湯も冷めてきたので手早く洗いを終わらせた。
若干湯冷めしてしまったが考えもまとまったし身も心もスッキリしていい気分だ。早く服を着てしまおう。
「なん、、だと、、、!?」
ついさっきもやった気がする。だがこんな所に伏兵が居ようとは思いもしなかった。
何で着替えがワンピーススカートなのか?何だかヒラヒラしている。これは寝間着なのか?
自分の意思と関係無く女にされるのと自らの意思で女物の服を着るのでは受ける精神的ダメージが大きく異なるだろう。俺の男としてのアイデンティティが…。
だが他に着るものもなく、これを着なければ本格的に湯冷めしてしまう。
「着るしかないよなぁ…」
着るしかなかった。
部屋から出て居間に戻ればルチアには可愛いと誉められユーリィに似合ってると言われた。とてつもない違和感に走り出しそうだった。
さらにルチアには髪のまとめ方やら扱い方で じ っ く り と御指導頂くことになった。ベツニコワクナカッタヨ?
その後少しだけ二人と会話を楽しんだが疲れからか直ぐに眠気が訪れた。
幸いなことに客間が有ったようでふらつきながらもルチアに連れられベッドにたどりついた。個室にベッドというこの世界に来て初めて安心できる空間に居るせいか、俺は横になって直ぐに夢の世界に旅立った。
目が覚める。知らない天井だ。
こういう時に定番のネタを一人やってみたが寂しいだけだった。
部屋の外からは朝食を用意する音だろうか、人が動く気配を感じる。
「いいなぁ、こういうの…」
たった数日人の世界から離れていただけなのに温か味と有り難さを実感する。覚醒と半覚醒を行き来しながら幸せな時間を過ごす。
暫くすると足音が近付いてきた。部屋の前で止まり数瞬、部屋にノックの音が響いた。
「おはようございます。ハルカさん、起きてますか?」
ルチアの声だ。
「おはよー。今起きるね」
俺はそれに答え、いそそいそとベッドから降りて居間へ向かった。
二人に挨拶ををして居間に入る。既にテーブルには朝食が並んでいた。
朝は弱く思考がまとまって無いのもあったが居候の分際で食事の手伝いもしないとは。あまりの事態に頭を下げて謝るが二人は疲れていたから、と軽い調子で許してくれた。お人好し過ぎて心配になるなこの兄妹。
朝食を食べながらこれからの事を二人に話そうと思う。
「故郷を探そうと思うんだ」
「まぁ、そうだよね」
「場所の見当はついているんですか?」
「まったくわからない。多分世界中を回って情報を集める事になると思う」
それでも俺は日本に帰りたいんだ。多少寄り道はするけどな!
「ただでさえ人里から離れるのは危険なのに当てもなく一人で世界を回るだなんて危険過ぎます…!ハルカさんが良ければこの村に住んでも良いんですよ?私達も口添えします」
凄く心配してくれている。やはり良い娘だ。
「気持ちは凄く嬉しいよ…。でも、故郷を探しに出ようと思うんだ」
多少は自分がヴァンデルだという楽観視や原作を間近で見てみたいという願望は入っているけど帰る事そのものを諦めたくはない。
何度か同じ様なやり取りをする。
俺の決意が堅いと解ったのか説得は諦めたようだ。
方針が決まったせいかその後は色々と早かった。
あれよあれよという間に旅支度が進んでいく。俺を置き去りにして。
そして次の日の朝には完璧に旅支度が済んでいた。二人分。
えっ?ユーリィ?お前も来るの?
いつの間にか一万字越えてました。
一話辺りの文字数は個人的には今のは二~三倍くらいが読んでてちょうど良いので自分もそれを目指したい。