プリキュア世界に転生したのだが、俺は陸戦型で頑張る 作:アインスト
ちょっと日をあけてしまいましたが、どうぞ。
──ひょ?親父さんがぎっくり腰?
「そうなんよー‥‥‥」
──つまり今は日野が代理店長って事か。
「ま、店長と言っても父ちゃんが良くなるまでの手伝いやねん。ただ‥‥‥」
──ただ、どうしたよ?
「最大の難関は日曜日なんよ‥‥‥町内会長さんらがうちで食事会する事になってなぁ‥‥‥」
──そこまで落ち込むって珍しいな。そこまでの不安要素が?
「せやねん‥‥‥町内会長さん、グルメらしくてなぁ」
──うは、それは難易度高いな。
「んで、ガッカリさせる訳にはいかん訳なんよ。そこでみゆき達も誘って試食してほしくてな?」
──それで俺もか。
「せや。タクマも協力してくれるやろ?」
──別に構わないけどな、PC持ってっていいか?
「パソコン?なんでや?」
──いや、ブルー本体は出来たんだがOSがまだ未完成でな。調整しながらでいいなら行くぞ。
「ええで。しっかしキミも多忙やのぉ?」
──お前らをバックアップするためだからな。しっかり準備しとかねぇと。
「おおきに、タクマ。ホンマ縁の下の力持ちやなぁ」
──そんな事ないさ。お前らだって着実に強くなってるだろ?
「まぁせやけど‥‥‥ってこのままやと堂々巡りやな。ほな行こか」
──おう。
そうして俺は彼女らと合流、皆と日野の家へ。
それから少し時間が経ち、いよいよ焼ける、という時だ。
うむ、実に食欲を増進させる良い匂いだ。
俺も腹が減ってきた‥‥‥といかんいかん、早いとこOSを完成させないと。
「もう焼けたかなぁ?」
「まだ早いんじゃない?」
「せや、焦ったらアカン」
「そういえばあかねさん、ここのお店の名前ってもしかして‥‥‥」
「そ、お察しの通りうちの名前から取ったんやって。うちが生まれた年に店を始めたらしくてな?娘のようにこの店も大事にしようって意味合いらしいで?」
「素晴らしい由来ですね‥‥‥」
──娘思いの良い親じゃねぇか。大切にしないとな。
「せやなぁ‥‥‥」
そんな会話をよそに、星空とキャンディ(後に聞いたがこいつがプリキュアの妖精らしい)が待ちきれんとばかりに目を輝かせている。
まだまだ子供だなぁ‥‥‥俺もだけど。
そこで日野が不敵な笑みをしてこう言う。
「ふっふっふ、焼き方にもコツがあるんやで?」
──へぇ、どんなコツだ?
「まぁ見とき。それっ、ちゅう、ちゅう、たこ、かいなっと!」
──うわすげぇ。
「「おおー!」」
なんと連続でお好み焼きを返してみせたのだ。
俺も練習すれば出来るか‥‥‥?
「どや、日野家奥義"コテ返しスペシャル"!お好み焼きは任しとき!」
──ちょいちょい、日野、焼けてるって。
「おっとと、アカンアカン。すまんな」
──しかし上手なもんだな。
「そういえばさっきからタクマ君何してるの?」
──ん、新しく完成した機体のOSの調整だよ。
「おーえす?」
「簡単に言えばプログラムデータですね。もう完成したんですか?」
──九割方はな。明日には試運転が出来るかって所だ。
「へぇー、どんなのか楽しみだなぁ‥‥‥!」
黄瀬が目を輝かせている。
お前本当にロボット好きだな。
日野が焼いたお好み焼きを食べながらそんな会話をしていると、誰かが帰ってくる。
「ただいまー」
「お、元気!」
「なんや?」
「あぁ、こいつが弟の元気や」
「どーもー」
「ちゃんと挨拶せぇや」
「いやいや、お調子者の姉がいつも迷惑かけてスンマセン」
「誰がお調子者だこのっ!」
「いてっ」
──ま、よろしくな。タクマだ。
「あれ、珍しいな。姉ちゃんが男誘うなんての。彼氏か?」
「ばっ、ばばばばバカタレ!違うっちゅーに!」
「なんや、てっきりそうかと」
「こ、今度はコテではたくで!?」
「おーこわ。これ姉ちゃんが焼いたんか?もらうでー」
──おいおい、行儀悪いぞ。
「‥‥‥まぁまぁ美味いやん。父ちゃんとちょっと味違うけど。ま、姉ちゃんっぽい味やな」
「え‥‥‥」
──‥‥‥どうした?
「‥‥‥アカン」
「え、何で?」
「何でもヘチマもあらへん‥‥‥会長さんは父ちゃんの味を楽しみにしてくれてんねん‥‥‥これじゃあ、喜んでもらえへんよ‥‥‥」
──‥‥‥。
「何でやろー?材料も作り方も同じに作っとるはずなのに‥‥‥」
「‥‥‥あ、そういや父ちゃんが秘密の隠し味があるって前言っとったわ」
──隠し味、ねぇ。
「で、それは何やの?」
「そこまでは知らんよ」
もし知ってたとしても教えてくれないと思うぞー。
俺なら教えないと思う。
んで、なんだかんだで隠し味を探す事に。
しかし隠し味ねぇ‥‥‥それははたして材料だけなのか‥‥‥?
会話の途中、青木がスイカに塩をふる要領で考えてみる事を提案。
だがここで星空と黄瀬、キャンディがやらかした。
何をトチ狂ったのか知らんがプリンを出して鉄板で‥‥‥ってそれただの焼きプリンじゃねぇか。
で、それから少し時間が経ち、結果は散々な物に。
結局親父さんに聞きに行くことにしたらしい。
──‥‥‥。
「どうしたの?ずっと黙ってるけど」
──いや、どうも隠し味ってのが引っ掛かってな。
「でもどれもダメみたいだよ‥‥‥?」
──‥‥‥まさか。
「「?」」
──‥‥‥俺、わかったかも。
「何ッ!!それはホンマか!?教えてくれん!?」
──ばっ、ちょっと待てって、これは俺が教えるより日野自身が気づくべき事だと思う。
「それって、どういう事?」
──自分で気づくってのが一番大事なんだと思う、多分。
「‥‥‥わかった。一応父ちゃんにも聞いてみるけどな」
──それでわかれば良いけどな?
そして。
夜が明ける。
日野は、気づけたのだろうか?
そんな思いをしながら会場へ足を運ぶ。
会場へ着くと、少し歩いた所に星空たちがいる。
どうやらあれ、準備してるみたいだな。
俺を見つけたのか、星空が腕を大きく振って呼んでくる。
「待ってたよー!タクマくーん!」
──バカ、声デケェって。
「むー、私はそんなにバカじゃないよっ!」
──ほー、こないだの数学の小テスト。
「う"っ」
──赤点ラインギリギリだったのは誰だっけ?
「うぐぐ、言い返せない‥‥‥」
──それで?今はどうだ?
「とりあえず出来たから持って来たんや。せっかくだからタクマも──」
その時だった。
世界がまた、暗い闇へと誘われたのは。
周囲の空気が重くなり、影響された人々は口々に絶望の言葉を発する。
"もうダメだ""僕なんか"などが近くからも聞こえる。
犯人はすぐにわかった。
アイツだ。
「あっ、あれは!」
「ウルフルンクルー!皆、変身クル!」
──さぁて、御披露目と行こうか!
俺はバッグから蒼いトランクを取り出す。
星空はスマイルパクトと呼ばれるアイテムを取り出し、変身準備を開始する。
《レディー?》
「「プリキュア、スマイルチャージ!」」
《ゴー!ゴー!レッツゴー!》
──着装ッ!!
彼女らがきらびやかに変身していく横で、様々なパーツが飛び交い俺の身体に装着されていく。
そして完成されたその姿は"蒼い運命"。
「キラキラ輝く未来の光ッ!キュアハッピー!」
「太陽サンサン、熱血パワーッ!!キュアサニー!」
「ぴかぴかぴかりん、ジャンケンポンッ!キュアピース!」
「勇気凛々、直球勝負ッ!キュアマーチ!」
「しんしんと降り積もる清き心‥‥‥キュアビューティ!」
──おー‥‥‥皆かっけぇなぁ。
「さっ!君も名乗って!」
──へ?
「せっかく君もヒーローになったんだから名乗りなよー!」
──えぇ‥‥‥あぁ、じゃあ‥‥‥。
──‥‥‥蒼い運命の名の元に撃滅する!ブルー、デスティニーッ!!
「「五つの光が導く未来!輝けッ!スマイルプリキュア!」」
──と、プラスα!
「プリキュア、そしてテメェ!俺様の食事の邪魔はさせねぇぜ!」
──食事ってお前、腹減ってたのかよ。
「うるせぇ!出でよアカンベェ!」
ウルフルンと呼ばれた狼男がソースの入った容器を模した怪物もとい、アカンベェが俺たちの元に落ちてくる。
間一髪で避けるが、ハケからソースらしき液体が飛ぶ。
ってこれ接着剤じゃねぇか!?
戦闘開始から少し経つと、突然アカンベェが強化されたような感じがした。
「ウルッフッフッフ、腹いっぱいで元気出たぜ!やれぇ!アカンベェ!」
『アカンベェー!』
「「きゃあッ!?」」
──あぶねッ!!
飛んできた接着剤をマシンガンで撃ち落とす。
その横で吹っ飛ばされたハッピー、ピース、マーチがビルに張り付けられてしまう。
「皆さんッ!くぅっ‥‥‥!」
「ビューティ!」
「ウルッフッフッフ、人間の食い物もなかなかだったぜ?」
「え、ホンマ?おおきに!っておおきにちゃうわ!?」
「あん?何でテメェが礼を言うんだよ」
「それ作ったん、うちやからな!」
「ま、こんな物誰が作ろうと同じだけどなぁ」
「同じちゃう!どんなに頑張っても父ちゃんと同じ味にならへんから苦しんどるのに!」
「んなしょうもない事でうだうだ悩むなんざ、下らねぇよ。第一腹ん中に入っちまえば全部一緒だろ?それにこれは失敗作なんだろ?えらそうな事言ってんじゃ──」
── 黙 れ ッ ! !
「ッ!?んだテメェ、また邪魔する気か!!」
──お前に‥‥‥お前なんかにサニーの気持ちを無下にする権利なんて無いッ!!
「な、何だよ‥‥‥たかがそれだけで怒ってんのか?」
──あぁ怒るさ!その気持ちは彼女らだって一緒だ!そうだろ!?
「そうだよ‥‥‥それは、失敗作なんかじゃない!」
「絶対に美味しいもん!」
「だってそのお好み焼きには、あかねちゃんの気持ちがいっぱい詰まってるんだから!」
「──ッ!!」
その時、サニーは悟ったようだ。
その隠し味は"食べた人に元気になってほしい気持ちを詰める"事だと、気づいたのだ。
「何言ってんだ‥‥‥アカンベェ、さっさと片づけちまえ!」
「お前なんかに、負けへんでー!!」
──援護する!
「おう、頼むわ!」
──さぁ、行くぞ!
〈エグザムシステム、スタンバイ〉
その電子音声が発せられた直後、肩部装甲と背部装甲、脚部装甲が展開され、バイザーの奥に光るツインアイが紅い光を灯す。
これがブルーデスティニー特有の強化システム"EXAM"。
──さぁて、後は知らねぇぞー!!
「な、何だ!?急にアイツの動きが!?」
──目標捕捉、斉射!
EXAMにより加速した機体を何とか制御し、弾丸を次々と絶やすことなくアカンベェの足に撃ち込む。
それにより、ぐらりと態勢を崩すアカンベェに追撃する。
──こいつは効くぞ!
「わー!ビームサーベルだ!」
「また脛に隠してたんだ‥‥‥!」
流石に硬いのか、多少の傷しか与えられていない。
だが、それで十分だ。
サニーのための時間稼ぎにはなった。
──サニー、今だ!!
「まっかしときーっ!!プリキュアッ‥‥‥サニー、ファイアーッ!!」
サニーの気合いが十分にこもった灼熱の火球がアカンベェに直撃。
これにより、アカンベェは浄化された。
「よっしゃー!!勝ったー!!」
──アイツは‥‥‥逃げたのか。逃げ足速いな‥‥‥。
「デコルもゲット、良いペースじゃない?」
その後親父さんも回復し、様子を見に来たらしい。
日野は自信満々に「うちはこの店の看板娘やで!父ちゃんの隠し味くらいお見通しや!」と言って笑った。
そして、俺を見る‥‥‥ってちょっと待て?
何故俺を見る?
「それに、タクマやみゆき達皆のおかげや!」
「ほー、それは良かったのぉ。まぁこんな娘やけどよろしゅうな?」
──は、はぁ‥‥‥。
あのー‥‥‥どうして若干照れてるような顔してるんですかねぇ‥‥‥(;´∀`)
もういいや、帰ってふて寝しよ(現実逃避)。
いやー、長かった(;´∀`)
こんな調子ですが是非ともこれからも宜しくお願いいたします(´・ω・`)
では、次回の更新でお会いしましょう。
感想等お待ちしてます。
ではでは(*´ω`*)ノシ
追記)
現在活動報告にてアンケートを募集しています。
是非ともご協力お願いいたします(´・ω・`)
ヒロインまだ決めてないんでここで決めたいと思いますー(;´∀`)一応活動報告でもアンケートはとります。とりあえずここでは誰か一人をヒロインにするなら誰にするか決めてください。期限は特にありませんよ(*´ω`*)
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星空みゆき
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日野あかね
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黄瀬やよい
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緑川なお
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青木れいか