白き鋼 ー Fog Fleet YAMATO ー   作:Arcelf

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あっちこっち飛び回って久々に帰ってきたぞ―とベッドにダイブしたら布団の下にタブレットがありました。

メキョっと軽快な音が鳴りました。


スマホやタブレットは布団の下に置かない方がイイと思います!



誤字報告、色々な方に頂きました。有難う御座います。
自分で見直しても意外と気づかないものですね。


大和ト金剛

 

―― いらっしゃい、大和 ――

 

 

 

(・・・いらっしゃいとは言ったものの・・この子、大和よね?・・こんな服だったかしら?)

 

ヤマトの目の前に居る艦娘が記憶とはあまりにも異質だった。

 

まず袖に腕を通さず羽織るように着ている真っ白なコートが目に入る、膝まであり重量がありそうな物で所々に金の装飾がされている。その時点で記憶にある大和とは違いどの艦娘にも当てはまらなかった。

コートの左右胸元には菊花紋章のデザインをした金色のアクセサリがあり、そのアクセサリから同じく金色の飾り紐が一本背中を回すように繋がっている。

 

更には羽織っているコートの隙間から見える服も違う、提督服のように見えなくもない純白に服に紅色の装飾と縁取りがされスカートも同じく純白に紅色の縁取りがされている。

 

唯一記憶と一緒なのは、肩から先が分離袖になっているのと左右で長さの違う非理法権天ニーソだけであった。

 

 

 

服も違うが、何よりも目立つのは艤装だ。右に2基、左に1基の3連装砲が装備されておりアンバランスに見える。代わりにと言うべきか左の砲塔が一つ減っている部分に艦首側面をイメージしたのかシールドの様な物が装備されている。

盾にも鈍器にもなりそうな代物である。

 

そして艤装があまりにも大きい。幅で3メートルは軽くあるのではないかと言う大きさだ。

 

 

(服装が色々違うけど・・あの顔つきにポニーテール・・・大和よね?)

 

「・・・」

 

「やまとーっ!」

 

甲板に出て大和らしき艦娘と対面したは良いが、あまりにも見た目が違うためどの様に対応しようかと迷っていると、清霜が甲板から飛び出して大和らしき艦娘に抱きついた。

 

大和と確定した。

 

何となく分かるらしい艦娘同士の繋がりで清霜は大和と言ったのだろう。

そんな大和は飛び出した清霜に驚きながらも受け止めた。

 

「清霜?」

 

「んふふふー」

 

大和の胸に顔を埋もれてすりすりしている清霜に羨ましいと思いながら、すりすりする度に形を変えている胸を見ていて、ふと思い出した。

九一式徹甲乳装備していなかったかと。

清霜が埋もれているのを改めて見ても形を変えて柔らかそうだと。

 

装備していないようだ。

 

(羨ましいわ・・・取り敢えず上げてしまいましょう)

 

「ふたり共上がっていらっしゃい」

 

「はーいっ」

 

(それにしても艤装無しで水上に立てるのね)

 

艦娘は艤装無しで水上に立つことが出来ると新たなる発見をした。

 

 

「この戦艦は・・」

 

甲板に上がってくるまで清霜の足を見ていると大和から声が掛かった。

ヤマトの船体が気になるようだ。

 

当たり前である。自分自身が目の前に居て疑問に思わない方が可笑しい。

それに艦娘になる前の戦艦が目の前に存在しているだけでなく、白く染め上げられている上に不思議な模様が入っている、更には模様自体が発光している。

そして砲身や電探など所々金色でとてもラグジュアリーな感じである。

 

「中で話すわ、付いてきてくれるかしら?」

 

「・・はい」

 

大和は大人しく付いて行った。

こんな戦艦を目の前で見せられて非常に混乱していた、取り敢えず主らしき人に付いていくことにした。

 

「あの・・艤装は何処に置いたら・・」

 

「そうね・・」

 

振り向くと艦橋下出入り口で大和が詰まっている、どう見ても艤装が大きくて入れない状態だ。

ヤマトも置き場に悩み少し思案してから甲板下格納を作ることにした。

ナノマテリアルを操作するだけで何でも出来てしまうため手間など掛からずに出来た。

 

そして入り口真横の甲板がせり上がってきた。長方形で乗用車が軽く入れそうな広さがあり地下格納と言った感じだ。

 

「・・・」

 

「わーっ」

 

「艤装は其処に置いておきなさい」

 

大和はその光景に固まり、清霜は何かとテンションが上っている。

その光景に挙動付番になりながらも艤装を内部に置くと甲板下にゆっくりと下がっていき元の状態に戻った。

 

問題なく艤装の格納が完了した。

 

 

 

 

そのまま3人は環境に移動した。大和とソファーで向かい合うように座り、清霜は歩き回っている。

 

「さて、自己紹介ね?・・私はヤマトよ」

 

「ヤマト・・・」

 

「そうよ。貴方も大和よね?」

 

「はい・・。 あの、この戦艦は・・」

 

この戦艦は何なのか、気になっていた大和は勇気を振り絞るかのように言った。

 

「ヤマトよ、超戦艦ヤマト」

 

「超戦艦・・?」

 

「そうよ。色々端折るけど大和・武蔵の後に生まれた大和型戦艦と言うと分かりやすいかしら?」

 

「その、妹は武蔵しか記憶に・・」

 

「それより遥か後に生まれたの、まぁ見た目が大和なだけで中身は全く別物よ?・・・そうね、お姉ちゃん・・いえ、姉さんかしら?」

 

物凄く端折っているが大体合っているので良いと思ったヤマトである。

それと大和より後に生まれてるから大和はお姉ちゃんに入るのではと思いノリでお姉ちゃんと呼んでみたヤマト。

 

「お姉ちゃん・・お姉ちゃん・・・」

 

(満更でもないのね・・)

 

小声で呟いていた大和だが、霧であるヤマトは微かな声でもハッキリと聞き取れていた。

そして俯きげに呟いていた大和は顔をあげるとニコニコしているヤマトがいた。

 

「! な、なんでもないの・・」

 

「ふふふっ・・それで一応確認すると、貴方は大和型一番艦大和で良いのよね?」

 

艦橋内をうろちょろしていた清霜がいつの間にか大和の横に座っていた。

 

「はい。改大和型戦艦、一番艦、大和・・です」

 

「そう、わかったわ」

 

やはり大和であったが何か違うようだ。

記憶とは全く違う服装をしており、本人も若干大人びて見える事、艤装がどの艦娘にも当てはまらない事。

 

 

そして改大和型戦艦と言った事。

 

清霜の反応から大和なのは分かっていたが、知っている大和とは違う、と言う確信が得られた。

 

 

(改大和型戦艦大和・・清霜は大和と認識している・・・改大和型は計画だけだったはず、それに改大和型で大和って・・改装かしら?。時代の流れが記憶とは違う?・・いえ艦娘がいる時点で違うわね・・・泊地の通信網で色々調べる必要があるわね)

 

改大和型戦艦についてさっぱり知らないヤマトはどうした物かと悩んでいると、何処と無くソワソワしている大和に気づいた。

 

「あら、気になる事があるなら質問して頂戴?」

 

「・・あの・・この戦艦はヤマトで貴方もヤマト・・さん・・ですか?」

 

「そうね。この戦艦は私の体で、本体でもあるの。・・艦娘的に言うなら艤装ね」

 

「艤装・・戦艦型・・」

 

「言っておくけど、艤装のようなもので全く別物よ?」

 

「はい・・」

 

理解出来ない事を質問したつもりであったが、色々と理解しがたい内容が返ってきて余計混乱した大和。

そんな状態に追い打ちを掛けるかのごとくヤマトが言った。

 

「それと、大和は私の所の所属で良いかしら?」

 

「やはり提督ですか・・?」

 

「そうね、提督でもあるらしいわね?」

 

「らしい・・ですか。鎮守府は何方に?」

 

「今の所はパラオね」

 

「?・・今の所ですか・・」

 

「そうよ、それで貴方は私の所の所属で良いわね?」

 

「・・・はい」

 

「決まりっ!ふふふっ。さてパラオに戻りましょう」

 

元々逃すつもりの無いヤマトだが、一応確認という事で話を聞いていた。

その会話をしている間に先程飛ばしたミサイル型UAVで辺り一帯の探索を終えてキリが良いと帰還することにした。

 

そして、ここで清霜の好感度を上げるためにもう一度やることにした。

 

「さて、大和?此方に座りなさい。清霜もおいで」

 

「わぁ!またやるの?!」

 

「そうよ、立っていると危ないわ」

 

清霜は目をキラキラさせてヤマトの横に移動してきた。

ソファーは3人並んで座っても余裕があるサイズだ。清霜の奥には大和が座り、ヤマト、清霜、大和と二人のやまとに囲まれた不思議な状態が出来上がった。

 

(ソファーもう少し小さくしておくべきだったわ・・)

「そう、ふたり共深く座って・・」

 

「はーいっ」

 

「あの・・何を?」

 

「全速前進」

 

目を輝かせて今か今かと待ち遠しさを隠さない清霜に一体何をするのかと困惑している大和。

聞いてみると返事の代わりに全速前進と言う言葉が返って来て、同時にソファーへ押し付けられた。

 

―120knot―

 

―200knot―

 

―270knot―

 

何時も通り異常な加速をしていた。

 

「わーっ!」

 

「!!」

 

清霜は喜んでいた。両手を上げてはしゃいでいる。

その横では無言で周りをキョロキョロ見ている大和。

 

「そろそろ立ち上がっても大丈夫よ?」

 

「はぁ~いっ」

 

清霜は若干加速し続ける中立ち上がり艦橋内を走り回った。

大和も後を追うように立ち上がり窓へ向かった。

 

そして窓の外を流れる光景に言葉を失っていた。

 

「早い・・」

 

「今は・・437knotね」

 

「よんひゃ・・!?」

 

信じられない事を聞いてしまったと驚きの声を上げ反射的にソファーに座っているヤマトに振り向いた。

ヤマトは何をするわけでも無くニコニコしながら、ふふふっと笑っている。大和の反応が面白い様だ。

 

何かの聞き間違えかと改めて窓の外を見たが、先ほどとは変わらず異様な速度で流れる風景。

 

「早いでしょ?」

 

「早すぎでは・・」

 

「そうかしら?機関壊す勢いでエネルギー供給したらもっと速力出そうね」

 

現在推進機関が出せる推力100%の状態で航行しているが、安全値である100%を超えた推力を出す事が可能で、よりエネルギー供給をしたらどうなるのか少し気になった。

 

「やめてください・・」

 

「そうね、あなた達が乗っている間はやらないわ」

 

「乗ってる間は、ですか・・」

 

「そうよ?」

 

艦娘LOVEのヤマトは艦娘が乗っている間は極力危険な事はしないつもりである。

 

「そうですか・・危険なことはやめて頂きたいのですが・・」

 

「無理よ・・・お姉ちゃんがどうしても~、と言うなら考えるわ?」

 

「おね・・い、いえ。その提督なのですから・・」

 

「提督と言っても私はヤマトよ?そんなの些細な事、それに・・・」

 

大和の好感度が上がるならお姉ちゃん呼びも厭わないヤマトである。

 

大和の顔をジッとみた。

ただジッと見ているだけだが妙な雰囲気を纏っている様な感覚を覚える。

 

「私、体が消し飛んだ所で死なないわ?」

 

「消し・・」

 

「簡単に言うと体が必要無い・・かしら?」

 

「ヤマト凄いの!体が砂で出来ているのっ!」

 

今迄艦橋内をうろちょろしていた清霜がいつの間にか近く来ていた。話を聞いて寄ってきたようだ。

そして、どことなく目を輝かせている、何か期待しているのか。

 

「そうねぇ・・?」

 

ヤマトは期待に答えてあげることにした。

 

座った状態のまま全身を構築しているナノマテリアルの結合を解いた。

その瞬間、ヤマトの身体から色彩が消え白金色の砂状に変わりソファーへ崩れ落ちた。

 

ボロボロ崩れ落ちるのではなく水の入った風船が破れるように突然砂に変化して、ソファーから床に掛けて流れ落ちたような状態の白金の砂山が出来た。

 

 

 

そして艦橋には2人を残してヤマトは消えていった。

 

「!!?・・・」

 

「わぁー!凄いすごいっ!!」

 

大和は目を見開いて硬直した。

目の前にはテンションの上がっている清霜。

清霜はヤマトの座っていたソファーに近づきくるくると回っては砂山とソファーを確認している。

 

そして恐る恐ると言った様子で砂上のナノマテリアルを指で突付いて何もないと分かると両手で掬った清霜。

 

非常に勇気がある。

 

「凄い!凄い!ほんとに砂になっちゃったっ!」

 

指の隙間から流れ落ちるナノマテリアルを見てハイテンションの清霜であった。

 

 

「ふふふっ、喜んでもらえたかしら?」

 

大和の後ろから声が聞こえてきた。

 

「!!っ」

 

「わっ!」

 

驚いた大和は咄嗟に飛び退いて距離を取ってしまった。

 

 

「凄いすごい!どーやったの!?」

 

「ふふふっ、体を作り直しただけよ?」

 

「作り直す・・」

 

「・・どうかしら大和?今の私に対応出来なければ私をどうすることも出来ないわ?」

 

「ヤマトは一体・・」

 

「兵器よ?ただ生まれる時代が違っただけ・・そんなに心配することないわ」

 

兵器として生まれた二人、時代どころか世界すら違うが言う気にはなれいないヤマトに。

そんな非常識な光景を見せられ言われては何を返していいか言葉に出来ない大和であった。

 

「あら?丁度良いわ・・私の戦い見せてあげる」

 

そんな会話をしていると大和のレーダーに反応があった。

艦娘で有る可能性も無くはないが、大和を乗せて十数分で100km弱しか移動してない近場で超収束砲の射撃と反対方向、ほぼ確実に深海棲艦であろう。

 

それから少しして海上に浮かぶ物体が見えてきた。深海棲艦だ。

 

(51cm砲のテストがまだね・・ほんと色々と丁度良いわ・・)

 

46cm砲を51cm砲に改装してからまだ試験しておらず、丁度良い目標がいると的にされるのであった。

 

「大和?ほらアレ」

 

ヤマトは艦橋から見える深海棲艦を指差した。

轢かないように減速しており右舷に見やすいよう進路を目標左に取っていた。

 

そして第一砲塔がゆっくり旋回し目標を向いた。

 

「深海・・」

 

大和は生まれて始めて深海棲艦を見た。

それ以前に色々と常識を引っ括められて言葉足らずになっていた。

 

(リ、リ、ホ、ロが3匹と・・哨戒部隊?どちらにしろ的に変わりないわね)

「よく見なさい?」

 

 

――第一砲塔

 

──第一門 MODE 非実体弾

 

──照準完了

 

――発射

 

 

───主砲の一門から極太のビームが放たれた―――

 

 

「ひゃぁっ!」

 

 

たった一門から放たれた蒼白のビームは海面を割きながら直進しすべての深海棲艦を6匹纏めて蒸発させた。

極太のビームが通った射線上には膨大な熱量により発生した水蒸気で視界が一時的に悪くなっていた。

 

それと同時にヤマトは声を上げていた。

 

極太のビームが右舷甲板から側面に掛けて船体表面を溶解させていたからだ。

船体も身体の一部である為に船体が受けたダメージもそのままヤマトにフィードバックしてきたのである。

 

(うぅ・・ヒリヒリするぅ・・・)

 

ビームが極太になってしまったのは51cm砲に改装すると同時に出力を大きく向上させたからである。

ただ51cm砲に改装するだけなら今迄の46cm砲で連射速度上げれば良いという結論が出てしまうので、より高エネルギーのビームを放てるように設計そのものを変えたからだ。

より高威力に・より高密度に・より照射時間を長くしたため。

通常であれば主砲から放ったビームは微かに膨らむ程度に収まるはずが、想定以上の出力を出したために大気との対消滅反応が必要以上に行われ、砲身から出た直後にビームが太くなり船体に被害が出てしまったのである。

 

 

「すっごーい!」

 

「ヤ・・マト・・?」

 

突然声を上げたヤマトと主砲からビームが出るという非常識な光景と艦首付近が溶解している様子に混乱しかない大和と、目を輝かせてビームが通った跡を見ている清霜。

 

「何でもないわ・・大丈夫よ・・」

 

船体が一部溶解しているがヤマトからすれば熱い物を一瞬触れたのに近い感覚を感じていた、そんな感覚を残しておく事も無いので即座に船体を修復して元の状態に戻した。

そんな様子に大和は心配そうな目を向けている。

 

「ヤマト!もう一回!もう一回見せてっ!!」

 

どうしたものかと考えていると清霜からアンコールが掛かってきた。

現在のヤマトからしたら悪魔のコールである。

 

「ちょ・・ちょっと・・まってね・・」

 

期待の目をヤマトに向けている清霜。

 

そんな期待に答えようとヤマトは記憶と記録を総動員して主砲を更に改装した。

 

結果、砲身が更に肉厚で太くなり口径が45から70口径と1.5倍の長さになった。51cm砲のままであるが重厚感が増してより威圧的になった。そして長砲身になり金色がより目立つようになった。

 

改装する度に金色率が増えるのであった。

 

そして計算上の効果としては反物質収束率を上げ大気との対消滅反応を減らす為に砲身が肉厚に、船体より外側に砲身が出れば極太のビームを放っても大丈夫だろう、という脳筋的理論で長砲身になった。

長砲身化と肉厚化だけなので大したナノマテリアルを使わずに改装することが出来たと同時に、ナノマテリアルの生成装置を動かしていない事を思い出していた。

 

(よし・・これで大丈夫よね・・?。ナノマテリアル残量71%と。生成装置は明日ね・・)

「清霜・・敵も居ないし空に向けて撃ってみましょうか?」

 

何方かと言うと真横に撃って船体を焼きたくないだけである。

 

「うん!うん!」

 

「あのぉ・・無駄撃ちものでは・・補給も高そうですし・・・」

 

「大丈夫よ?無限に撃てるもの」

 

「へ?」

 

「この戦艦は縮退炉・・簡単に言うと永久機関ね、それからエネルギーを持ってきてるの」

 

「永久機関・・ですか?」

 

「そうよ、ほぼ永久的にエネルギーを作り出せるの。だから私の積んでいる武装はすべて弾薬に制限が無いのよ」

 

「そんな出鱈目な・・」

 

異常的な技術力で出来ているヤマトに理解が追いついていなかった。

 

大和は過去に運用コストの高さから、補給物資もまともに送られず港に停泊してばかりで出撃に出されなかった記憶がある。

そのために大和型で尚且、高速航行を行い主砲から光線を放つという常識外のパワーを持つヤマトは恐ろしく運用コストのが掛かるのでは?と思っていた。

そして返ってきた言葉は弾薬制限が無い、つまり無限に撃てると言うことだ。大和にとって心置きなく撃てると解釈できる事を言っているヤマトに羨ましいなと少し思っていた。

 

「早く!はやくっ!」

 

「そうね、見てなさい?」

 

そう言いながらサラッと船体をクラインフィールドで覆い。

 

発射した。

 

 

───主砲の一門から白く発光したビームが放たれた―――

 

 

 

砲身の倍程度に膨らむビームは蒼白から藍色に変化している、光を吸い込むような純粋な青色とも言える色に、そしてビームの周りを輝く粒子が纏わり付いていた。

白色に輝く光の粒子が何処からともなく発生し、藍色のビームへ吸い込まれるように、共に流れるようにして目標である空へ上がっていった。

 

更に、その粒子は砲身の前方で白い輝きを放つ光のリングを作り出している。

砲身から出た反物質が大気との対消滅で発生したエネルギー場だ、それが重力を持ち周囲の粒子を引き寄せながらビームを囲うように渦を形成していた。

言ってしまえば大気との対消滅が開始した地点であり合図である。

 

 

ただ純粋なエネルギーが、その場で圧倒的な力と輝きを持ち存在していた。

 

 

(・・・粒子は・・余剰エネルギーね?原因は密度の上げ過ぎ・・・2割程のエネルギーロスと・・)

 

ヤマトは発射と同時に情報収集しており既に特定していた。

そして圧倒的な演算能力で瞬時に導き出された解決法。

 

(安定出力は収束密度を90%ってとこかしら・・?)

 

 

「わーっ!私もおんなじの撃ちたい!」

 

「綺麗ですね・・」

 

 

清霜は感動と同時に主砲のビームに憧れたようだ。

それと破壊の権化に近い反物質を綺麗と言うのはどうなのかと思ってしまったヤマト。

そして原因解決はは2人の反応を聞いた直後に不要な物へとなってしまった。

 

好感度上がってるの?ならソレで良いや、と。

 

 

 

「同じのは・・無理ね?流石に危ないわ」

 

「そっかー」

 

「・・同じ様な事なら出来るわね」

 

「同じ様な?」

 

若干落ち込んでいた清霜は顔を上げると同時に首をかしげた。

 

「光線がでて敵を消し飛ばせば良いのよね?」

 

「出来るの!?」

 

「出来るわ・・・・細かいことは泊地に戻ってからにしましょう」

 

「うん!」

 

ヤマトは大鯨と同じ拳銃型荷電粒子射出装置を渡そうとか考えたが、清霜に小型の装備は危険な気がしてならないので大型のライフル型か艤装に取り付けて安易に振り回せない物に決めた。

 

清霜とそんな話をしていると、横で大和がそわそわしていた。

 

 

 

「私も出来ますか・・?」

 

 

何事かと聞くと清霜と同様にビームを撃ちたいらしい。

 

 

ヤマトの異常に慣れてきたようだ。

 

 

 

 

 

 

 

 

そして51cm砲のデータを処理していたヤマトは、思いついた。

 

 

(侵食砲弾・・アリよね・・)

 

 

思いついてしまった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

───港湾ヤマト前―――

 

 

若干赤みを帯びてきた夕日が泊地を照らしていて、夕方近い時間だと教えてくれる。

 

港湾に大和は停泊して、3人降りて来た。

行きは1人帰ると3人と明らかに2人増えているのが分かる。

 

「ヤマトさぁぁああああん!!」

 

そこへ待っていたかの如く明石がヤマト正面の倉庫から出てきた。

倉庫はヤマトによるプチ津波被害が最も大きく無残な姿をしていた。

 

「って2人は大和さんと・・清霜さんですか?何処かに迎えに行ったんですか?」

 

「拾ったのよ」

 

「2人もですか・・。って、そうですよっ!大きな妖精はヤマトさんのですよね!?」

 

「エラーのことかしら?」

 

「たぶんそうです!その子が生み出したんですよ!艦娘を!艦娘を!」

 

「生み出し・・建造かしら?」

 

「多分それです!大きな妖精が居たと思ったら妖精達集めて大きな機械を作ったんですっ!そしたら機械が光りはじめて中から艦娘がッ!?」

 

「落ち着きなさい・・そうね、エラーは何処に居るかしら?」

 

「艦娘が生まれた後すぐ何処かに行ってしまったので分かりません」

 

「そう、艦娘の名前は・・いえ、今何処に居るのかしら?」

 

「艦娘でしたら大淀と執務室に行きましたけど・・それと名前でしたら金剛らしいですよ?」

 

「!!・・2人共執務室に急ぐわよ・・」

 

そう言ったヤマトは2人の返事を待たずしてそそくさと歩きだしてしまった。

 

 

 

 

 

―――執務室―――

 

 

――バンッ――

 

勢い良く扉が開かれた、扉は無事である。

相変わらず、静かに開けることをしないヤマトである。

 

「提督!」

 

そして執務室に入ると同時に声を上げたヤマト、突然の行動に駆け足で付いてきた3人はビクッとしていた。

明石も付いてきていた。

 

「や・・ヤマトさん、お戻りですか・・後ろの2人は・・?」

 

執務室には大淀が一人執務机で書類と向き合っていた。

 

「そんな事はイイの、金剛何処に居るのかしら?」

 

「ぇ?・・。金剛さんでしたら医務室に居ますが・・」

 

「何故医務室に?」

 

「その・・提督が倒れてしまったので一緒に医務室へ連れて行って、そのまま看病するとのヒィッ・・」

 

執務机の前まで来ていたヤマトは看病と聞いた直後、上半身を執務机を乗り出して大淀に詰め寄った。

 

ヤマトは真顔で顔が凄く近い。

 

「医務室は何処かしら?」

 

「休憩室のすぐ下・・食堂の隣ですっ・・」

 

「医務室で提督と二人っきりなんてことは無いでしょうね・・?」

 

「ヒィっ・・そ・・その・・ふた・・ふ・・・」

 

大淀はヤマトの圧力に耐えきれず意識を失ってしまった。

そのまま椅子にぐったりと背もたれを預けて、横に倒れることは無かった。

 

 

「疲れているようね・・大淀の面倒見てくれるわね?」

 

「・・はい」

 

大和だけ返事をして清霜と明石は首を高速で縦に振っている。

明らかに疲れが原因じゃないと思ったが何も言えなかった。

 

「任せたわ」

 

ヤマトは早々に執務室を出ていった。

 

「・・怖かった・・大和~」

 

「ほら、大丈夫ですよ・・・」

 

「何ですかアレ、物理的な威圧って・・」

 

怖かった清霜は大和に抱きついていた。

大淀を除いて3人が残された執務室にはなんとも言えない空気が漂っていた。

 

 

 

 

 

 

 

―――医務室―――

 

 

医務室の目の前まで来たヤマトだが扉が開かない。

 

扉を開けようと引き戸に手を掛けたがガチャガチャと音がなるだけで扉は開かない。

 

内側から鍵が掛けられている様だ。

 

それを確認したヤマトは嫌な予感がより一層増した。

鍵が鍵がかかっているなら開けてしまえば良いと、鍵穴に人差し指を当てナノマテリアルを流し込み形状を把握した。

 

 

―ガチャ―

 

 

1秒も掛からず解錠した。

 

霧には造作のないことである。

 

 

そして医務室に入ると直ぐに金剛の声が聞こえてきた。 ―私!何でもするデースッ!だから!だから―  と嫌な予感が確信に変わりつつ声のする方向に行くと。

両肩を掴み金剛と向かい合っている提督が居た。

 

ヤマトには非常に面白くない光景である。

 

「金剛!・・・・・・・・」

 

「テートク?」

 

提督は口を開けて医務室に入ってきたヤマト見ている。

 

「お・・お早いご帰還で・・・」

 

とりあえず声を掛けないとマズイ思った提督。

 

「・・ナニをしてるのかしら?」

 

「鍵はちゃんと掛けたはずデース?」

 

鍵は掛けたとほぼ自供している金剛、誰が入ってきたのかと振り向きヤマトを見て固まった。

同時にヤマトも金剛の姿をみて固まっている。

金剛に何も無ければそのまま提督に詰め寄っていくところだが金剛が少しおかしい。

 

姿形は金剛なのだが、髪が白金色で赤い瞳をしている。

そう、ドレスに変え髪を下ろせばそのままコンゴウと言える容姿をしていた。

 

「・・ソーキカンデース?」

 

「・・・どうしてそれを?」

 

「何となくデース!」

 

「・・・」

 

コンゴウっぽい金剛に総旗艦と言う発言まで飛び出した。

姿形に言葉の語尾は艦娘なのだが髪と瞳が霧のコンゴウと色々おかしい、仮に霧のコンゴウだとすると姿を完全に金剛にする事が可能なはずで中途半端にする理由が分からない、それとデースと言う発言が想像出来ない。他に艦娘の金剛であれば何故に金髪なのか、そして瞳の色をどの様に変えたのかと色々謎だらけだ。

 

物凄く困惑したヤマトである。

 

「貴方・・艦娘?」

 

判断に困ったヤマトは直球で聞いた。

 

「UMM、分からないデース」

 

「自分が何かわからないの・・?」

 

ふとヤマトは霧であるなら概念伝達が使えるのでは?と試してみることにした。

 

《 聞こえるかしら? 》

 

「聞こえてますヨー?」

 

通じてしまった。

概念伝達が聞こえた金剛は概念伝達で返事をせず普通に返事を返してきた。

恐らく知らないのであろう。

 

そしてヤマトの中で霧という事が確定してしまった。

 

それにしても可笑しい事だらけである。

霧のコンゴウなら総旗艦であるヤマトに何かしら伝えてくるはずで隠し事はしないだろう。それに何故艦娘の姿をしているのかと、取り敢えず一言では何か偶然かもしれないと続けて概念伝達で会話してみることにした。

 

《 貴方は・・誰なの? 》

 

「?・・・Oh,自己紹介デスネー?英国で産まれた帰国子女の金剛デース!」

 

艦娘なのか霧なのか良く分からない金剛に直球で聞いてみると、艦娘式の挨拶で返ってきた事に余計困惑した。

その後ろでは何をされるかと震えていた提督は、金剛が独り言を話しはじめた事にヤバイ奴なのかと思い始めていた。

 

《 金剛・・ね。艤装はあるの? 》

 

「工廠に置いてありまス、必要デスカー?」

 

《 艤装あるのね・・今必要ないわ、それより私が口を開いてないのは気づいてるかしら? 》

 

「腹話術デース?」

 

《 違うわ・・ 》

 

「?」

 

《 頭の中で・・いえ、後にしましょう 》

 

艤装を持っている事と概念伝達が普通に通じる金剛、しかし今悩んでも仕方ないと判断して一旦保留することにした。

そして、金剛の後ろにいる提督の方を向いた。

 

「提督?・・この子はどうするの?」

 

「どう・・とは?」

 

「この子・・たぶん・・霧よ?」

 

「金剛が霧・・?」

 

「そうねぇ・・少なくとも霧の能力は使えるみたいだし?霧で良いんじゃないかしら?」

 

金剛が概念伝達を受信出来る事、他にも霧と同じことが出来る可能性がある。

 

「金剛が霧・・霧・・能力・・・それに」

 

聞くべきか迷った提督は少しの間を置いて言葉を発した。

 

「総旗艦とは・・?・・ !ッ」

 

直後ヤマトの笑みが張り付いた様な作られた笑みに変わった。

あまりにも不気味な笑みに提督は得体の知れない恐怖に襲われた。

 

「そうねぇ?回りくどい話は無しにして・・・・霧の司令塔よ」

 

「霧の司令塔・・指揮官なのか?」

 

「そうね、指揮官・・最高指揮官と言った所かしら?。だから私が右を向けば皆右を向くわ」

 

とんでもない事を聞いてしまった。

霧の最高指揮官。つまりはヤマトが決めた事は絶対と言う事で、ヤマトの気分次第で戦力が動かせる事になる。

既に異常な戦闘力を持つヤマトに、新たなる仲間の存在など悪夢でしか無い。

 

そして気づいた。

 

「やはり霧は他にも・・」

 

今の発言を鵜呑みにするならヤマト以外の霧が存在すると言うことだ。

 

「目の前に金剛がいるじゃないの・・まぁこの子は・・霧と艦娘のハーフかしら?」

 

「ハーフ・・」

 

「所で金剛?貴方・・何方に所属したいの?」

 

「HMMM・・提督が2人デース・・・」

 

無理強いはしないヤマトに畝る金剛。

金剛にとって重要なのは提督が2人居ることであった。

そんな金剛を横目にヤマトはふと思い出して、提督の前まで移動した。

 

「提督?忘れていたわ」

 

「何をだ?」

 

「金剛にナニをしていたのかしら?私、今ね・・・凄く不機嫌なのよ」

 

ヤマトは仏頂面のままに言った。

霧の事で頭が一杯であった提督は何の事かと思い出して反射的に目をそらしてしまった。

 

「どうして目を逸らすのかしら?」

 

目をそらしてしまった提督、このままでは非常にマズイと思いコレまでの経緯を包み隠さず話した。

 

事は大淀が明石に呼ばれて工廠に行くことから始まり。

工廠ではエラーを含めた妖精達が何かをしていて、それから金剛が生まれたと。

 

その後に提督は執務室で艦娘の報告を受けたら金剛が来て、日頃の疲れが溜まっていたのか倒れていしまい。

気づくと医務室にいて金剛とこれからの話しをしていたら誤解されて、其処にヤマトが来たと。

 

「つまり金剛に私の所に所属だと説明しようとしたが、誤解して話を聞いてくれなかったと・・・」

 

「はい・・」

 

「そう・・なら金剛は私の所で良いわね?・・それ以前に霧っぽいし人類に渡せないわ」

 

「はい・・・」

 

「それにしても、予想外ね・・」

 

ヤマトの誤解は事細かく吐き出した提督によりあっさりと解けた。

 

そして艦娘と霧、両方の性質を併せ持つ可能性がある金剛が此処の工廠で生まれたこと。

それに金剛の話をしていたが都合よく生まれるものなのか、と。

とりあえずエラーが何かしていたようなので、エラーを見かけたら話を聞くことに決めた。

 

「金剛も良いわね?」

 

「イエース!何となくデスガー、ヤマトの方がテートク力ヲ感じマース!」

 

提督力という意味不明な単語が飛び出した金剛、それ以前にヤマトは自分の名前を名乗っていない事に。

 

「提督力?・・それと私名乗ってないわよね?」

 

「ヤマトはヤマトデース?何となく分かりマース。テートク力も何となくテートクに相応しい感じデース!」

 

何となく発言が連打されたヤマトは艦娘と同じ物かと結論付けて気にしないことにした。

 

「・・一応言っておくわ。私はヤマトよ、呼び方は自由で構わないわ」

 

「了解デース!Umm.. テートク・・ソーキカン・・・ヤマト?」

 

「いえ、ヤマトはややこしくなるわね・・」

 

呟いている金剛を見ていたら思い出した、途中で大和を拾ったのを。

ヤマト呼びでは艦娘の大和と被ってしまう事に。

 

「ヤヤこしいイ、デスカー?」

 

「私以外にも大和がいるのよ」

 

「ヤマトが2人デース??」

 

金剛はきっと何を言っているか全く理解してないだろう、その横では提督がハッと顔を上げた。

 

「もしかして・・艦娘の大和か?」

 

「そうよ?途中で拾ったの」

 

「・・・」

 

半信半疑で聞くと何当たり前な事聞いているの?的な顔をしながら肯定された。

しかも途中で拾ったと、つまりドロップして今、此処の泊地に居るということだ。

 

普通海に出たからと言ってそんなに艦娘に会えるわけではなく、あっても報告事例が時折来る程度である。

そんな常識を軽々と飛び越えてくヤマトに吹っ切れそうな提督であった。

 

「ヤマトとヤマトデース?」

 

「そう、2人居るのよ」

 

「Hmmm...」

 

 

一方金剛はヤマトが2人居ると言われて横で唸っている、ヤマトの呼び方が問題の様だ。

 

「まぁ良いわ、それより大鯨に皆を紹介しないと! 金剛、行くわよっ」

 

「了解デース!」

 

横で悩ませている金剛に長くなりそうだと、先に紹介することに決めた。その金剛もまだ提督意外と挨拶をしておらず、皆と顔合わせしなければと賛成した。

そして善は急げといった雰囲気で2人は医務室から出ていってしまった。

 

 

「大和か・・後で挨拶しておくべきか・・・ヤマトに文句言われるかな?」

 

色々と話しが飛躍しすぎていて頭が回っていない提督。

 

「・・・あぁ、行かないと」

 

そして倒れた提督の代わりに大淀が仕事を引き継いでいるだろうと思い執務室に向かうのであった。

 




・・・ヤマトが大和して大和ヤマトしたかったのですが・・変換が荒ぶりました。反省しません。やりました。



それと艦砲の口径が分かりにくいと思うので一応書いておきます。
口径は主砲の内径x1で大和砲の長さは46cm砲x45口径で20.7mになります。
20.7メートル、46cm砲の砲身は電車1両とほぼ同じ長さです。凄いですね。
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