これにて一期は終了です
「父上、やはり危険なのでは?」
「構わん。この程度の傷、処置をすればなんともないわ」
戦線に復帰したダールトンはグラストンナイツを率いて黒の騎士団の追撃戦に復帰していた。応戦してくる無頼を蹴散らし進撃しているとバートから報告が上がる。
「先見隊が全滅?父上、前方になにかが!」
「む?」
先行していたサザーランド5機が一瞬で潰滅させられた。爆炎から姿を見せたのはあの白い機体。
「白蛇か!」
ナリタにて矛を交わした敵。その恐ろしさはダールトンが一番分かっていた。
「流石だな。撤退路の要所を押さえているとはな…」
ーー
「白蛇さま…親衛隊です。ザッテルブァッフェ装備のグロースターの姿も見えます」
「特務隊が完全に撤退完了するまで30分。ついに来たか…」
「……」
ジェシカや伊丹たちも戦闘体勢に移行する。
「ライくんが居ればな」
「仕方ないさ黒の騎士団を見捨てるわけにもいかない」
ライは四聖剣と合流。黒の騎士団の撤退支援を行っている。それがこちらが黒の騎士団に対してできる最大の支援であった。
「全機、敵を殲滅せよ!」
「承知!」
薫を先頭に親衛隊に切り込みを入れる白蛇隊。薫の十字剣がダールトンのランスと激しくぶつかり火花を上げる。
「父上!」
「アルフレッド、右だ!」
「っ!?」
アルフレッドの側面に接近した伊丹は回転刃刀を振るうがランスで防がれる。
「まず!」
するとすぐさま退く。すると先程、伊丹がいた場所にミサイルが撃ち込まれる。
「このやろう!」
距離が開くと同時に銃を乱射。牽制しつつ再び、切り込みをかける。
「気を付けろ、こいつらは手練れだ!」
「こいつは、ナリタのグロースターか!」
薫はダールトンをパワーで押し倒すと右腕の速射砲で近くにいたサザーランドを蜂の巣にする。
「左は見えるんだよ!」
左腕のチェーンソーを展開。白兵戦を仕掛けてきたサザーランドのコックピットを串刺しにする。倒れたダールトンが振るってきたランスの盾にするとチェーンソーを抜いてサザーランドごと剣で斬る。
「白蛇かなんだろうが!」
「くっ!」
右側から突撃してきたエドガー。右目を失った薫の反応が遅れてしまい分厚い肩アーマーを破壊される。物凄い衝撃が襲いかかり、薫の右眼から血が溢れてくる。
「うらぁ!」
「ぐぅ!」
だが薫も黙ってはいない。そのままエドガーに膝蹴りをお見舞いすると爆発反応装甲を点火。蹴りと爆発の衝撃にグロースターが耐えられずにビルにぶつかりのめりこむ。
「エドガー!」
「おのれ!」
エドガーが倒されたことに怒る、デヴィットとクラウディオ。
「行かせません!」
「白蛇さまの右を守れ!」
ジェシカがデヴィットを押さえバレットがクラウディオのミサイルランチャーを破壊する。他の皆も次々と増援に来るサザーランドたちを抑えるのに手一杯。白蛇への援護は望み薄だった。
「そうか、右が見えていないのだな!」
だがダールトンはあの一撃だけで悟る。奴は右が見えていないと、理由などどうでもいい。それが分かれば十分だ。
「ダールトン将軍!」
「ギルフォード卿。白蛇の弱点は右だ!」
そこに駆けつけてきたのはギルフォード。彼は藤堂を捕縛した後にさらに親衛隊を引き連れて来ていたのだ。
「分かりました」
薫の右から親衛隊たちの援護射撃。十字剣を盾に使って凌ぐが彼女は身動きが取れなくなってしまった。
「このままだと!」
「貰った!」
「まだだ!」
ダールトンのランスが白夜叉のコックピットに突き進む。だがそこにも爆発反応装甲がある。それでランスを弾くと剣を手放してダールトンのグロースターを掴む。
「くっ!」
「くらえぇ!」
薫のチェーンソーがグロースターに突き刺さり駆動系に甚大な損傷を与える。そのせいでグロースターは機能不全を起こして倒れる。
「父上ぇ!」
「白蛇さま、後ろです!」
デヴィットがダールトンの危機を助けるために薫に迫る。彼女は折れてしまったチェーンソーを放棄。ピッケルを取り出すとデヴィットのランスを剥ぎ取る。
「なんだと!?」
得物を失ったがまだミサイルランチャーが残っている。ほぼゼロ距離で放たれたミサイルだったがこれも多重装甲のシールドで防がれ、シールドバッシュで地面に叩きつけられた。
「舐めるな!」
「くっ!」
その瞬間、ギルフォードがランス投擲。彼女の右側を狙った最高のタイミングであった。またしても反応が遅れ、白夜叉の体勢が不安定。これは避けられなかった。
「直撃コースか!?」
腰に吊るしていたMVSを抜くが間に合いそうにない。明確に死を覚悟した時。
「うおぉぉぉぉ!」
その間に白号が割り込むとランスが突き刺さる。
「伊丹!」
「伊丹さん!」
「は…白蛇さ…ま……」
白号はすぐさま爆散し伊丹の死体ごと吹き飛ばす。
「伊丹いぃぃぃぃ!」
長年、連れ添ってきた伊丹の死に絶叫するがそんな暇は戦場では許してくれない。ギルフォードはすぐさま、間合いを詰めるとMVSで斬りかかってくる。
「覚悟!」
「お前がぁ!」
「白蛇、撤退完了よ!すぐに退いて!」
怒り心頭の薫の元にクリミアから通信が入る。だが退くと言ってもこのままでは船まで追撃されてしまう。チャフスモークを撒いてもすぐに補足される。
「太平洋艦隊が到着したら船での脱出は不可能よ!今すぐ撤退して!」
「くっ、全機。撤退だ!チャフスモークを撒きつつ後退しろ、俺が殿を勤める!」
「なりません、白蛇さまは我々の希望。ここで散るべきではありません!我々、侍女隊が殿を勤めます」
「いえ、我々が行います。侍女隊と白蛇さまは退いてください!」
その言葉を放ったのは伊丹の部下である伊坂。伊丹の部隊である一番隊たちは同意の意を示しす。薫と侍女隊を除いてしまえば一番隊はサザーランドが1機と無頼が4機だけ。押し寄せるブリタニア軍に対しては無力とも言える戦力である。
「だが…お前たちは……」
「俺たちがいても、戦力になるのがせいぜい。白蛇さまたちが生き残ればまだ未来は明るいですよ!」
「早く行ってください!」
「これほど、名誉なことがありましょうか!」
「こんな、俺たちにみたいなレジスタンスがなぁ!」
一番隊のみんなは笑っていた。これからの運命なんてどうってことないと言っているように。
「白蛇さま、御武運を。我々はここで死ねることを誇りに思います!」
「……」
薫は静かに涙を飲む。ここで泣けば、彼らの覚悟を無駄にしてしまう気がしたからだ。
「お前たちの覚悟。決して無駄にしない!」
その言葉だけで彼らには充分であった。全員、その場でチャフスモークを展開。薫たちは全力で撤退を開始する。
「伊丹隊長の誇り!あらためてブリタニアに見せつけろ!総員、突撃いぃぃぃぃ!」
「「「うぉぉぉぉぉぉ!」」」
「逃げる気か、逃がすな!」
迫り来るギルフォードたちに一番隊が決死の突撃を敢行する。彼らは薫がトウキョウから脱出するまで最後までその命を輝かせたのだった。
1.5期はしばらく休憩して開始します。
皆様には大変申し訳ありませんがしばらく期間が空くことをご了承ください。