朝が来た。小鳥や家畜の鳴き声が外から聞こえてくる。俺は覚醒しきらない頭でその事を認識する。もう少しだけ微睡んでいたい。もう少しだけ…。
ノックの後に誰かが部屋に入ってきたようだ。
「ハルカさーん?朝ですよー」
ルチアのようだ。
眠いからもうちょっとこのままで…。
暫くするとカーテンの開く音がした。
「うぅ…眩しい……」
「ほら、起きてください」
ルチアの気配が近付いてくる。そのままベッドの直ぐ横まで来た。
………。
なんだか視られているようで落ち着かない。
流石にだんだんと覚醒してくる。観念して起きることにしよう。目を開く。
目の前にルチアがいた。
「あぁ、起きちゃいましたか」
「……?」
起こしに来たのでは?
「おはようございますハルカさん」
「おはよう、ルチア」
そのまま伸びをして、立ち上がる。
「ふう」
「朝ごはんできてますよ。準備ができたらすぐに来てくださいね」
「わかったー」
眠気から目を擦りつつ返事をする。
その後朝食を取り、これからの予定について相談する。
俺としては二人や村の無事も確認できたしアンクルスの里へ行きムガイン討伐を見学したい。
「ハルカはこれからどうするんだい?故郷探しの旅はまだ続けるんだよね?」
「そうだね、故郷に帰ることはまだ諦めたくないかな。とりあずこの3年間さがしてみたけど手懸かりは見付からなかったし、今度はもう少し遠くまで足を延ばしてみるつもりだよ」
そう、この3年間で元の世界に帰る手懸かりは見付からなかった。何故自分がこんなところにいるのか?この世界に転移してきたのか?それとも転生してきたのか?全く分からなかった。
元の世界に帰れるなら帰りたい。でも、もしこれが転移ではなく転生なら、元の世界の自分が死んでいるなら、その時は……。
「そっか諦められないよね」
「うん、そうだね…」
ユーリィは腕を組少し考える素振りを見せた後、こう切り出した。
「ハルカの故郷探しの旅に僕も着いていっちゃダメかな?」
何を言っているのだコイツは。
「いや、ダメとかの前に何故?」
「んー、心配だからかな?」
「心配だからとか言われましても…」
「それがいいです!ハルカさんは少し抜けているところもありますし、お兄ちゃんと一緒なら安心です!」
ぬ、抜けてないし…!
「でも色んな場所に行くし危険なところも有るかもしれないよ?」
ビィト達に着いていくのだ、危険なんてものじゃないぞ。
「そう言われたら逆に放って置けないかな」
むぅ…。
「そっ、それにこの村はどうするのさ?」
「それなら安心してください!私もバスターの端くれですし、お兄ちゃんから必要な事は学び終えています。そもそも猟師の娘ですからね、基本は元から押さえていますよ。……本当はハルカさんに着いていきたいところですが村の事もありますからね」
「と言うわけだ。諦めた方が良いんじゃないかな?」
「ぐぬぬ…」
何だか前にも同じ様なやり取りがあった気がする。潔く諦めるか……。
「決まったみたいだね。なら僕は村長にその事を伝えにいってくるよ。ルチアは準備をお願い」
「はーい」
あれよあれよという間に話は進んでいった。
――そして次の日の朝…。
「じゃあいってくるよ。ルチア、後はよろしくね」
「はい、お兄ちゃんもハルカさんをお願いね」
「うん、わかったよ」
俺の関与しないところで俺の身柄の譲渡が行われている…。
「ではお兄ちゃんもハルカさんも気を付けてね」
「あぁ」
「そっちもね…」
こうして俺達はヴォルハ村を旅立った。
アンクルスの里までの旅路の途中にユーリィからムガイン討伐に手を貸したいから少しアンクルスの里で待っていて欲しいという旨の話を聞いた。後顧の憂いを断ちたいらしい。
それには賛成なんだけど待つのはなー。
そうこうしている間にアンクルスの里の『門』の前までたどり着いた。
何か様子がおかしい。『門』に話を聞いてみると少し前にに泥トカゲによる襲撃があったらしい。そしてポアラがムガインを討伐しに出ていったそうだ。
泥トカゲによる襲撃、ね…。
原作漫画よりアニメ版に近い世界なのかな?もしくは手を組んでいたヴァンデルがユーリィによって倒されたせいで焦って勝負を決めに来た線もあるか…。
「ハルカ」
「うん、わかってる。助けに行くんだよね?俺も付き合うよ」
「ハルカが?こう言っちゃなんだけど足手まといに…」
「安心しろよ、これでも3年間この世界を旅したんだ、身を守るくらいはできるさ。その辺のモンスターに後れはとらないよ」
「……うん分かった、一緒に来て」
俺達二人は、ムガインの住まう死人沼へと向かうことになったのだった。
アニメのエクセリオン編のことを考えるならアニメの世界線の方が良いかな、という事でアニメよりで進行しようと思います。