ようやくヴォルハ村が見えてきた。
何だろう?記憶と少し違う。村の周りを囲っていた塀が立派になっている。というか普通に外壁だ。
流石に門は喋る『門』じゃないがちゃんとした門もついている。
「変わったな~…」
今は解放されている門をくぐり、ヴォルハ村の中へと入る。
内部は然程変わってないように見える。記憶にあるユーリィ達の家へと歩く。
少し緊張してきた…。
胸の高鳴りを抑えつつドアをノックする。
「は~い?」
若い男の声だ。ユーリィだろうか?3年前はまだ声変わりもしておらず少年らしい声色だったが、今聞こえたのは落ち着きのある若者の声だ。
ドアが開く。
「や、やほー…?」
「えっ…、ハルカ?」
おー、でっかくなったなー。前は少し目線を上げれば目が合ったのに、今は若干見上げないと目が合わない。心なしかユーリィも顎を引くようにして下を見るような顔の角度だ。
「ふんっ!」
「わっ!いきなり何するのさ!?」
何故かイラッときたので軽くボディブローを打ち込んだが普通に受け止められた。悔しい。
「まぁいいや…、取り敢えず上がってよ」
ユーリィに続いて家に上がる。
あの時と同じ様に居間に通される。3年前のままだ、懐かしいな…。
「ハルカさんが戻って来たんですか!?」
とたとたと廊下を駆ける音がして一人の少女が居間に飛び込んできた。
ルチアだ。
ルチアも3年前と比べると大分成長している。主に胸部装甲が。ぐぬぬ………ぐぬぬ?まぁいいや。
そして顔立ちも少し大人っぽくなり、可愛らしさの中に美しさも見えてきている。
「やっほー、ただいまルチア」
「お帰りなさいハルカさん!」
椅子から立ち上がり挨拶をするとそこに飛び付いてきた。
ユーリィ程では無いが3年間で離された身長差からか、ちょうど良い感じ抱きすくめられる。
こっ、これは……!
「その辺にしておきなよ。ハルカも疲れてるだろうしお茶にしよう」
暫く揉みくちゃにされているとユーリィがお茶の用意を終え話しかけてきた。
「あぁ、私ったらすみません…」
「大丈夫だ、問題ない…!」
ユーリィに勧められ席につき、お茶をすする。
「いきなり帰ってきたから驚いたよ。改めてお帰りなさい」
「おー、ただいまー!」
「で、だ。どうして戻ってきたんだい?手紙で危険だと伝えたはずだけど?」
「いやー、あはははー……」
「笑って誤魔化さないで」
「えーと…そのー…」
「まあまあ、こうして無事に帰ってこれたんですし良いじゃないですか。せっかくの再会なんだから小言は後にしましょう?」
「天使だ…!」
ルチアは昔と変わらずに天使だった。
「ふふっ、何ですかそれ」
口に出ていた様だ。
「まったく……」
ようやくユーリィも諦めたようだ。
……………
………
…
この3年間で有ったことについて沢山話し合った。
ユーリィがモンスターの群れからこの村を守りきったことやヴァンデルを倒したこと等色々聞いた。こちらの事については流石に黒の地平の事は心配をかけるしぼかして伝えた。
驚いたのはつい先日ルチアまでバスターになったという事だ。
理由は「無力なままでいたくない。自分の手で大切な人を守りたい」だそうだ。
やはり天使か…。
「それにしても、二人とも大きくなったなー」
「そういうハルカはなんというか…」
「昔と変わらず愛らしいです!」
ぐふっっ!
その無邪気な笑顔が今は憎いぜ…。
そう、この3年間で俺は全く成長していないのだ。当然と言えば当然だ。ヴァンデルは最初から完成された姿で産まれるのだ。最初から完全体であり、成長することなど無い。
といっても身体能力やら冥力やらは成長するようだ…。けれども見た目は変わらない。
つまりヴァンデルである俺の見た目が成長するはずが無いのだ。たとえ子どもの様な見た目であっても!見た目であってもぉ……。
そのまま夕飯となり楽しい時間は過ぎていった。
「ふぁああ~…」
久しぶりにはしゃいだせいもあり、いつもより早い時間に眠気が進行してきた。
「ふふっ、大きな欠伸ですね」
「そうだね、そろそろ休もうか」
「うぃー」
「さてハルカ、寝るまえにやることがあったよね?」
「……?」
何かあっただろうか?風呂にも入ったし歯磨きもした。他にやることなんて…?
「中断してた説教の続きだよ」
「!!」
ルチアに助けてくれとアイコンタクトを送る。
「では先に失礼しますね。おやすみなさいハルカさん、お兄ちゃん」
気の毒そうな顔をして目を反らされた。
「さぁ、覚悟はいいかな?」
「勘弁してくれぇーーー!」
書いてて思ったんですが自分の小説って説明文が多くて吹き出しが少ないんですよね。
そういう意味ではこの話はよく喋らせた方かな?と。
好みはあるだろうけど読者さん的にはどちらの方が良いんだろうか?