女性型ヴァンデルにTS転生した俺は…   作:小豆団子

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原作・修行期間
13話 初めての独り旅


 

 

 アンクルスの里を出てから10日が過ぎた。

 

 食べ物は即席の罠で仕留めた小型の野生動物である。もしかしたら野良の魔物を食べているかも知れないが俺はヴァンデルだし問題ないね!流石にビィトの様に虫食に手を出す気にはならない。万歳旅講座サバイバル編!

 保存食も買ってあるがもしもの時のために取ってある。あんまり美味しくなかったしね…。楽しようとしちゃダメだった。

 

 

 

 

 時間はいくらでもあるので移動しながら修行もしている。

 

「星呑みも出来るには出来たけど、なぁ…」

 

 自分でも驚いたが、星呑みを思い付いてから3日目には既に出来るようにはなっていた。だが問題はその持続時間だ。初めて星呑みを成功さてた時は10分も持たなかった。

 無理やり呼吸を止めたかの様な息苦しさから、我慢できず直ぐにやめてしまった。

 ヴァンデルにとって冥力は産まれたときから身体に宿っており、生命維持には無くてはならないものだ。それを無理矢理抑え込むのだ、身体に掛かる負担は鉄下駄どころではない。

 星呑みをしている最中の俺は、まさに見た目通りのひ弱さだった。少し森を歩いただけであんなに疲れるとは…。

 しかし良いこともあった。冥力で強化された身体能力によって普段の行動でも無理を通していたようで、ひ弱になった事で逆に力任せの動きではない、無駄を無くした身体の使い方も解ってきた。

 

「この状態で鍛練したらそりゃ強くなるわ…」

 

 取り敢えず身体能力と冥力の強化方法には目処がついた。

 だが基礎能力が高くても単純にそのまま強くはなれないだろう。

 大事なのは基礎能力を十分に高め、更にそれを上手く扱う戦闘能力だ。

 

 ヴァンデルは種族として人間と比べて強い。

 基本的にヴァンデルは人間よりも圧倒的に大きな体格を持っている。ヴァンデルの強味はその体格からくるパワーとフィジカル、そしてリーチだ。

 人間側は相手に大したダメージを与えることが出来ないのにヴァンデル側の攻撃をまともにくらったら一発でアウト、しかも間合いは相手の方が広い。どんなクソゲーだよ。

 

 だが俺にはそんなものは無く、人間の子供と同じ体格しかない。ヴァンデルは愚か、人間相手でもまともな殴り合いは出来ないだろう。

 それを覆すには武器を持つのが手っ取り早い。しかし俺には武器を人間に向ける度胸は無い。身体はヴァンデルでも心は人間なんだ。

 となると武器を持つことは却下だ。

 非殺傷で相手を無力化でき、体格差もある程度無視できる戦闘方法…。

 合気道、とかだろうか?幸いヴァンデルも一応は人間骨格だ。人間とヴァンデル、両方に対応できなくもない。

 

「よしっ、この方向で行こう!」

 

 極めれば合気道と冥撃を組み合わせた全く新しい格闘技を開発できるかもしれない。

 正に天地魔闘の構え……昂る!

 

 最強の自分をイメージしてニヤニヤするのは、男なら誰しもが通る道だろう。今は女の子だけどね!

 

「ぐふぅ…」

 

 自分で突っ込んで勝手に傷つくとかいう高等プレイを楽しんでいると道脇の薮から物音が聞こえた。

 

 そちらを振り向くと大きな虎と目が合った。

 

「うぉおおぉぉーーー!」

 

 俺は全力で逃げ出した。

 何故だ!?今まで旅をしてきてモンスターと遭遇した事はなかったのに…!

 特に変わったことなんて何時もより長く星呑みしてただけなのに。

 

 ………それかぁ!

 

 何時もはモンスターも冥力垂れ流しの俺にわざわざ近寄って来なかったが、星呑みすることで冥力を感じられなくなり美味しい人間(エサ)にしか見えなくなったわけか!納得!

 

「ふざけんなぁ!」

 

 今は冥力も解放して走っているが相手は冥力を探知しているのか隠れても見つかってしまう。

 一度餌と認識したら人間もヴァンデルも関係ないってかぁ!?

 

「どうする…!」

 

 狭い木々の間を走る事でなんとかもっているが走る速度は向こうの方が上だろう。

 

「捕まるのは時間の問題だ。こうなりゃ一か八かやるしかねぇか…」

 

 そして俺は、全力をもって………隠れた。

 

 いや、だって勝てる気しなかったし。

 星呑みをして冥力を封じ、サバイバル編で学んだ様に気配を消している。

 

「………」

 

 上手くいったか?

 暫くじっとしていたがどうやら去って行ったようだ。やっぱりお前は便りになるぜサバイバル編。

 念のため星呑みを続けて旅を続ける。

 今度はこんな事が無いようにちゃんと気を付けなくては。

 日が沈みかける頃にはレドウの港町が見えてきた。後少しだ。

 

 

 

「グルルルゥ…」

 

 とても嫌な予感がする。俺は後ろを振り向いた。

 虎がいた。

 

「いやぁーーー!?」

 

 俺は星呑みを保ったままレドウへ駆ける。

 

「開けてーーー!」

 

 閉まっている門に助けを求める。願いが通じたのか俺が通れる隙間だけ開けてくれた。そこへ身体を滑り込ませる。

 

 後ろで門の閉まった音がした。

 どうやら助かったようだ。

 

 ありがとう門。少しでも邪魔だとか思ってゴメン。

 

 気が動転して門に助けを求めたが、ヴァンデルだとバレなくて本当に良かった。

 閉め出されたあげくモンスターに負けるヴァンデルとか全く面白くない。

 

 門が何やらお小言を言っているがそれすら気持ちよく聞いていられる。生きてるって素晴らしい!

 

 お小言を聞き終え御礼を言いその場を離れる。

 獲らぬ狸のなんとやらだったが星呑み状態なら門を騙す事も可能なようだ。

 

「おっし、宿をとった後に情報収集でもするか。何も出てこないなら最悪黒の地平まで足を伸ばそう。グリニデ閣下も見てみたいし」

 

 目標に向けてこつこつと頑張ろう。

 

 

 

 

「俺の冒険は未だ始まったばかりだぜぇ!」

 




後ユーリィ主体の話を1話、ハルカ主体の話を1~2話描いたら原作本編に移ろうかなと思ってます。
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