―ハルカ視点―
俺とユーリィは共に死人沼へと向かっている。
「思っていたより足場が悪いね…」
原作やアニメでは死人沼への移動描写はほとんど無く解らなかったが、沼と名の付くだけあってぬかるみや水場がかなり多い。
だが、俺もユーリィも野外での行動には慣れているのでそこまで苦ではない。少なくとも護衛ばかり請け負っている並みのバスターよりは速いペースで進んでいる自信はある。
「でもこれならポアラさんに追い付けるかもしれないね」
「そうなれば良いんだけどね……それにしてもハルカがちゃんと動けるようになっていて安心したよ」
「これもユーリィのサバイバル教習のおかげかもねっ!」
途中、遭遇した泥トカゲの首を素手でへし折り引かれたりもしたが概ね順調だ。これで多少は過保護が無くなれば良いんだけどなぁ…。
さて、そろそろムガインの居城が見えてくるはずだ。今一度、気を引き締めてかかろう。
―ポアラ視点―
死人沼の策士ムガイン。
死人沼に居を構え、黒い沼を作り出す事で支配域を広げているヴァンデル。
そして私達のアンクルスの里を、そこに住む人達を苦しめている元凶。
私は里に住む者として、里の唯一のバスターとしてムガインを討たなければならない…!
今まではまだ早いと、力不足だと止められ何とか自分を抑えてきたが今回の襲撃は一線を越えてしまっている。もう我慢していられないし我慢してはいけない事だ。
それに拐われてしまった人達だっている。早く助け出さないと…。
「ウキィーーーッ!!」
あれは!?
泥トカゲがピンキーベアタマリンの親子を襲っている!
すぐに駆け付けて泥トカゲを撃退したけど母親の方は既に事切れていた…。
これからヴァンデルと戦うのだ。そんな危険な場所へは連れていけない。
「ゴメンね…」
それでも付いてこようとする子どもを謝りながら振り切った。
みえた…。
「ここがムガインの城……ガブリ貝やアクアドッグはともかく門番の鉄騎貝には手間取りそうね…」
先程の襲撃で拐われた人達もいる、人質にされても不味いし何とか見付からないように城の中に「ウキィ」っ!?
ビックリした。さっきのピンキーベアタマリンの子どもだったのね。
「駄目じゃない、付いてきちゃ…」
かといってこんな場所に放置しておけないし…。
「しょうがないわね。あなた、名前は?うーん…トトでどう?」
「ウキィ!」
「よーしトト、裏から行こう?」
あれは…!
入れそうな場所を探していたが、その途中で拐われた人達を見つけた。
全員無事そうではあるけど縄で拘束されている。
「トト、しばらく隠れてて」
幸い周囲にはモンスターはいない、急いで助けに向かう。
「おぉーい!助けてくれ!」
「しっ!静かにして」
相手もこちらに気付いたようだ。
皆を縛っている縄を切っていく。
「さぁ、早く逃げて!」
「ポアラは?」
「私は、ムガインを倒すわ!」
『ふはははは!貴女に、できますかね?』
っ!?
―ハルカ視点―
やっとたどり着いた。
あれがムガインの居城か。どうでもいい事ではあるがよく悪い足場にあれだけのものを建てたものだ、傾くだろ普通。ヴァンデルの建築技術…侮り難し。
っと、もう始まっちゃってるみたいだな。正門の門番達が蹴散らされている、ビィトがやったのだろう。奥から戦闘音も聞こえてくる。
「ハルカ、正面から行くけど僕から離れないように」
「りょーかい」
正面から突っ込む。
辺りを警戒しつつ進んでいたが、討ち漏らしもいないようで思いの外楽に奥までたどり着くことができた。流石ビィトと言ったところか。
奥までたどり着いたが、ムガインが配下を呼び寄せた後の様でビィトとポアラが多数のモンスター達と大立ち回りを演じていた。
「このまま突っ込むよ!」
「あいよ!」
ビィトとポアラの二人に集中しているモンスター達に背後から奇襲をかける。
「ヴォルハ村のバスター、ユーリィ!助太刀する!」
おぉ、なんか格好いいな!真似しよう。
それにほら、所属を名乗っておかないと同士討ちとかしかねないからね!……流石にヴァンデルやモンスターとは間違えないとか言ってはいけない。
「同じくヴォルハ村のハルカ!助太刀する!」
ユーリィは背後から鉄騎貝の喉元をダガーで断ち切り、俺も鉄騎貝の首を捻切る。頚椎無かったわ、この軟体動物…。
「ユーリィ!?ありがとう、助かるわ!」
「おう!助かったぜ、サンキューな!」
ハルカがモンスター達を撹乱しつつ隙を見て投げ飛ばし、敵の陣形を崩す。そこにユーリィが遊撃をしかけ、怯んだ相手を仕留めて数を減らしていく。
ビィト達だけでも何ら問題無かったのだろうが、更にハルカとユーリィという戦力が追加された事でみるみる内にモンスターの数が減っていく。
「あ、有り得ない……こんな条件、無かったはずだ!私の計算が…!」
ムガインが焦りからかビィトに斬りかかったが、あっさりと躱わされてしまう。
「今ので確信したけどさ、お前案外弱いだろ?危なくなったらモンスターをけしかけたり、不意討ちしたり…そんな奴に強えぇヴァンデルはいねーよ………俺の経験上ね!」
「ッッッレベル11の駆け出しが!一流みたいなセリフをっ!私の計算を乱すヤツは、消えろォォッ!!!」
激昂したムガインが大剣と化した右腕を振り下ろそうとするが、それよりも早くビィトが槍を手放して両手のひらを胸の前で構える。
「あいにくだけどお前なんかにやられるわけにはいかないな…!俺にはこれから山ほどやる事があるんだ!!」
胸から産まれた光りの粒子が手の内で才牙を形作っていく!
「出ろぉ!バーニングラーンス!!」
おぉ!これが才牙の召喚か!?最高に格好良いな!!
いいなー、俺も才牙欲しいなぁ……まぁ自分ヴァンデルなんだけどもね。
「俺はお前なんかに躓いてる暇はないんだ!いっけえぇーーーっ!!!」
光の中より炎を纏った槍が召喚され、その槍バーニングランスがムガインの胴体を真一文字に切り裂く!
「なぁあああっ!?ばっ馬鹿なっ、こんな低レベルのガキが才牙まで…計算にあってな…い……っ」
ヴァンデルの肉体がいくら強靭であってもバスターの切り札である才牙の一撃をくらい無事でいられる筈がない。
真っ二つにされたムガインが崩れ落ちる。
凄い……これが才牙、凄まじい威力だ、怖いくらいに…。
と言ってもムガインはこの時点では死んでないんだけどさ…。まぁヴァンデルはフィジカルお化けだししょうがないと言えばしょうがない。脳や心臓、核の様な重要な臓器が無事であればヴァンデルのタイプによっては生き延びられないこともないのだろう。
かといってここでとどめを刺しちゃうとポアラのビィト戦士団への加入とか色々問題が出てきちゃうしな。とりあえず無視しておこう…。
今思うと同じ話の中で視点が切り替わる事はあんまり無かったんですよね。
ビィトを余り知らない人にも原作の大まかなストーリーが解るように複数の視点を入れてみたいのですけ視点が切り替わった事や誰の視点かなどを分かりやすく書くのは難しいですね。~視点やナレーションでも入れたりするべきでしょうか…。