ユーロピア軍本部、地下倉庫。
「これが本当に田舎の基地にあったのか?」
「あぁ、だが操作系が過敏で動かせないんだよコイツら」
「整備班が手を焼いてるよ」
地下に並べられた5機の新型ナイトメアが並べられていた。通常より巨大なこの機体たちが立ち並ぶ姿は実に圧巻とも言える。
「駄目です。主要なシステムは強固なブロックが掛けられています。無理に抉じ開ければOSが消える可能性が」
「くそっ、イレブン風情がこんなものを作りやがって」
白夜そして清白はブリタニアの最強軍。コーネリア率いる軍と死線を交わした薫たち用にセッティングされた機体。ナイトメアの操縦どころか実戦馴れしていないユーロピア軍にはこの時には過ぎた代物であった。
ーー
「一仕事の後の酒は染みるねぇ」
「ぴちぴちの使用人も増えたしねぇ」
「……」
ワルシャワ。基地から閉め出されてしまった薫たちは老婆たちにたかられ、捕まっていた。
「はく…」
「ここでは薫と呼べ。そっちの方がいい」
「はい」
完全に使用人と化した薫たちは早速、雑務を渡されそれをこなしていく。
「スカートなんて久しぶりに履いた気がするな」
「薫は男みたいな格好しかしないもんね」
「まぁ、色々あるのさ…」
一緒に机を拭いていたアヤノは笑みを浮かべながらこちらを見てくる。買った私服も洗濯に回されてしまい老婆たちのお古のドレスを着させられていた。
「それにしても薫って背、すごく高いよね」
「まぁな、それなりだと自負している」
アヤノから見れば175の身長はかなり大きいだろう。
「あんた手際がいいねぇ」
「小さい頃から自分でやるしかなかったからね。まぁ、あれを見せられると困るけど…」
料理を作っていたユキヤの視線の先。ジェシカが目にも止まらぬ速度で野菜やらなんやらを捌いていく。
「ジェシカは元々、屋敷のメイドだからね。向こうは本職だよ」
「それもありますが。私、僭越ながらシャングリヤのシェフをしていましたので」
「え!?あの高級ホテルの!」
「そりゃ勝てないわ」
「誰でも決して負けない物の1つあるものです」
「きゃあ!」
ジェシカの話に感服する一同の後ろ。そこから悲鳴が上がると思えばなにかが割れた音がした。
「まさか…」
そこにはサラダをぶちまけたレイラの姿が。
「やっちゃった…アヤノ?」
「いい!レイラは料理に触らないで!」
「典型的な箱入り娘ですね…」
ーー
「おまえ、それ2ケースももてるのか!」
「あぁ、持てるが?」
「マジかよ…」
ワインは1ダース15kg、2つで30kg。それを軽々と持ち上げた薫に唖然とするリョウ。彼でも1ケースでやっとだと言うのにそれを二つ、軽々と持ち上げられた。
「つくづく、あんたは規格外だな」
「戦ってりゃ、嫌でもつくさ…」
ーーーー
ひょんな事から始まった共同生活。一見、流されただけに見えた薫にもこの共同生活はメリットのあるものだった。
「白蛇さま…」
「ツァーリか?」
みんなが寝静まった夜。薫は一人で月夜を眺めていると侍従隊、諜報班(第五班)の長であるツァーリが静かに現れる。
「基地に居られず焦りましたがむしろここの方がちょうどいいかもしれませんね」
「そうだな。それより、報告を…」
「はっ、敵の目が分からないので城内部には入れませんでしたが戦闘があったのは間違いありません。それと清白と白夜の計4機が運ばれていきました」
諜報のためにユーロピア各地を点々としていたツァーリたちはユーロピアの襲撃を受けずにいた。だが肝心のヴァイスヴォルフ城には近づけずに二の足を踏んでいた。
「城自体は静かなものです。まるで戦闘がなかったのように基地要員たちも動いています。特に目立った動きや通信はありませんでした」
「襲撃はかなり前だ。レイラの耳に届いていないとなると」
「口止めされている可能性が高いですが。基地のメンバーたちの落ち着きも気になります」
「実戦馴れしている奴等じゃない。関係ない奴でも死体を見つければ騒ぎになる」
「我々も駆けつけるのが遅くなりましたから。騒ぎがあったかはわかりません」
老婆たちのキャンプはユーロピアたちも知らない存在。当然ながら薫たちがここにいるとは向こうは思ってもないだろう。
「引き続き情報収集を行います」
「頼む」
すると影に隠れて居なくなるツァーリ。
「ふぅ…」
静かに息を吐く薫の顔は怒りに満ちていた。
「どうした?」
「いや…自分の無能を改めて痛感したところさ」
真っ暗な森の中、薫の後ろに現れたのはリョウだった。彼は不思議そうにこちらに歩み寄ってきた。
「そうか…大変だなアンタも」
「そうさ、だが俺より苦労してるやつなんていくらでもいるさ。俺はそいつらに付いていくだけで……?」
改めてリョウの方を見ると薫は言葉を失う。彼が時間が止まったかのように制止しているのだ。
「これは…あのときの!」
《そうだ。やっと見つけたぞ…パッシング》
「パッシング?」
時間が止まった空間、そこの目の前には短髪の少女が見つめていた。
「この雰囲気…まさかC.Cと同類の!」
《否、アレと同じにされては困る。我々は時空を管理するもの…故にパッシング…お前を捜していた》
「パッシングは俺のことのようだな…」
《そうだ、時空をすり抜けし者。心当たりがあるだろう?》
「……」
あるだろう?…心当たりしかありません。と言うより今の憑依状態のことだよね!ちょっと忘れてたけど完全に現在の状況の事だよね!
《我々がブライスガルの件で騒がしくしているうちにすり抜けてしまったイレギュラー。音沙汰もなく放置していたがこんなところで目を覚ますとはな…》
「なるほど、分かっていたけど俺はイレギュラーか」
《そうだ…だがお前が何をしようと何を成そうと我々は興味がない。故に我々がお前をどうするかなどはない》
「でも出てきたと言うことは何かあるんだろ?」
踏んでいたとか完全にC.Cとかと思ってたけどアイツ以上にそこが見えない。これ本当にC.Cより遥かにヤバイやつなんじゃ…。
《そうだ、我々の依頼者は信用ならない。一度、やつは我々を謀った》
「謀った?」
《ジィーン・スマイラス。奴よりは見込みがあるだろう…》
「奴が…お前の依頼者?そして俺に何を求める?」
《この世界にはギアスが多すぎる…そしてこの世界に楔を打ち込もうとする奴等がいる。それを排除しろ》
「ギアスがユーザーの排除となんだ?」
《いずれお前は相対するだろう。必ず殺せ…しかし期限は決めん、無法なギアスは排除しなければならん。我々はシン・ヒュウガ・シャイングの抹殺を望む》
「シン・ヒュウガ・シャイング?」
ヒュウガという言葉にひっかかりを覚える…まさかアキトの関係者。そういえば、柏木から報告のあった金色のナイトメアはアキトの兄が乗っていたとレイラが言っていた。
「確約はしないが意識はする。俺だってギアスユーザーが沢山居たらうざいからな。だが俺にメリットがあるのか?ただの使い捨てか?」
《我々はギアスの名に置いて契約を交わす。お前は何を望む?》
「……」
正直なところ、報酬なんて最初から思い付いていた。この聞き方は向こうも承知の上で言ってきているんだろう。
「俺の全ての記憶を…生まれてから憑依するまでの記憶を取り戻したい」
《ここに契約は交わされた。これはサービスだ受けとれ…》
「なっ!?」
そこで薫の意識が突然奪われたのだった。
次回はついにコードギアスの世界の薫の過去編①です!
箸休め話のアンケート。幻のストーリーを見せちゃいます!皆さまのおかげでここまで来れた訳ですがこれまでの話でボツになった話をお見せします!ちなみに本編のお相手はミレイですが他のキャラのルートもしっかりありました。そのままお蔵にするのは勿体ないので公開するためのアンケートを取ります!
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王道のルルーシュ√
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手堅くスザク√
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みんな大好きライ√
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え!?まさかのC.C√
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いや!全部見せろ!