今回は本編にないオリジナル要素の強い話です。
『烏間襲来の巻』
----渚----
ある日、僕は学校帰りにスーパーに寄って食材を買っていた。
(今日の夕飯はカレーで…明日の昼の弁当のおかずはどうしようかな…。あ、今日は豚肉が安いのか…それなら生姜焼きとか作ってみようか)
完全に思考が主婦だが僕は料理にはまっていた。自分で作った料理は格別に美味しいし、作れば作るほど上達しているのがわかるからとても楽しい。自炊はお財布にも優しいからいいことばっかりだね。
(まだ人に食べさせられるほどでは無いんだけどね…)
エコバッグに食品を詰め込みスーパーから出る。
(このスーパーは住んでるマンションから遠いんだけど野菜が安いんだよな…今日は肉も安かったし、これで卵も安ければ文句なしなんだけどなぁ。)
スマホでカレーのレシピを再確認しようと検索しながら家へと近づいていく。良い子のみんなは歩きスマホ禁止ですよ!
(………ん?誰だ…)
そこで僕は背後に誰かの気配を感じた。
(只者じゃないな、誰だ?殺せんせーではなさそうだけど)
僕はゆっくりと振り返る。へたにいい反応を見せたら、ただの中学生とは思われなくなっちゃうからね。
ゆっくりと振り返ってみる。
「……烏間さん、何してるんですか?」
「気にしないでくれ。あぁ、あと歩きスマホは危ないからダメだぞ。」
「はぁ…」
(気にしないでって言っても背後にぴったり着いてこられたら気になるって!)
何故か背後に烏丸さんがいた。僕は再び帰路につく。もちろんスマホはしまって烏丸さんから逃げるように早足でだ。
マンションが見えてくるとあることに気が付く。
(あれ、誰か引っ越ししてきたのかな。空き部屋なんてなかった気がするけど…)
いまだに背後に烏丸さんの気配を感じながら歩いていると、マンションの前に引っ越し業者のトラックが止まっていることに気が付いた。
引っ越しのトラックを不審に思いながら…もっと不審なのが背後にいるけどマンションへと入り部屋の前までくる。
(烏丸さんが何がしたいのか結局わからないけど家の中に入ってしまえば関係ないもんね。)
僕は扉を開けると少しだけ開いて、隙間に身体をいれて部屋の中へと入る。そして鍵をかけて一息、目を開くと
「あ、渚君おかえりなさい。」
あぐりさんがいた。
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テーブルを挟んで向かい側に烏丸さんとあぐりさんが座っている。
あの後、びっくりして慌てて飛び出そうと扉を開けたら烏丸さんが目の前にいて…よくわからない板挟みにあって、てんぱってしまった。
「で…なんで雪村先生は僕の家にいたんですか?烏丸さんもなんで後ろにいたのかわからないし…それにこの荷物は?」
とりあえず気になった点をいくつかぶつけてみる。荷物というのは僕の部屋に置かれている大量の段ボールだ。
マンションの前にいた引っ越し業者はどうやらこの家に用があったらしい。
そもそも僕の家は鍵がかかっていたはずだし。どうやって入ったんだ。まさか合鍵…!
「私はね、渚君がちゃんと生活できてるか見に来たんだよー?コンビニのご飯ばっか食べてないかなーって。」
(大丈夫。あぐりさんより料理できるから…本人には言わないけどね。)
あかり情報より、あぐりさんは料理が絶望的と…貴女に心配されたくないと内心思いながら
「大丈夫ですよ。最近料理にはまってまして、それなりに作れるようになってきましたから。で、この荷物は…?」
「あぁ、その荷物は俺のだ。今日からこの部屋に一緒に住むことになる、よろしくな渚君。」
「………へ?」
どうやら僕の平和な一人暮らし生活は一か月も続かないらしい。
「で、なんで急に烏丸さんが僕と一緒に住むんですか?」
「逆に考えて欲しい、中学生が一人暮らしできると思うか?」
「……だめなの?たしかに中学生で一人暮らしって聞いたことないけど。」
「不可能ではない。が、保証人が必要だ。いろいろ法律関係でめんどくさいが他にも保護責任者とかが必要なんだ。君は少し特殊だが、今は普通の中学生と同じ扱いになっている。まぁ、ぶっちゃけてしまうと手続きがめんどくさいから一緒に住むことになった。」
ぶっちゃけすぎでしょ。
「わかりやすい説明ありがとうございました。で、保護責任者ってだれなんですか?」
「俺だ。」
「あ、はい…」
どうやら烏丸さんが僕の保護責任者らしい。それに僕の身体のこともあって一人にさせるのは不安なのと監視の意味合いもあって同居することになったらしい。
ちなみに同居することはずっと前から決まっていて、だから広い部屋が用意されていたんだとか。
(それならもっと早く言ってくれればいいじゃないか…)
話し合いが終われば僕は夕飯を作り始める。多めに作って、作り置きしておこうと思ったけど烏丸さんの分も必要になってしまった。
そしてテーブルのほうをちらっと見るとあぐりさんがスプーンを握りしめてカレーライスを待っている。おまけに涎を垂らして…
「なんで雪村先生も夕飯を食べようとしてるのさ…はぁ…」
3人分のカレーを用意する。食事前の挨拶をするとカレーにがっつく一人の女性…
「美味しいよ渚君!これならどこにでもお嫁さんに出せますね烏丸先生。」
「あぁ、美味しいな。」
「はいはい…つっこみませんからねー。ん、烏丸先生?」
あぐりさんの、烏丸先生という呼び方が気になって質問してみた。どうやら次回から烏間さんが体育教師になるらしい。
たしかに殺せんせーでは体育の授業にならないなと考えながらカレーを食べる。うん、美味しい。
烏丸先生は体育の時間を使って暗殺の基本を教えるつもりだとか。正しい判断だと思います。
「それとね渚君、君の身体のことなんだけど。これから毎週検査させてね?」
「検査ですか…別にいいですけど僕のこと検査してどうするんですか?」
僕はあぐりさんの目をまっすぐ見ながら聞き返す。どこかで嘘をついていないかのチェックだ。
「もちろん君の身体から触手をなくすのが目的だよ。すでに君の身体は触手と同化してしまってるから難しいけど…いつか治さないと…」
嘘をついてはいないけど、波長に乱れがある。あぐりさんが何を思っているのかわからないが…
ちなみに研究所はE組の校舎の地下にあるらしい。そんなバカな…
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『やつとの遭遇』
----渚----
なぜか椚ヶ丘周辺はヤンキーが多い。進学校の生徒を妬む連中なのだろうか。
今も僕の周りにたくさんいる、というか絶賛絡まれ中。
学生服姿で買い物に行ってしまったのが悪かったのかな。次から気を付けよう。
椚ヶ丘は私立の中学校。特待生制度などがあるとはいえ、通っている生徒はほとんどぼんぼんだろう。
ただ歩いていただけなのに腕を掴まれてビルとビルの間に連れ込まれてしまった。
(もちろん、抵抗しようと思えば抵抗できたし…でも面倒ごとは起こしたくないからなぁ)
てきとうに追い払って、早く家に帰ろう。そして夕飯を作るんだ。家にはお腹をすかせた烏丸さんが待っている。
「ごめんなさい、急いでるから…家にペット(烏間)が待ってるし」
「なぁ嬢ちゃん、怪我したくなかったら出すもん出しなよぉ…」
「てかこの子可愛くね?ペットなんかよりお兄ちゃんたちと気持ちいいことしようよ」
やっぱ追い払うんじゃなくて潰そう。とっとと潰そう。
ついキレて思いっきり壁を殴ると拳が壁にめり込みひびが入ってしまう。
ヤンキーたちはビビッて逃げていく。そんなやつらの背中に中指を立てる。すっきりして帰ろうとすると
「あれれ、終わっちゃったの?せっかく正義のヒーローになって君を助けて、ヤンキーからお金を巻き上げようとしたのにさ。」
後ろから男の声がした。振り返ってみると、そこには赤い髪の同年代くらいの男の子がいて
「それにしても君強いねー…もしかして俺より強いんじゃない?あ、ちなみに俺の名前は赤羽業って言うんだ。君と同じ椚ヶ丘の生徒なんだけどさ。」
聞いたことある名前だ。たしか暴力沙汰で停学をくらっているE組の生徒と同じ名前。後ろに誰も座っていない机がある、きっとそこの席の主だ。
(他の人と違うな…。素人だとは思うけど身体の動かし方や洞察力が段違いだ…仲良くしといたほうがいいかな。)
「業…?変わった名前だね、僕の名前は渚。助けようとしてくれてありがとね?」
「もしかして僕っ子?それに男子用の制服着てるし実在するんだね~。助けようとしたことは気にすることないって。僕と同じ学校の生徒、それもこんなかわいい子が襲われてたんだからさ~。ほんとの目的はヤンキーから巻き上げることだったし。」
僕の頭に手を置いてそんなことを言う業君。人を馬鹿にするような話し方をするということがわかった。
訂正、こいつとは仲よくしなくていいわ。
たまーに閑話は挟むことがあります。