日本にてルルーシュたちが行った人質救出作戦成功後にツァーリたちが黒の騎士団と合流を果たし、ようやく彼らとの通信手段を確保したのだった。
「薫、無事で何よりだ」
「あぁ、元に戻って嬉しいよルルーシュ」
黒の騎士団は仲間の救出成功に沸き立つ間に個室に移動したルルーシュが仮面を外してお互いの無事を喜んだ。
記憶の書き換えなどはあるが生徒会のメンバーも無事であることを確認した薫も安心して席に深く座る。
すると話の内容は自然と現状報告になっていく。
「中華連邦に避難したディートハルトたちとも連絡は取れた。ナイトメアの調達も可能だろうが…新総督次第だな。俺はまだ正体を知られるわけにはいかないからな」
「そうだな、そのロロと言うヤツは大丈夫なのか?ギアスは使ってないんだろう?」
「もしもの時のために温存しておきたいと言うのもあるが現状、問題はない。それよりEUの戦力は?」
「全軍を動かすと流石にブリタニアにバレるな。規模が大きくなりすぎた。失敗したな」
「いや、現状、整えるだけ整えてくれたんだ。感謝している。ならこちらの状況が安定するまで動かせないか」
「あぁ、ツァーリか私に言ってくれればこちらである程度の物資は融通する。」
正直、ルルーシュも今後の騎士団の運営方針に対して決めかねていた。
ナナリーの件がある以上、大々的に動けない、とにかくナナリーの安否の確認、その奪還を主目的としつつ動いていくしかない。
「ナナリーの件だが…」
「ブリタニアが報道までして正式に生存を確認したんだ。そうそう殺せまい。報道以外の情報はこちらも無くてな。皇族とはいえ未成年者の情報は規制されてるんだ」
かつてのユーフェミアもその情報規制でブリタニア軍人すら顔を知らなかったレベルである。外部から探ろうとしても中々厳しいのが現状であった。
(スザクが居るから大丈夫だと思いたい…)
個人的な願望に近いものだがスザクを信じたいと言う気持ちはある。転生してから彼の人となりは知っているがそれ以上に彼を信じたがっている所がどこかにあるのだ。
「今後の方針だが…」
ルルーシュの話を聴きながら紅茶を楽しむ薫であった。
ーー
「…」
中華連邦某所、そこの研究所の中心部で報告書に目を通していたV.V.はとある人物について調査を進めていた。
書類と共に添えられた写真にはアッシュフォード学園の制服を着たカオルの姿が写っていた。
ロロの報告によりギアスの無効化の可能性がある人物として挙げられた彼女。サンクトペテルブルクでの戦闘を得たロロからの証言と部屋に備えられた監視カメラの映像でそれは明らかとなった。
「コードの持ち主では無さそうだけどね」
ギアスは超常的な物であり《王の力》と称されるように絶対と言っても差し支えない力を発揮するものである。そんなギアスを無力化出来る存在と言えばV.V.やC.C.のようなコードユーザーかそれに対抗しうるギアスユーザーだけである。
だがギアスユーザーだとしてもギアスを無力化出来るとは限らない。現在研究を進めているギアスキャンセラーを発言したギアスユーザーなら納得できるがギアスにも相性がある。
ロロの絶対停止のギアスが無力化されたのならそれに対抗しうるギアス能力を発現していなければおかしい。
当初は彼女も絶対停止のギアス保有者でお互いが停止して当人たちの認識上では無力化されたのではないかと思われたが監視カメラの映像を確認した所そんな様子はない。
現状の資料では彼女がコードユーザーのようにギアスが効かない体質であることを示している。
「新たなコードユーザーなのかな?」
彼女がコードユーザーであるならばおかしな点がひとつある。それは彼女の右目の欠損が回復していないことだ。
行政特区事件の際にユーフェミアから受けた銃撃で失くした右目はいまだに義眼だと言う。
コードユーザーならばCの世界で構築された体と欠損部を入れ換えて何事もなかったかのように過ごしているはず。
彼女の家は日本の時から移住していたブリタニア人の事業家であった。エリア11平定後も中流企業として活動していたが彼女が中学校2年生の頃、ブリタニアに対するイレブンのテロにより両親ともに死別。
両親が運営していた会社も乗っ取られ遺産を抱えて転居。一人暮らしでささやかに暮らしていた。
だがアッシュフォード学園、入学直前にイバラキゲットー付近でブリタニア軍の《名目上》作戦行動に巻き込まれた際にイバラキゲットーに潜伏していたテログループと共闘し、以後《白蛇》と言う名で対ブリタニア戦争に身を投じることとなる。
その戦闘に参加していたのはブリタニア軍だけではなく、イバラキ基地指令と密かに商売をしていたカオルの両親の会社を乗っ取った役員たちも新兵器の臨床試験に立ち会っていた。
だがブリタニア軍の戦線崩壊により戦局の混乱の最中、その役員たちは全員の死亡が確認されている。
なので報道ではテロ活動を行ったグループを鎮圧するために軍が出動したものの多数の被害が出たと報じられた。
そんな中にカオルが巻き込まれていたのは偶然と言うには出来すぎであった。
おそらく彼女は復讐を果たしたのだろう。だがそれからなぜ両親の仇であるテロ行為をしていたグループの指導者となり反ブリタニア活動を開始したのか、交流のないはずのルルーシュを同志として活動していくことになったのかは不明である。
「ルルーシュが手元にある時に聴いておくべきだったね」
V.V.は少しだけ後悔を感じるが仕方ない。なら本人に直接聴けば良いだけのことだ。
V.V.はそう思うと部下を呼び簡単に指示を出すと見ていた資料を置いて研究に意識を戻すのだった。