブハウスを窓から覗くとそこには倒れている生徒会メンバーたちが。

 

「ミレイ!」

 

 窓を破壊して中に入るとミレイを抱き上げる。気を失っているだけのようだ。

 

「薫…」

 

「何があった?」

 

「分からないわ。気がついたら…」

 

「ナナリーは?」

 

「え?」

 

「くそっ!」

 

 ナナリーが拐われた。ルルーシュの連絡は虫の知らせだったか。

 

「ルルーシュ、ナナリーが居ない。拐われた!」

 

「くっ、やはりそうか。俺は今から神根島に向かう。あとは任せた!」

 

「え、おい!ルルーシュ!」

 

 連絡を一方的に切られたと思ったら今度は繋がらなくなった。今、物凄いことを言われた気がするんだが…。

 

「こんばんわぁ~」

 

 それを考える暇なく。学園の上空にアヴァロンが現れフロート装備のサザーランドが襲いかかる。

 

「この声って。ロイド伯爵?」

 

「ミレイ、お前はアイツに助けてもらえ!俺もやることが出来た!」

 

「…分かった。生徒たちを避難させるわ」

 

「頼む!」

 

 ミレイがシャーリーたちを起こしている間に白夜叉に乗り込む。これからが本当の地獄であった。

 

ーー

 

「敵襲!総員、騎乗せよ!」

 

 アヴァロンの来襲に侍女隊の無頼改たちが起動する。

 

「ジェシカ、どうしますか?」

 

「伊丹さんに連絡を…」

 

「ランスロットが動き出しました!」

 

 状況が一気に悪化した。一部ではゼロと連絡が取れないと言う連絡も受けている。

 

「ツァーリ」

 

「はい」

 

「もしものために脱出の準備を…プールしておいた資金を使っても構いません」

 

「分かりました」

 

 ジェシカの本能に任せた指示。これが逆転の一手となるのはもう少し後の話。

 

「状況は?」

 

「サザーランドはフロートユニットを装備していますが。敵は一機、それに加え空中艦も生徒の救出で動けない模様です」

 

「学園地区を放棄する。残留部隊はG-1へ」

 

「白蛇さま。みんな、ゼロからの通信が途絶えたって混乱してるぜ」

 

「やっぱり…」

 

 ルルーシュの言葉。もしかしたらと思っていたけど本当に居なくなるなんて。

 

「こちら伊丹です。白蛇さま、どうされますか?」

 

「全特務隊を学園地区に集結させろ。我らはこれより撤退準備に入る!」

 

 南から送られてくる戦況図を見ればすぐ分かる。完全に前線が崩壊している。象徴であるゼロが居なくなったことで指揮系統に乱れが起きている証拠だ。

 

「練度不足を士気の高さで補ってきたがそれも終わりだ…」

 

「賛成です。ここまで来れば次に備えて少しでも戦力を確保しましょう」

 

「動けるナイトメア隊で殿を行う。藤堂さんにも伝えろ!」

 

ーー

 

「なんでゼロと連絡が取れないんだ!扇は撃たれてるんだよ!」

 

「知らないって!」

 

 玉城を先頭に黒の騎士団の幹部も混乱している中。統制が取れているのは白蛇を中心とする特務隊だけだった。

 

「特務隊、全隊集結しました」

 

「あぁ、ありがとうジェシカ」

 

 特務隊は全隊合わせて六番隊まで存在する。黒の騎士団の潤沢な資金もあって無頼やサザーランド合わせて、計30機近くあったのだが現在は20ほどになってしまった。ちなみにジェシカたちの侍女隊は少し別枠で配置されている。

 

「こちらの混乱を突いて、ブリタニア軍は攻めてくるだろう。我々は一人でも多くの同士を逃がして将来化けさせるのだ!」

 

「化ける…ですか?」

 

「希望を繋げば願いは化ける!各員、俺に命をくれ…」

 

 無線越しに流れる薫の声に誰一人とて反論や不満はなかった。彼女ならそうしてくれるだろうと誰もが思っていたからだ。

 

 こうしてブラックリベリオンの決死の撤退戦が幕を開ける。

 

ーー

 

「学園地区は膠着状態。前線は藤堂が持ちこたえているが時間の問題か…」

 

「ツァーリが千葉のタンカーを押さえたようです。混乱に乗じて我々で買い取りました」

 

「なら、一度。バラけて千葉の港で合流するしかないな」

 

「はい、損害の大きな三番隊を先行させました」

 

 後方の戦線を特務隊が持ちこたえたお陰で撤退もかなりスムーズに進んでいる。ライや伊丹たちが必死にささえてくれているが長くは持たない。

 

「間もなく夜明けです。ブリタニアの太平洋沖艦隊が到着するまでに逃げなければ…」

 

「分かっている。いつでも出せるようにツァーリには言っておけ」

 

「はい」

 

「さて、ブリタニアもそろそろ詰めてくるだろうな」

 

 白夜叉を先頭に侍女隊の無頼改たちが戦線に突入するのだった。

 

ーー

 

「全軍突撃!反乱軍を一挙に粉砕する!」

 

「死守しろ!なんとしても、ここを崩されれば完全に我が軍は崩壊する!」

 

 藤堂の維持していた戦線もズタボロに破壊され親衛隊たちが薫の元に殺到する。

 

「行くか…」

 

「お供します…」

 

「最後までいさせてください」

 

 白蛇を含む16機のナイトメアがブリタニアの大群を相手に牙を向くのだった。

 

 


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