白き鋼 ー Fog Fleet YAMATO ー   作:Arcelf

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夏風邪は長いですね。大変です。


大和ハ寮ニ突入

―――駆逐寮―――

 

艦娘寮にやってきたヤマト。

食事処を出るまで酒盛りしている艦娘には気づかれなかったヤマト、そのまま案内されて艦娘寮にやってきた。

寮舎は複数建っており、その一つを駆逐専用寮として使用しているようだ。

その駆逐寮へやってきたヤマトは、これから何かが起きないかと胸を躍らせていた。

 

「ここよ!今開けるわっ」

 

「なのですっ」

 

「スパスィーバ、助かるよ」

 

(部屋の前までやって参りました。この扉の向こうに・・ふふふふっ・・・気分が高揚しますっ)

 

開かれた扉に明かりは点いていない、しかしヤマトは無駄に有り余っている性能から微弱な光があれば見ることが出来た。

その視界には目に付く丸い絨毯にのった丸いちゃぶ台にその奥は窓がありその壁に横長の机が窓際全面に張り付いたような状態で設置されている。

そして雷は入っていき明かりを点け、ヤマトを部屋に入れる。

 

 

「点けたわ!こっちよっ」

 

(ふふふっ・・いざ、突入しますっ!)

 

「あっ、靴を脱いでほしいなのです」

 

部屋に一歩踏み出した所で電は思い出したように言った。

部屋の前にあった箱は下駄箱であったようだ。

 

「あら、失礼したわね」

 

ヤマトは部屋に入りたい一心ですっかり忘れていた様だ。

そして、ナノマテリアルで出来たブーツは溶けて消えるようにして消滅した。

 

「なの・・です?」

 

「それは・・どうなっているんだい?」

 

(早く入りたいですわっ、しかし駆逐の子を無視するなんて持っての外ですわっ!)

「そうねぇ・・私物を自由に作れるのよ?この服もそうよ」

 

「凄いのです!」

 

「ハラショー、びっくりだよ」

 

電と響は驚いている様である、それもそのはず眼の前で不可解な現象が起きて驚かない方が珍しい。

部屋に先に入った雷は気づいていないようだ。

 

「さぁ、暁を寝かせましょ?」

 

そう言ってヤマトは部屋に入ると左右に二段ベッドがあり、ベッドの横にはタンスがみえる。

窓際の机は勉強机の様だ、定規やペンに海図が乗っている。そして何よりも目を引くのが『!ですのな』と描かれた紙である、どうやらクレヨンで描いた様である。

そうして見たところ部屋は8畳程で正方形の様だ。

 

「こっちのベッドよ!上だわっ!」

 

二段ベッドの上の段である、ハシゴが垂直で抱えたまま上がるのは無理そうだ。

 

「あのっ、下で大丈夫なのですっ」

 

「ハラショー」

 

どうやら気を使ってくれているようだ、しかしヤマトにはお構いなしである。

クラインフィールドで足場を作り上に上がった。

 

「凄いわ!どうなっているの?」

 

「不思議なのです!」

 

「非常に興味深いよ」

 

「あら、服を掴まれているわね・・・」

 

そしてベッドに暁を寝かせ離れようとして気づく、服を掴んでいるようだ。

 

「仕方ないわねっ!」

 

そう言いながら雷はハシゴを上ってきた。どうやらヤマトの服を掴んでいる手を離そうとしている様だ。

しかしヤマトは妙なことを思いつき、雷を止めた。

 

「大丈夫よ」

(これはぁああ!一緒に寝れるチャンスでは!?何か口実を考えなくてはっ!!ええいっままよ!)

「うふふふっ・・一緒に寝ちゃおうかしら?」

 

直球のヤマトである。暴走して空回りした思考で良い口実が浮かばなかったのである。

 

「そんなの悪いわっ」

 

「迷惑は掛けられなのです!」

 

「此処まで連れてきてくれた、それだけで十分だよ」

 

(そんな些細なことこのヤマトは気にしなくてよっ!反応からするに、ひと押ししたら行けそうね!!)

 

「ふふふっ、大丈夫よ?」

 

 

 

 

――― ウー ――― ウー ―――

 

 

ここでサイレンが鳴った、泊地全体に響き渡る音量である。

ヤマトは何のサイレンか困惑していると、暁が目を覚ましそうになる。

 

 

「これは襲撃よっ!行かなきゃ!」

 

「あかつきおこすのです!」

 

「ハラショー」

 

(しまっ!?何でこんなときにサイレンが!?て敵!?暁が目を覚ましてしまうじゃないの!起こさないわ!)

 

「う・・・ん・・?・・・えっと・・ヤマトさん?」

 

(ノォー!!なんて事なの!?誰よ!こんな時に鳴らしたの!)

「あら・・おはよう」

 

暁は若干寝ぼけているようだ、そして次第にサイレンに気づき始めた。

 

「あ!敵襲!?」

 

「起きたわね!行くわよっ」

 

「なのです!」

 

「ハラショー、送ってくれたのに悪いね」

 

そうして第六駆逐艦は走って出ていってしまった。

部屋に残されたヤマトはひとり膝を付いて崩れ落ちている。

横で妖精が励ましてくれている。

 

 

「なんて事なの・・誰よ・・・私の邪魔したの・・・・」

 

暁と添い寝出来るチャンスを警報に邪魔されたヤマトである。

 

「フフフッ・・ユルサナイ・・・ユルサナイワ!」

 

そして、邪魔された怒りをぶつけに行くヤマトであった。

 

 

 

 

(塵も残さず消してくれるぅ!!)

 

 

 

 

 

―――執務室―――

 

 

提督は未だに執務室に居た。

食事も取らず、あれから書類に追われていたのである。

 

(やだ・・もう、報告はありのまま送って・・・・てか大淀くん?)

「大淀?この妖精の親玉ヤマトってなんだい?」

 

「此方ですか?先程の話は無しと言ったのですが、妖精と会話出来る存在には大本営も慎重にはならざる得ないと判断出来ます。」

 

妖精と会話出来る存在が今までに確認されておらず、会話出来るというのは非常に希少であること。

深海棲艦相手に艦娘と妖精頼りの現状で、妖精と会話出来る存在を敵に回すと言うアホな事をやってのけないだろうと。

その様な存在を敵に回すということは、妖精全体を敵に回す可能性があると判断でき慎重な対応をするはずだと。

 

「大淀くん?これは流石に送れないなぁ」

 

「そうですか・・?」

 

「うん・・大淀くん。アホと言うのは何処にでも居るんだよ・・」

 

しばらく大本営に居た提督は色々知っている、大本営の半分が頭の固い連中とアホの塊で出来ていると。

その様な報告をしては、妖精と会話出来る希少な存在を大本営に寄越せ!と言われる未来が見えていた。

最悪艦隊送ってくる気がしてならないのであった。

 

(うん・・これ送れないなぁ・・あ・・でもヤマトは予想してたみたいだしアリか?・・・態々衝突させるような報告はマズイよなぁ)

「大淀これシュレッダー」

 

「分かりました」

 

(とりあえずはヤマトが出現した報告で時間稼ぎして・・さっさと帰ってもらおう・・)

 

提督はその報告だけしてさっさと帰ってくれれば、此方の預かり知らぬ事です。とやり過ごそうか考えていた。

そこへ大淀の無線に連絡が入った。

 

― 大淀っ!大淀さんっ敵です! ―

 

「敵ですか?」

 

― 一個艦隊だ! 目標は此処へ一直線で向かってるよっ! ―

 

大淀の無線から川内の声が聞こえた。

一個艦隊という事は最低でも10隻以上である。

その報告に慌てた提督は大淀に言った。

 

「大淀無線を貸せ!」

 

そう言いながら大淀から無線奪い取る提督、そして川内に詳細を報告させる。

 

「川内!敵の詳細を教えろっ!」

 

この時点で提督は嫌な予感しかしなかった。川内が今までに慌てた様子を見たことが無いからだ。

 

― 提督!?敵だよ!敵っ。ル級が6とタ級が2だよっそれ以上は分からないよ! ―

 

報告を聞いた提督は頭を抱えた、それ以前に何故その様な敵艦隊が此方に向かってきているのか。

まさかヤマトが連れてきたのでは?さえ思えてきている。

そして直ぐ川内と大淀に命令を下した。

 

「川内は離脱出来る位置で監視!大淀は警報を鳴らせ!赤だ!!」

 

川内には敵艦隊の監視を続行させ、大淀には警報を鳴らすよう命令した。

赤警報は敵襲で撤退視野の警戒態勢である。

 

― 了解だよ! ―

 

「了解ですっ」

 

そして大淀は駆け足で執務室を出ていった。

 

「川内、ルとタ級以外見えないんだな!?」

 

― そうだよ!  ・・あっ!全部フラグシップだよ!オーラが見えたんだよ! ―

 

川内は外にも微かに確認出来ていたが焦るあまり夜間にル級とタ級だけフラグシップのオーラでよく見える事を報告し忘れていた。

一方提督は戦艦だけの部隊なのか聞きたかっただけであった。

 

「えっ・・・川内!今すぐ撤退だ!!」

 

そして提督は執務室を出ていき大淀の後を走った。

 

 

 

 

―――通信室―――

 

提督は通信室の扉を荒く開け入ってきた。

そして第一声が大淀を驚かせる。

 

「大淀!全員武装が完了次第此処を破棄する!!」

 

「提督!?」

 

大淀は信じられないようなことを聞いた表情である。

此処パラオ泊地は最前線であり、早々破棄なんて出来ないからである。

戦線を下げるという事は同時に敵に力を与えてしまう、それだけで防衛が不利になる。

 

「それはっ!?、今からタウイタウイに応援を入れた方が」

 

「川内から報告でフラグシップ戦艦8だ!まともにぶつかれば勝てない!」

 

提督はパラオ泊地の破棄を決定した。

戦艦のフラグシップが8隻、川内の報告が来ておりフラグシップ以外にも居る可能性があると判断できる。

昼間であれば軽空母全員並べて先制攻撃を入れ時間稼ぎをしタウイタウイの応援を待つことが出来たが、夜間の今空母は無力である。

仮に相手をするにしてもフラグシップ一隻に戦艦2隻当てないとまともに倒すことが出来ない、現在の主力戦艦は長門、陸奥、山城であり圧倒的に数が足りないのである。

故に提督はさっさと逃げることに決めたのだ。

 

「フラグシップ!?」

 

そして提督はマイクを持ち泊地全体に通達するのである。

 

 

―― パラオ泊地 ― 全体に ― 告げる ――

 

 

―― パラオ泊地 ― 全体に ― 告げる ――

 

 

 

―― 全員 ― 直ちに集合 ― 第一倉庫 ――

 

 

―― 全員 ― 直ちに集合 ― 第一倉庫 ――

 

 

提督はパラオ泊地全体に集合命令をだした。

 

「大淀も行くぞっ」

 

「はいっ」

 

そして建物内には誰も居なくなった。

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