「日の呼吸の対となる呼吸…ですか?」
炎柱、煉獄杏寿郎の死から3ヶ月。鍛錬と、時々出される指令の合間に蝶屋敷で休養を取っていた竃門炭治郎のもとに、杏寿郎の弟である千寿郎から、手紙を持った鴉が届いた。あいにくと、炭治郎が知りたがっていたヒノカミ神楽や日の呼吸についてのものでは無いが、何か関連があり参考になるかも、とのことで炭治郎は禰豆子を背中に担ぎ、煉獄家を訪れていた。
「はい。破れていた炎の呼吸の指南書を修復していて気づいたのですが、日という文字と同じくらい使われているものがありました。ボロボロだったので少し見づらいですが、ここと、ここ。あと、ここにもです。それからこの、唯一文章の形で残っている部分。」
千寿郎が指差す先には確かに彼の言うとおり、同じ字が使われている。そして、文章に書いてあることは、日の呼吸を調べていく上でも、かなり重大なことのように思える。
「日の呼吸のことを、父は始まりの呼吸だと言っていました。他の呼吸は炎も、水も雷も全てその派生に過ぎないんだと。それならば、文章から推測するに、この呼吸はそんな日の呼吸と対をなすものではないでしょうか…。」
「対をなす…なるほど。確かにこれはそうなのかもしれません。しかし、このような呼吸の使い手が今、鬼殺隊にいるとは俺は聞いたことがありません。柱の方も皆別の呼吸です。俺も色々と調べてみようと思います。千寿郎くん。ありがとうございました。」
「いえ、お気になさらないでください。炭治郎さんが兄の意志をついでくれたように、僕も自分のできることをしているだけですから。」
「それでもです。」
千寿郎に見送られ、蝶屋敷に戻る道中で、指南書に書かれていた単語と文章について、炭治郎は考える。
『呼吸極めし者がたどり着くものの本質は常に同じ。然れども、その過程は一つとして同じものはない。そしてどのように辿ろうとも、道程の終わりは必ずやってくる。ならばその意味では彼らの扱うこれは、人が必ずたどり着く、死、という、呼吸の終わりに近いのだろう。名付けるならば…』
(…名付けるならば、始まりの呼吸、『
ーーーーーーーー
全てを照らす日の輪も、夜道を包む月明かりも、等しく人の支えになるのだろう。
これは、確かに
よろしくお願いします。