〇〇しい世界   作:てておん

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杉野の時間到来


野球の時間

 

----渚----

 

 

僕がE組に来てから、すでに1週間がたっていた。時間というのはあっという間にすぎるもので、この1週間は新鮮な気持ちで過ごすことができた。

暗殺に関しては1歩も進んでいないが…

手榴弾暗殺事件(不破さん命名)から一度も僕は殺せんせーに暗殺を仕掛けていない。

マッハ20の怪物に警戒されたらナイフすら握らせてくれないだろう。しばらくは大人しく観察をすることにしよう。

 

この1週間は今まで経験したことが無いくらい平和な日々だった。みんなと他愛ない話をしたり勉強したり料理の研究をしたり…

寺坂組とは手榴弾の一件から必要最低限の会話しかしていない。それ以外のクラスメートとは仲良くやれていると思う。

不破さんには料理漫画を借りて読んでるし、岡島君とは、女子に聞かせられないよな内容の会話で盛り上がった。

僕自身は趣味も兼ねて料理は始めることした。最近気づいたんだけど僕は美味しいものを食べることが大好きみたいだ。原さんとも、そのおかげで会話をよくするし。美味しいお店や料理の仕方なんかを…

食べることが大好きで、美味しいものを求めているうちに自分でも作ることにしたんだ。

 

(といっても始めたばかりです人前に出せるものじゃないんだけどね…)

 

あとは先生の観察についてだ。まだ1週間しか観察をしていないが、それでもたくさんの情報を得ることができた。

毎朝HRの前に英字新聞を読む習慣がある。マッハ20でハワイまで飛んでドリンクとセットで仕入れてくるらしい。

 

その習慣を利用して今、僕と杉野は殺せんせーを暗殺をしようとしている。正確には杉野だけが暗殺をしようとして僕は応援するために横で見ている。

 

杉野の手には野球のボールが握られている。だが、ただのボールではない。対先生BB弾をボールの表面にたくさん埋め込んだお手製となっている。

杉野お得意の投球でこのボールを新聞に夢中の先生に投げつけるのである。

 

(これなら銃と違って発砲音もないからバレる可能性も低い…!弾速は圧倒的に遅いけど試す価値はあるね…。先生は最近、工夫をしなさいって口が酸っぱくなるほど言ってたし丁度いいと思うな。)

 

杉野がいつもの投球モーションに入り振りかぶる、そして先生目掛けてボールを放った。

ボールが真っすぐ先生目掛けて飛んでいくと、途中で先生の姿が消えた。そして僕は暗殺が失敗したことを理解して振り向いて先生に挨拶をする。

 

「おはようございます殺せんせー」

 

「おはようございます、渚君に杉野君」

 

「え!?ええ!?」

 

いきなり挨拶をした僕に殺せんせー少し驚いたようにするが、即座に挨拶を返した。杉野驚いて挨拶をするどころではないのか、さっきまで先生が座っていたイスと背後を交互に見ていた。

 

「特殊な野球ボールで暗殺ですか。よく考えられた素晴らしい暗殺です!最近みなさんが暗殺に工夫をくわえるようになってきたので先生嬉しいです。ですが…」

 

先生曰く弾が遅すぎたのでボールが届くまでに、用具室にグローブを取りに行ってたらしい。

 

「殺せるといいですねぇ、卒業までに…」

 

殺せんせーはそう言い残して校舎のほうに姿を消してった。僕はチラッと杉野を見る。

 

(完全に自信を無くしちゃって落ち込んでるよ…どうするのさ殺せんせー、杉野をここから元気づけないと教師失格だよ?)

 

僕は杉野にありきたりの言葉をかけて朝のHRに遅れないように連れていくのだった。

 

 

----

 

 

時間は過ぎて次の日。今日もまた杉野は元気がなく、ときたま後ろの席からため息が聞こえてくるほどだった。

隣のあかりも心配していた。

 

(そんな落ち込むことないと思うんだけどなぁ。でも、それだけ杉野が野球に真剣だってことなんだろうな。)

 

そう思いながら僕は先生に課題である英語で書かれた日記を見せに行こうとしていた。

すると校舎の外で杉野に話しかけている殺せんせーを見つけた。

 

(殺せんせーのことだから、昨日の暗殺を根に持ってからんでたりはしないと思うけど…念のために。)

 

有用な情報でも得られればラッキーだしね。僕は物陰に隠れて二人の会話を盗み聞きする。どうやら僕には気づいてないようだ。

殺せんせーはヤシの実を食べながら杉野に部活についての質問をする。いや、飲めよ…

どうやらE組は、とにかく勉強に集中しろという理由で部活動禁止らしい。

 

(とんでもない教育方針の学校に来ちゃったな…)

 

わかってたことだけど、この学校は異常だ。差別対象のE組を作り上げて他のクラスの生徒のやる気を出す。E組以外の生徒は優越感と危機感をもつことができる。合理的だけどE組の生徒にとってはたまったもんじゃないだろう。

そんなことを考えてると殺せんせーは触手を杉野に絡ませて締め上げていた。

僕は慌てて止めに入ろうと、物陰から飛び出そうとすると殺せんせーは

 

「今の投球ホームは君に向いていません…メジャーの有田選手の真似をしてますね?ですが君には彼のような剛速球は投げれないのです」

 

(たしかに人には得意不得意があるけど、なんでそんなことが断言できるんだ?真実を突き付けるのも大切だけど今の杉野には逆効果じゃないか…)

 

「先生、直接会って確認してきましたから」

 

「「確かめたんならしょうがない!!」」

 

「おや渚君、どうしたんですか?」

 

「しかもサインまで貰ってるの!?あ、やべ…」

 

サインまで貰っていることについ突っ込んでしまうと自分が物陰から身体を出して隠れることをやめていたことに気づく。

僕はあきらめて物陰から出てきて杉野の横に並ぶ。僕は先生のはちゃめちゃな行動に苦笑いをするしかないかったが、横の杉野にはそんな余裕はないようだ。

今まで頑張ってきた物が否定されたこと。そして自分でもわかっていたことを証拠とともに突き付けられたこと。いろんなものが重なってしまった。

 

「やっぱ俺には才能がないのか…」

 

「一方で、肘や手首の柔らかさは君の方が優れている。鍛えれば有田投手を大きく上回る選手になれるでしょう。」

 

「俺の…俺にしかない才能…」

 

杉野は先生の言葉にどこか自信を取り戻したような表情をして自分の手首を動かしている…

どうやら殺せんせーの言葉によっていい方向に傾いたようだ。

僕は杉野を置き去りにして校舎へと去ろうとする先生を追いかけていき。

 

「殺せんせー、わざわざ杉野にアドバイスをするためにアメリカに行ってきたの?」

 

「もちろん、先生ですからね。」

 

(そんなことしてくれる先生なんて、地球上どこを探し回っても殺せんせーだけだよ…)

 

「普通の先生ってそこまでしないもんじゃない?まして、これから地球を滅ぼそうとしている殺せんせーがさ」

 

僕がそう言うと殺せんせーは振り返って少し考えてから僕の目を真っすぐ見る。

 

「先生はね、渚君。ある人との約束を守るために君たちの先生になりました。私は来年3月に地球を滅ぼしますが、その前に君たちの先生です。君たちと真剣に向き合う事は地球の終わりよりも大事なことなのです。」

 

そう台詞を言い放って決めポーズをとる殺せんせー。

 

「ある人って雪村先生のこと?」

 

「なっ、なんでそこで雪村先生の名前が出てくるんですか…!けっして私は雪村先生とそんな大事な約束なんてしませんから!いいですか、これはですね…」

 

雪村先生の名前を試しに出してみると慌てふためく先生。

 

(こりゃ何かあるなー。まさか雪村先生と殺せんせーが付き合ってるなんてことは…さすがにないよね…?研究者と被検体だった二人の間に一体何があったんだろう…)

 

「ま、そういうことにしておくよ。それじゃ僕は教室に戻るね?」

 

「あ、こら待ちなさい渚君!先生の話はまだ終わってませんよ!」

 

採点の終わった英語のノートを先生の触手から奪い取り、慌てて取り繕う先生を無視して僕は教室へと戻っていくのだった。

 

 

----

 

 

数日後、杉野はすっかり調子を取り戻して以前のように元気になっていた。

そして今、空いた時間に2人でキャッチボールをしているわけだが…

 

「うおっ…ボールが曲がった!今の変化球?」

 

「へっへ~。殺せんせーのアドバイスから肘と手首をフルに活用した変化球を習得中なんだ!!」

 

杉野は腐ることなく、殺せんせーのアドバイスを活用して自分の武器を開発していた。

あのとき殺せんせーは杉野と僕に自分の才能にあった方法で暗殺をしなさいと伝えたかったんだと思う。

 

(正直あのバケモノを倒せる気がしない。超スピードだし万能だし…)

 

「よし、今日は日が暮れるまで練習だぞ渚!」

 

「うん!晩御飯おごってくれるならいいよ。」

 

(…でも不思議と僕らをやる気にさせてくれる。学校生活って楽しいかも…!)

 




殺せんせー×あぐりさん説濃厚に
ほとんど原作通りなのでスルーしようと思ったのですが書きました。
次回は二次小説っぽくオリジナルな話になります。たぶん…
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