C.C編の薫の設定
顔の左側に大きな火傷の痕を残した少女。左目は失明し光を失っている。人工皮膚を移植しているが日ごとに張り替えなければならない、なので普段人工皮膚の有無に限らず顔の左側は普段は髪の毛で隠している。
綺麗な黒髪を持っているがブリタニア人とのハーフ。
C.Cからギアスを貰ったが能力は《絶対遵守》ではなく《完全偽装》
ギアス発動時、薫は他人に自分とは違う人間だと認識させる。(つまり変装)彼女のルルーシュの代わりとなると言う願いが発現した結果、発動したギアス。
「全く、お前はバカだな」
「返す言葉もございません」
行政特区日本におけるゼロに対する襲撃事件。それを景気に日本はブリタニアの支配に対して完全に半期を翻し決起した。後の《ブラックリベリオン》である。
その中心人物であるゼロこと佐脇薫は旗艦であるG-1ベースにて休養を取っていた。
「いくら防弾チョッキを来ていたとはいえあれだけ銃弾を浴びれば死んでいたぞ。よく死ななかったものだ」
「正直、あれだけ撃たれるなんて思ってもなかった」
「バカめ」
「はい…」
指揮官であるゼロの部屋の中。そのソファでは膝枕をされた薫がC.Cに優しく撫でられていた。
「そう言う役目は私がすれば良いんだ。私は死なないからな」
「でも痛いだろ?そんなことさせられないよ」
「………」
「痛っ!?」
静かに小突かれた薫は小さな悲鳴を上げる。
行政特区日本政策。これはユーフェミアがスザクの事を思い立案した政策だったがそれは薫の作り上げた黒の騎士団を追い込む行為だった。
「ブリタニアの警備無線に偽装情報を流して混乱させゼロを民衆の前で撃たせる。これで日本は決起する…素晴らしく上手く行ったな」
「ユーフェミアがゼロに撃たれたなんて信じるからこうなるのさ。おかげでシナリオ通りに事を進められる」
ルルーシュならどうしただろうと思うが今さら言っても仕方がない。もう黒の騎士団は俺の組織だ、C.Cもルルーシュとは接触していないしこれで完全にストーリーは変わっているはず。
「なぜお前はそこまでやる?お前個人はルルーシュたちとは関係ないだろう?」
「だろうな。最悪、他人さ…でもナナリーとルルーシュが自然に笑っていられるのって幸せじゃないかなっと思っただけさ」
薫の事情をすべて知っているC.Cにとっては彼女の行動には疑問を覚えてしまう。赤の他人にこれほどまで命を賭けられるのはこいつぐらいだろう。
「私は他人のために全てを捧げるといった人間を信用しない…」
「普通しないさ。俺でも自分が理解できないからな」
「だがお前が言うと不思議と納得してしまうのは何故だろうな…」
「C.Cってそんなキャラだったけ…イテッ!」
ーー
「ゼロぉぉ!」
「スザク、ここまで来ても邪魔するか!」
ブラックリベリオンも佳境に入ろうとした時。怒り狂ったスザクの刃が薫のガウェインに迫る。
「なぜユフィを殺した!」
「………」
「このぉぉ!」
ブリタニアサイドの中でゼロの正体を唯一知っていたユーフェミアの存在は薫、いやその繋がりであるルルーシュに危害が及ぶ可能性がある。
(殺すしかなかったんだよ…)
現状はランスロットとガウェインの一騎討ち。どちらもフロートシステムを装備している最新鋭機体だが実験的な意味合いが強いガウェインと実践的な意味合いが強いランスロット。両者の戦闘能力はパイロットの技量含めて薫が不利であった。
「C.C、12ストリートに出ろ!」
「お前、私の扱いが雑になってないか!」
「ランスロットのフロートさえ破壊できればカレンに任せられる!」
現状、スザクに対抗できるのはカレンの紅蓮だけだ。
「ハドロン砲を囮にしてスラッシュハーケンで叩き落とす!」
接近してくるランスロットを振り向き様のハドロンで牽制だがスザクはハドロンの隙間から接近してくる。
さらに指ハーケンで狙うがMSVで叩き落とされる。
「逃げ道を塞いでも無理とかふざけるな!」
「回避するぞ!」
スザクの攻撃をなんとか避けるが右のハドロン砲の砲身カバーが破壊される。
「砲は無事だ!」
続けざまにハドロン砲を放つがそれは牽制、本命は倒れるビル。
「王手だ、スザク」
「くそっ、ゼロぉぉ!」
降り注ぐ瓦礫は流石にスザクでも避けられずにフロートユニットに被弾、墜落する。
「よし、カレンを呼べ。俺たちはカレンの後方支援に徹する!」
「っ!しまった、ルルーシュとナナリーが」
「どうした?」
「連れていかれた…」
スザクを落としたことでひと安心した薫だったがC.Cの言葉で頭が真っ白になる。
「どこに?」
「神根島だ」
「忌々しい場所に」
どうする。ここでルルーシュとナナリーの救出に行かなければ二人がブリタニアに連れ去られる。だがゼロである俺がこの場を離れれば戦線が崩壊する。
だからと言ってブリタニア人である二人を黒の騎士団たちに助けさせる訳にはいかない。
「C.C。コーネリアに俺が神根島に逃げたとリーク出来るか?」
「無線を流せば可能だろう。まさか」
「ユーフェミアを殺したゼロをコーネリアはなんとしても殺したい筈だ。必ず釣れる」
「無茶だ。ルルーシュたちを助けても囲まれるぞ」
「スピード勝負だな」
「全く…お前は言ったら聞かないのは直らないな!」
「すまん」
ーーーー
神根島上空。そこではガウェインとフロートユニットを装着したコーネリアのグロースターが交戦していた。
「ユフィの仇いぃぃぃ!」
「まさかフロートユニットで来るとは!?」
「ハドロン砲もあと一発しか!」
怒髪昇天と言わんばかりのコーネリアの気迫に追い詰められる。長距離移動とランスロットとの戦闘でのエナジー消費にガウェインのエナジーは底を尽きかけていた。
「俺が足止めする。お前はルルーシュを助けられるか?」
「私がか?」
「お前ぐらいにしか頼めない!」
指ハーケンで牽制しつつも時間を稼ぐ。だがコーネリアは復讐の鬼と化していた。その動きは苛烈で殺意に満ちていた。
「……いや、私が相手をする」
「C.C!?」
「お前はもう少し私を上手く使う事を覚えるんだな」
「……」
「分かっているだろ?ここは私がガウェインを預かる」
「すまん…」
「…それでいいんだ」
C.Cの呟きと共にガウェインのハドロンが海を蒸発させ周囲に水蒸気を発生させる。
「おのれ、卑怯者め!」
「勝てよ薫。ここまで来れたのはお前の力だ。それを自覚しろよ」
C.Cに優しく抱きつかれそれを受け止める薫。二人は静かに離れるとガウェインを神根島に降ろす。
「キスはしてくれないんだな」
「帰ってきたらもっと先まで世話してやる」
「それは遠慮します」
「おや、お前は喜んでいたじゃないか♪」
「別れ際にする話じゃないよね!?」
緊張があるのかないのか分からないがお互いに笑みを浮かべて向かい合う。そうしているうちにガウェインから薫が降り、仮面を着ける。
「じゃあ、またな」
「あぁ…」
ーー
「早く君を逮捕すべきだったよ」
「気づいていたのか?」
「最初はルルーシュじゃないかって思ってたけどね。君はこんな事をするなんてね薫。君は僕だけじゃない、ルルーシュやナナリーにも嘘をついたんだよ」
仮面が砕かれ薫の悲壮な顔が露になる。顔の火傷の痕は醜くそして恐怖すら感じさせれるものだった。
「あぁ、だがその二人が拐われた。恐らく、ブリタニアによって」
「なに?」
「この際だ、手を貸してくれスザク。二人を助けられるのはもう俺たちしかいないんだ」
「甘えるな。その前に手を組むべきはユフィだった。あんな、騙し討ちみたいな事をして!」
「手を組んでなにになる?ブリタニアの支配であることは変わらない!今までさんざん虐殺しておいて何が和平だ!上から目線の慈悲なんていらない!」
「ユフィは本当に日本人の事を考えて!」
「知ったことか!どれだけ取り繕おうが所詮は上からの嘲笑でしかない。与えると言う発想自体が傲慢であると知れ!」
ユーフェミアがどれだけの聖女であろうとこっちからしてみれば敵だ。
「どけスザク。邪魔するならお前を倒してでもルルーシュとナナリーを助ける!」
「お前には無理だ!力でしか道を作れないお前には!」
「スザク!」
「カオル!」