白き鋼 ー Fog Fleet YAMATO ー 作:Arcelf
怖いですね熱中症。
―――食事処―――
其処には艦娘が1人もおらず静かな食堂が広がっていた。
静かな食堂で有るがキッチンでは何か作業してるのか物音が響いていた。
そんな食堂に2人と1匹?はやってきた。
「あのぉ・・今やっているんでしょうか・・」
「誰も誰も居ないわね・・」
辺りを見回しても人ひとり居ない。
「困ったわ・・・あら?」
カウンターにタイミングよく間宮がやってきた。
ちょうどよいタイミングである。
「あ、ヤマトさ・・・ん?えっと・・お食事ですか?」
ヤマトの姿に困惑した。
今迄に寝巻きで来る子が居ないことはなかったが、流石にネグリジェで来るのは予想外であった。
大鯨に指摘されて裸足だったことに気づいたヤマトはストラップサンダルを作り出したのである。
衣服ではなく純白のストラップサンダルをである。
そして今、ネグリジェとストラップサンダルだけというラフにも限度がある格好だった。
「そうね。此処は何時からやってるのかしら?」
「此処は朝5時から夜9時迄ですね。それ以降は開いていないので酒保で保存食など買っていただいています」
「へぇ、酒保なんて有るのね?」
「はい、大淀さんが主導で色々と仕入れていますね。何か欲しいもの等は大淀さんに報告という形になっています」
「そうなの・・大淀ね」
後に大淀は狙われるのであった。
「それと、食事・・頼めるかしら?」
「大丈夫ですよ、何にしますか?」
カウンターの横にはメニュー表があり、その日毎に内容が変わっている様だ。
内容は日替わりオススメと、日替わりランチが3種を扱っている。
軍の食堂として見れば非常に充実している。
「日替わりオススメ・・頼めるかしら?」
「オススメですねー、そちらは何にしますか?」
大鯨に話を振られた。
「え、えっと・・この鯖定食は・・?」
「コレですね、分かりにくいですよね」
鯖定食。
受付する人が分かりにくいと言ってよいのだろうか。
書き直したら?と少し悩んでしまった大鯨である。
「鯖定食、鯖の味噌煮定食ですね。鳳翔さんが作る絶品の料理なんですよ、普段夜なんですけど時折昼間に出してますね」
「それで・・お願いします」
「ふふふっ」
ニコニコしているヤマトに何処と無く抗議的な目を送っている大鯨であった。
まだヤマト艦橋であったことを気にしているようだ。
「それと、エラーちゃんは何か食べたり出来るの?」
―う~ん・・分からないです?・・食べ物食べた事無いです―
(妖精って甘味が好きだったような・・)
「そうねぇ、何か甘味・・有るかしら?」
どうやらエラーは今迄食事をしたことが無い様である。
その事にヤマトは甘味が好きであるという記憶頼りに何か注文してみようと思った。
「色々ありますが・・今日は水羊羹ですね。良い小豆が入って作ってみたんですよ如何ですか?」
「それ、お願いするわ」
「本日のオススメに鯖の味噌煮ランチ、水羊羹ですね」
そう言って間宮は注文入りまーすと言いながら奥に入っていった。
「良かったわね・・鯖の味噌煮」
「う~、いじわるぅ」
「ふふふっ」
「エラーちゃんは甘味で良かったわね・・?気に入るはずよ」
―良いものなんですか?―
「そうね、甘くて良いわよ。食べてみてのお楽しみかしら?」
―わかったです!―
そんな他愛もない会話が続いて数分、間宮が料理をお盆に乗せてやってきた。
本日のすすめはアジの開きがメインの様だ、そして鯖の味噌煮定食と水羊羹。
「は~い。おまたせ~」
(間宮さん・・欲しいわ・・凄く。ウチに欲しいわ・・・)
「・・・ありがとう」
「ふふっ、ごゆっくりどうぞ~」
(提督から間宮引き抜きを提案してみようかしら?・・まだ早いわね・・)
「・・・まっててね」
小声で間宮には聞こえなかった。
間宮には。
そしてお盆を持ち辺りを見回した。
誰もいない。
静かな空間が広がっている。
此処まで静かであれば場所を探す必要も無くすぐ近くの席で取ることにした。
「此処にしましょう」
「はいっ」
―です!―
大鯨が目の前で妖精が正面左にいる。
「さて、頂きましょう」
「いただきますっ」
(あら・・・ふふふっ)
お腹が空いていたのか、真っ先に食べ始めた。
そんな大鯨を微笑ましく眺めながらどう食べようか迷っていた。
(・・・これ・・・大丈夫よね)
――バリッ――
「えっ」
予想外の行動を目にした大鯨は思わず声が出た。
アジの開きの頭部丸ごと喰い齧ったのである。
「・・・不思議な食感ね」
「あの・・違います・・」
不思議な食感と言う感想、歯型状に切断されたアジの開きの頭部。
ヤマトと交互に見て困惑した。
そして指摘しないと骨含めて丸々食べてしまうんじゃないかと。
「知っているわ」
「えーっ」
「・・身を剥がすのが面倒なだけよ」
本音である。
食べても分解するだけなので骨が追加される程度大丈夫と思っていたヤマト。
(それに夕立は骨ごと食べそうだし・・?)
「気にしなくて良いわよ?」
「はい・・」
目の前で骨ごと食べているヤマトが気になりながらも、食事を進めていくうちに気にならなくなっていた。
ふと輝いている粒子が目に入り大鯨の横、エラーを見ると。
キラキラと輝いていた。
「水羊羹、良かったら?」
― 良いですっ 不思議な感じです! 止まらないです! ―
「気に入ったのね、良かったわ」
― 食べきってしまいました、残念ですっ ―
「そうねぇ?、食べ過ぎは良くないわ。夕食にでもまた頼みましょ?」
― 楽しみにするです! ―
「ふふふっ・・次は違うものを頼んでみましょう」
大鯨の横でキラキラ輝いているエラー、真横で輝いていれば気づくのではと横を見れば。
「んーっ」
食事に夢中で気づいていない。
ご機嫌である。
そんな変わった一行の食事が食堂では見られた。
―――執務室―――
「編成完了しました。第三遠征隊を休みにして、代わりに第二遠征隊、旗艦天龍、第六駆逐隊に長門さんを編成して周辺海域の対潜哨戒に出しました」
「長門を対潜哨戒・・?まぁヤマトにアタックされるよりマシか・・」
「あと千歳、千代田、飛鷹、瑞鳳で周辺海域全体の警戒に、他は待機となります」
「妥当かなぁ~。陸奥、山城、利根筑摩、鈴谷は泊地内待機であとの子は自由で良いよ」
「では遅いですが一〇〇〇に連絡を入れますね」
「頼むよ」
執務室では大淀の報告が行われていた。
主に長門の厄介払いであるが。
――バンッ――
勢い良く扉が開かれた、扉は無事である。
ヤマトによって修復された蝶番、霧式蝶番は非常に丈夫なようだ。
「来たわ!」
ヤマトに大鯨、続いて輝いている妖精が入ってきた。
「来た・・か」
大鯨の太ももに装備されている荷電粒子射出装置を目ざとく発見した。
執務室に武装したまま入ってきやがったと、しかしヤマト絡みなら仕方ないと気を取り直してほかを見ると。
妖精が光の粒子を放ちながら輝いている。
「ん?・・・」
目をこすって改めて見たが妖精は相変わらず輝いている。
もう異常しかない。
「妖精・・エラーだったか?光っているが大丈夫なのか・・?」
「機嫌が良いのよ」
「妖精は機嫌が良くなると光るのか」
「そうよ」
肯定しているがすべての妖精が輝くかはヤマトにも分からなかった。
「それより提督?茶葉が欲しいわ」
「その前に立ったままだと退屈だろう。ソファーで話をしないか?」
「そうね」
ヤマト自身は立ちっぱなしでも問題無かったが大鯨にエラーが居るので座ったほうが落ち着けると判断した。
そしてソファーに座った。ヤマトが中央に左が大鯨で右にエラーが座った。
「改めて、まみ・・茶葉が欲しいのよ」
間宮と言いかけたヤマト。
まだ一日しか立っておらずちょっとした会話しかしていない状態では間宮を困らせてしまうとあらためた。
そんなヤマトに無理難題が飛んでくるのでは?と身構えた提督は安心した。
「・・何が欲しいんだ?」
「あるもの一通りよ」
「結構種類あるが・・どれ程欲しいんだ?」
「大量には要らないわよ」
そう言ってはナノマテリアルで茶筒を作り出した。
250mlサイズの茶筒で、白色をメインに金色でヤマトのイデアクレストが側面と天辺に入っている。
大きさ的には自販機で売っているドリンク缶サイズといったとこか。
適当に作ったが、無駄に高級感が出た物となった。
「これに入る量で良いわ」
「それなら直ぐに用意出来るな・・・茶葉何種類扱っている?」
提督は執務机の斜め後ろ大淀の方向に向いて聞いた。
「6種類ですね。緑茶、玄米茶、焙茶、セイロン、ダージリン、アールグレイですね」
「それで良いわ、あと5つね」
霧式茶筒を5個作り出した。
「これで足りるわね?」
大淀の方に向いて言い、執務机の上に茶筒を積んだ。
「はい」
「ねぇ?本当に金剛は居ないのよね?」
ヤマトは妙に揃えられたソファーにテーブル、そして紅茶の種類にどうしても気になっていた。
「居ない・・居たら何か問題があるのか・・?」
「居たら?」
ヤマトの雰囲気が変わった。
見た目ニコニコしてて変わっていないが纏う空気が重くなるような威圧を感じる。
「提督・・消すわ」
「「!?」」
鼓動が高鳴った。
「何が問題だ・・・?」
「そうね・・金剛の性格が問題でねぇ?」
提督LOVE勢の金剛が仮に居たとして目の前で提督とイチャイチャしてたら消し飛ばす自信があった。
当の提督は金剛が問題で自分にとばっちりが来るのか、と同時に見かけたら丁重に扱おうと心に刻んだ。
「それと、この辺りで消えても問題ない島・・あるかしら?」
「「えっ」」
物騒な発言が止まらないヤマト。
「消えても・・と言うのは?」
「そのままよ。地図から消えても問題ない島よ」
「何をするんだ・・?」
「変な事はしないわよ。主砲を使っていなくてね?・・試験したいのよ」
提督は頭を抱えた。
島が消えるなんて変なことだよ!?と内心突っ込んでいた。
それ以前に主砲で島が消える物なのか?と疑ってもいた。
「主砲・・46センチ砲だったか?昨夜放っていなかったか?」
「あれは副砲よ、それと46センチじゃないわ51センチ砲よ」
「えっ」
大和型の主砲は46センチと思っていたが違ったようだ。
それ以前に主砲だと思っていたのが副砲だったことに驚きである。
現に今朝改装されたので昨夜はまだ46センチと提督の発言もあながち間違いでも無かった。
「あれが副砲・・主砲は一体・・」
「あら・・見たい・・?」
「もし・・だが装備を教えてもらうことは出来るか?」
「対策かしら?」
「・・・」
「別に良いわよ?・・代わりに島を一つね?」
「う・・うぅん・・」
武装の代わりに島と来た、代わりになるのか?予想外だ、と。提督は片手で白い手袋越しに目尻を抑えた。
考えるとヤマトの情報代わりに島一つと、安いのでは?と思える、しかしこの周辺の島は制圧し管理下に置かれている。
そのような島が一つとは言え消えてしまえば本部に何と言うべきかと。
ふと提督は昨日の戦闘が頭に過った。
敵地の島なら一緒に深海棲艦も駆逐してくれるんじゃないか?と。
「少し離れているがチョーク諸島に有るどれかの島と言うのは・・?」
提案したチョーク諸島は深海棲艦の吹き溜まりの様な場所で近づくことが出来ない場所だ。
艦娘の航続距離的にどうしても大艦隊以上を編成しないと制圧が無理な場所であり、
仮に大艦隊を編成しても敵戦力が未知数な以上制圧出来るか怪しく、迂闊に手を出せない場所である。
其処に島一つ犠牲で有るがヤマト突っ込めば制圧してくれるのでは?と淡い期待を込めて言った。
それに昨日の戦闘を思い出すと無傷で帰ってくる光景しか浮かばない。
「チョーク諸島?軽く2000km有るじゃないの・・往復したら夜になってしまうわ?」
「夜には往復してこれるのか・・飛行機かよ・・」
提督は変な事を想像していたら内心思ったことを口に出してしまった。
気づいた時には遅く、聞こえてしまったかとヤマトを見れば、変わらずニコニコしている。
「超戦艦よ」
聞こえていた。
他思は無いが自然と鼓動が早くなっていた。
「そ・・そうか」
ふと気づく物騒な発言が出まくっているが、ヤマトは何か機嫌が良いような?ならば言ってしまおうと。
「それとだが・・チョーク諸島はまだ制圧してなく深海棲艦が多くいると思うが・・構わないか?」
「あらぁ?深海棲艦狩ってこいと言ってるのかしら?」
「・・・」
「ふふふっ。別に構わないわ、装備の試験には丁度良いし」
「丁度良い・・のか?」
「そうね、武装一通り変えたのよ。それの試験にわね?」
「・・・そうか。それと武装の情報だが・・」
「あら?それは別でなくて?」
甘くなかった。
「深海棲艦と島でしょ?」
「そうだな・・」
「決めてるわ」
「なんだ・・?」
「今日中に帰ってこれるか分からないから、大鯨の欲しいものと部屋の手配ね」
凄く安心した一同である。
突拍子もない発言が止まらないヤマトがまた何か言い出すのかと皆ヒヤヒヤしていた。
しかし出てきた言葉があまりにも普通な為何か裏があるのではと思ってまう。
「それだけか?」
「それだけよ?」
何か裏があるのか気が気でない提督。
「それと大鯨?」
「はい?」
「少しお留守番お願いね?」
「わかりました~」
「エラーちゃんもね?」
― 了解なのですっ ―
ふわふわしている大鯨であった。
ふとヤマトは思う、どのタイミングでふわふわしているのかと、掴み所が分からないでいた。
「あと欲しいものは提督に要求するようにね?」
「は~い」
提督に要求するようにと、明らか提督がいる場での発言ではないが誰も気にしなかった。
「さて行くわ。白紙あるかしら?」
そう言ってヤマトは立ち上がり、出ていこうとしていた。
聞くと同時に提督の後ろに控えていた大淀が白紙を差し出してきた。
「此方で宜しいでしょうか?」
「構わないわ」
白紙を受け取り材質を確かめてから、ナノマテリアルで紙の上に貼り付けた。
分子構造を変えるだけで黒く見える為手間が掛からずに終わった。
紙の上に貼り付けもとい書き終えたが、改めて紙にしてみると一体何と戦争するんだ?と自分で思ってしまったヤマトである。
しかし過去の記憶にある満心王の如く満心して艦娘に被害が及んではいけないと気を取り直した。
「これで良いわね?」
書き込んだ紙を提督に差し出した。
「・・・ああ」
一体何時書き込んだのか、手にとっただけにしか見えない。
最初から書かれていた?グルでは?と大淀を見れば凄い勢いで左右に顔を振っている。
違うようだ。
ヤマトの異常に慣れようと思っているが、次々出てくる非常識な事々について行けないとため息が出た。
気を取り直して顔を上げるとヤマトが居ない。
「あれ、ヤマトは?」
「出ていきました~」
大鯨が答えた。
当のヤマトは用が済み、さっさと出ていってしまった。
早く装備の試験を終わらせて大鯨と戯れるために。
出ていったものは仕方ないと受け取った紙に目を落とした。
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機関 ― 縮退炉 ―
『永久機関』
装甲 ― 強制波動装甲 ―
『人類に破壊不可能』
武装
― 超重力砲 三十二基 ―
『破壊できないものは特に無い』
― 51cm三連装反物質砲 三基 ―
『質量が大きいほど破壊力を増す』
― 20.3cm連装反物質砲 二基 ―
『質量が大きいほど破壊力を増す』
― 30mm2重6連装陽電子射出装置 七十二基 ―
『大抵の物は蒸発する』
― 艦首魚雷発射管 八門 四基 ―
『すごく早い魚雷がでる』
― 垂直発射装置 艦首128門 艦尾128門 ―
『よく飛ぶミサイルがでる』
特装
― 重力子超収束砲 ―
『超すごい』
― クラインフィールド ―
『超すごいバリア。核にも耐える』
― ワープ ―
『ワープできる。広域空間に異常が起きる』
― 重力制御 ―
『重力を制御出来る』
― 次元空間曲率変位 ―
『次元に穴を開けてゴミを異次元に捨てる』
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結構適当なヤマトであった。
「ん”ん”っ」
紙をテーブルに投げ出した。
両膝に両肘を乗せ本格的に頭を抱えた。
訳が分からないと。
書かれている文字だけ見るとSFに出てくる宇宙船に思えてくる。
説明が適当だが所々可笑しいのが混じっている。
ヤマトの事だから回りくどい真似はせずそのまま書いたのだろうと分かる。
釣られて大淀に大鯨も紙を覗いた。
「ヤマトさん51センチ砲だったんですね~」
ふわふわしてる大鯨にそれは違う!それに少し前に言っていたじゃないか!と内心突っ込んだ提督である。
「永久機関とは・・それに反物質・・陽電子??」
大淀はさっぱり理解出来ずスマホを取り出して調べ始めた。
そして調べて数分も経たずして手が震えだした。
理解したようだ。
「理解したか・・?」
「こ・・これ地球上で使うものじゃないですよ!?」
「そんなに凄いんですか~?」
「凄いってもんじゃないですよ!理論ですら確立していない物、反物質を!しかも兵器として保有してるんですよ!?そして縮退炉!これはマイクロブラックホールによる物質の圧壊でエネルギーを生成する機関なんですよ!つまり纏めると遥かに進んだ技術を持っている事になるの!」
大淀の熱弁に若干引いている大鯨である。
その光景に何処か事ある毎に熱弁してくる工作艦の顔が浮かんだ。
そして様子を伺っていた提督は、大鯨を怖がらせたら後が怖いと止に入ることにした。
「まぁ、大淀其処までにして・・大鯨が引いてるよ」
「はっ・・すみません、熱くなりました」
「そうだな・・大鯨は何か必要な物はあるか?」
「え?・・えっと、何も浮かばないですぅ」
「まぁ急ぎでは無いから、ゆっくり決めると良い。そうだな連絡用にスマホを渡しておくよ」
そう言って提督は自ら執務机に戻り引き出しからスマホを取り出した。
そして戻ってきてはテーブルの上に置いた。
黒く標準的なスマホである。
「これだな。使い方は後で誰かに・・」
「あのぉ・・スマホ?持ってます」
そう言って霧式スマホを取り出した。
何も知らない人が見ればただのガラス板だ。
金の縁取りがされていて高級感がある。
「スマホ・・?硝子板にしか見えないが・・妙に豪華だな・・」
机の上にスマホと並べられた霧式スマホをじっくりと見た。
「今朝ヤマトさんに貰いました」
そう言って大鯨は霧式スマホを持ち起動させた。
触れた部分から青白い回路模様が広がり問題なく起動しホームアイコンが表示された。
「使い方も少し教わりました~」
普通ではあり得ない光景にまじまじと霧式スマホを見てる提督と大淀。
「システムは標準的だな・・」
「其処じゃないですよ!どうしてガラスに映像が出てるんですか!?」
「ヤマトの事だし、気にするだけ無駄だ」
ヤマトが持ち出した物が普通なワケがないと慣れてきた提督である。
それに動じなかった自分を褒めても良いのではと思った。
アイコンを見ているとあるアプリケーションが目に入った、何故それが有るのか?と。
「その緑色のLi-Neってアプリを開いてくれ」
軍用の通信アプリである。
海軍だけでなく陸軍でも使われており高い秘匿性に信頼性があるアプリケーションである。
秘匿性の高さから私的に使用している者が多くいる。
主に艦娘である。
そして開かれたLi-Neにはくじらのアイコンがあり、横には[ たいげい ]と書かれている。
既にアカウントが設定されていた。
その下には見覚えのあるイデアクレストのアイコンで横には[ ヤマト ]と書かれた連絡先が入っている。
ヤマトに抜かりは無かった。
「ヤマトの連絡先は・・まぁ置いておくとして上の検索欄に[T-******]と入れてくれ」
「えっと・・上の検索欄に[T-******]って入れてくださいっ」
「いや、言うんじゃなくて・・・・」
入力されていた。
ヤマトは大鯨を困らせないためにと、ありとあらゆる操作に音声入力を対応させていた。
「・・・まぁいいか。で・・でたそれをリストに追加してくれ」
一軒だけヒットしていた。
「これを追加してくださいっ」
追加された。
そんな大雑把でもイイのかよと心の内で突っ込んでいた。
「リストに追加されたな。そのアイコンに触れれば僕と連絡が取れる。少し試すか・・」
提督は自分のスマホを開いて追加された大鯨に[ テスト ]と送った。
すると大鯨の霧式スマホにポップアップで[ テスト ]と送られてきた。
「わぁ。何か出ましたっ」
「送られているな?そしたら、そっちからも送ってみてくれ」
「えぇっと・・?テストと送ってください」
すると提督のスマホに[ てすと ]と送られてきた。
正常である。
「・・・問題ないな」
もう突っ込まない・・突っ込まないぞ!?と心が乱れている提督。
「何か用があるならそれに連絡してくれれば対応する。後は他の子にも連絡先を教えてもらえばその子と連絡が取れるな」
「わー、便利なんですねぇ。ありがとうございます~」
「そうだな大淀も登録しておくと良い。何か僕に聞きにくい事があれば大淀に聞いてくれ」
妙に気の利いたことが言えた事に自分を褒めた。
それが普段の提督であるのだが、何故かヤマトが来てから狂いまくっている。
「分かりましたぁ。えっと、大淀さんを追加してくださいっ」
それは全国の大淀に飛ぶんじゃないか?と無駄なことを考えた。
そして大淀のスマホに反応があった。
正常に追加されたようだ。
もう何でもありなのかと提督は思考を破棄した。
「うん・・大丈夫だね?それじゃ大淀、泊地を案内してきてくれるかな?」
「あの、しょ・・それでは提督後はお願いします。大鯨さんにエラーさん行きましょう」
「?・・ああ、後は任せた・・・」
何か言い淀んだ大淀にハッと執務机を見れば山積みの書類があった。
―バタン―
「逃げやがった・・」
1人執務室で項垂れていた。
取り敢えず仕事を減らすためにも執務机に戻ろうと、机に投げ出したヤマトの情報を見てしまった。
「よし、寝よう」
仕事を破棄して寝ることに決めた提督であった。
誤字見たら修正されます。