白き鋼 ー Fog Fleet YAMATO ー 作:Arcelf
―――執務室―――
ヤマトが立ち去った後の執務室。
「だぁ~疲れたぁ~っ」
「鈴谷は何もしていないだろ・・・」
「え~?提督だってぇ話聞いてただけじゃん~。だよね明石~?」
「えっ、いえ私は・・」
「にしても明石は随分と大人しかったじゃない?いつもならギャーギャー噛み付くかと思ってたけど~?」
人の悪い笑みを浮かべて揶揄うような口調の鈴谷に不満そうな口調で返す。
「私だってまだ死にたくありませんよー。大体なんですかヤマトさんって・・未来から来たんですかね?それにこのソファー、刃が突き出してたと思うんですが疵痕も無く綺麗サッパリですよ・・。しかし提督?ヤマトさんにその気が無くて良かったですねぇ?アレ・・殺意マシマシでしたよ?」
「あー!分かるぅ、深海棲艦前にした時のどろ~っとした感じだよねー・・てか全く見えなかったんだけど・・向けられたら私達でも避けられないよね」
「そこまでなのか・・?殺意とか感覚的に分からなくもないが・・ヤマトは本気だったと思うか?」
「あれ本気だったよ~これマジマジ。提督は分らないかもだけど私達は毎日毎日出撃して些細なミスが命取りの戦場で死闘してるんだよ~?だからヤマトさんが向けた殺意も一瞬で分ったよ。全く反応出来なかったけど・・・」
「そうか・・そうだ明石、幾つか聞きたいことがあるが、今良いか?」
「改めちゃって、なんですかー?」
「ヤマトは何者だと思う?」
「いきなり聞いちゃいますか―・・そうですね。まず大鯨さんを見る限り提督の技能を持つのは確実で、先程見せた物質を操る様な力といい・・何なんですかね?ただヤマトさんはこの星の文明と話していましたよね?地球を
「何故か妙にしっくり来るが・・なら、ヤマトの能力・・明石が見聞きして思ったことを教えてくれ、出来るだけ事細かく」
「ふむ・・まずヤマトさんは時間や空間を跳躍出来ると思いますね。次元因果律の演算に次元座標と話していましたよね?つまり時空連続体を観測して干渉・変質させることが出来るんじゃないかと。例えば、ほんの少しの因果律に縺れを発生させるだけで何も無い上空に高層ビルを突き出して、物理法則を無視した固定が出来たり―
―提督の腕は両手で二本ですよね?その腕を3本に・・それこそ肩ではなく胸や頭に生やしたり、生やすと言うより別次元の腕を持ってくる感じですかね?まぁそんな事したら意思に関係なく一人でに動きますかね?分かりませんけど・・更には、今座っているソファー・・そのソファーの時空連続体を操作して別の時空連続体と重ねた場合、因果律に大きな縺れが発生して身体が異次元に飲み込まれますね。永遠に異次元を漂う事になり・・もし身体の一部だけ飲み込まれたなら飲み込まれた部分だけが異次元を漂い、飲み込まれていない部分は・・切り取られたかのような状態で・・何故か生きているなんてことも」
「ッ!?」
その話を聞いた直後、鈴谷と提督がソファーから飛び跳ねた。
「二人とも驚かせないでくださいよー。例えばの話ですよ?つまり言いたいことの一つが、次元因果律を操作出来る可能性がある、って事ですよ」
「こ、こっちこそ驚かさないでよ!もーっ!」
「まぁヤマトさんの話が嘘じゃなければ、ほぼ可能だと思って良いと思いますよ?今朝見せてもらった戦艦の内部・・いえ半分に別れた船体、あの中身は明らかに異質でしたし、上半分は空間か重力を操作して持ち上げていますね。それに宙を浮いていた円形の物体・・シールドに阻まれて近づけませんでしたが、浮かび上がる瞬間のふわっとした感覚・・あれは空間に何かしらの作用が働いているのは確実とみて・・・恐らくあの戦艦は空を飛べますよ?」
両腕を組み無い胸を主張している明石。
「あ、重力かも・・マイクロブラックホールを作ったって・・もしかしてあの地震は・・うん、そうかも・・」
「何か分ったのか?先程から不穏な単語しか聞こえないのだが・・」
「力加減を間違えてマイクロブラックホールを作ったと話していましたよね?この場合どの次元に向けて間違えたかによって影響力がわかります。超重力理論における超対称性を破る事が出来る前提の場合、ホーキング輻射により物質の輻射性が変質して自壊性を帯びる可能性も・・ん?んーーーああぁああーーーもう意味わからないですよ!意味不明ですよ!地球の理論に真向から喧嘩売ってますよ!もぉーーーっ」
突如明石が頭を抱えて悩みだした。
「やはり明石もお手上げか・・」
「お手上げですよ~。もっと、こう・・一般的に説明出来そうな情報でもあれば良いのですが~」
「そんなもの・・あ、あるかも」
「え?」
そう言いながら提督は執務机に向かい、引出しから一枚の紙を引っ張り出した。
「これなんかどうだ?」
差し出されたそれは、今朝方ヤマトが書き出した情報だった。
機関 ― 縮退炉 ―
『永久機関』
装甲 ― 強制波動装甲 ―
『人類に破壊不可能』
武装
― 超重力砲 三十二基 ―
『破壊できないものは特に無い』
― 51cm三連装反物質砲 三基 ―
『質量が大きいほど破壊力を増す』
― 20.3cm連装反物質砲 二基 ―
『質量が大きいほど破壊力を増す』
― 30mm2重6連装陽電子射出装置 七十二基 ―
『大抵の物は蒸発する』
― 艦首魚雷発射管 八門 四基 ―
『すごく早い魚雷がでる』
― 垂直発射装置 艦首128門 艦尾128門 ―
『よく飛ぶミサイルがでる』
特装
― 重力子超収束砲 ―
『超すごい』
― クラインフィールド ―
『超すごいバリア。核にも耐える』
― ワープ ―
『ワープできる。広域空間に異常が起きる』
― 重力制御 ―
『重力を制御出来る』
― 次元空間曲率変位 ―
『次元に穴を開けてゴミを異次元に捨てる』
「うわー・・・解答用紙じゃないですかぁ・・・あるなら最初から見せてくださいよー」
「今思い出したんだ。で、それを見て分ったことは・・そうだな、出来ればこっちの用紙にまとめて欲しいのだが」
白紙とペンを差し出す。
「まぁ良いですよー、警告の意味も含めてですけど」
そう話して明石は30秒程で書き出した。その様子を横から除く鈴谷と提督。
ヤマト
能力確定
・次元操作
・重力操作
・11次元以上の次元観測
・物質操作
・空間操作
能力推定
・因果律操作
・時間操作
「よし、こんなものでしょうか。派生技能的なの書いても想像の域でしか無いので割合します!」
「どれどれ・・」
明石から用紙を受け取り、内容を読んだがさっぱり分からない。
「理解できないって顔してますねー?そうですねー私の予想が合っていればヤマトさんは―
―小一時間で地球を含めた太陽系を消滅させることが出来ると思いますね」
訝しげな表情をしてしまった。
「凄くわかりやすく説明してあげたのに、信じてないって顔してますねー」
「い、いや・・スケールと言うか、太陽系消滅させるって普通に考えても無いともわないか?」
「いえいえ、普通に可能ですよ?先程の資料に書いてあった縮退炉とヤマトさんの話していた疑似ブラックホールの話で分かるじゃないですか~。良いですか?まず縮退炉とは一種のブラックホール生成装置なんですよ。装置内部にブラックホールを生成して、燃料となる質量物質を投下する、すると投下された質量物質はブラックホールの重力により圧壊・蒸発して膨大なエネルギーに変換・放出されます。その発生エネルギーを使える状態に変換するのが縮退炉の原理です。更には凄まじいエネルギー効率だけでなく燃料となる質量物質は何でも良いんですよ、それこそ今私が手にしているボールペンでも良いわけです・・もしこのボールペンを燃料にしたら国のエネルギーを数百年は補えるんじゃないですかね?ですから縮退炉のエネルギーを生成・維持する能力と疑似ブラックホールを疑似として認識出来る観測能力、そこまでの能力か技術力があるなら―
―地球上に疑似ではない本物のブラックホールを作り出して
「そ、そうか・・しかし、やけに詳しいな?因果律やら時空・・重力体とやらに」
「そりゃ、私も技術者の端くれですからね、常識ですよー。とは言っても単語や大雑把な内容でしか覚えていませんけど・・どちらにしろヤマトさんの会話や資料の内容は
「未知の理論・・はぁ、一体何が目的で此処に来たのか・・・そうだ、さっきの資料を明石なりの解釈で良いからメモ程度に書いてくれないか?」
「そうですね~・・・」
機関 ― 縮退炉 ―
『永久機関。物質の縮退を利用したエネルギー生成装置。質量の大きい物質程大きなエネルギーを生成する』
装甲 ― 強制波動装甲 ―
『人類に破壊不可能。波動と呼ぶからには波長や振動、歪みや周期等だと思いますが。例えば特定の物質を超振動させ相転移させることで超強固な物になり、それを装甲として使用する場合、決められた位置に連続で相転移させ更には転移熱を発生させず発散させる必要があります。つまりラムダ転移を利用した装甲だと思います。恐らく』
武装
― 超重力砲 三十二基 ―
『超すごい。超重力による物体の圧壊兵器かでしょうか。恐らく』
― 51cm三連装反物質砲 三基 ―
『質量が大きいほど破壊力を増す。反物質、つまり物質の対消滅を利用した兵器ですね、あらゆる物質を対消滅させるので防ぐ手立てはありません。また対消滅時のエネルギーは驚異的で1グラムの反物質が原子爆弾以上のエネルギーを発生させます』
― 20.3cm連装反物質砲 二基 ―
『上記同様』
― 30mm2重6連装陽電子射出装置 七十二基 ―
『大抵の物は蒸発する。陽電子、所謂反物質の一種ですかね。上記と分けている時点で別の粒子系の可能性があります。兵器として成り立つ程のエネルギーを持つ陽電子が対消滅した場合、膨大なガンマ線が放出され周辺に居るだけで致死性の被爆を引き起こします。あ、艦娘は被爆しない体質なので大丈夫ですよ?』
― 艦首魚雷発射管 八門 四基 ―
『すごく早い魚雷がでる。たぶんそのままじゃないですか?弾頭に何が詰まってるか分かりませんが、普通じゃないと思いますね』
― 垂直発射装置 艦首128門 艦尾128門 ―
『よく飛ぶミサイルがでる。上記同様』
特装
― 重力子超収束砲 ―
『超すごい。重力子エネルギー、あらゆる物質に相互作用すると言われていますが、理論上で観測されていない物質またはエネルギーですね。もし物質の相互作用を強制的に無くす事が出来る兵器だとしたら、あらゆる物質は崩壊消滅しますね。或は重力子の収束を利用してブラックホール生成し、発生するホーキング輻射を収束して照射する兵器でしょうか。よく分かりませんが、ヤマトさんが
― クラインフィールド ―
『超すごいバリア。核にも耐える。クラインの壺に因んだものでしょうか?もし
そうならクラインフィールドは受けたエネルギーを任意の方向に転換出来るんじゃないでしょうか。例えば飛んできた砲弾を垂直に反らしたり跳ね返したりとか』
― ワープ ―
『ワープできる。広域空間に異常が起きる。そのままじゃないですか?空間に穴開けて移動するなら空間に異常が発生するのは当たり前です』
― 重力制御 ―
『重力を制御出来る。そのままじゃないですか?もし任意の空間の重力制御できるなら空を飛んだり、圧殺したり出来るんじゃないでしょうか』
― 次元空間曲率変位 ―
『次元に穴を開けてゴミを異次元に捨てる。空間に穴を開けるだけじゃないと思います。曲率変位とはエネルギーベクトルを湾曲させるのではないでしょうか。よく分かりません!』
「出来ました!代わりに間宮アイス一つです!」
「うわー・・よく分かんないけど、この反物質砲ってメチャクチャヤバくない?」
執務机に書き起こした資料を置くと鈴谷が覗いて呟いた。提督はただジッと見ているだけ。
待つこと数十秒、執務机に両肘を乗せ、組んだ手の上に頭を乗せた。
提督が思案するときの姿勢だ。
「ありがとう・・二人とも退室してくれ、鈴谷にも上げるから今見たことは他言しないように。良いね?」
執務机から間宮券を二人に差し出す。
普段ならラッキーと喜びの声を上げる所だが、何時にもなく真面目な提督に息を呑んでしまった。
「あーうん、分ったよ提督ぅ。じゃーねー」
「私も艤装の点検に戻りますかね~」
そう言いながら二人は食い下がること無く執務室から出ていった。
閉じた扉を確認して大きくため息をついた。
―――工廠―――
「え?エラーちゃん・・金剛の建造にあの・・入渠のアヒルを使ったの?」
―― はいです、鋼材の代わりに使えると直感が囁いてたから、使ってみたです ――
「そうなの・・アヒル、アヒルねぇ?ところでエラーちゃんは此処で何してたのかしら?」
―― あ、そうでした!頭にビビッと来たですよ、今なら凄い物が開発出来そうな予感がしたです!だから来たです! ――
「そ、そうなの。終わった後で良いから清霜の改造手伝って欲しいのよ。良いかしら?」
―― 改造です?清霜?清霜の・・・お?おおぉぉおお!キてる、キてるです!凄くビビッとキてるです!! ――
清霜を見て一瞬硬直しかけたエラーはヤマトにしか聞こえない声を発しながら走っていき、清霜を中心に周囲をくるくると駆け回っている。
そしてエラーに捕まり何処かに連れて行かれた。
―――改造資材
「えー・・エラーちゃん?本当にこれで・・良いの?」
清霜は金剛が建造された機械に押し込められていた。
その様子に改造だと理解したヤマトはエラーを引き止めて清霜の希望を伝えた。すると、少し悩んだ末に先の改造資材を要求してきた。
そして、清霜の希望通りに改造出来ると理解したヤマトは上々な気分でエラーの要求するものを全て
―― 素晴らしいです!これなら凄いの出来ちゃうです! ――
ハイテンションになり周りの妖精達に指示してはアヒルや
流石の清霜も改造に何故ぬいぐるみが必要なのか違和感を持っているのか不安と期待の入り混じったような何とも言えない表情をしていた。
「あ、あの~しれ・・」
―ガコン
と、エラーが資材を入れ終わったと言わんばかりに容赦なく機械の扉を閉じた。
何かしらの言葉を伝えかけていたが今となっては何も聞こえない。
「・・・え、エラーちゃん?何度も訊くようで悪いのだけど・・本当に大丈夫なのよね?」
―― ダイジョーブ・ダイジョーブ・ダイジョーブ・デス! ――
「不安しか無いのだけれど・・お願いするわ・・」
要求を伝えて資材を渡しただけで、ほぼ何もしていないと思っているヤマト。しかし提供した資材の基礎技術や資材の質、其れ等を妖精の力で艦娘に最適な形へと作り変える。
つまり、
其れ等が揃った時、生み出されるものは総ての最高峰。
―― 3分程掛かるです! しばらく待つです! ――
「あら、3分で終わるの?なら此処で待っているわ」
―― 分ったです! ――
「さて、待たせたわね?3分で終わるそうだから、此処でゆっくり待ちましょう」
背後の三人にエラーの言葉を伝えながらテーブルとチェアを作り出した。
「あら、どうしたの?」
大和と金剛は呆けた顔をしていて、大鯨は何事もなく席に着く。
二人はヤマトが次々に作り出していく大量の
そして決めつけは地面から這い上がるようにして現れる純白のテーブルとチェア。夢なのかと思ってしまう程の怪奇現象。
―――3分後
「じゃじゃーん!どお?清霜かっこいい?強い?」
濃色のドレスを身に纏った清霜が立っていた。
腰には艦首を模した艤装が身体の両側を挟み込むように突き出している。片側2基の砲が両側に設置され計4基8問となり、砲の後ろ側には
既に異様な見た目だが、極めつけは艤装に張り巡らされた
霧特有の模様だ。
その姿は衣服と艤装はコンゴウで身体は清霜のまま、と異質なものだった。
尚、身体は成長していない様子。
―― 改造完了したです!KONGOの建造データを元にしたです!名付けて、大戦艦清霜です! ――
「金剛のデータを元に・・?」
―― はいです!でも幾つか装備の再現出来ませんでした・・ ――
「そう、別に気にしなくて良いわ?」
何が再現出来なかったのか聞きたかったが、それより清霜が小走りで目の前に来た。
「ねぇねぇ!どぉ?かっこいい?かっこいい?!」
目の前でくるくる回りながら意見を求めてくる清霜。
その光景、知らない人が見たならきっと奇怪なものに見えるだろう。
艤装に張り巡らされた幾何学な模様が淡い紫色の光を放ち、それを身に纏って謎の踊りをする光景を。
「ええ、可愛いわ・・ねぇ、清霜?顔をよく見せて頂戴?」
「?・・うんっ」
目の前だったが更に近づく清霜。
途中、艤装とテーブルが接触して何故か火花を散らしたのは見なかったことにする。
「あっ」
「気にしなくて良いわ・・それより顔を・・・」
手で触れられる位置にまで来た清霜の頬を両手で包み込んだ。そして、顔をよく見る為に向きを変えあらゆる角度から見ては、前髪をかきあげ額を確認しては、
変わった模様が無いか探した。
「司令官・・?」
「清霜?艤装の・・そうね、主砲の向きを、適当に変えてくれる?」
肯定いた清霜は主砲4基の砲身の角度を少し上に向けた。
明らかに意思で艤装を操作しているが、それでも額に現れない
「・・司令官・・どうしたの?きよしも、なにか、やっちゃった?」
不安のこもった表情に声。霧特有の模様が張り巡らしてある艤装に、まさか艦娘から霧に変わってしまったのかと色々確認したが霧とは違う様子。
それより清霜の不安を誘ってしまった。
「いえ、何も、してないわ・・・そうね、清霜?見せてあげるわ、私の探していたものを」
ヤマトは髪をかきあげ、
すると額に青く浮かび上がる
それに反応することなくジッと伺う清霜、同じ視線の高さ、何を思ったのか手を伸ばして触れてしまった。
「あら、どうしたの?気になるなら・・舐めても良いのよ?・・ふふふっ」
見惚れているのか分からないが、指揮官の頭をペタペタと触り始める部下、絵面的に物凄く不味いがヤマトは気にしない。
それよりチャンスに見えてしまった。
欲望の言葉を伝え、椅子に座ったまま前かがみになり額を差し出す。
期待を込めて。
「あ、」
「どうしたの?」
「あわわわっ」
突然驚いた清霜は後ろに下がり躓いた。そのまま倒れ込むと思いきや、
そのまま浮かび上がった。
腰で繋がっている艤装を軸に足をプラプラさせながら。
ふらふらと浮遊している。
「え?」
「わぁ~」
その様子に驚きの表情を見せたのは大和だけで大鯨は相変わらずニコニコしている。ヤマトはより輝きを増した艤装をジッと見ている。
そして金剛は、
「
アドバイスをしていた。その様子に今度はヤマトが驚く。
「あら・・金剛も空を飛べるの?」
「Yes!私も艤装を装備したら飛べるデスヨー?持ってきますカ?」
「・・・そうね、飛び方が分かるなら、清霜に教えてあげて欲しいわ・・」
そう伝えながら何処か遠い線をしながら清霜を見た。
ふらふらと宙に浮きながら彼方此方ぶつけては引きずったりと酷い有様だったから。
―――金剛教室
両手を取り合いながら宙を浮く金剛と清霜。それでも艤装が大きく接触しそうになるが金剛は上手く避けている。
その様子が羨ましいヤマト。しかし介入はしない。
(一緒に飛びたいわ・・・この距離なら本体のバックアップで空を飛べるけど・・・チラチラ見える金剛のパンツ・・・ふふふっ、録画よ録画!)
欲望と羨望に揺れていたが一緒に空を飛ぶことは何時でも出来る。しかし、金剛は分からない。今は無警戒で色々と見えてしまっているが、何れ気づいて警戒されたら、その自然な姿が見れなくなってしまう。
なら、答えは一つ。
金剛の
そしてヤマトは気付いていなかった。
「それにしても・・金剛は
金剛の額の
―― う~ん、たぶん鳥居が原因です? ――
「鳥居?」
―― KONGOの時?機械の中に光る鳥居が現れたです でも良く分からないから、そのままやっちゃったです! ――
「光る鳥居・・鳥居ねぇ・・・こんな見た目をしていなかったかしら?」
掌に
―― それです! すごくそっくりです!! どうしてしってるです? ――
「これは
― 出ませんでした!そうでした!清霜は超重力砲の再現出来なかったです それも原因です? ―
「恐らくね・・・」
金剛が超重力砲を装備している事が判明してしまった。それ以前に、機械の内部に
それより金剛の建造を行った機械が問題だ。建造時に現れたと言う
その事から考察するに、
「ねぇ、エラーちゃん?あの機械は、エラーちゃん以外動かせるの?」
―― う~ん 無理です? ――
「そう、良かったわ・・もし、この機械で建造した子が居たら、真っ先に私に伝えて頂戴」
―― わかったです! ――
そんな独白に見える会話も、
―ガタリ
と、突然立ち上がり椅子を倒した大和によって中断される。
―――チョーク諸島南東付近―――
「何よこれ・・嵐?嵐にしてもこれ程の木々が薙ぎ倒されるなんて・・なんて酷い・・それに向こうの島も・・・え?」
夕暮れの冷えつく風が吹き付ける海上、彼女の視線の先にあるのは島。
木々が薙ぎ倒され、大地は剥き出しとなっている。
一定方向に向け倒れている事から嵐と推察していたが、付近にある別の島を見渡して否定された。
手前の島の木々が倒れている方向と
かなりの距離はあるものの艦娘の視力なら木の葉の形までくっきりと見える。
だからこその異常。
木々をなぎ倒す程の強さを持つ嵐なら、想像もつかない大きなものになるだろう。なら、薙ぎ倒された木々の先にある島の木々も同じ方向に向けて倒されているはず。しかし、実際には反対の方向に向けて倒されている。
つまり、数キロも無い距離にある島は正反対の方向から暴風が吹き付けた事になる。
「どうして・・・嵐じゃないの?此方の島は何もないし・・そうね、向こうの島にも行ってみましょう」
ふとした興味本位から視線の先にある島へ向かってみる。妙に釈然としないまま移動すること数分、新たに一つの島を見つけてしまった。
「なに・・これ・・・」
人知では想像もつかない程の異常を。
中腹から
元は一つだっただろう島が二つに割けている光景を。
もし綺麗な円形なら
あまりにも異様な光景。
「どうしよ・・・大和・・雪風・・・・此処は・・何処なのよ・・」
静かにため息をつき、空を仰いだ。
「仕方ありません、露見する恐れありますが救難信号送りますか」
腰から通信機を取り出し、電信を送った。
同じ