でも友人に「好きなように書いて、好きなように投稿する。それが、二次創作のやり方だったな……」とか言われたので吹っ切れて10話投稿です。
お気に入り感想、評価に誤字報告、どれもありがとうございます。
先月のクラス対抗戦が中止されてから二週間近くが経った。
IS学園の生徒達は、既に迫りつつある学年別個人トーナメントへと目標を移し、それに向けた訓練や戦術学習で学園全体が慌ただしくなり始めていた。
この学園中を震撼させたあの事件を忘れさせるにはあまりに短い期間だと言わざるを得ないが、不自然に皆あの事件の事は話さなくなり、自然とその印象は薄れ始めている。
どうやら誰かが火消しを行っているのは間違いなさそうだ。噂に聞く生徒会か?
あの事件では、当時アリーナに居た者全員――――特に実際に戦闘に参加した一夏、
ま、そりゃそうだろうなあ。現行技術ではありえない無人のISが襲撃してきて、しかも存在しないはずの468個目のコア、それを何者かに奪われてんだから。
それとは別に10本目のフルボトルを制作した俺は、並行してこのIS学園での教師生活を満喫させてもらっている。地道な積み重ねの結果、生徒達の人となりも何となく理解できてきたし、最近は織斑千冬にも殆ど叩かれなくなってきた。
あのクラス対抗戦も俺としては大成功に終わったしな。俺は我がクラスの有望な生徒達に強くなる動機を与える事に成功、特に篠ノ之箒には強い影響力を持つ事が出来たし、篠ノ之束の情報を不明ISから手に入れ、更にISコアそのものまで手中に収めた。アドリブがうまく行き過ぎてちょっと怪訝な顔になったりもしたが、更に嬉しい誤算が一つあった。
逃げ遅れた篠ノ之箒を身を挺して助けた事が他の教師陣の琴線に触れたらしく、発信機こそ携帯させられて居るものの、遂に単独での自由行動が解禁される事になったのだ。織斑千冬の奴はそれにどうも納得が行かないようだったが、実際に生徒を命がけで救われた(真実は俺以外知らんのでそう言う事でいい)とあっちゃ強くも出れない。
もちろん全面的と言う訳ではなく、ある程度の条件付きではあるし、立ち入り禁止の区域も設定されている。だが、それでも自由はいい。そうして手に入れた自由で俺は、今日も朝来る生徒達に挨拶して回っていた。
「石動先生、おはようございます」
「
「石動先生毎朝それ聞いてきますよね、嫌われますよ?」
「そう邪険にするなよ~。今度新作のドイツ語ジョークを聞かせてやるからさあ」
「忘れないでくださいねー」
「よう
「おっはー石動せんせー! 今タイム計ってるからまたね!」
「ほー、タイムをねえ……っておい! 校舎内でまで走るんじゃねえ! 織斑先生に修正されっぞ!? ったく……」
「ボンジュ……あっテメェ
学園やクラスの生徒とのコミュニケーションをひとしきり楽しんでいると、改めて人間の持つ多様性という奴には感嘆させられる。これほどの人数が
感情豊かな人間達、大人の人間も面白いが未だに精神の不安定な少年少女というのは見ていて飽きが来ない。俺の言う事に一喜一憂する所なんか、パンドラボックスの光を浴びて思考の歪んだ人間達に通じる所がある。
――――そう言えば、今日から転校生が来るんだったな。……いったいどんな奴なんだか。SHR前に顔合わせさせてもらう話になってたし、そろそろ行くとするかね……面白い奴だといいな、楽しみだぜ。
やたらと逃げ足の早い
ぜえぜえと肩で息をしながら黛を心中でいつか痛い目見せてやると決意を新たにすると、しばらくして俺は織斑千冬に指定された応接室へと向かって歩き出した。
◆
「そんじゃあまず、名前と国、ついでに年齢から教えてくれっかな」
軽い自己紹介を終えた俺は椅子に腰掛け、向かい側に並んで座る二人に話しかけた。この二人が、聞かされていた件の転校生だ。自由行動を取れる様になったのはあり難いが、逆にこういった雑事を押し付けられるようになってしまったと言うのが中々につらい。
何で俺が……とも思うのだが、織斑千冬は今日の授業の調整に忙しく、山田ちゃんもその授業でISを操縦するという事で最終確認をしていたらしい。
ま、俺あくまで副担任補佐って下っ端だしなあ。ただコミュニケーション能力は織斑千冬にさえ評価はされている気がする。今回は押しつけられたと見るべきか、適材適所と言うべきか……。物は考えようだな。
そんな風に上の空で居ると、二人のうちの一人がスッと立ち上がり、実に洗練された礼をして自己紹介をし始めた。
「シャルル・デュノア、15歳です。フランスから来ました。日本に来るのは初めてで、知らない事も多いのですが……何卒よろしくお願いします、石動先生」
「ああ、デュノア。有意義な学園生活を送れるよう、俺達もサポートさせてもらう。特にお前は『三人目』だからな。俺に出来る事は多いと思うぜ。なんでも相談してくれよな~……15歳ってことは誕生日はまだだな?」
「ええ、まだですね」
「ちょっと待て……誕生日何月か当てて見せるぜ……10月だ! どうだ?」
「近いです、僕は9月生まれですよ」
「
「丁度夏が終わったあたりですね。でもフランスの夏は短くて、残暑も殆どありません。まだ体験はしてないから知識だけの話になっちゃうんですけど、9月のトーキョーより過ごしやすいと思いますよ」
「マジか。俺も夏休みはフランスで涼ませてもらうとするかね……本当に行く事になった時はまた、フランス名物について教えてくれよ。特にワインについて下校時刻まで語り明かそうか」
「ふふっ、確かにフランスでは16からお酒買えますけど、まだまだワインはダメなんですよ、先生」
「はっはっは、フランスじゃワインみたいな強い酒は18からだったよな。ド忘れしてたぜ、許してくれ」
ひとしきりからからと笑ってから再び椅子にかけるよう促して、改めて目前の人物を見る。中性的な顔立ちに美しい金髪を後ろでまとめ、貴公子然とした眩しい微笑み。正に王子様とかプリンスとか、そういう形容がしっくりくる。
――――だが、こいつ女だよな?
俺は訝しんだ。確かに一見男に見えるのだが、所作の節々に女性らしさが垣間見える。しかし書類上は男性だ。どうなってやがる?
エボルトとしての感覚と地球人としての経験が疑問を呈し、それを解消しようと本人に聞いてみるかと思ったが、脳裏に『これ滅茶苦茶デリケートな事情があったりするんじゃねえか?』と言う実に教師的な思いが過ぎり、止める事にした。ま、いきなり突っ込んだ事情に触れて警戒される事もない。触らぬ神に何とやらだ。
とりあえず、男性としてデュノアは扱おう。そう心に決めた俺は、再びその貴公子然とした美貌に目をやる。こいつぁ、今日のSHRは騒がしくなるぜ……。
「あの、僕の顔に何か?」
「いや。SHRの時、耳栓とかあったら付けとくといいぞ。先達からのアドバイスだ」
「……? えっと、あ、はい」
愛想笑いをするデュノアに釣られて少し引き釣った笑みを浮かべた俺は、未だ黙りこくったままのもう一人を視界の中心に捉えた。
「…………」
不愛想と言うか、俺に対して何の関心も持っていない仏頂面。流れるような銀髪を長く伸ばしているが、その雑然さはファッションと言うより、ただ伸びるに任せていると言う印象を受ける。鋭く細められた赤い右目は俺など映しておらず、何が考え事に耽っているようだ。何よりも目を引くのがその左目の眼帯。医療用ではなく、軍隊のそれだろう。体格自体は小柄ではあるが、その威圧感が見る物にそう思わせない。正に頑なな軍人と言った雰囲気だ。
「おーい。お前の番だぞ~聞いてっか~?」
「…………」
問いかける俺にも反応を見せない。しかし、その眼は俺を一瞥してまた机へと向けられた。あ、こいつ気づいてないんじゃ無くて意図的に無視してやがるな? なんて奴だ! お前ここに何しに来たんだよ!
「お~い」
「…………」
「反応しろ~」
「…………」
「言う事を聞きなさ~い」
「…………」
「聞こえねぇのか~?」
これだけ話しかけても、奴は一切の反応を示さない。隣のデュノアが居心地悪そうにちらちらと隣を見ている。だがそんな視線にも動じず、奴は沈黙を貫くばかりだ。
あ、やべ。ウルッと来そう。だがそれ以上にカチンと来たぜ。俺は怒りとほんのちょっとの悪戯心を発揮して、そいつの事を揶揄するように言った。
「…………左目だけじゃ無く、耳も塞がっちまってるのか?」
「極東の猿に名乗る名前など無い」
「うげっ」
俺がちょっと煽ってみれば、そいつは怜悧な表情そのままに鋭い言葉の刃を突き刺してきた。そう言うタイプか。猿呼ばわりは久々だ。ちょっとウルっと来る。
こう言うコミュニケーションそのものを拒否してくるタイプはどうすればいいかと言うのは中々に難しい。俺と会話することのメリットとデメリットをハッキリさせる事が出来ればいいんだが、俺はこいつの素性も知らんし、しかも俺の事なんかその辺に転がってる石ころ程度にしか見ていないと来ていやがる。
どうしたもんかなあ……そんな風に途方に暮れていると、ノックも無くドアが開いて織斑千冬が入室してきた。すると目の前の軍人殿は今までの無関心さが嘘のようにバッと立ち上がってビシッと
しかし織斑千冬はそんな俺の視線をスルーして(この女に限って気付いていないと言う事は無い)、その完璧な敬礼を呆れたように見詰めるだけだ。
「そろそろ時間だ。教室へ行くぞ」
言って踵を返す織斑千冬の後ろに、護衛か何かの様に軍人殿がさっと並ぶ。確かに上官と部下って感じはするが、それだけじゃあ無いんだろうなあ。
俺は一つ溜息をつくとデュノアにも彼らについていくよう促し、その後ろでこっそりと耳栓を装着した。
◆
「「「きゃああああァ――――ッ!!」」」
耳栓をして、挙句手で耳を塞ぎ聞かざるのポーズを取っても、その爆音衝撃波は到底防ぎきれるものでは無かった。有象無象の人間も数を合わせて一致団結すれば凄まじい現象を引き起こすのは知ってはいたが、こんなことでここまでの威力を生みだしちまうとはな……!
実に面白い、だがうるさい。心の中で俺の人間に対する評価は乱高下した。
「男子、二人目の男子よ!」
「しかもうちのクラスに! これって(彼と私は結ばれる)運命……!?」
「イェイイェーイ! オォォールァ!!」
「地球に生まれてよかった……!」
窓がビリビリと揺れ、机に置いてあった出席簿が机の共振で移動して落下した。織斑千冬がそれを地面に着く前に素早く拾い上げる。その手際に拍手の一つも送ってやりたいが、あいにく両手は仕事中だ。少しは落ち付けよ、お前ら。特に最後の奴はこの星に生まれたことを後悔させてやろうか。
はぁ。さっさとホームルーム終わらねえかな……。そう沈んだ気持ちで思っていれば、織斑千冬がうっとおしそうに咳払いをひとつして、途端教室中の歓声が消える。俺はそう言うキャラじゃないから仕方ないんだが、ああやって一発でその場を統率できんのも一種の人望か。ちょっとうらやましいぜ。
軍人殿も、あのカリスマに
見ると、軍人殿は後ろで手を組んだまま一心に織斑千冬を視線で追っていた。その眼はクラスの喧騒になど興味もない、それ所か他の生徒達を嫌悪しているようですらあった。
「……挨拶をしろ、ラウラ」
「はい、教官」
織斑千冬に言われて、今までの無関心っぷりはどこへやら。佇まいを直し、織斑千冬に敬礼を向ける。またしてもどっかの国の敬礼を向けられた織斑千冬はこれ以上なく面倒くさそうな顔をした。
「ラウラ・ボーデヴィッヒだ」
そう言えば、織斑千冬はドイツ軍での教官経験がある……なんて事が資料に書かれてた気がしたな。じゃああの女はドイツ人か。まあ、それは俺にとっては関係の無い事だ。顔を上げれば、挨拶を終えたボーデヴィッヒにクラス中の視線が集中している。だが奴はそれにも動じず、それ以上語ることもない。
「そんだけかい?」
「以上だ」
ドギマギしっぱなしの山田ちゃんに代わって俺が聞いても、一瞥さえせずバッサリと切り捨てる有様だ。なんて奴だ。流石に、俺もこいつとは仲良くしたくねえかなあ。
なんて事を考えていると、不意にボーデヴィッヒが歩き出した。その眼はただ一人、一夏の奴の顔を睨みつけている。俺は何か嫌な予感がして少し身構え――――
パァン!
――身構えてたにもかかわらず、その事態に俺は呆気にとられた。一夏が、殴られた。いや叩かれた? 正直どっちでもいいが……よくねえ! いきなり何やってくれてるんだこの問題児は!
「おいボーデヴィッヒ! 何してるんだお前!」
呆然とするクラスの者達に先んじて俺は飛び出す。そのまま振り抜かれた右手首を咄嗟に掴むと声を荒げた。
「お前、
「
ボーデヴィッヒは掴まれた手で俺の手首を逆に掴み返すと、その関節をひねり上げようとしつつ左足で俺の軸足を払おうと試みて来た。なんて奴だ。軍隊仕込みの技は良いが、それをこんな場で教師相手に躊躇なく振るおうとするか、普通?
俺は迫り来る足先を見て、その足の甲を踏み止める事で技を防ごうと考えた。だが泥のように遅く感じる時間の中で再び俺は思案する。
ここでボーデヴィッヒの軍隊格闘技を悠々と返してしまうのは、フレンドリーな人間として
そう考えた俺は溜息一つで諦めて、僅かな殺意すらにじませるボーデヴィッヒの技に身を任せた。
「……ぎゃーッ!?」
軸足を払われ世界の上下が入れ替わった。だが、俺の体は相変わらず重力には忠実でそのまま床に叩きつけられる。背中が痛い。受け身は取れたが、そもそも受け身はダメージをゼロにできるような技術じゃない。地球外生命体の俺でも痛いものは痛いんだ。
「テメェ、何してやがる!」
「貴様! 一夏と石動先生に何という事を――」
「全員静まれ!」
一夏と篠ノ之がボーデヴィッヒの蛮行を見かねて席を立つが、織斑千冬の一喝にざわつき始めた教室と共に一瞬で沈静化する。山田ちゃんが駆けよって俺の頭を抱え上げ、今にも泣き出しそうな顔でこちらを覗きこんで来た。
「石動先生、大丈夫ですか!?」
「……ここが天国……? 天使って山田ちゃんみたいな顔してるな……」
「え、ええっ!? 織斑先生、石動先生はご無事じゃないです! 天国とか言ってます!」
真っ赤になった山田ちゃんは抱えていた俺の頭を放ると、織斑千冬に俺の惨状を伝える。
いや、痛いは痛いけど実は割とダメージ小さかったんだよなあ。今の奴の方が効いたぜ。俺は今鈍い音を立てて床と激突した後頭部の痛みを堪えながら、呑気にそんな事を考えていた。
織斑千冬はそんな俺達の有り様を実に複雑そうな顔で一瞥したが、すぐに視線を外しボーデヴィッヒを見据える。一瞬、ボーデヴィッヒに怯えのような、畏れのような感情が走ったが、奴はそれでも憮然とした顔を崩してはいない。
「……山田先生は石動先生を医務室に。ラウラ、お前には少し話がある。ついて来い。他の者はすぐに着替えて第二グラウンドへ。二組と合同のIS演習だ。悪いが一夏、デュノアを案内してやれ。以上だ、解散! 二組を待たせないようにな」
言って、織斑千冬はボーデヴィッヒを連れて教室を後にした。説教だなありゃあ。上体を起こして、痛めた頭をさすりながら考える。一夏との間にどういう因縁や怨恨があるかなんて知らんが、ありゃあ随分面白そうな女だ。
「石動先生!」
「ん? おう篠ノ之、一夏。どうかしたか?」
解散と同時に慌てて走り寄ってきた二人に、俺はにこやかに応対した。
「『どうかしたか?』ではありません! 体や頭はご無事ですか!?」
「いや箒、その言い方はまずいだろ。体はともかく、頭はバカにしてるみたいだぜ」
「俺もそう思う」
「ええっ!? も、申し訳ありません! 私はなんて事を……」
一夏に言われてテンションを急降下させた篠ノ之を見て思わず俺はぷっと吹き出した。いややっぱこいつらに目を掛けた俺は間違ってなかったな! 人間はこう、こんな風に感情豊かじゃあなきゃあ!
「いや、ちょっとおもしろかったぜ。なあ一夏ァ?」
「えっ。あー、ウス」
「ほらな? だからそんな気負うなって!」
肩を叩いて慰めれば、篠ノ之は自分の不覚を恥じるように溜息をつく。俺はそれこそまた笑ってしまいそうになるが、一夏がここぞとばかりに話題を変えようと口を開いた。
「しっかし先生、女だけどひでえ野郎っすね。ボーデー……ラウラって奴」
「全くだ。出会い頭に一夏に張り手した挙句先生を投げ飛ばすなど……女の風上にも置けん!」
ぷんすか怒っている篠ノ之だが、お前それ言っちゃっていいのか? と俺は思う。
確かに今のお前が以前みたいに無闇矢鱈と竹刀を振りまわさなくなったのは知ってるんだが……盛大に昔の自分に突き刺さってるのは確かだろう。
「あのさ箒、それってブーメラン――」
「それよりも一夏! さっさと外行った方がいいんじゃねえか!? デュノアの奴、絶対他の生徒に引っ張りだこになるし、皆着替えたそうにしてるからな!」
「やっべ! じゃあすんません先生、俺行きますわ!」
「おう、気をつけろよ!」
口を滑らせかけた一夏をうまい事下がらせると、俺は困ったような顔で篠ノ之に向き直った。当の篠ノ之は怪訝な顔で首を傾げているばかりで、一夏が何を言おうとしたかピンと来てはいないようだった。
まったく、アイツには素直なのはいい事ばっかじゃないっていつだったか言ってやったはずなのにな。って言うか、あそこまで行くと悪癖では? 俺は訝しみ、そこで教室中の女子から突き刺さる視線に気が付いた。
「おーこわっ……じゃあ俺も退散しますかね~」
「あっ、引き留めてしまってすみませんでした!」
「おう。篠ノ之、一夏の事頼むぜ」
「はっ! この不肖篠ノ之箒、その任承りました! どうか安心してお休みください」
「オイオイ、肩の力抜けって言ったろ~? ま、とりあえず頼むわ。
言って俺はささっと教室を後にする。もしこのせいであいつらが遅れでもしたら織斑千冬に何されるかわかったもんじゃあないしな……。
「……あの、石動先生、本当に大丈夫なんですか? 送って行きますよ?」
「へーきへーき! 流石に医務室に行くくらい何とかなるさ。そっちの事を考えなって」
俺を追ってきた山田ちゃんが医務室まで送ってくれようとするが、それを俺は丁寧に断る。山田ちゃん自身次の授業で出番があるらしいし、別段体に異常はないしな。彼女を追い返して自分の足で医務室に向かいながら、俺はウキウキ気分で今後の展望に大きな期待を寄せる。
ラウラ・ボーデヴィッヒか。
奴に触れた時、一般の人間とは遺伝子に差異を感じた。成年男性を軽々放り投げる身体能力にあの
ん~、一夏と篠ノ之、両方とも万丈ポジだな。戦兎みたいに頭が良い訳じゃあねえし……オルコットはグリスか? いや、色的にはデュノア……? 戦い方自体は凰が近いかね。ボーデヴィッヒはあれローグだろ。
しかし、本当に個性豊かな奴らだ。青臭いが強くなる意欲を見せる一夏に、それに追いつかんと茨の道を選んだ篠ノ之。先達たるオルコットと凰の二人の代表候補生と彼女らよりも強者であろう軍隊上がりのボーデヴィッヒ。そして、もう一人の男性搭乗者として現れたデュノア。正に役者が揃ってきたって感じがあるぜ。
おもしろ過ぎるだろこの世界は……ったく、実は篠ノ之束に構ってる暇なんか無いんじゃあねえか? そうだ、奴の事も調べねえと。フルボトルも作らにゃいかんし、こうもやる事が多いと俺も嬉しい悲鳴を上げちまうよ。
……とりあえず今日は頭打ったのを口実に休ませてもらって、ボトル作りに精を出すとすっかね。山田ちゃんの勇姿が見れないのは些か残念ではあるし、デュノアやボーデヴィッヒの人となりも早く知りたいんだが、これからトーナメントまでは随分と忙しくなっちまいそうだしな。
そう教師の風上にも置けぬようなことを考えながら、俺は医務室へとのんびりと向かう。その途中、俺は何となく懐から取り出したISフルボトルとコブラフルボトルを片手に持ってシャカシャカ振ってみた。すると軽快で小気味いい音を立てるそれに、俺は今後起こる事がより楽しみになってくるように感じる。
お前らの次の出番もそう遠くは無さそうだぜ。
そう感傷的にボトルを一瞥して、さっさと懐にしまって医務室に向かう。さあて、そこでどう言い訳して早抜けさせてもらうかな。俺はその事を考えるのに脳をトップギアでフル回転させ、いくつか浮かんだアイデアの
最新話のエボルトもビックリするくらい生き生きしてましたね(それを何とかするのが先生の仕事~とか言いながら葛城パパの肩揉むの滅茶苦茶すき)。あれくらいの物を表現できるだけの実力がほしい……!
しかし真っ当な服着た幻さんホントかっこいいな……中に変なTシャツとか着てないですよね?(期待)