日の出前に目が覚めた。
昨日は日が沈んですぐに寝たのだから仕方のないことだろう。
前の俺では考えられないほど健康的な生活をしている。
「やっぱ夢じゃなかったか…」
今までの目覚めと同じ様に、しっかりと覚醒する感覚があったにも関わらず未だに俺はこの世界にいる。
俺は帰ることができるのだろうか?
今頃家族はどうしているのだろう?就職が決まってあんなに喜んでくれた姉や就職祝いだと旅行に連れて行ってくれた両親、俺は何も返せないままこの世界に来てしまった。
「絶対、帰らないと…」
こんなところでくよくよなんてしてられない、帰る方法を見つけなくては。
「よしっ、いくか!」
白み始めた空の下、俺はこの世界での本当の一歩を踏み出した。
◇◆◇◆◇◆◇
「っていってもよ!」
どれだけ歩かせれば気が済むのか?いつの間にか太陽が真上にあるぞ?
昨日今日とこれだけ歩いたのだから、歩幅が小さく森の中という事を考えても数十㎞は移動したはずだ。
そして地平線までの距離は4~5㎞と聞いたことがある。昨日煙を見つけた大樹は天辺までは登ってないにせよ学校の屋上の高さくらいまでは登っていた。そのことを考慮しても地平線まで15㎞といったところだろう。
明らかにおかしい。
地球よりも大きな天体なのか?それなら地平線までの距離が遠くても納得できる。
「その場合眼良過ぎだろ俺…」
数十㎞離れた所で昇っている煙を肉眼で捉えることができるとは。
そもそも地球があった宇宙と同じ物理法則なのだろうか?
世界は平らで端まで行ったらでかい滝とかはやめてくれよ…。
下らない事を考えながらの移動だったが確実に煙までの距離は近くなっている。
それに迷わない様に何度か方向を確認したが、朝昼とご飯時に煙の量が多くなっている。何かしらの知的生命体がいる可能性はあるだろう。
特に休息もとらず歩き続け日も傾いてきたころ、風の中に微かに何かの匂いが混ざり始めた。
人が生活している気配を感じる…!
夕飯どきだろうか?薪の燃える匂いやパンや肉の焼ける匂いだ。
逸る気持ちを抑えきれずに目の前の大きな根を乗り越えた。
ヒュォッ―――
……?
何やら目の前に点?がある。驚いて首を反らすと背後でスコンッと音がした。
振り向いて視てみると今乗り越えたばかりの樹の根に矢が刺さっていた。
…矢?
「ひぇあぁっ…」
咄嗟に首を反らさなければ矢が眉間に直撃したであろう事実に思い至り、思わずその場にへたり込んだ。
平和な日本で生きてきた俺にとって、自分の命が故意に害される感覚は生まれて初めての事だった。
混乱と恐怖で身動きがとれない中、矢が飛んできたであろう方向から何かが向かってきている気配がある。
―――っ。
木々の間から人影が出てくる。
どうすればいい!?
「あれ、人間?」
現れた人物はこちらに対して敵意をもっていない様だった。
「すみません、怪我はありませんか?」
人っ、人だ…!
この世界にも人間がいた!しかも言葉も通じる!
何も答えずにいるとその人は焦ったように近づいてきて謝り始める。
「す、すみません、こんな道もない森の中で動いていたので鹿か猪かと思いまして…本当に大丈夫ですか?」
こちらを心配そうに見て気遣ってくれている。
たった二日ではあるけれど人間がいるかも分からない世界で一人、気を張り続けた俺は限界だった。
緊張の糸が切れた俺はその人にしがみついた。
「ぇぁっ!?どうしたんですか!?」何か言っているがよく理解できない。
この世界で初めて人間に触れ、本物だと確かめる。
人の温かさを感じ、俺はその人にしがみついたまま大泣きしたのだった。
歩く、歩いた、、、
語彙力が足らな過ぎて同じ単語がしつこく出てくる…。
語彙力を鍛えなければ。
やっと物語が動きそうなところまでこれたけど主人公の名前まだ決めてなかった。
男でも女でもそのまま使えそうな名前かー。他のTSキャラと被っちゃいそう。