もう少し先の話あたりから薫たちが大暴れします。
「ドローン全機確認、佐山准尉、成瀬准尉、香坂准尉。各機位置を報告して!」
佐山を含む三人組の反乱後。ユーロピア軍から要請を受けwZERO部隊はベラルーシ方面に展開していた。そこにはレイラの要請を受けた薫たちも追随していた。
「戦争じゃ、指揮官が先に死ぬこともあるよな!」
「全機、位置を報告しろ!」
「ジェシカ、以下5名。無事に到着しました」
アレクサンダのような翼を持っていない薫たちはパラシュートで降下。レイラたちとはかなり遅れて地表に降り立つと味方同士の内乱が発生していた。
「日向准尉。彼らは必ず無傷で確保してください!」
「それはどうかな…」
レイラを守るアキトと彼女を襲う三人組。その様子を薫たちは遠くから観戦する。
「これが仮にも正規軍ですか…見るに耐えませんね」
「軍隊といっても愚連隊みたいなものだからな」
止めに入ってもいいのだが敵のど真ん中で弾薬とエネルギーを無駄使いするほどバカでもない。自分達の命の方が圧倒的に大切だからだ。
「白蛇さま…どうされるのですか?」
「静観だ。こちらに害が及ばないのならほっておけ」
味方の暴走に動揺を隠せていない無頼は避難民から志願した志願兵だ。薫の連れてきた部下たちのほとんどはヴァイスヴォルフ城にて戦力拡充に奔走している。ここに連れてきたのはジェシカと柏木だけだ。
サザーランド2機はジェシカと柏木。他の無頼3機は志願兵だ。
「でもさぁ、こっち的にはレイラさんが死ぬのは不味くない?」
「そうだな、少ししたら仲裁してやるか」
「全く…白蛇さまのお手間を取らせるとは…ん?」
「なんだ?」
観戦していたジェシカと薫はスピーカーから聞こえる謎の飛翔音を捉えた。それは間違いなくこちらへと近づいてくる。
「なんです………」
二人が突然、会話を止めたのを疑問に思って振り向いた無頼が吹き飛ぶ。巨大な爆発が彼女たちに襲いかかった。
「敵の砲撃!?」
「柏木、弾道計算!ジェシカ、脱出するぞ!」
「はっ!」
「了解…着弾の間隔から単装砲を何個か用意してるね。飛翔音にロケット推進音がしないなぁ、まさか列車砲…発射音が聞こえないからかなり遠いね」
「情報が漏れていた…確実にな」
列車砲は超射程、高威力の化け物兵器だがその分、巨体で動きはかなり鈍重。しかもかなりの精度でこちらを狙ってきている。降下地点をあらかじめ知られていなければ取れない戦術だ。
「北北西に進めば…着弾範囲から逃れられる」
「レイラ、完全に嵌められた。敵が伏せているだろう、気を付けろよ」
「はい、分かりました!」
形態を変更して逃げるアレクサンダに対して白夜叉たちはランドスピナーで逃げる。長距離移動に関してはランドスピナーに分があるようで薫たちが先陣を切る形になった。
「ブリタニアのナイトメア隊か…」
「砲撃型は任せろ」
「了解した」
薫は十字剣を抜刀。砲撃型のナイトメアを2機同時に切り伏せるとライフルでもう一気を仕留める。残りの1機は柏木の狙撃で沈黙する。対して日向も護衛のサザーランドを1機倒していた。
「すごっ…」
一瞬で4機のナイトメアが破壊されるのを見てユキヤやアヤノは思わず感想を漏らす。
「なにボサッとしてるの。ドローンじゃないんだからさぁ」
柏木は後ろにいた二人を横目にさらに奥にいたサザーランドを一撃で沈黙させる。狙撃用にカスタムしていないサザーランドでもこの腕前、彼女は完全にベテランのスナイパーとなっていた。
「白蛇さまぁ。どうするの?」
「敵の策に乗るしかないだろうな。その上で突破する」
敵の作戦が想像以上に用意周到だった。ここからなにか出来るならそうしたいがどうもならないだろう。
「白蛇さま。前方に市街地が見えます」
「なるほど、あそこがコロシアムというわけか…」
スロニムの市街地に到達した部隊は市街地の各地に展開する。だがそこは市街地にしては静かすぎた。
「やべぇな。嫌な雰囲気だ」
「面白くなりそうだよ」
「ユキヤがそう言う時ってろくな事がないんだよ」
閑散とした市街地には人の痕跡はあるが人の姿は見当たらない。
「白蛇さま…」
「あぁ、分かってる」
ジェシカは静かに回転刃刀を抜いて起動させる。それと同時に薫の上からグロースターソードマンが奇襲をかける。
「人間の死角である上からの攻撃…王道過ぎる!」
「同じく、後方一機!」
グロースターからの攻撃を防いだ薫はそのまま回し蹴りで蹴り飛ばす。ジェシカも鍔迫り合いから刀身を滑らせてそのまま左腕を奪う。
「なんだ、こいつらユーロピア軍じゃない!?」
「この機体。まさかエリア11の黒の騎士団か!」
同時に襲いかかったクザンとフランツは白い機体にマーキングされた蛇のマークを見つける。
「くそ、こんなところにナンバー2が居るとはな!」
フランツは薫と激しくぶつかるが押し負ける。明らかに重そうな剣を扱っているのに手数だ押し負けてしまう。同じくクザンもいきなり左腕を奪われしまい押される。
「くそっ、パワーが上がらん!」
薫は白夜叉の不調に悩まされていた。この機体のウリであるパワーが上がらないのだ。グロースター並みのパワーは発揮できるが分厚い装甲と重い剣のおかげで思うように動かない。
そのうえ、ブレインレイドシステム使用による操作の違和感を拭えずに苦戦していた。
「白蛇さん!」
「なんだ!」
「こちらのドローンは壊滅しました。増援を送れませんか!?」
「ちっ、柏木!」
「はい?」
「齋藤と高橋を連れていけ!」
「了解ぃ」
レイラの要請に対してすぐに対応するとブレインレイドに慣れることに集中する。まさか、実戦でこんなに違和感を感じるとは思わなかった。
「機体の動きが一歩、早い!」
せめてこの重い十字剣がパワー不足で重荷になっている。なんとか…。
「そうか!?」
十字剣で敵の攻撃を防ぐと腰のピッケルに手を伸ばして掴む。相手の攻撃に合わせて振るう。
(一拍…遅く……)
ピッケルの先端がグロースターソードマンのヒートソード鍔を引っ掛ける。
「よっしゃあ!」
「なに!?」
剣を上空に弾き飛ばして受けとる。よし、この軽さなら問題ない。受け取った瞬間の行動は速かった、一瞬のうちに右腕と両足を切り飛ばしてコックピットを狙おうとするが脱出される。
「あぁ、逃げられた」
「ヒヤヒヤしました。お気をつけください…」
「すまんな、ジェシカ」
ブレインレイドシステム。ユニコーンのNT-Dと考えは似ていると思うんだが…いや、体に機械を埋め込んでるからサイコ・ザクのリユース・サイコ・デバイスの方が近いかもしれないな。
「白蛇さまぁ」
「どうした柏木?」
「なんか大変な事になってますよ。全員が暴走中です」
「なに?」
高層マンションに位置取りをしていた柏木は市街地の中で大暴れする4機のアレクサンダを見つめていた。無線ではシネシネとしか言ってなく思考能力の低下を懸念する。
「まるでバーサーカーだねぇ」
「柏木、齋藤、高橋。4機の映像を保存しておけ。後で解析するぞ」
「「「了解!」」」
明らかに頭のおかしい機動をしている4機。レイラや薫たちを置き去りにして四人は暴走を続けるのだった。
ーー
「なるほどな、ブレインレイドシステムを通して暴走してるなら納得だ」
「しかし白蛇さまにはなんの影響も…」
白夜叉に搭載されているブレインレイドは純正ではない。機体の反応速度を上げるためだけにつけられた真に戦闘用のブレインレイドなのだ。
だからこそ意識の共有し暴走という事態に薫が陥ってないのだ。
「ジェシカはアヤノの援護を俺はリョウの援護に回る。柏木、お前はユキヤの援護だ」
「え?」
「しかし?」
人ならざる力というのは大抵大きな反動が起きるもんだ。
「いいから、やれ!」
データリンクで場所を確認して現場に急行する。駆けつけてみれば案の定。棒立ちのアレクサンダが目の前で攻撃を受けている。
機体が破壊される前にグロースターを攻撃して追い払うとジェシカと柏木も敵を破壊してなんとな機体の大破は避けれた。
「無事か?」
「すまねぇ」
「白蛇さま、南南西からナイトメア2機。金と銀のナイトメアが来てますよ。金の方は四足歩行…齋藤、後ろだ!」
「なに!?」
柏木の警告と同時に建物を飛び越えてきた金のナイトメアが大斧を振り回して無頼を真っ二つに切り裂く。
「齋藤!?」
動揺した高橋に銀のナイトメアが攻撃を加え悲鳴をあげられずに無事が破壊される。
「齋藤、高橋…くそ!」
「白蛇さま、右!」
「っ!?」
横合いからの攻撃、柏木から報告のあった銀のナイトメア。
「ヒュウガ様には近づけない!」
「新型か!?」
ライフルを撃ちながら抜刀。剣を抜いたかと思えば腕が延びてこちらに飛んでくる。
「紅蓮と同じ!?」
まさかの隠し機能に対応できず左腕の肘から先を失う。押されて冷や汗をかく薫だがその瞬間。銀のナイトメア《グラックス》のライフルが狙撃によって破壊される。
「くっ、スナイパーか!」
「柏木!」
「純白ちゃんの為にも殺させるわけにはいかないでしょうよぉ!」
「白蛇さま!」
建物の物陰から強襲するジェシカ。彼女はジャンと激しくぶつかりながら白夜叉を守る。先ほどの戦闘で白夜叉の間接は予想以上に摩耗していた。
分厚い装甲による重さとブレインレイドによる過敏な反応に機体が悲鳴をあげていた。
「この機体はもう駄目か…」
薫、自身もこの時点で白夜叉の限界を感じてしまっていた。
その後、敵の指揮官は撤退。ユーロピア軍の増援と合流しワルシャワの補給基地へと撤退を完了するのだった。
ーー
「ん、なんだ?」
その頃、ヴァイスヴォルフ城にて侍従隊の指揮を任されていたバレットは城に訪れていたユーピア兵たちに注目する。
「どうした、バレット?」
「いやぁ、随分若手の将校ばかりだな」
「良い顔ぶれだな…」
「お前なぁ…」
バレットは意味ありげに紅い目を細める侍従隊の仲間にあきれた視線を向ける。すると若手の将校たちは二人の元に近づくと話しかけてきた。
「申し訳ありません。スマイラス将軍の特使として参りました桐原さまはどちらに居られますか」
「あぁ…それなら案内しますよ。零子が」
「私か!?」
「俺は今から地下に潜らなきゃならねぇ。できるよな?」
「分かったよぉ…」
用事を押し付けられた零子は少し嫌そうにしながらも案内を始める。
「どうぞ、桐原さまと白蛇さまの執務室は同じですので」
「ありがとうございます」
サザーランド改(ジェシカ機)
サザーランドに無頼改の武装をそのまま引き継いだ機体。接近戦用に各部に追加装甲が施されている。
サザーランド改(柏木機)
ヴァリス装備のサザーランド。基本的にはサザーランドとあまり変わらない。
白夜叉(中破)
内蔵武装の全てを喪失し性能も半減している。グロースター並みの戦闘能力は発揮できるが本来の性能とは程遠い。新型機の開発のために最低限の修理しか行われなかった。
ブレインレイドシステムを実験的につけられ反応速度は通称より高い。
箸休め話のアンケート。幻のストーリーを見せちゃいます!皆さまのおかげでここまで来れた訳ですがこれまでの話でボツになった話をお見せします!ちなみに本編のお相手はミレイですが他のキャラのルートもしっかりありました。そのままお蔵にするのは勿体ないので公開するためのアンケートを取ります!
-
王道のルルーシュ√
-
手堅くスザク√
-
みんな大好きライ√
-
え!?まさかのC.C√
-
いや!全部見せろ!