「薫…」
激しく動揺したルルーシュ、ナナリーがエリア11の新総督として赴任すると言う情報を得た薫自身も動揺するも必死に抑え込む。
今はルルーシュを落ち着かせるのが優先だと判断したからだ。
「確かに公的にはナナリーと私たちは敵となった」
「薫!」
「公的にはだ」
ナナリーが敵と言うのはルルーシュにとっては耐え難い事実であり、あり得ない話だ。それは薫も承知しているがこればかりは言っておかないといけない。
「だが私たちの方針は変わらない。ナナリーが幸せに暮らせる世界を創る。そうだろ?」
「そうだ…」
「なら方針を決めよう。私たちは組織のトップ層なんだから」
公的な大義と私的な目的を満たせるような作戦と大義名分を作らねば。
ーー
「まさか太平洋上で移送中に襲うとはな」
「白蛇様、用意整いました。残念ながら通常のナイトメアのため移送できるのは4機かと」
ヴァイスヴォルフ城でパイロットスーツを着こんだ薫はジェシカからの報告を受け頷く。
「ジェシカはツァーリと共に残存部隊の統括をバレット、零子、弥生は私と共にナナリー救出作戦に参加する」
呼ばれた3人は敬礼すると積み込まれるナイトメアに搭乗する。
「レイラの置き土産のおかげで間に合う。ジェシカ、純白を頼んだぞ」
「はい、お任せください」
「純白、行ってくるよ」
最後に薫はジェシカに抱かれた純白のおでこにキスをすると愛機のもとへと向かう。
「ご無事で…」
ーー
「白蛇様、向こうの戦況は不明ですか?」
「あぁ、ラクシャータたちも合流する予定だとは聞いているが詳細な戦況はな」
バレットの言葉に薫は宙に浮かぶ端末をしまいながら答える。
「再突入まであと30秒を切るぞ各員ナイトメア起動、再突入後、フロートシステム起動、戦域にそのまま突入する」
「ひぇ、怖いぃ」
「楽しくなってきたぁ」
「……」
零子、バレット、弥生は薫の言葉に気を引き締める。
「対象は常に移動している。落下地点はズレている可能性が高い。私を見失うな」
「「「了解!」」」
大気圏に突入する振動を感じながら高度計を見つめる。
「ルルーシュ、早まるなよ…」
ーー
エリア11近海太平洋上、そこでは黒の騎士団によるナナリー強奪作戦が展開され当初は黒の騎士団有利に進んでいたもののヴィンセントを駆るギルフォード、ナイトオブラウンズの参戦により窮地に陥っていた。
「上空、高高度に熱源反応。おそらく大気圏を突破してなにかがこちらに落ちてきます」
アヴァロンのオペレーターがそう告げるとロイドとセシルは視線をレーダーに向ける。
「これは…スザクくん。高高度からナイトメアの奇襲よ。数は恐らく4」
「なに!」
「おいおいマジかよ。誰がそんな無茶を?」
「自殺行為…」
セシルの言葉にスザク、ジノ、アーニャは空を見上げる。高高度から高速で落下してくるナイトメア、その姿には見覚えがあり、スザクが驚く。
「薫!」
「スザク!」
薫の清白は前腕部のチェーンソーを起動させランロットに斬りかかる。高高度からの落下の勢いと高い清白の出力に押されランスロットは海の方へと共に落ちていく。
「白蛇!」
「カレン!海に飛び込め!」
「え!?わ、分かった!」
海上にラクシャータたちの潜水艦を確認した薫はランスロットと交戦しながら指示を出す。
「薫!」
「スザク、お前はまたお前に同じ問いをさせるつもりか!」
「ナナリーが望んだことだ!僕はナナリーの望みを叶える!」
「薄氷の安全を信じられるか!」
指のスラッシュハーケンがランスロットを襲うが紙一重でそれを避けるがそれを予測したように清白の脛に装備されたチェーンソーが襲いかかる。
「ナナリーを政治の道具にはさせんぞ!」
「道具だとしても、テロでは出来ないことをなせる筈だ!」
「てめぇ、一人でやれ!」
清白はランスロットの両肩を掴み頭突きをかます。清白の前頭部から生えているアンテナに擬装したブレードがランスロットの頭部を破壊する。
「あいったぁぁぁぁ!」
その瞬間、アヴァロンではロイドの悲鳴が挙がる。
「黒の騎士団もフロートかよ。スザクが言ってたユーロに居た機体かよ」
「行かせない…」
「くそっ!」
ナイフでトリスタンに斬りかかる弥生はスラッシュハーケンを絡めて無理やり接近、さながらチェーンデスマッチとなったトリスタンと弥生の白夜。
これではトリスタン得意の機動力を生かせず、ナイフがメイン武器の白夜に分がある。
「零子、お前は残りのランスロットもどきとグロースターだ」
「私だけ数不利じゃん!」
「じゃあ、あの紅いの相手にするか?」
「分かりました、分かりましたよ!」
「お待たせ!」
バレットはモルドレッド、零子はギルフォードの所へ向かおうとしたところ。換装を終えた紅蓮可翔式が参戦、これにて完全に黒の騎士団側有利となる。
「ライ、ありがとう持たせてくれて。先に潜水艦に戻って!」
「カレン…すまない。役に立てなくて」
「なに言ってるのよ。すごく助かった!」
紅蓮は艦上で孤軍奮闘していたライが海に潜水艦に向けて飛び降りるのを確認するとそのままランスロットと交戦している薫の元へと向かう。
「白蛇様、艦は現在落下中。このままでは中に潜入しているゼロとナナリー新総督が!」
「だが艦のどこにいるんだ…っ!」
ランスロットのハドロンブラスターが肩アーマーに掠り、体勢を崩すとスザクはそのまま落下する艦に向かう。
「白蛇!」
「カレン、スザクの向かった先にはナナリーがいる筈だ!」
「ならそこにゼロも!」
「頼んだぞ!」
この状況ではナナリーの奪還は無理だ。薫はその状況に歯噛みしながら撤退に向けて指示を出す。
「ルルーシュ、なに手間取ってるんだよ...」
「ナナリー!」
そんな中、ルルーシュの絶叫が聞こえた気がした。