星狩りのコンティニュー   作:いくらう

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事実上11話後編です。
読んでない方は前話から読んでください。

書きたいの好きに書いてると文章量が膨れ上がっちゃうんでいい感じに削ることも覚えなきゃ……。


シュヴァルツェアの脅威

「オォーゥラァ!」

「うわっちょお!?」

 

 廊下の角から飛び出した俺は、突然の奇襲に腰を抜かしてひっくり返る一夏と、その横で立ち尽くすデュノアを見て腹を押さえて盛大に笑った。

 

「ハッハッハ……うわっちょって何だよ……くっく……よう、二人とも! お前らもアリーナに行くのか?」

「あっ……どうも、石動先生」

 

 背中でも打ったか痛みに悶えながら転がり続ける一夏とは対照的に、デュノアは呆然としながらも何とか反応を返してくる。しかし、驚いた時の咄嗟の立ち振る舞いはやっぱ女のそれだな。一夏とルームメイトになったと聞いたが、もう正体がばれたりしてねえだろうな?

 

 俺はその偽装の拙さに、同様の偽装の先達として少し心配になった。

 

「石動先生! いきなり何するんすか!」

「悪い! 何か聞き慣れた声がしてな。ちょっと驚かせてやろうと思って」

「子供じゃねえんだからやめてくださいよ……」

 

 呆れたように一夏が言って、デュノアがそれに苦笑いで応じる。まあ確かに、ちょっと調子に乗りすぎたか。俺もその心中の想いを隠すように、話題をすり替えるべく大袈裟に声を上げた。

 

「ところでデュノア! ここ(IS学園)での生活はもう慣れたか? 一夏が迷惑かけるようならすぐに俺に言えよ。お説教してわからせてやるからな~?」

「そんなことありませんよ。一緒の部屋になったのが一夏で、僕すっごく助かってますから」

 

 悪戯っぽくデュノアに言うが、デュノアはにこやかな顔でそれを否定した。どうやら、うまくやれているみたいだな。一夏の奴、また何かやらかしてねえかと思ったが実際の所はそう心配するほどでもねえらしい。教師としては一安心だぜ。

 

「お前にそんな甲斐性があったとはな~正直驚きだぜ、一夏」

「ちょっ、撫でないでくださいよ! やめてください! やめてって!」

 

 頭をわしわしとかき回す俺に恥ずかしかったのか慌てて距離を取る一夏。まったく、何でこいつらはこんなに面白いんだ。その様子に俺は再び喉を鳴らして笑う。

 

 さあて、デュノアの戦いは見れてねえし、さっさとその実力を把握しておかなきゃな。アリーナに行くなら同行させてもらうとするかね。そう思って、俺は普段と変わらぬにこやかさで彼らに話しかけようとした。だが、それよりも先に気を取り直したデュノアが声をかけて来る。

 

「石動先生もアリーナに? 僕らもこれから第三アリーナに向かう所なんですよ」

「つか、石動先生。箒との特訓はどうしたんすか? まさかサボリとか?」

「あー、一度に質問を畳みかけるな、一つずつな。あと一夏、思ったこと良く考えずに口に出さん方がいいぜ。織斑先生相手だったら今のは出席簿ものだぞ~?」

 

 当の本人が居ないにも関わらず俺の指摘にサッと頭を防御した一夏を見て、ちょっと呆れた苦笑いをしながらデュノアを両手の指でビシッと指し示した。

 

Bingo(ビンゴ)! その通りだぜデュノア。俺も今からアリーナに行こうと思ってな。もし模擬戦でもやるなら観戦させてくれ。フランス代表候補生のかっこいい所、是非俺にも見せてくれよ~」

「えっ、あ……ぼ、僕は構いませんよ?」

「だってよ一夏」

「いや、俺も構わねえですけど……」

 

 何で俺に聞くんだと言った考えが滲み出る一夏の顔を楽しんで、俺は先ほどの一夏の質問に答えを示す。

 

「それと篠ノ之との特訓だが、今日明日は休みにした。あいつ、根を詰めすぎるきらいがあるからな。たまには無理にでも休ませてやらんと……そうだ! 一夏、お前もアイツの所に顔出してやってくれよ! 栄養剤でも持って行ってやればすげえ喜ぶと思うぜ」

「へぇ~……そうっすね、そりゃいいや。シャルル、後で買い物手伝ってくれないか?」

「うん、いいよ」

 

 スムーズにデュノアに同行を求める一夏に俺はちょっとげんなりする。いやお前そこは一人で会いに行ってやれよ。ったく、そう言う所だぞ……いや、買い物って言ったし会いに行くのは一人か――――ねえな。一夏なら間違いなく買い物を済ませた足で篠ノ之の所に行くし、そのままデュノアも連れていくはずだ。

 

 俺は一夏の相変わらずの唐変木(とうへんぼく)っぷりに呆れかえって溜息をついた。こいつの反応がこの年の男子に似合わぬものというのは地球外生命体の俺でも何となくわかる。幾ら現状片思いとは言え、こうも反応が薄いとなんか拍子抜けしちまうなあ。大丈夫かよ?

 

 とんでもねえ奴に恋したもんだぜ、篠ノ之。

 

 今頃自室で真剣に休むべく四苦八苦して唸っているであろう篠ノ之に、俺は心の中で合掌してから二人の後に続いた。

 

 

 

「そういえば先生。ラウラの奴、謹慎食らってたってマジですか」

「ん? ああ、そうだぜ。つってもあの直後と次の一日だけだけどな」

 

 訪ねてきた一夏に、俺は朗らかに答える。ボーデヴィッヒの奴がいきなり一夏と俺に暴力を振るったのはドイツとの関係を鑑みても看過出来ないと言う事で、奴はちょっとの間応接室に缶詰めにされていた。正直それでも軽いくらい――と言いたい所だが、その期間の短さには裏があった。

 

「一日ってちょっと短くないですか? 俺はともかく先生まで投げ飛ばしやがってんのに」

「当然の疑問だな。だけどよ、この話を聞いたら納得もすると思うぜ」

「この話?」

「いやな、どうにも織斑先生は懲罰は量より質とお考えらしい。よって奴には世にも恐ろしい課題が与えられた」

「……課題って?」

 

 不思議そうな顔をする一夏。それを見て俺は、織斑千冬がボーデヴィッヒに与えた恐るべき課題について、満面の笑みで語ってやる。

 

「反省文、400字詰原稿用紙で50枚。つまり二万字。それを謹慎明けまで、つまり一日半で完成させる事。しかもチェックするのは織斑千冬と来てやがる。くっく、俺だったら発狂しかねんぜ」

 

 その話を聞いた一夏はうげ、と小さな苦悶を漏らし、良く分かっていない風であったデュノアでさえも織斑千冬の余りの苛烈さにその白い肌をさっと青ざめさせた。

 

「一瞬軽いかと思ったんすけど、それ、半端ないっすね。夏休みの読書感想文何枚かだって書くのくっそ大変なのに……」

「二万字……聞いただけで嫌になりますね……」

 

 期待通りのその姿に、俺は心中で小さくガッツポーズをする。いやー、やっぱ人間は絶望顔も最高だな。まあ、そんな細かい作業を延々とやらされたら俺だって頭がおかしくなりかねん。ボーデヴィッヒがそれで正しく反省してることを願うぜ。

 まあだが、余り生徒達が敵対しているのも忍びない。ボーデヴィッヒにちょっとフォロー入れといてやるとするか。そう思った俺は、俺とデュノアに挟まれるように歩いていた一夏の肩に手を回して話しかけた。

 

「ま、アイツにも何かのっぴきならねえ事情があるのかもしれねえからな。そう目くじら立てずに、程々仲良くしてやってくれや」

「ちょっと懐がデカすぎっすよ…………俺より痛い目見た先生が全然気にしてないんじゃ、俺が怒ってるのがバカみたいじゃないすか」

 

 そう言ってため息をついた一夏に、俺は小さく苦笑を返す。そしてその流れのまま今度はデュノアに笑って話しかけた。

 

「デュノアは奴の事どう思ってんだ? 同じ転校生としてよ」

「僕ですか?」

 

 言われてデュノアはうーん、と考えるように頬に手をやる。やっぱ女だな。お前そう言う所の仕草とか、ふとしたところが甘いと思うぜ。男なら無造作に腕を組んで見せたりとか、そう言う所をキッチリしていくべきだと思うんだが。

 

「僕は……出来れば仲良くしたいと思ってます。一緒に転校してきたのも何かの縁だと思いますし。一夏、ニホンではこういうのを『イチゴイチエ』、って言うんだよね?」

「おう、シャルルはそういうのにも詳しいよな」

「結構頑張って勉強してきたからね」

 

 聡明さを見せるデュノアに一夏が感心し、当のデュノアは少し顔を赤くしてそれに応じる……ん? 何かデュノアの反応がおかしくないか? おい一夏お前、もしかしてこの数日でデュノアと『仲良くなりすぎて』なんかしねえだろうな?

 

 俺はその想像に背筋を凍らせた。いや、俺だって人に取り入るのは相当上手いつもりではあるが、もし既にそう言う関係に発展してるとしたらこいつはとんでもない奴だぞ!?

 しかしデュノアが故意に女である事を隠しているとすれば……いやいや、それにしたって早すぎるだろ! 一夏がヤバイのかデュノアがチョロいのかよく分からんぜ!?

 

 とりあえず、俺は笑う一夏とそれに熱っぽい視線を向けるデュノアの間に割って入って、ひきつった笑みでそれぞれの顔を見る。二人とも突然の俺の行動に面食らったようだ。

 俺としてもこう言う強引な行動は避けたかったが背に腹は代えられん。もしこのままこの二人がそういう関係に発展したりでもすれば篠ノ之のコントロールが大層困難になるのは間違いない。篠ノ之には盲目な恋する女でいてほしいのだ。欲望のはっきりした人間は操りやすいからな。

 

「ま、まぁアイツともそれほど付き合い長いわけじゃあねえしな! これからを楽しみにして行こうぜ」

 

 誤魔化すように言って、この話題を終結させる。こりゃあ、ちょっと一夏の行動にはもっと気をつけなきゃあいけねえか。まさかこれほどの女たらし力を発揮しやがるとは……。このまま、専用機持ち全員が一夏に惚れるなんて事態になっちまったりして。いや、少なくともボーデヴィッヒはねえか……ああ、そういや専用機持ちと言えば俺にもまだよく分からん奴が居たな。ちと聞いてみるか。

 

「なあ一夏、四組の専用機持ちってどんな奴か知ってるか? 忙しくて俺もまだ会った事無くてよお、ずっと気になってたんだわ」

「いや、俺も知らねっす。クラス対抗戦で戦えるかとも思ってたけど、結局中止になっちゃいましたし」

「僕が聞いたところによるとニホンの人らしいですよ。どんな機体に乗ってるんでしょうか」

「ふーん、そっか。今度ちょっと覗きに行ってみるかな~……ん?」

 

 話しながら第三アリーナの入口に向かっていた俺達だが、何やら周囲の様子がおかしい。先程から走りながらすれ違ってゆく生徒がやたらと多い。まるで皆、なにかから逃げてゆくようだ。アリーナからは絶え間ない銃撃音や砲撃音が聞こえてくる。だが、それは訓練と言うには余りに間断なさすぎる。まるで、本物の『戦闘』が行われているような――――

 

「……なんか騒がしくねえか? 今日の第三アリーナってそこまで人はいないはずなんだが」

「そうですね。僕らもそう聞いて第三アリーナに来たんですけど……観客席の方に回ってみます?」

「いや、ちょっと距離はあるがピットへ行こうぜ。万一何か起きてるんじゃ観客席からはどうしようもねえからな。急ぐぞ!」

 

 言って、俺達三人はピットに向かって駆け出す。その間にもアリーナから聞こえる音は激しくなるばかりだ。先程からすれ違う整備の人間達も慌てふためいており、何かが起きている事はもはや疑いようもない。

 

 一分か、それとも二分、いやもっとか。息を切らしながら必死で走った俺たちはやっとの思いでピットに辿り付く。そこでは、先日のクラス対抗戦襲撃の惨状に負けず劣らずの凄惨な戦闘が繰り広げられていた。

 

「鈴!? それにセシリア!?」

 

 アリーナを飛翔するISを見て、一夏が叫ぶ。確かにその姿は俺も見覚えのある<甲龍(シェンロン)>と<ブルー・ティアーズ>のそれだ。だが各所に備えられた装甲を損傷させ、シールドエネルギーも相当量削られていると見えるその姿は、一夏達には直視するのも耐え難いと思えるほどの物。そして、アリーナの中心で仁王立ちする、二機とは対照的に損傷の軽微な、黒いIS。

 

 そのISから覗くのは流れるような銀髪。ラウラ・ボーデヴィッヒ。確かISの登録名は――<シュヴァルツェア・レーゲン(黒い雨)>だったか。

 

 どうやら(ファン)とオルコットの二人とボーデヴィッヒ、この三人がアリーナで起きている騒動の当事者で間違いないだろう。そしておそらく原因はボーデヴィッヒだ。プライドが高く、代表候補生、そして一夏を巡る二重のライバル関係である凰とオルコットが何の理由も無しに二対一の戦いを挑むとは思えん。

 

 クソッ。あの野郎、全く反省してねえじゃねえか! 慌てて俺は懐の通信機で織斑千冬へと通信を送る。するとすぐさま通信が繋がった旨が表示され、俺は勢い良く通信機を耳に当てて叫んだ。

 

「織斑先生! 今第三アリーナで――」

『向かっている! 私が着くまで何とか()たせろ!』

 

 一方的にそれだけ告げると、織斑千冬は通信をさっさと切断してしまった。何処に居るのかまでは聞けなかったが、奴は急いでこちらに向かっているらしい。ならば、俺がするべき事は――

 

 俺はピットに設置してあるはずのアナウンス用マイクを探して視線を巡らせる。さあて、どうやってボーデヴィッヒの奴を足止めすっかね。俺としてはあいつらの戦いも見ておきたいし、うまい事やれればいいんだが……いや、戦闘のログなら間違いなく残されてるか。なら観戦は後でいい。今は織斑千冬が来る前にボーデヴィッヒを止めるくらいの勢いで行くべきだ。

 

 管制室の壁にかけられた無線マイクを()手繰(たく)るように掴むと、俺は一夏とデュノアがいるカタパルト前に走る。一夏が何か叫んでいるが、遮断シールドによってこちらの声は向こうに届いていないはずだ。だが、ボーデヴィッヒがこちらに気づいたのか、ピットの俺達にわざわざ顔を向ける。

 

 奴は慌てふためく俺達を見て口元を歪めた。侮蔑、そして喜悦の籠った笑みだ。

 

「なによそ見してんのよッ!」

 

 その声が聞こえたのが早いか、瞬時加速(イグニッション・ブースト)で飛び出した凰が双天牙月(そうてんがげつ)を構えボーデヴィッヒに肉薄する。何釣られてんだ。奴がハイパーセンサーが有るにも関わらずわざわざ顔をこっちに向けたのは、俺達を(わら)うためだけじゃ無く、お前らへの挑発でもあったんだぞ。

 

 奴は防戦一方だった凰達を攻撃に転じさせ、そこをカウンターで叩き潰す腹積もりに違いない。俺の考えを証明するようにボーデヴィッヒが腕を打ち振ると、手首に装着された袖状の装甲から赤熱したプラズマブレードが展開する。

 

 凰とボーデヴィッヒが交錯する。大きく体を逸らしたボーデヴィッヒが振り抜いていた手刀は、(あやま)たず甲龍のスラスターの一つを抉り斬っていた。全力で突撃していた凰は突如スラスターを一つ失ったことで大きく体勢を崩し、そのまま凄まじい勢いで転倒、壁際まで転がって動かなくなった。

 

「鈴!!」

 

 叫ぶ一夏を俺は手で制す。管制室からマイクと一緒に持ってきた情報端末を見るに、凰は気絶しただけだ。今にもカタパルトから飛び出しかねない一夏の怒りっぷりを俺は一瞬だけ堪能すると、再びアリーナに目を向ける。そこでは一人残され息も絶え絶えなオルコットが、起死回生のチャンスを掴むべくブルー・ティアーズに指示を下した。

 

「――――<衛星(サテライト)>!」

 

 手を前に突き出したオルコットの指揮に従い、ブルー・ティアーズのビット三機がそれぞれボーデヴィッヒの上方、そして左右に陣取り、彼女を中心として高速で旋回し始めた。既にビットの一つが落とされちまってるのか。しかしその苦境の中でも、オルコットは気丈に歯を食いしばる。

 

「……とんだ大道芸だな」

 

 だが、その敵意を受けたボーデヴィッヒは包囲の中心で侮蔑の表情を崩さずに、オルコットの繰り出した技を嘲笑っていた。

 

「最大稼働のブルー・ティアーズならばともかく、この程度の仕上がりでこの私を仕留めようなどと――」

 

 周囲を旋回していたビットが一斉にレーザーを放つ。同時にオルコットのエネルギーライフルが煌めき、ビットの攻撃に包囲されたボーデヴィッヒを撃ち抜かんとした。だがボーデヴィッヒは動じた様子もなく、その連続攻撃に獰猛な笑みを返した。

 

「――片腹痛い!」

 

 上体を逸らす、体をひねり、小さく跳ねる。その着地点を狙ったオルコットの狙撃をPICで空中に留まることで回避、上方からの攻撃をスラスターを吹かしそのままの位置で宙返りしてプラズマ刃で弾き防ぐ。直後放たれた左後方からのレーザーをワイヤーブレードを伸ばす事で回転の重心をズラして凌ぎ、瞬間的にそれを収納すると回転の勢いを殺さずにリボルバーカノンを稼働。そして奴は四発の轟音を以って、自身に牙を剥く三機の青い流星と、その指揮者を見事に撃ち落としたのだった。

 

 その一連の動きは暴力的な奴の強さとは対照的、まるで流麗なダンスを踊るかのようだった。何が<黒い雨(シュヴァルツェア・レーゲン)>だ。<黒い嵐(シュヴァルツェア・シュトゥルム)>に改名した方がいいんじゃあねえのか?

 

「嘘だろ……!?」

 

 一夏も、先程までの怒りを忘れてしまったかのように零す。今のは実際、この俺から見ても凄まじい動きでまったく驚嘆した。あの歳であれほどの戦闘技術を身に付けるなど生半可な事では無い。その傲慢も、俺たちを見下す視点も、何より奴の持つ実力に裏打ちされたものなのだろう。

 

「ここまでしても、届かないのですか――――!」

 

 吹き飛ばされて地に伏し、悔しそうに地面を叩くオルコットのその姿に、ますます歪んだ笑みを強くするボーデヴィッヒ。その愉悦に冷や水をかける様に、俺はマイクを握りしめて叫んだ。

 

『ボーデヴィッヒ! こりゃあ一体どういうつもりだよ、ええ!? お前何考えてんだ!』

「……フン、石動惣一か。丁度いい」

 

 二人の代表候補生を圧倒したボーデヴィッヒは、その事すら意に介さず、あまつさえピットの俺達に向けて挑発するように手招きをしてきた。

 

「織斑一夏同様、貴様の存在は目障りだった。揃ってISを着て降りて来るがいい。貴様らの敗北をもってこの学園のレベルの低さを――こんな場所に教官が(かかずら)う必要など無い事を証明してやる」

「上等だこの野郎!」

「一夏!?」

 

 白式、そして雪片弐型を展開した一夏がカタパルトから飛び立って、スラスター全開でボーデヴィッヒへと突っ込んでゆく。その手に握られた雪片弐型は既に巨大なエネルギー刃を生成していた。

 

Damn(ダァム)! お前まで挑発に乗ってどうすんだよ! 今は他にやるべき事があるだろうが! デュノア、医療班を呼んで来てくれ。あと整備班を。あいつらのISをさっさと修理に出してやらんと」

「わ、分かりましたっ!」

 

 言われて走り出すデュノアを尻目に、俺は再び二人のバイタルデータに目を走らせた。ボーデヴィッヒにこっぴどくやられダウンしている二人だが、その数値は辛うじて機体維持警告域(レッドゾーン)で踏み留まっている。

 

「うおおおおお―――ッ!!」

 

 その叫びと共に一夏がボーデヴィッヒへと零落白夜(れいらくびゃくや)を振りかざす。だが一撃必殺の刃を向けられても彼女は一歩たりともその場から動かずに、ただ右手を気だるげに一夏に向けただけだった。

 

「おあっ!?」

 

 次の瞬間、一夏が空中で不可解に動きを止める。まるで、突如としてその場に縫い付けられてしまったように。ボーデヴィッヒはその様子を見て小さく、しかしあからさまに鼻で笑った。

 

 ありゃあ……キネシスの類、いやPICの応用か? あの勢いの相手を容易く封じる拘束力、瞬時加速にさえも反応出来れば容易く対処できるだろう。更には実弾攻撃への対応力も……実にいい装備だ。こちらの世界の人間にも、中々の『兵器』を作る奴はいるらしいな!

 

「この程度か。あまりにも単純、他愛ない…………次は貴様の番だ石動惣一。さっさとISを着て降りてくるがいい。早くせねば、その間にこの男を殺しかねんぞ」

 

 ボーデヴィッヒは言ってリボルバーカノンを一夏に向ける。先程から抵抗を続ける一夏だが、奴を空中に固定している効力はかなり強力らしくどうにかなる気配は一向にない。その内、エネルギーが切れたか零落白夜の刃も減退し、消え失せてしまった。

 

 流石に、訓練機であれに勝つのは難しいな。機体の性能、操縦者の腕前ともに今まで俺がやり合ったISより間違いなく強い。それも相当な。俺が今使える力ではこの状況を打開できないと判断した俺は、手をひらひらと振ってボーデヴィッヒの要求を撥ね退けた。

 

「ああ? やーだよ。一々お前の相手なんかしてられるか。こちとら一応教師だぞ? 生徒の挑発に乗って私闘なんざ、許されてる訳もねえって事くらいお前にもわかるだろうが」

「フン、事ここに至って規則を盾にするか。Feigling.(臆病者め)

 

 何だと? その言葉に、俺は懐のトランスチームガンの存在を否が応にも意識してしまう。クソッ、ダメだダメだ。感情を得てからと言う物の、時折こうして強い感情に流されてしまいそうになる。今はその時じゃあない。俺は己を強いて意識をボーデヴィッヒに向けると、武力ではなく、言葉での戦いを開始した。

 

「ハッ! Kommt nicht infrage!(話にならねえな!)

「……何だと?」

Ich hab schon die Nase voll(もううんざりだよ). Bist du blind, was?(目開いて無えんじゃあねえのか?)

 

 親指を立てて、ボーデヴィッヒの眼帯によって塞がれた左眼を指し示す。それを見たボーデヴィッヒの顔は一瞬無表情になったかと思えば、次の瞬間怒りを滾らせ悪鬼の如きそれへと変貌した。

 

Halt die Klappe!(黙れ!)

 

 叫びと共にボーデヴィッヒは肩に装備されたリボルバーカノンの砲口を俺へと向ける。遮断シールド越しとはいえ、その威容と奴の放つ殺気が俺を射抜いた。やべ、ちょっと言いすぎたか? アイツ完全に撃つつもりだ! いくら内側からの衝撃を防ぐために展開されているシールドとは言え、貫通とかしかねやしねえだろうな!?

 

 俺は咄嗟にエボルトとしての<力>を右手に集める。万一シールドが破れても、俺の力であの攻撃くらいなら防ぐ事は出来るはずだ。だが今はこれを晒すべき時じゃあねえ。しかし何もせず頭を吹き飛ばされるわけにも――――

 

 その時、凄まじい速度で飛び出した影が(ほう)った一本のIS用ブレードが、今正に放たれんとしていたリボルバーカノンの砲身を弾き逸らした。

 

「なっ!?」

「そこまでだ!」

 

 そのままの勢いで一夏とボーデヴィッヒの間に着地する影。織斑千冬。普段通りの黒いスーツの上下に身を包み、しかし二メートル近いIS用の近接ブレードを生身で扱うその姿は人間技とは思えん。つーか、奴めパワーアシストも無しにIS用の装備を投げたのかよ。やっぱ<ブラッドスターク>で相手するのはマズいかもしれんなあ……。

 

 認識を新たにした俺はちょっとだけゾッとして、ボーデヴィッヒに剣の切っ先を向ける織斑千冬に大声で呼びかけた。

 

「遅えんですよ織斑先生! マジで撃ち殺されるかと思った!」

「お前の愚痴を聞くのは後だ石動! ――――さて、随分な事を言うようになったな、ラウラ」

 

 眼前にいながら、ISに乗ったままのボーデヴィッヒを見下す織斑千冬。遠目からでも感じ取れるその圧力は、既にこの戦場の君臨者の座がボーデヴィッヒではなく織斑千冬に奪い取られた事を示していた。

 

「貴様の処遇は追って沙汰する。すぐにここを立ち去って、自室ではなく応接室で待機しろ。どうやら随分とあそこが恋しいようだからな」

 

 ボーデヴィッヒは何か反論しようと口を開きかけるが、織斑千冬に凝視され一歩後ずさった。だが奴の持つ軍人の矜持か、織斑千冬に苦々しく敬礼をして、背を向けて歩き出す。

 

「ラウラァ! 何を歩いているか貴様ぁ!」

 

 だがそこにビリビリと腹の底まで震わせる程の怒号を浴びせられ、慌てて走り出したボーデヴィッヒの姿を、座り込んだ俺は大笑いで見送るのだった。

 

 

 

 

 

 

「織斑、大丈夫か?」

「悪い、千冬姉……」

「織斑先生だ、莫迦者。しかし、良くラウラを止めてくれた。感謝するぞ」

 

 長らくの拘束から解放され、汗を流して疲弊した一夏に織斑千冬が寄り添う。その姿は正しく良き姉弟愛って所か。だが、二人を助けようとして飛び出した挙句一蹴されたんだ。一夏は落ち付いちゃあいられまい。

 

「いや、俺は…………くそっ! また、また俺は何も出来なかった!」

 

 案の定再び味わう無力感に、悔しそうに歯噛みする一夏。そりゃあそうだよな。以前のクラス対抗戦と状況は違えど、目の前で傷付く仲間にどうしようも出来なかったのは同じだ。ま、今回は俺が止めたせいでもあるんだけど……すぐさま一夏が戦いに割って入った所で、ボーデヴィッヒ相手には大した戦力にはならなかっただろうな。

 

「一夏。悔しいのは分かるが、ほれ、医療班が来たぜ。事後処理で動けない俺達の代わりに、凰とオルコットに付いていてやってくれ。お前にも一応の検査は必要だろうしな」

「大丈夫、一夏? ケガとかないかな?」

 

 そんな一夏を、俺とデュノアが元気付けようと声をかける。だが結局その悔しさと怒りが収まる事は無かったようで、一夏はデュノアに肩を貸されながら、医療班と共にアリーナを去って行った。

 

 ……さて。とりあえずこれで一件落着、こっからは後処理かあ。まぁた忙しくなりそうだぜ。ボーデヴィッヒへの挑発の内容、アレ他の教師やらに絶対言われちまうんだろうな。ったく、誰も大事に至っちゃいねえんだから勘弁してほしいもんだぜ。

 

「石動先生」

 

 これからの身の振り方を自身の髪の毛をくしゃっと掴んで思案していれば、織斑千冬が俺の隣まで歩いて来た。

 

「良くあのラウラを抑えてくれた。お陰で取り返しの付かない事になる前に間に合ったよ」

「いやいやぁ、代わりにめっちゃひどい事言いましたけどねラウラに。ありゃあ俺、嫌われちまったかもしれねえなあ」

 

 俺が笑って肩を竦めると、織斑千冬は(ねぎら)う様に、珍しく柔らかい笑みを見せる。

 

「そうか……すまん、私の元部下が迷惑をかけた」

「いやあ、織斑先生が気にする事は無いですよ。あくまで元は元。今の奴は俺にとってもアンタにとっても生徒なんですから」

「……そう言ってくれると助かる。此度の働き、改めて感謝するぞ、石動先生」

「へいへい」

 

 目の前で律儀に頭を下げる織斑千冬に俺は抱いているイメージとの乖離(かいり)を感じてちょっと気色悪く思う。まあ正直な所頭を下げられて悪い気はしないんだけどな。人にはその人のキャラクターってもんがある。どうにも俺の中で織斑千冬はそうそう頭を下げたりはしない人物というイメージが定着しているらしい。

 

 そのまましばらく目の前で織斑千冬が頭を下げていると言う状況に、俺は僅かばかりの優越感と大きな違和感を覚えて、顔を上げてほしいと言った旨の視線を送った。すると織斑千冬はそれを敏感に察知したようで勢い良く顔を上げる。その顔には、一瞬垣間見えたと思った女性らしい柔らかい表情などもう微塵も見えない。

 

 流石は俺が現状最も警戒する人間、織斑千冬だ。そうで無くちゃあなあ。俺は心の内でこの人間への評価と警戒度を更に引き上げる。今まで戦って来た、戦いの中で成長し続ける仮面ライダー達とも違う、心体ともに既に完成された強者。

 いつかこの女と雌雄を決する時が来るかもしれないと思うと、感情を得た俺の心は熱く滾り、今にも獰猛に笑ってしまいそうになる。

 

 だが、俺は口元がつり上がり歯をむき出しそうになるのを意志の力でどうにか抑え込んだ。今はこうして、教師として皆と接するのが楽しいからな。こいつらはまだ飽きるには早すぎる。

 

「なあ、石動先生。一つ、お前に聞きたい事があるんだが……」

「何です?」

「ボーデヴィッヒへの懲罰の内容だ。……奴め、あれ程言ったにも拘らずまたこんな騒ぎを起こすとは……反省文ではダメらしい。それとは別に、何かいいアイデアは無いか?」

 

 真剣に悩んでいるらしき織斑千冬に、俺は冗談半分、本気半分で最高のアイデアを提供する。

 

「ドイツに送り返しちまえばいいんじゃないですかね?」

「それはダメだ。奴がドイツの代表候補生と言う(てい)でこのIS学園を訪れている以上、そこまでの決定を我々だけで下すことは出来ん」

 

 IS学園は超国家機関だからなあ。故に各国に配慮する必要があるって事か。俺もまるで真剣に悩むように首を傾げ、腕を組む。……懲罰か。

 

「ああ、Good Idea(グッドアイデア)思いつきました。ボーデヴィッヒにはまた反省文書かせつつ、俺のコーヒーをおまけに付けてやりましょう。アイツ、俺のコーヒーが好きになりそうな顔してないですか?」

「それは体罰にあたると思うんだが……」

 

 その言葉に俺は思わずムッとして、感情の赴くままにその言葉に応じた。

 

「じゃあ織斑先生がコーヒー煎れてやってくださいよ。だったらいいでしょ?」

「貴様、それは暗に私のコーヒーが不味いと言っているのか?」

「そんな事無いですって~! ったく、山田ちゃんに飲ませた時はあんだけ自信満々だった癖に都合いいんだかあ痛だだだだだ! 頭割れる! 食われる! 砕け散る!」

「食われる……? まあ、納得いかんが、そこまで言うならば一度試してみるとしよう。だが一度だ。お前も事後処理が終わったらコーヒーを煎れに来い」

 

 言って織斑千冬は俺の頭を鷲掴んでいた手を離した。痛え。俺はしゃがみこんで頭を抱え込む。やっぱこいつ本当は人間じゃあ無いんじゃねえのか? 余りにも身体能力が高すぎるだろ……。

 

「それともう一つ伝えておくか」

「はいぃ、何すか……?」

「例の学年別個人戦。どうやらタッグマッチに変更になりそうだ」

「……へえ、これまた何で?」

「ああ。まず一つとして、以前の襲撃のような事態が起きた場合アリーナで戦える生徒が多い方が対処しやすい、と言うのが一つ」

「もう一つは?」

 

 織斑千冬に、俺は(いぶか)しげな視線を向ける。他に理由があったのか? データ取り? お偉いさんからの要望? 一体どういう理由だ?

 

「……個人戦ではラウラが些か強すぎるからな。バランスの調整という奴だ」

「バランス調整ねえ」

 

 不服そうなその答えに、俺はちょっとだけ織斑千冬に同情した。確かにISでの戦闘がスポーツ扱いされている以上、外部からの観客が大勢来る今回の行事は楽しむ事が出来るようこの学園が苦心してるのは想像に難くない。

 奴の強さは特筆すべきモノだ。例え同世代の選手をいくら探しても奴ほどの強さを持っている者はまずいないだろう――ああ、あんまり奴がいい結果出し過ぎるとドイツと周りの国の関係がおかしくなるかもしれんからな、それゆえのバランス調整か。だが。

 

「でもそれ、俺に言わせれば余計なお世話だと思いますけどね」

「何故だ? 奴の強さはお前も見ただろう?」

「ええ。今は(・・)ボーデヴィッヒに勝てる奴は一年生にはいないでしょうね」

 

 あくまで事実を語る織斑千冬に、だが俺の笑みは崩れない。そして俺は何時だか缶コーヒーを賭けて勝負した時のように、織斑千冬に歯を見せて挑戦的な顔をして笑いかけた。

 

「当日を楽しみにしてて下さいよ。何だかんだ一夏の奴は相当腕を上げてますし、代表候補ならデュノアも居る。それに篠ノ之、アイツは俺が相当鍛えてますからね。織斑先生もきっと度肝抜きますよ」

「ほう……お前がそこまで言うなら、そうさせてもらおう。私はラウラに反省文を指示してくる。石動先生、アリーナの事後処理は任せても?」

「了解! じゃあ織斑先生は、ボーデヴィッヒの奴の顔をいい感じに青褪めさせて来て下せえ」

「うむ。また後で職員室で会おう、ではな」

「はいはいっと、Ciao(チャオ)!」

 

 背を向けて、歩み去る織斑千冬の後姿が見えなくなるまで俺は小さく手を振り続けた。

 いやー、楽しくなってきた! つまり今度のタッグマッチは織斑千冬の弟子とこの俺の弟子が対決することもありうるって訳だ! こいつは燃えないはずが無え!

 

 待ってろよ篠ノ之。それとなくボーデヴィッヒ対策の技術をちょっとずつ仕込んでいってやる――――あ、今日明日は訓練休みだったっけ。

 しょうがねえ、今日はボーデヴィッヒにしこたまコーヒー飲ませてやりつつ戦闘データの確認でもしてるか……。

 

 俺は今度のタッグマッチこそ、生徒達の素晴らしいバトルが見れる事を確信して、当面の目標をその日に定めた。前回の様にもしタッグマッチの日何か起きれば俺はそこに頭を突っ込むつもりだ。石動惣一としてでは無くコイツを使ってな。

 

 俺は懐の<コブラフルボトル>を取り出して、小さく振る。ようやくお前として戦えるかもだぜ、ブラッドスターク。それなりのブランクがあるが、巧く奴らの強さに合わせて行かねえとな!

 

 <ISフルボトル>との調整もまだ終わり切ってはいないが、当日までには十二分に間に合うだろう。折角の皆の晴れ舞台なんだ、きっと面白いものが見れると信じてるぜ。頑張って俺を満足させてくれよ?

 

 思わず笑い出しそうになるのを堪えながら、俺は整備員やグラウンドの保全係、駆け付けてくれた他の先生方に指示を飛ばして現場を収拾していく。

 そして、この後ボーデヴィッヒの奴が俺と織斑千冬のコーヒーにそれぞれどんな感想を漏らすかを楽しみにしながら、実にいい気分で事後処理を進めていくのだった。

 

 

 

 

 

 後日。学年別個人戦改め、学年別タッグマッチを目前にしたある日。

 

 篠ノ之が結局誰とも組まなかった結果、抽選の結果よりにもよってボーデヴィッヒとコンビを組む事になった(と言っても他の生徒は全員無事に相手を見つけ、二人は正真正銘余りだったようだが)事を知らされた俺は、今後の展開への期待が見事に外れたショックに職員室のど真ん中でめまいを起こした。

 

 そして織斑千冬に対してあれだけの啖呵を切った事を、今までの恨みと言わんばかりにさんざ山田ちゃんに弄られたせいでその日の授業に身が入らず、更に織斑千冬によって手痛い制裁を受けてひどい目に遭う。

 

 勘弁してくれよ、クソッ! 篠ノ之の奴、ここでボーデヴィッヒと組むなんてどう言う運命してんだ!? それは流石に俺も予想してねえぞ……!? こりゃまたえらい事になりそうだし、警戒は怠るわけにはいかねえな……。

 

 はぁーぁ……。俺は急激に暗雲立ち込め始めた学年別タッグマッチの行く先を憂い、IS学園に来てから一番大きなため息をつくのだった。

 

 




ラウラ回……と見せかけた千冬先生とのコミュ回です。
それはさておきようやくスタークの戦うシーンが書けそう……ここまで長かった。

あっそうだ、先日ライブドアニュース様の浴衣男子特集のグラビア&インタビューの記事で
岩永徹也(エグゼイド:檀黎斗役)、磯村勇斗(ゴースト:アラン様役)、甲斐翔真(エグゼイド:パラド役) (敬称略)
ともう凄い何かすごいラインナップ出てたんで興味ある方は是非(ダイレクトマーケティング)
自分は心がマジでときめきクライシスしました。

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