白き鋼 ー Fog Fleet YAMATO ー   作:Arcelf

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前話のカバディが頭から離れません。なんてこった。


大和ハ食堂ニ突入 下

―――食事処前―――

 

 

― ここです ―

 

「そう、ありがとう」

 

(ふふふっ・・私来ました!さてさて、誰が居るのでしょうか・・)

 

エラーちゃんの案内で食事処までやってきたヤマトは躊躇いも無くそのまま入っていった。

 

周囲に目を向けると結構な艦娘が居るようだ。

しかし会話していたりして此方に気づいていないようである。

 

(ふーむ、駆逐に・・陸奥の所は酒盛りしてるわね。それよりこの体・・・食事出来るようですね)

 

食堂に来てから食事が出来るのか確認したヤマト、そしてそのまま誰にも気づかれずカウンターへ向かった。

 

一方、カウンターから覗く間宮はヤマトに困惑している。

初めて見る人が居ると、そして何故人形を抱えているのか。

 

 

(ふむ・・食欲が存在しないと全くそそらないわね・・)

 

 

ヤマトの眼の前にはメニューがあり何か何を食べようかと考えたが、食欲というものが無いとこれが食いたいと言った感情が無いのである。

 

(ボーキって空母系の好物だったわね・・美味しいのかしら?)

「この、本日のボーキ定食いただけるかしら?」

 

 

「あの・・こちら艦娘用の食事になりますが・・」

 

間宮は更に困惑した、艦娘用の食事を注文することに。

艦娘同士では相手が艦娘なのか感覚的判るのだが、目の前の人は何も感じないのである。

人間なのではと間宮は思っていた。

 

 

(あら、人間だと思われてるのね)

「大丈夫よ・・たぶん」

 

「たぶん!?・・えぇっと・・人が摂取すると健康に悪く・・」

 

「大丈夫よ」

 

(間宮の困惑している表情・・意外と・・ふふふっ・・)

 

 

「まみやさ~ん。どうしたんですか~?」

 

困惑している間宮を横目に瑞鳳がやってきた。

 

(航空駆逐艦来ました!もうお腹いっぱいですっ!瑞鳳ちゃん・・・思ったよりヤバイですねぇ・・・なんて破壊力なの!?)

 

ヤマトは瑞鳳の破壊力に戦慄していた、なんて可愛さなのと。

 

「瑞鳳さん・・此方の方がボーキ定食をと・・」

 

「ぼーき定食ですかぁ~?いいじゃないですかぁ~」

 

間宮は出して良いのか悩んでおり、瑞鳳は特に何も考えていないようである。

 

(ふふふっ・・良いわ・・凄く・・駆逐の服を着せ替えさせたいわ!)

 

ヤマトはいつも以上に良い笑顔である、そして瑞鳳にロックオンした。

 

「良いわね・・凄く」

 

思わず口に出していた、それを間宮は妙に勘違いして受け取っていた。

 

「えっ・・あの・・分かりました」

 

 

 

こうしてヤマトの目の前には本日のボーキ定食が出てきた。

 

(本日のボーキ定食・・・これどう見ても和食よね?何処にボーキ要素があるのかしら・・?)

 

ヤマトが出てきたボーキ定食を見ていると、間宮が声を掛けてきた。

 

「あの・・どうかされました?」

 

「あら、・・何でもないわ」

 

ボーキが何処にあるのか、普通に考えたら鉱石そのまま出すわけ無いかと気を取り直した。

 

(食べれば判るわね・・)

 

 

ボーキ定食を持ちヤマトは何処で食べようかと辺りを見回した。

左手端に酒盛りしている隼鷹達、右手には駆逐達と別れているようだ。

 

(駆逐ね・・待ったなしだわ!)

 

 

 

ヤマトは迷わず駆逐の集まっている方に向かった。

第六駆逐達と時雨に皐月と鈴谷は駆逐に囲まれており、利根姉妹も混じっている。

利根に至っては駆逐艦とあまり大差ない身長のようだ。

 

それを眺めながら机に突っ伏している卯月の隣に座り、その隣の椅子にエラーちゃんを座らせた。

すると誰だこの人という雰囲気になり周囲の時間が一瞬止まった。

 

「ぴょん・・?・・・・・ぴょょぉん!?」

 

そして卯月の驚きで周囲の艦娘が全員此方に向いた。

酒盛りしてる面々は気づいていないようである。

 

「先ほどぶりね?」

 

「どうして此処にいるぴょん?!」

 

(もちろん君たちと戯れに来たのよ)

「私も食事しに来たのよ?」

 

「えっと、こちらの方は?」

 

「ヤマトよ」

 

時雨の呟きにヤマトが答えた。

その瞬間鈴谷を囲んでいた面々は鈴谷からヤマトに移った。

 

(艦娘に囲まれました!もう最高です!お腹いっぱいですっ)

「あら利根姉妹も先程ぶりね」

 

「先ほどぶりじゃな、お主も食事か?」

 

「そう・・食事ね」

 

ヤマトとして生まれて初めての食事で少し複雑な気分である。

 

「ねぇねぇ、ヤマトは何しに来たの?」

 

「あら、雷は聞いていないのね?」

 

「まだ聞いていないのよ!」

 

雷はヤマトがどんな人なのか聞いていたが、何しに来たのかまでは聞いていなかった。

 

「そうね、睦月ちゃんが怪我してたから送ってきたのよ?」

 

「そうなの!お礼を言うわ!」

 

「なのです!」

 

「スパスィーバ」

 

(雷に電と響ね・・暁は・・何故頭を抱えているの・・?)

 

横で頭を抱えている暁にヤマトは疑問に思った。

 

 

「所でヤマトは食事じゃろ?あまり邪魔するのはいかんぞ」

 

(利根?その気遣いは嬉しいような嬉しくないような)

 

「そうねっ!邪魔するのは良くないわね!」

 

(とりあえず、食べ?ましょう・・)

 

眼の前にはどう見ても普通の和食がある。

 

(焼鮭に卵焼きサラダと漬物・・白米と味噌汁・・分からん・・しかし頂くならまず卵焼きです!)

 

判るのだ厨房に瑞鳳が居るということは卵焼き担当であると・・たべりゅ焼き・・

見た目どう見てもだし巻き卵である、それを一口食べたヤマト。

周りの艦娘達はヤマトを見ている、何か気になるのか。

 

(うん・・美味しい、食事楽しめるのは良かったわ・・・アルミナ検出しました。ありがとうございます。)

 

ヤマトは食事が楽しめることにホッとしていた、湯が楽しめず食事も楽しめなかったらどうしようかと思っていたのである。

そして、だし巻き卵からアルミナが検出されたようである。

流石にボーキサイトのままでは不純物が多く混ざってしまうだろうと予測ができた。

 

 

(焼鮭・・これもね・・、普通にアルミナ出てきました。どうなってるんでしょうか・・?)

 

 

こうしてヤマトは食事を終えて思ったのである。

 

 

(全てからアルミナ出てきましたね。どの様に作っているのでしょうか・・・しかし)

「・・・良いわね」

 

 

食事が普通に取れる事に安心していた。

艦娘の作る料理が食べれなかったらどうしようと思っていたのである。

しかしそれでもヤマトは味が分からなくても無理やり口に入れていたであろう。

 

 

そしてヤマトの様子が気になったのか利根はヤマトに聞いた。

 

「どうしたのじゃ?、神妙な顔をしおって」

 

利根はヤマトの雰囲気的に言っただけなのである。

 

(あら・・顔に出てたのかしら?)

「・・初めて食事をしたのよ」

 

「なんと!?今までどうしおったのじゃ!」

 

(ナノマテリアルの補給って食事になるのかしら・・?)

「私ね、食事が必要ないの」

 

「食事が必要ないとは普段どうしとるのじゃ!?」

 

(今日ヤマトとして生まれたばりなので食事なんて食べたことありません、なんて言ってみるのもアリかしら・・)

「どうもしないわよ?」

 

ヤマトは生まれてからまだ半日しか立っていないのよ、と言って見ようかと思っている。

仮に話したとして何か不都合があるのかと思うと何も無いのでは?と。

それに今より艦娘に構ってもらえるんじゃないかと予想ができる。

 

(生まれたてです!・・って今言っても混乱するだけね)

 

「ねぇ!ヤマトはここに来る前は何してたのっ?」

 

(雷ちゃんいきなり攻めてくるねぇ?)

「ずっと海の上に居たわ」

 

目が覚めて此処に来るまで海上に居たので嘘ではないとヤマトは思っている。

 

「さみしくないの?」

 

(・・雷ちゃん・・私の心抉りたいの・・?)

「そうね、考えた事なかったわ」

 

皆静かになった。

どうやら気まずい空気になったようだ。

何か話を逸らさなければとヤマトは思い、鈴谷に話を振った。

 

「そういえば鈴谷はお疲れ様ね、見てて面白かったわ」

 

 

「えっ、わたし?・・・あっ!もしかして私だけ通れたのって・・」

 

ヤマトは鈴谷を見てニコニコしている、それを見た鈴谷は察したようだ。

 

「ちょっと、見てたならたすけてよっ!あの2人から逃げるの大変だったんだから!」

 

鈴谷はマッドサイエンティストの2人から逃げるのがどれだけ大変だったか、見てたなら助けてくれてもいいじゃないと思っていた。

ヤマトはただあの2人を近づけたくなかっただけである、それと半分見ていて楽しかったのが大きいようだ。

 

「無理ね、私もあの2人通したくなかったのよ?」

 

鈴谷も分かっている、マッドサイエンティストの2人を通したくない気持ち。

 

「ぶーっ」

 

(しかし改二前の鈴谷ですかね・・?上着の下は白いシャツとな・・凄くイイですね!)

 

「ふふふっ・・」

 

 

「ねぇねぇ?このお人形よく出来ているね!ボクほしいよっ」

 

皐月は椅子に乗せたエラーちゃんが人形だと思っているようだ。

椅子に乗せてから微動だにしないエラーちゃん、何故か人形のフリをしている様だ。

そして皐月の言葉で思い出したのか、第六駆逐達はエラーちゃんの元に移動した。

 

(あら・・暁がいつの間にか復活しているわね?先程まで耳を塞いでたようだけど何が・・・この2人ねぇ?要らぬ事を話したのは・・)

 

 

「よく出来ているわね!」

 

「妖精さんそっくりなのですっ」

 

「そうだね、本物に見えるよ」

 

「暁はもう一人前のレディーよ」

 

(暁ちゃんお決まりのセリフありがとうございますっ。)

 

「ふふふっ、この子はエラーちゃんって言うのよ」

 

「エラー・・変わった名前ぴょん・・」

 

卯月はヤマトは持ってきた妖精人形が凄く気になっていた。

あの非常識なヤマトが普通の人形を持ってくるはずないと、それと人形を食堂に持ってくる意味が良くわからないと。

絶対に何かあると思っていた。

 

「抱えてみる?」

 

「遠慮するぴょん・・」

 

「ふふふっ」

 

抱えたら何か起こる気がしてならない卯月である。非常に鋭い様だ。

一方ヤマトは終始笑顔である。

 

「ボク!ボクっ抱っこしていい??」

 

「良いわよ」

 

そうして皐月はエラーちゃんの脇を両手で支え持ち上げた。

 

「わぁー、ボクほしいよっ!」

 

(エラーちゃん表情一つ変えないわね?感覚とか無いのかしら?)

 

ヤマトは表情一つ変えないエラーちゃんに感覚は有るのか無いのか、感覚があったらとんだ役者だと思っていた。

そうして抱きかかえられたエラーちゃんを駆逐達は観察するようにじっくり見てる。

 

「本当によく出来てるわね!本物の妖精でも驚かないわっ」

 

「なのです・・?」

 

「これは・・」

 

「・・・」

 

どうやらじっくり観察していた三人は薄々本物の妖精なのじゃないかと思い始めている。

しかし後ろでチラチラ見ていた暁は気づいていないようである。

 

「ね・・ねぇ。この妖精さん・・」

 

「ふふふっ」

 

流石に抱っこしている皐月は気づいたようだ、それにヤマトは笑顔で返した。

 

「ふふふっ、よ~く目を見てご覧なさい?」

 

「「・・・」」

 

じっくり観察していた皐月と第六駆逐の三人は気づいた、そして先程から無言の卯月も気づいたらしい。

 

「皐月ちゃん?エラーちゃんを机の上に置いていただける?」

 

「う・・うん」

 

机の上にエラーちゃんを置くと倒れず自立した。

 

「へぇ~、よく出来てるじゃん?」

 

「よく出来た人形じゃな」

 

「僕。人形には見えないよ・・」

 

「ふふふっ、エラーちゃん?そろそろ挨拶をしてくれる?」

 

するとエラーちゃんは辺りを見渡し右手を上げた。挨拶のようだ。

皆目を見開いており、近くで見ていた4人は納得したような表情をした。

 

 

― こんにちは! ―

 

 

「へぇ!?妖精じゃん―!」

 

「こんなに大きい妖精が居たのじゃな」

 

「やっぱり本物なんだね・・」

 

エラーちゃんは挨拶で言葉を喋っているがヤマト以外聞こえていない、大きくなっても聞こえない事に変わりはないらしい。

時雨は夕立の横にずっと座っており少し離れているはずだが気づいた様だ。

そしてヤマトは誰が一番驚いているか辺りを見回し探したが、これといって驚いている子がいなかった。

 

(あら流石に引っ張りすぎたかしら?)

 

「凄いね!こんなに大きい妖精初めて見たよっ!」

 

「ハラショー、初めて見たよ」

 

どうやら2人は耐性が有るようだ。

 

「びっくりしたわ!」

 

「凄いのですっ」

 

エラーちゃんはまた囲まれてしまった、駆逐に人気のようである。

そして先程から暁が微動だにしない事にヤマトは疑問に思った。

 

「暁ちゃん?・・」

 

どうやら暁には刺激が強かったようである。

 

(いけないわっ)

 

倒れそうになるのをクラインフィールドで支え、そのまま引き寄せ迷いなく膝の上に乗せた。

 

(暁ちゃんゲットです。このままヤマト本体にお持ち帰りしたいですね・・ふふふふっ)

「エラーちゃんに驚いたようね、意地悪が過ぎましたわねぇ・・」

 

「この程度で驚くなんて情けないわねっ!」

 

「はわわわ、暁ちゃん大丈夫なのです!?」

 

「気絶しているだけだと思うよ」

 

(雷は色々と強いわね・・流石ダメ提督製造機・・侮れないわっ)

 

 

「・・このままでは良くないわね」

 

膝枕ではなく膝に乗せて座らせられており、首の支えが無いので首が痛そうである。

椅子の形状的にも寝かせたら痛そうでヤマトはどうしたものか考えていた。

 

(何処か・・・!?・・ふふふっ・・ふふふふっ。お部屋まで連れて行ってあげれば良いじゃなの!決まりねっ!!)

 

 

「お部屋まで連れて行ってあげましょう、案内していただけるかしら?」

 

 

ヤマトはいつも以上にニコニコしている、きっと夕立が起きていたら気づいていたであろう。

 

「連れて行っていただけるのっ?助かるわ!」

 

「良いのですか?」

 

「スパスィーバ、助かるよ」

 

(いい子だね君たち・・私の黒い部分が悲鳴を上げてるよ・・)

「良いのよ、驚かせてしまったしね?」

 

するとエラーちゃんが落ち込んでしまった、それにヤマトがフォローを入れた。

 

「エラーちゃんが気にする事ないわ」

 

― 申し訳ないです ―

 

「いいのよ・・むしろ・・うぅん、大丈夫よエラーちゃん」

 

本音が漏れているヤマト、本音だけで話したら皆どんな反応をするのか少し気になるのであった。

 

 

 

「では、案内してくれるかしら?」

 

 

 

ヤマトは暁を優しく抱き上げ、部屋まで連れて行くのであった。

 

 




全体の動きを予測するのって大変ですね。
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