星狩りのコンティニュー   作:いくらう

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オリジナルボトルが登場します。
後、箒にめっちゃ物言う展開があります。
元凶の脳内エボルトを止めようとしたんですが、
必要であろうがなかろうがこの展開ならコイツこれやるよね、
ってことで止めきれませんでした……(懺悔)

ダメな方はブラウザバックを。

感想、お気に入り、評価、誤字報告どれもありがとうございます。


悲劇のシード

 クラス対抗戦第一試合、俺と鈴の戦いは、乱入してきた謎のISによって中断される事になった。

 二人で協力して、観客達の逃げる時間を稼ごうとするも、そのあまりに圧倒的な武装の火力差に徐々に追いつめられる俺たち。

 

 だが、突如<ブラッド>と名乗る存在によって不明ISのコントロールは奪取された。

 

 一瞬、これで戦闘が終結したかに思った俺たちだったが、ブラッドは容赦なく乗っ取ったISの武装を此方へ向け、戦闘を強要してくるのだった。

 

 

 

 

「一夏、離脱!」

 

 鈴の声に反応して身を翻すのが早いか、今まで俺の居た場所を高出力のビームが貫き、着弾して爆発を起こした。まともに食らったら一発でお陀仏だ。先程までは矢鱈滅多ら連射していたのだが、ブラッドがあのISを奪い取ってからの動きはそれに輪をかけて全く読めない。

 

 初めこそ、無機質さが無くなったおかげで動きが読みやすくなったかと思ったが、逆に一つ一つの動きが俺達の予想を悉く裏切ってくる。

 

「あっぶねぇ!」

 

 今もそうだ。俺は奴の攻撃を一切読む事が出来ず、鈴の指示か土壇場での回避によってしかあのビーム攻撃に対処する事が出来ない。

 

『ハッハー! どうしたオリムラ! ブリュンヒルデの姉が泣いてるぜ!?』

「隙ありッ!」

 

 俺を嗤うブラッドに、いつの間にやら上方へと回っていた鈴が龍咆による攻撃を繰り出した。目に見えぬ連続砲撃。しかしブラッドは長大な腕を棍棒の様に振るって、衝撃砲を弾き飛ばして行く。これも奴に機体を奪われる前は無かった動きだ。あの時は独楽の様に無茶苦茶に振りまわした腕でそれをやっていたが、今は龍咆の弾の一つ一つが見えているかの様に的確に防御している。

 

 だが鈴は動じない。そのまま龍咆をこれでもかと連射して、ブラッドをその場に釘付けにしてゆく。

 

「一夏、今!」

「――! おう!」

 

 鈴の言葉に、弾かれるよう俺は飛び出す。ブラッドの奴は自身が無人機であると言っていた。遠隔操作なのか人工知能か何かなのか、詳しい原理は知らないが、とにかく大事な事は一つ。

 

 ――――奴をどう倒しても、人死にが出る事は無い!

 

 雪片弐型を振り被って一気に俺はブラッドに肉薄する。だがブラッドは龍咆の雨を捌きながら下半身のみを高速で回転させ、俺を回し蹴りで蹴り飛ばした。人間には不可能な動きは健在かよ……!

 

 先ほどから、俺と鈴は果敢にブラッドに攻めかかっているが、奴の対応速度――特に俺の攻撃に対するそれ――は並のIS操縦者のそれでは無い。鈴を初めとする国家代表候補者、いや、それ以上の反応を見せてくる。

 

 再び、戦場は膠着状態に移る。俺は近接攻撃しか持っていないが故に、距離が離れてしまえば戦いは鈴と奴の一対一。白式に飛び道具を搭載しなかった顔も知らぬ開発者を、俺は割と本気で恨んだ。

 

「くっそ、一発くらい当たりなさいよ……!」

 

 鈴の龍咆が息切れして連続攻撃に僅かな隙が出来た瞬間、俺と鈴それぞれに腕を向けてビームを撃ち込んでくるブラッド。俺と鈴は慌てて回避行動を取り、すんでの所でそれを避ける。

 

『こんなもんか……ちょっと飽きてきたな。アイツはまだか……?』

 

 一旦砲撃を止めて、何やら探し物をするように周囲を伺う仕草を見せるブラッド。あの野郎、どれだけ余裕を持って戦ってやがるんだ……!? 肩で息をしながら、泣き事を言いたくなるのを我慢して、再び奴の動きを見据えた。

 

『一夏ぁっ!!』

 

 その瞬間、アリーナに備え付けられたスピーカーからよく知った声が響く。その声は、今は管制室で戦いを見守って居るはずの箒の声だった。

 

「何で――」

 

 俺は咄嗟に疑問を浮かべるが、ブラッドはその隙を見逃さなかった。瞬時加速に匹敵する速度で奴は俺に肉薄し、大ぶりな回し蹴りで俺を弾き飛ばしたのだ。

 

「――――グアッ!」

 

 アリーナの壁に叩きつけられ、苦悶の声を漏らす俺。それよりも箒だ。まずい、あそこは――――

 

『男なら……男なら、そのくらいの敵に勝てなくてなんとする!!』

 

 スピーカーがハウリングを起こすほどの大声がアリーナに響き渡った。ハイパーセンサーがブラッドと箒の居る放送室を交互に拡大する。箒は随分と息を切らしていて、その表情も必死そのものだ。

 

 早く隠れろ、箒! 壁との衝突のダメージが消えていない俺はそんな声を出そうとするも、口からは呻きが漏れるばかりだ。

 

 その間に鈴がブラッドに近接戦闘を挑むも、何度かの激突の末に腕で肩を痛打され、俺の方へと弾き飛ばされて来るのが見えた。

 

「クッ――――何寝てんのよ、一夏!!」

「くっそ……!」

 

 俺の数メートル直前で体勢を立て直した鈴の叱咤に、俺は全身の痛みを堪えて再び空へと戻る。ブラッドは――――動かない。それ所か、放送室でこちらを心配そうに見るばかりの箒を視界に捉えて、体を震わせる。

 

『クッハッハッ……フッハッハッハッハッハ!!!』

 

 ブラッドは、先程の箒にも負けず劣らずの声で、心底おかしいと言った具合に笑った。

 

『何だあの女は! ISも纏わずにこの場に現れるとは!! 戦場を舐めてんのか? 危機意識が欠如しているにも程がある!! 最高に面白い!!!』

 

 箒を悪意を持って褒めちぎるブラッド。

 

『じゃあ俺から、あの女にここまで来た褒美をくれてやるとしようか』

「やめっ――」

 

 言うが早いか、ブラッドは無造作に掲げた腕から一発のビーム砲を放った。それは箒の居る放送室へと吸いこまれるように直撃し、次の瞬間、放送室が巨大な爆炎に包まれた。

 

「箒ィ――ッ!!」

「うそ……篠ノ之さん……?」

『フッハッハッハァ……はぁ。篠ノ之束の妹ならば、奴の報復を恐れ、誰にも傷つけられないとでも思っていたのか? 後先知らん愚か者など、世にいくらでも居ると言うのにな』

 

 鈴が唖然とする。叫ぶ俺を嗤い、それ以上に箒に呆れたように冷徹に呟くブラッド。燃え上がる放送室を一瞥してから、気遣うように俺に語り掛けて来た。

 

『嬉しいだろぉ、イチカ・オリムラ? <天災>たる姉を笠に着て、唯々喚くばかりの身の程知らずを、こうして俺が始末してやったんだからな! フッハッハッハッハ……!!』

「てめェ――ッ!!!」

 

 スラスターを全開にして飛び出した俺はブラッドに肉薄し雪片を振るう。しかし奴はその攻撃を右手に食いこませて防ぎ、がら空きの俺の腹に蹴りを撃ち込む。

 

「グッ……うおおおおおおお!!!」

『ほう!』

 

 だが俺は引き下がらない。スラスターを噴射してその場で耐え、全力を込めて雪片を一気に押し込んだ。

 

「ハアッ!」

『ぬおっ!?』

 

 奴の右前腕が断ち切られ、宙を舞う。だが俺は止まらない。奴目掛け、何度も何度も雪片を振り回す。血色のISの表面を刃が掠め、その体に走る傷が増えてゆく。だがブラッドは、その光景に何故か歓喜の声で叫んだ。

 

『ハザードレベル2.5……! いいぞぉ、もっとだ! もっと感情を高めろ、オリムラァ!』

「黙れぇぇぇぇーッ!」

 

 叫んで大上段に構えだ雪片を振り下ろす、だがブラッドはそのスラスターの大出力をもって一気に後方へ離脱。俺は瞬時加速を繰り出そうとするが、残エネルギー量の少なさがそれを許さない。

 

 ――――必要なのは一撃。奴に一撃を与えられれば、俺の雪片弐型なら間違いなく……!

 

 歯ぎしりして、ブラッドの姿を睨みつける。その時、俺は何時だか教えられた瞬時加速についての知識をふと思いだした。これなら、奴の意表を突ける。

 

「鈴! 俺の背中に龍咆を!」

仲間の背中を撃て(フレンドリーファイアしろ)って言うの!? 正気!?」

 

 俺の言葉に、鈴は狼狽したようにそれを拒否する。だが、これは気が狂った訳じゃない。理屈だってあるが、説明している暇は無い!

 

「奴を倒すにはこれしかねえ! 頼む!」

「ッ――もう! 失敗したら承知しないから!」

 

 ハイパーセンサーで鈴が龍咆を放つのを確認して、瞬時加速を発動させる。瞬時加速の原理は、一度放出したエネルギーを吸収して再度放出する事で、過剰な出力を生み超加速すると言う物だ。

 そしてそれは、吸収さえ出来れば、エネルギーは外部からの物でも何の問題も無いと言う事。何よりその加速は吸収したエネルギーの量が多ければ上昇する。

 

 スラスターが放出エネルギーの吸収を行う瞬間、背中に凄まじい衝撃と痛み。龍咆の衝撃弾が俺の背中に命中したのだ。みしりと体が上げる悲鳴を無視しながら、俺は凄まじい勢いで空を疾駆した。

 

「うおおおおーッ!」

【大規模エネルギーの供給を確認、零落白夜(れいらくびゃくや)を使用可能。エネルギー転換率九十%オーバー】

 

 吸収したエネルギーの余剰分を供給されたのか、雪片弐型が強く強く輝きを放つ。それと共に、刀身が中心に刻まれた溝から外側に開くように展開し、白く輝くエネルギー刃を形成していた。

 

 ――――零落白夜(れいらくびゃくや)。嘗て千冬姉がモンド・グロッソを制覇した際に使っていたIS、<暮桜(くれざくら)>が持っていたそれと同じ単一仕様能力(ワンオフアビリティー)。ISの歴史上に類を見ないエネルギー無効化攻撃。

 

 命中させれば一撃でISを撃破しうる圧倒的な攻撃力を持ったそれを、俺はこの土壇場で発動させる事に成功していた。

 

『発想は良いが、蛮勇が過ぎるぜ?』

 

 俺の脳内でアドレナリンが噴出し、世界が泥の様に遅延する。ブラッドが残った左腕を掲げて、そこにエネルギーを集中させる。砲口の奥に点った光が見え、奴が顔面を狙っている事を直感的に理解した。零落白夜ならばそれも防げるだろう。だが二の太刀を振るう分までエネルギーが持つとは思えない。今更回避など出来ようもない。

 

 でもそんな事は関係ない! 俺は、こいつを!

 

 その瞬間、上から飛来したエネルギー弾がブラッドの左腕を貫き、チャージしていたエネルギーを暴走させて内部から炸裂させた。

 

『何だと――!?』

 

 驚愕するブラッド。ハイパーセンサーが上空の機影を示した。遥か上に一機のIS反応がある。ブルー・ティアーズ。修復を終えようとしていた遮断シールドに僅かに残された隙間を通して、上空から奴の腕を的確に狙撃して見せたって言うのか。

 

 ――――ありがとな、セシリア。

 

 爆炎を潜り抜けブラッドの懐に飛び込む。そして俺は、がら空きの脇腹に零落白夜を発動させた雪片弐型を叩き込み、その上半身と下半身を、腰から真っ二つにぶった斬った。

 

 

 

 

 

 

『まさかこんな方法でやられるとはな……』

 

 墜落したブラッドのISから、か細い声で通信が送られて来た。もう息も絶え絶えと言った感じだ。俺と鈴は地上に降りて警戒を解かずにその姿を見守る。いくら無人のISと言えども、真っ二つにされた上エネルギーのほとんどを持って行かれれば行動できない。機能停止するのも時間の問題だろう。

 

『だが、俺の勝利には変わらない……!』

 

 言うが早いかブラッドが自分の胸に手を突っ込んだ。何かを探すように手を動かした後、引き抜いた手には球状の物体が握られている。

 

「ISコア!?」

 

 鈴が叫ぶ。確かあの機体は、完全な未確認機。じゃあ今俺たちの目の前にあるのは、存在しないはずの『468個目のコア』なのか――!?

 

『ありがとよ、お陰で随分楽しめたぜ。じゃあな!』

 

 その言葉と共に赤い光がブラッドのISから放たれ、その閃光に一瞬眼が眩む。視界が戻った時には、そこには灰色の、機能を完全に停止したISだけが残されていた。

 

 

 

「……終わった、のかな?」

「多分な……」

 

 少し静かな時間が経ってから、ぽつりと呟いた鈴に俺が答えると、ISの残骸が小爆発を起こした。ブラッドか、それともあのISを送り込んだ奴の仕業か。どちらにしても証拠隠滅とは用意周到だ。そのまま、何度も爆発するISを気が抜けたように見つめていると、俺に対して通信が入る。

 

『聞こえるか、一夏!』

「石動先生……?」

『ったく、無事か? 無茶しやがって。凰も大丈夫かよ』

「俺も、鈴も無事です。それより箒が……!」

 

 泣きそうになりながら言う俺に、石動先生は安心させるように小さく笑った。

 

『安心しろ、篠ノ之は生きてる。ちょっとケガはしてるみたいだが、命に別状はないぜ』

 

 その言葉に慌ててハイパーセンサーで放送室跡を拡大すると、その中に頭から血を流す石動先生と気絶したまま背負われている箒の姿を見る事が出来た。

 

『お前らもそこで待機だ。ハッキングされたゲートも整備課の連中が何とかしてくれたんで、すぐに医療班が向かう。ISはそれまで解除すんなよ。生体維持機能があるからな』

 

 それだけ言い残して、石動先生は放送室跡から消えた。箒を医療班の人間に引き渡しに行ったのだろう。あの人の頭のケガは、箒を助けた時のそれだろうか。

 

 こりゃ、感謝してもしきれないな。

 

 そう思って安堵すると緊張の糸が切れ、疲労が俺に一気に襲い掛かった。視界がぐらりと揺れ、重力が滅茶苦茶強く感じる。そう思った瞬間には、俺は地面に倒れ込んで空を見上げていた。

 

「一夏!? ちょっとアンタ大丈夫!?」

 

 そんな顔すんなよ鈴。って言うか元気だな。やっぱ訓練の差かな? 何でも軍隊に居たって言うし。セシリアにもあとでお礼言わなきゃなあ。箒には……一回言ってやらなきゃかな。そんな事よりも、ケガで済んでよかった。ほんとに。

 

 そんな取り止めの無い思考が浮かんでは消えてゆく。少しそうして、俺は泣きそうな顔をした鈴を見上げながら、意識を手放し闇の中へと落ちて行った。

 

 

 

 

 

 

「う……?」

 

 全身の痛みに呼び起され、私は目を覚ました。

 自分の状況が良く分からずぼんやりと周囲を見渡すと、そこは学園の医務室のようだ。

 

 カーテンで仕切られ、周りの見えぬ空間。窓から差し込んで来たと思しき橙色の光がカーテンに映っているのを見るに、今は朝方か、それとも夕方だろうか。机に置かれた小さな鏡には髪を下ろされ、包帯を巻かれた私の顔が映り、腕にも点滴用のチューブが繋がれている。

 

「私は……」

 

 私は、あの後一体どうなったのだろう。私は、一夏が心配で、応援したくて、避難の終わっていた放送室に飛び込んで――――あの真っ赤に染まったISに撃たれたのだ。

 

 それを自覚した瞬間、体の震えが止まらなくなる。

 

「私は……!」

 

 撃たれた。ISも身に付けていない、生身のままで。薄れゆく意識の中で何の力も持たずにあの場に現れた私を、あのISが哄笑していたのを何となく覚えている。

 恐怖から自分の体を抱きしめ、震えをどうにか抑え込もうとするも、全くもって上手く行かぬ。

 

 その時だった。がらがらとドアが開く音がして、誰かが部屋に入って来た。

 

「篠ノ之ぉ、起きてっか~? カーテン開けていいか~?」

 

 石動先生の声。私はそれに少し黙り込んで迷った後、か細い声で「はい」と答えた。

 その声を待っていた石動先生によってカーテンが開かれる。起きている私を見て一度安心したような溜息をついた後、先生は近くにあった折り畳みのパイプ椅子を持ってくると、そこに腰掛けて私の調子を尋ねて来た。

 

「調子どうだ~、篠ノ之ぉ」

「……はい、なんとか」

「そっか、良かった」

 

 石動先生はそう言って、心底安心したように椅子の背もたれにもたれかかった。そのまま頭の後ろで手を組んで、天井を見上げる。その様子は私の言葉を待っているように見えて、どうしても聞きたい事を、私は我慢する事が出来なかった。

 

「石動先生、あの、一夏は……?」

「一夏なら無事さ。無傷じゃあねえけどな。それより篠ノ之、まずは自分のケガの事を考えろよ」

「私の……」

「つっても軽いやけどと切り傷、打撲くらいだけどな。ぶっちゃけ奇跡だぜ? お前を身を呈して守ってくれた故・放送室くんには感謝しなきゃ」

 

 な? と言って小さく笑う石動先生。だが普段通りのその様子にも、私は胸が締め付けられるような思いだった。

 

「……石動先生」

「んん?」

「申し訳、ありませんでした……!」

 

 私が口から絞り出せたのは、謝罪の言葉。

 

「あれほど逃げるよう言われたのに、それを無視してあまつさえ……!」

「ストップ」

 

 掌を突き出して、それを途中で遮る石動先生。その眼は先程までの気遣う様なそれとは違う、子供を戒める厳しい大人の目になっていた。

 

「……正直、怪我が治ってからでもいいかと思ってたけど、自分から言い出せるようならそっから先は俺が言うよ。厳しく行くから、一分で覚悟決めな」

 

 言って被っているハットを目深(まぶか)にして視線を隠し、腕を組む石動先生。『見られていない』と相手を安堵させるその気遣いに甘えて、眼を擦り、無様に深呼吸を繰り返す私。無限遠(むげんえん)の長さに感じられた一分間を経て、私が呼吸を落ち着けかけた頃に石動先生はハットを脱いで、改めて私の眼を見据えて来た。

 

「一分経ったな…………うし、篠ノ之。ハッキリ聞くぜ? お前、何であんな危険な所に出て行った? 俺は逃げろって言ったよな?」

「……っ」

 

 その事実に、私は針の(むしろ)に立たされたような感覚を覚える。あの時、石動先生の言う通りにしていれば。あの時、放送室に行く判断をしていなければ。あの時の私はそんな合理的な思考は持たずに、ただ一つの事に眼が眩んでいた。

 

「私は、一夏が心配で……」

「あんな事をすれば、一夏、あまつさえ凰にも逆に負担をかけるとは全く思わなかったのか?」

 

 それもまた事実だ。私に気を取られた一夏があのISに隙を突かれた姿を、私は今し方の事の様に思い出せる。

 

「それに見ているだけならばともかく、何故自分の存在をアピールするような事をした?」

 

 言葉に出来ず俯くばかりの私に顔を近づけ睨みつけてくる石動先生。私はそれに、何の言葉も返す事が出来ない。心の奥底で腐臭を放つそれを、直視して言葉の形にしてやることも出来ない。

 

「まだわかって無いようだな。いいか? お前は戦場を舐めてたんだよ。表面上は嫌っていながら、その実、篠ノ之束の力に守られている事を心の底で自覚し、慢心していたんだ」

 

 その言葉に私は心の奥底の醜い想いを見せつけられる。私は、ISなんてものを作り出し、自分勝手に世界を塗り替えて一家を離散させた姉を恨み、憎み、しかしそう思いながらも、いざという時はその名前に頼って来た。姉の持つ力を、<天災>と呼ばれる彼女に特別扱いされている事を、いつの間にか心の拠り所にしていたのだ。

 

「銃を向けられ撃たれる事なんて、戦場に出れば誰もが遅かれ早かれ味わう事だ。まさか、本当に自分は誰にも傷つけられないとでも思っていたのか? だとしたら、能天気にも程がある」

 

 そうだ。私は(つい)ぞその瞬間まで、自分が撃たれるなんて事は夢にも思わなかった。自分は特別だから。あの人に守られているから。篠ノ之束を怒らせる(私を傷つける)事は、この地球上の誰にとってもタブーだったのだから。

 

「一夏の助けになりたい、守ってやりたい、そんな気持ちは皆一緒さ。だが、それをするにもまず、自分の身を守れるだけの強さが必要だ。それが今のお前には全く無い。たとえ剣道で日本一強いと言っても、ここはISの戦場だ。そこではお前はどうしようもなく弱いんだよ」

 

 突きつけられた事実に、鼻の奥がツンとなる。塩の味がする。涙が零れる。だがそれを石動先生は許さない。怒りの形相で私の患者服の襟に掴みかかって、激しい感情のうねりを声に乗せて、叫ぶ。

 

「――その顔は何だ? その目は何だ!? その涙は何だ!? お前の涙で、一夏が守れるか!? あいつの助けになる事が出来るのか!?」

 

 悔しい。私の涙じゃ、一夏を守れない。一夏を助けられない。私は彼の、足枷にしかなれない。私は、弱い女だ。かつて剣道の世界では暴力に縋り、今ISの世界であれほど嫌った姉の力に縋った、弱い女。(うつむ)いて、ベッドのシーツを強く握りしめる。歯を砕けんばかりに噛みしめる。だがそれ以外にどうすればいいか、一体何が出来るのか。今の私には何も、何もわからない。

 

「……だが、俺ならお前を強く出来る」

 

 その言葉にはっと顔を上げる。正にそれは、地獄に落ちた大罪人の目の前に降ろされた蜘蛛の糸だった。しかし、私の見たあの光景(一夏の傷つく姿)が、それを掴む手を躊躇(ためら)わせる。

 

「でも、私なんかに……そんな、事が……」

「何を躊躇ってる?」

 

 目の前の石動先生が、私の心の底を見通すような目で語り掛けてくる。

 

「お前は一夏の力になりたいんじゃないのか? それとも全部嘘だったのか!? お前はこれから一生、『篠ノ之束の妹』以外に価値の無い人間として生きてゆくのか!?」

 

 その未来が脳裏に浮かぶ。私では無い誰かが一夏の手を取り、幸福そうに歩いてゆく未来。置いて行かれて、肩書きだけの存在として、籠の中で生かされるだけの未来。そんなのは嫌だ。戦い抜いた結果そうなら、まだ受け入れられるかもしれない。だが、このまま何もせずに、ただそうなるべく生きて行くなんて嫌だ。私は変えたい。そんな未来を変えられる人に、変わりたい――――!!

 

「それが嫌なら、お前は強くなるしかない……やるしかないんだよ。お前にだって、それはわかってるはずだ」

 

 道は無いのだ。彼の隣に立って歩いて行くためには。この人が用意してくれる、ただ一本の道を除いて。

 

「――――お願いします、先生」

 

 私の胸倉を掴んでいた石動先生が、それを聞いて手を離す。一度ベッドに身を投げだされた私は改めてその上体を起こして、自分自身の覚悟をあらん限りの声で叫んだ。

 

「私を、アイツを守れる、強い女にして下さい! 『天災の妹』ではなく、『篠ノ之箒』として…………アイツの隣を歩んでいけるような、強い女に!!」

「……Good(グッド)。よく言った、篠ノ之」

 

 今までの憤怒に満ちた形相がまるで幻か何かだったかの様に、安堵した、優しい表情になった石動先生。柔らかな手つきで私の頭に軽く手を乗せて、髪を梳く様に撫でてくれる。それは、抱いた覚悟の裏に居る不安な私を、優しく慈しむような。

 

 ――――まるで、私がその温もりを忘れて久しい、父親のようで。

 

 自然と溢れて来た涙をそのまま流しながら、しばらく、その優しさにぼぉっと浸っていると、石動先生はもう大丈夫だ、と言うような顔で手を引っ込め、笑顔を見せてから立ち上がった。

 

「先に言っておくが、俺が教えてやれるのは強くなる方法だけだ。手に入れた力に伴う責任は、常にお前が背負っていく事になる」

 

 いつも通りの顔に戻った石動先生は、だが先ほどと同様の、重みのある声で私に言った。

 

「忘れんなよ。お前は、目の前の敵を叩き潰すための力を欲したんじゃない。愛する男を守る為の力を求めたって事をな」

「あっ、愛する!? えっと、私は、そんな……」

「ハッハッハ、大人を舐めんなよこのやろー」

 

 石動先生は全てわかってるとでも言いたげに笑って、私の頭をぽんぽんと軽く叩いて来る。私はそれにロクな応対も出来ず、顔を赤らめるばかりだ。

 

「とりあえず、まずは体を癒せ。栄養剤とか買って来たから、机に置いとくぞ? ……ああは言ったが、普段からあまり気負い過ぎるな。厳しさや、力だけが人間の強さじゃない」

 

 そう言うと石動先生はいつものように私を両手で指差して、朗らかな笑顔で教えてくれる。

 

Instruction One(インストラクション・ワン)――『教え、その一』って意味な――必要な時以外は肩の力を抜け。メリハリをつけろ。寛容さを持て。今までのお前は少し張りすぎだ。隣にいて心休まらない女に、男が心を預ける事は無い」

「……はい!」

 

 私の心からの返事に歯を見せて笑うと、石動先生はハットを被り直して背を向け、最後に肩越しに私を振り返ってから、外へ出るドアを開いた。

 

「じゃあまた、教室で会おうぜ。元気な顔見せてくれよな。Ciao(チャオ)!」

 

 私はその後姿を黙って見送る。これからの人生を変える指針をくれた人を。愛する一夏とは違う、自身の全てをさらけ出し、委ねる事の出来る人。

 

 

 まずは、一夏に謝らなきゃ。

 

 

 そう思った私は、机の上にあった栄養ドリンクを一本手に取り、その蓋に指をかけて引き開けて一息に飲み干す。きつい炭酸が口の中で弾け、ずっと感じていた塩辛い涙の味を忘れさせてくれた。

 

 そうして、泣き疲れた私はベッドに背を預けて瞼を閉じる。あんな事があった直後だというのに、私はどこか安らいだ気持ちで眠りに落ちて行った。

 

 

 

 

 

 

 ああ、楽しかった。

 

 俺がこの十年で人間として学んできた全てを使い切った問答だった。

 

 これで篠ノ之は、余程の事が無ければ俺の言うがままに動いてくれるだろう。

 

 当然、強くしてやるという言葉に嘘は無い。駒は強ければ強いほど良く()つからな。奴も一夏やオルコット同様、俺の為に出来るだけの強さを与え、教え、育ててやる。

 

 それよりも問題はあの襲撃の首謀者だ。あんな事されたら流石に黙っちゃいまい。

 

 さあてどう出る篠ノ之束? お前の計画をぶち壊し、その上大切な妹を撃った相手が、今もこの星でのうのうと笑って生きているぞ?

 

 その考え通りに笑いながら、俺は懐からあのISから奪い取ったコアを取り出して、この俺の元来持つ力を一気に注ぎ込んでやった。元々金属質だったその表面は赤黒い炎じみた色に一瞬で浸食され、汚染される。

 それを俺は一息に握り潰す。そして手を開けば、そこには一本の小さなボトルが乗せられていた。

 

【インフィニット・ストラトス!】

 

 これで俺もこの世界で戦える。このボトルには空間移動、惑星間航行能力を持つ<ブラックホールフォーム>を取り戻すまでは、随分と世話になるだろう。俺はそれを再び懐にしまうと一夏の居る、別棟の医務室へと向かって歩き始めた。

 

 

 ――――この世界(おもちゃ)で遊ぶ資格があるのは篠ノ之束、お前なんかじゃあない。この俺(エボルト)だ。そんな俺の楽しみをぶち壊しにした以上、お前には死ぬよりつらい目に遭ってもらうとしよう。

 

 

 俺は心の中でこの世界の天才科学者(篠ノ之束)に宣戦布告して、これから起きるであろう世界の波乱に少し思いを馳せると、この世界に来て一番の笑みで哄笑を上げた。

 

Are You Ready(覚悟はいいか)?』

 

 きっと明日の世界は、今日よりもっと面白い。

 

 

 

 

 

 

 襲撃翌日の放課後。龍咆の直撃を初めとしたクラス対抗戦のダメージから随分早く回復した俺は、足早に箒の居る医務室を目指していた。

 

 何でも、俺のISである白式は生命維持に加えて生体再生能力まで備えていて、そのために本来動けるまでに一週間近くかかるダメージを早々に回復してしまったらしい。

 実際の所そんな機能を持っているISは無いとされるが、千冬姉には何やら心当たりがあるらしく、聞いてみたところ言葉尻を濁していた。

 

 しかし、ケガした体で鈴やオルコットの相手をするのは中々に堪えたぜ。結局二人とも俺の部屋で口喧嘩始めちまうし、どうにかなんねえもんかな……。

 

 でも、いつも通りの皆の様子が、俺に元気をくれた事も事実だ。

 

 そんな事を考えていれば、俺は箒の居る医務室の前へと辿り着く。いくら男と女だからって、もっと近くの部屋にしてくれりゃ見舞いにも来やすかったんだけどな。

 

 俺は扉を三回ノックして、中に居るはずの箒に入室してもいいか呼びかけた。

 

「箒、居るか? 俺だ。入ってもいいか?」

「…………一夏か?」

 

 俺の知る箒の声とは違う、か細い声。どうやらアイツも今回の事で随分参ってるらしい。そりゃそうだ。いくら俺が心配だったからって、実際に生身でISに狙われたんだ。俺がその立場ならトラウマになっても仕方ない。説教もそこそこにして励ましてやるか。

 

「少し待ってくれ、上着を着る」

「あっ、ああ。悪い。ゆっくりで良いぜ?」

 

 箒の返答に、俺は歯切れの悪い返事を返す。ちゃんとノックしてよかった。入寮した日みたいな騒ぎは、今の俺には願い下げだ。もう歩けるとはいえ、ケガが完治したわけじゃない。まあ、俺よりも軽症だって言っても。箒にだってそこまでの元気はないだろうけどな。

 

「……待たせた。入っていいぞ」

「邪魔するぜ」

 

 扉を開けて、箒のベッドの方へと歩み寄る。部屋が暗い。電気を点けていないようで、部屋は少し薄暗い。今の今まで寝てたのかな。そんなどうでもいいような事を考えながら部屋に足を踏み入れた俺は、こちらに背を向けてベッドに腰掛ける箒を見つけて、唖然とした。

 

「――――箒?」

 

 箒は、首だけを巡らせてこちらを見る。薄暗い部屋で、カーテンの隙間から入り込んた陽光に照らされるその横顔は、今まで見たどの箒とも違う、弱弱しい姿だった。

 その薄い笑顔は一息で吹き飛んでしまいそうに儚くて、ポニーテールから覗く首は、容易く折れてしまいそうに細く見える。箒はそんな事を考えてぽかんとしている俺を見て、おかしそうにくすくす笑った。

 

「どうした、一夏。私の顔に何か付いているか?」

「いや傷とか絆創膏とかメッチャ付いてるけど……」

「ああ、そう言えばそうだったな」

 

 言って、ふふっとまた小さく笑いを零す箒。それにどうしようもなく違和感を感じて、俺は気にかけるような口調で、その実問い正す様に箒に対して話しかけた。

 

「箒、お前どうした? なんか変なもんでも食ったのか? いつもならそこは『女子の顔に対して何たる言い草だー』とか、そんな風に怒る所だろ、そこ」

「あんな事があってそんな風に言える訳が無いだろう。お前こそ、ケガはもう大丈夫なのか?」

「あ、ああ。お陰様でな」

「……私は何もしていない。むしろ、お前に迷惑をかけてばかりだ」

 

 そう言うと、箒は一度立ち上がってこちらに向き直り、深々と頭を下げて来た。

 

「あの時は済まなかった。私が無知で不用意だったせいで、お前に心配をかけてしまった。幾ら謝っても謝り切れない」

 

 本当は、それについて一言二言言ってやろうと思っていたのに、今何か強い言葉をかければ箒が本当に壊れてしまいそうで、俺もそれ以上何も言う事が出来なかった。

 

「…………いや。お前が無事なら、それでいいよ。鈴だってそう言うはずさ」

 

 俺は、少し何を言えばいいかわからなくなって、箒の無事を喜ぶ無難な言葉を選んだ。言ってやりたかった言葉とはまた違ったけど、それも実際、間違いなく俺の本心だった。

 

「……………………」

「……………………」

 

 医務室を、気まずい沈黙が包む。俺は黙して語らない箒に、言うべき言葉が全然見つからなくて、視線を右往左往させる俺。一方の箒は暗い顔で俯いて、眼前のベッドを見つめたまま動かない。

 

「…………そうだ、一夏」

「……なんだよ」

「あんな事があった直後にこんな話をするのはどうかと思うが……来月の、学年別個人トーナメントは知っているか?」

「ああ、一応な。それがどうした?」

 

 IS学園学年別個人トーナメント。文字通り、一週間かけて行われる学年総出のIS戦トーナメントだ。1年生は全ての生徒が強制的に参加させられる超大規模トーナメント。一週間もの大型日程ではあるが、期間中は常にアリーナで戦闘が行われているほどの過密スケジュールだ。2年生以上は整備課と操縦課に分かれ、操縦課の人間は純粋に操縦技術を対外的にアピール、整備課の人間は操縦課の人間に何人かで付いて、その整備を担当する。

 

 何でもこのトーナメントの為に、IS関連企業のお偉いさんや各国の政治家など、文字通りの雲の上にいるような大物たちもIS学園に足を運ぶらしい。

 

「もし……もしそこで、私が優勝したら……付き合ってくれないか?」

「へっ……?」

 

 俺は箒の言った言葉の意味が一瞬分からず、オウム返しに聞き返す。

 

「つ、つきあうって? えーっと、その」

「そ、そのままの意味だ。何度も言わせるな……」

「お、おう。悪い」

 

 いつもなら語気を強めるだろうところも、どこか遠慮がちに返してくる箒。でもなんだか、言ってる事自体は何時もの箒っぽいな。俺はそれを聞いて、ちょっとだけ安心した。

 

「……………………」

「……………………」

 

 再びの沈黙。俺はまた、医務室にある物に対して視線を巡らせる。箒もまた俯いているが、その顔は先ほどと違って、ほんのりと紅潮していた。

 

 ――――結局、俺は沈黙に耐えきれなくてドアの取っ手に手を掛けた。

 

「…………じゃあ箒。俺、向こうの医務室に戻るわ。あんまり抜け出してると千冬姉にまた怒られちまうし……しっかり休んで、早く戻ってこいよ。Ciao(チャオ)! ……なんてな」

「ふふっ……Ciao(ちゃお)、一夏。またな」

 

 俺も箒も、石動先生の真似をするお互いがおかしくて、揃ってちょっとだけ一緒に笑う。一瞬名残惜しくなったけど、俺は己を強いて扉を閉じて、足早に箒の病室を後にした。

 

 

 少し痛む体で、自分の居た医務室を目指す。その間脳裏に浮かぶのは、先程の申し訳なさそうで、何かを背負い込んだような箒の儚い横顔。

 

 ――――綺麗な顔だと思った。でも俺は、箒にそんな顔はして欲しく無かった。そんな、笑っているように見えて、今にも涙を流して消えてしまいそうな顔は。

 

 俺にブラッドをどうにか出来るだけの力があれば、箒にあんな顔をさせずに済んだのかな。

 

 思い返すと、どうしようもない悔しさが滲む。俺は皆を守りたかった。箒も、千冬姉も、鈴も、セシリアも。山田先生や石動先生、クラスの皆、名前も知らない、学園の皆だってそうだ。

 俺は自分を守るので精一杯だった。鈴が居なければ、俺はあの時に死んでいたかもしれない。

 

 悔しい。誰も守れない自分が。箒をむざむざ傷つけられてしまった自分が。

 

 

 ここに入学して一月半、まだ俺達のIS学園での生活は始まったばかり。

 だが、これから先あんな顔を見せた箒の姿を思い出す度、俺は運命と自分の無力の両方を、心底から呪う事になるだろう。

 その呪いから逃れるには、皆を守れるだけの力を手に入れるしかない。誰も傷つけられない様に、もっともっと強くなるしかないんだ。

 

 そう考えて俺は、決意を新たにするのだった。

 




エボルトの十八番(独自設定)マッチポンプ回でした。
箒には本当に申し訳ない事をしたと思っています。

以後の投稿について活動報告に書かせていただきます。

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