----渚----
今日は天気がいい。このままずっとここで寝ていたいが。だがさっきからすごい気になっているものがある。
「んー…何が起きてるんだ?殺せんせーが縛られてつるされてる…?」
僕はなんとなく昼休みに校舎の屋根の上に登っていた。天気もよかったし、ほど良い風が吹いていたから気持ちよくてつい寝てしまったんだけど。
目を覚ましたら午後の授業が始まる時間だったが、このまま午後はさぼろうかなと思ったら、殺せんせーが縛られて木からつるされているのが目に入った。
しばらく屋根の上から観察していると皆が縛られている殺せんせーを攻撃し始めた。
どうやらハンディキャップ暗殺大会なるものを開催しているらしい。
(なんでそうなったんだ…烏間さんも呆れてるし…)
どういった経緯で暗殺大会が開かれたのかはわからないが、烏丸さんは呆れた表情をした後に、怒りの表情を浮かべて身を震わせていた。
(なんでこんなことになっているのかは…後であかりか杉野にでも聞けばいいや。とりあえず僕も参加だけはしとこうかな…)
僕はハンドガンを取り出して殺せんせーに狙いを定める。殺せんせーの顔は縞々模様になっていて完全に僕たちのことを舐めていた。
(まぁ、実際攻撃は縛られてるのに全部避けれてるからな…)
何発か引き金を引いて射撃を行う。最近わかったことだけど僕は射撃のセンスが無い。今も全然弾は先生のところに飛んでいくことはなく、僕と同じくさぼって遠巻きに暗殺をみていた寺坂の頭に全部当たった。
寺坂はどこから弾が飛んできたのか気づいていないようだけど…
(うーん…まったく狙った所に行かないなぁ、やっぱ僕にはナイフが合ってるのかな?)
また試しに引き金を引いてみる。奇跡的に弾は全て寺坂の頭へと吸い込まれていった。
(こりゃ今回も暗殺はだめかな?でも殺せんせーのパターンからいくと、カッコつけるとボロが出るはずだからそろそろ…)
先生が吊るされていた木の枝が折れた。言わんこっちゃない…
しばらく沈黙がおとずれる。殺せんせーも烏間さんもE組の皆も固まるが…
「「「今だ、やれー!!」」」
容赦なく皆は殺せんせーに襲い掛かる。
「ちょっ…待って!待ってください!縄と触手が絡まって…」
殺せんせーは避けながらもてんぱっている。しかし、ようやく縄から抜け出すと校舎の上へと飛んで逃げる。
そう、僕がいる校舎の上へ…しかも僕の真横へと。
「はぁ…はぁ…ここまでは来れないでしょ!基本性能が違うんですよバーカバーカ!ぬぉっ…!」
隣で子供みたいに叫ぶ殺せんせーに僕は容赦なくナイフを振るう。ハンドガン?知らない子ですね。
疲れ切っててんぱってた殺せんせーに不意打ちを仕掛けたことで触手を一本切り落とすことに成功したが、驚いた殺せんせーはいつも以上に距離をとる。
「にゅあっ!なんで渚君がここに…!全く君は油断できませんねぇ…。」
「ちっ…せっかくのチャンスだったのになぁ…」
下からも「惜しかったなぁ」なんていう呟きが聞こえてくる。
「ふぅ、危なかったですね……。あ、みなさんの明日出す宿題を2倍にします。」
「「「器小せぇ!!」」」
「渚君は3倍です。」
「理不尽!」
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時間は流れて次の日。今日から体育の授業は烏間さん、いや烏間先生が教えることになった。
殺せんせーの体育は体育とは言えないからね。マッハ20で授業やられても誰もついていけないからね…
それに烏間先生の体育は暗殺の基礎を教えてくれる。ナイフの振り方から、基本的な体の動かし方なんかを。
(慣れたから何も思わないけど、普通に考えたら異常な光景だよなぁ…)
みんなが掛け声に合わせてナイフを振っているのは非常に異様な光景だ。
烏間先生はさすが特殊部隊出身なだけあって動きはプロだ。磯貝君と前原君の2人がかりで攻撃を仕掛けても簡単に攻撃を躱してしまった。
先生の実力がわかると皆は素直に従い、先生の話を静かに聞いて教えをどんどん吸収していく。
女子の一人、えーっと…そうそう倉橋さんは目を輝かせて喜んでたけどね。
烏間先生の体育が終わって皆が教室に戻ろうとしていると、校舎の前に見覚えのある赤い髪の青年がたっていた。
「……誰?」
「赤羽業君だよ。暴力沙汰で停学くらってたんだよ。」
知らないふりをして、隣にいたあかりに聞いてみる。
「赤羽業君ですね?初日から遅刻とはいけませんねぇ」
そんなことをしていると先生と業君が話し始める。先生は顔を赤くして業君に注意するが業君は気にすることなく先生に近づいて握手を求める。
「気軽に業って呼んでよ、殺せんせー」
「こちらこそ、1年間よろしくお願いしますね。」
そう言って業君と握手する殺せんせー。次の瞬間殺せんせーの触手は溶けて、業君のナイフ攻撃に焦って距離をとる。
どうやら握手をする手に細工を仕組んでいたようだ。そして殺せんせーに挑発をする業君。見事に殺せんせーは怒っている。
「たしかに、君の暗殺は見事ですが…渚君のほうが君より上ですよ?彼は私の触手を累計2本、切り落としていますからねぇ~」
(ちょっ…!言い返すにしても、なんで人の名前出すのさ!)
「へぇ…その渚ってやつ、誰?」
「僕だよ…」
僕が仕方がなく、おずおずと手を挙げると
「こんな女みたいなやつが?先生ちょろすぎでしょー…さすがにそれはないって。」
なんと彼は僕にまで挑発してきた。僕はつい業君に飛び掛かる。業君も、そんな僕に反応して反撃をしようとするが殺せんせーが間に入って喧嘩を止める。
「だめですよ2人とも…業君、いきなりそのようなことを言ってはいけません!こう見えても渚君は男の子なんです!」
「……殺せんせー嫌い」
とにかく僕と業君の学校での出会いは最悪のものとなってしまった。
----あかり----
教室の空気が重い。体育が終わって6時間目の時間、小テスト中なのに業君が後ろから紙飛行機を渚に飛ばしてちょっかいをだしていた。
帰りのホームルーム前の休み時間でも、渚が廊下を歩いていた業君に足を引っ掛けようとしたり…
(完全に2人の仲悪いよぉ…殺せんせーもちょっと心配してたし。)
間違いなく業君の「女みたい」っていう言葉が原因なのだが…
(いつも以上に渚は過剰に反応している気がするな。普段、みんなにからかわれてるのに。)
途中で転校してきた渚は、とても友好的ですぐにE組に溶け込むことができた。そんな渚があからさまに嫌悪して威嚇してるんだから珍しい。
お互い身体能力が高いから、喧嘩がガチな格闘戦になってるあたり流石だけどね。
そしてホームルームが終わった今、教室の後ろで取っ組み合う二人。
もともと身体能力の高い渚と互角に戦っているあたり業君もなかなかのものだ。彼の復活はこのくらすにとって、ありがたいものになるかもしれない。素行がよければ文句なしなんだけどね。
「あ、ジャーマンスープレックス…」
なぜか近くでヤジをとばしていた寺坂君に格闘技をきめる渚。
2人の喧嘩を見かねたお姉ちゃんと烏間先生が止めに入る。
「いいか君たち、仲間同士で争っている場合じゃない。しかも、そんなつまらない理由で。やつを暗殺するためには一丸となるしかないんだぞ?」
なんとか2人を諭そうとする烏間先生。先生の言っていることはごもっともだ。
「その通りです、そんなんでは私を殺せまっ…にゅあぁあ!先生の足が!」
さらにそこに加わる殺せんせー。2人に近づいていくと突如、殺せんせーの脚が溶ける。いつの間にか床にBB弾がばらまかれていて、殺せんせーが気づかないで踏んだのだ。
「あっはー、また引っ掛かったー」
どうやらBB弾を仕掛けたのは業君らしい。
業君が殺せんせーに向けて銃を撃とうとすると、射線上に渚が立つ。
「ちょっと…渚君邪魔なんだけどさ…わざとやってるでしょ?」
「え、僕と喧嘩して先生を誘い出そうとしたんでしょ?なんかむかつくし…なにか問題でもある?」
どうやら渚はわざと射線上に立っているらしい。また2人は睨み合う。
(これじゃ暗殺どころじゃないよ…主力の2人をどうにかしないと…先が思いやれるなぁ。)
殺せんせー暗殺を成功させるためには2人の力が必要不可欠。
殺せんせーを含む教室にいる全員が溜息をつくのだった。
最近忙しくなってきた…!
週2投稿…きついかも