そしてやっと書けて良かったです…
魔王再誕
エリア11トウキョウ租界外縁に建設されたバベルタワーでは黒の騎士団残存軍によるゼロ奪還作戦が行われ結果として成功を納めた。
エリア11を納めるカラレス総督を引きずり出し計画は順調に進んでいた。
「こちらB2、敵のナイトメアが一機で…」
「そんな、さっきまで…」
「B2?なんだ、敵はIFFを外しているのか。しかも単独行動」
「ゼロ、こちらP6敵が…敵が!」
「P6?」
かつてのシンジュクゲットーにおけるランスロットを彷彿とさせる状況にルルーシュは僅かな焦燥を覚える。
「こちらR5、R1がやられて…」
「不味い、このままではこちらに」
「P2P3は物資搬入用エレベーターの警戒に回れ、敵機を確認したら即座に攻撃を」
「「了解!」」
敵が最短で来ると仮定して即座に防衛網を構成するライの手腕にルルーシュは内心関心する。
(流石は薫の右腕だな。状況把握はずば抜けている)
「ゼロ、ひとまずアンタだけでも逃げてくれ。元々、我らが陽動、捨て石の作戦だならば」
「違うな、間違っているぞ卜部。切り捨てると言う発想だけではブリタニアには勝てない」
卜部の言葉に対しルルーシュが放った言葉はその場にいた三人の心に刺さる。
(集中しろ)
ライの蒼月はカレンの紅蓮に輻射波動を渡したお陰で卜部の月下と大差ない。
右手の回転刃刀とサザーランドの腕を移植した左手にはアサルトライフルが握られている。
カレンと違い輻射波動に頼らない戦いかたが出来るライは問題ないがいかんせん左のサザーランドの腕が調子が悪い。
「ライ、大丈夫?」
「うん、ありがとうカレン」
「確認しました。ランスロットを元にした量産用試作機かと」
二人が話していると先行していた二機から通信が入る。
「……え?消えた!なんでこっちに!」
攻撃を開始しようとした矢先、P2P3の悲鳴が聞こえると思えば無線が途絶する。
「CCそちらのフロアはまだ終わらないのか!」
「なにを慌てている。そっちにはカレンと卜部、ライまでいるだろ?」
CCの返事とともに金色の塗装を施したランスロットに酷似した機体が現れる。
「こいつかイレギュラーは!?」
「近接戦闘ならこっちが上だ!」
反応が遅れるルルーシュに対しカレンと卜部は接近戦を行うために突撃を慣行する。
対してヴィンセントはSMVSを抜き接近戦に備える。
対してライはカレンたちの突撃にあわせて掩護射撃を加える。
カレンと卜部の一撃が当たろうとした瞬間、その機体は消えライとルルーシュの間に立っていた。
「なっ!」
「神速」
「これは!」
その瞬間、ライは神根島にいた刺客をふと思い出す。
ルルーシュはヴィンセントに向けて射撃するがまた消えたと思えば後ろに姿を現す。
「やっぱり!」
だかその間にライが割って入りヴィンセントの一撃を回転刃刀で受け止めアサルトライフルで迎撃する。
「惑わされないで!奴は必ず死角から攻撃しようとするはず」
そういいながらもライはたびたび消えるヴィンセントと対等に渡り合う。
「そこ!」
ライは回転刃刀を空振ってしまい、大きな隙が出来る。
「っ!」
「ライ!」
ライの背後に回るヴィンセントだがそこには輻射波動を構えた紅蓮の姿があった。
「助かった!」
「それは良かった!」
「準備が整ったぞ」
「三人とも、助かった」
CCの言葉とともにルルーシュは手元のスイッチを押すとバベルタワーに仕掛けられた爆弾を起動。
崩れ落ちるバベルタワーの下敷きになったカラレスを見届けながらルルーシュたちは脱出したのだった。
「私はゼロ」
そして始まるゼロの演説。
「日本人よ!私は帰ってきた!」
「薫…」
ゼロの演説を聞いていたミレイは愛しい彼女の名を呟く。
「聞け!ブリタニアよ、かつ目せよ!力を持つすべての者達よ!私は悲しい…。戦争と差別。振りかざされる強者の悪意。間違ったまま垂れ流される、悲劇と喜劇。世界は、何ひとつ、変わっていない。だから、私は復活せねばならなかった。強きものが弱きものを虐げ続ける限り、私は抗い続ける!まずは愚かなるカラレス総督にたった今、天誅を下した!」
「おやおや。いきなりやってくれるね、イレブンの王様は…なあ、スザク」
ナイトオブラウンズが拠点とする施設に奇跡的に全員が揃ってその演説を聞く。
飄々とするジノがスザクに構うのを横目にモニカはひどく冷静にテレビを見つめるシュンに視線を移す。
「なあ。死んだんだろ?ゼロは」
「ああ」
「じゃあ偽物か?どちらにしても、総領事館に突入すれば…」
「重大なルール違反だ。国際問題になるぞ」
「ゼロを名乗っている以上、皇族殺しだ。EUとの戦いも大事だけどさ」
「どっちもアリ地獄」
「私は戦う。間違った力を行使するすべての者たちと、故に!私は ここに合衆国日本の建国をふたたび宣言する!」
「白蛇様!」
「ゼロ…そうか日本で奪還したか」
真白を抱っこしながら紅茶で一息ついていた薫は楽しそうにジェシカが持ってきたパソコンを見つめる。
元気そうに演説をするゼロを見てふと疑問に思う。
「なんか身長低くね?」
「この瞬間より、この部屋が合衆国日本の最初の領土となる。人種も主義も宗教もとわない。国民たる資格はただ一つ。正義を行うことだ!」