村長の家を出てユーリィの家に向かっている。
ビィトの世界にいるとわかり俺は興奮を隠せずにいる。そんな俺をユーリィが微笑まし気に見てくるのが少々気に入らない、が俺は大人だし気分もいいから見逃してやることにする。
ユーリィからゼノン戦士団の活躍なんかを聞き出しながら歩いてきたが、どうやらユーリィの家に着いてしまったようだ。もう少し話を聞きたかったがしょうがない、後でまた聞き出そう。
「ただいまー」「お邪魔しまーす」
確か妹さんがいるんだったよな。名前はルチアだったかな?ユーリィの後に付いて家に入る。
「おかえり、お兄ちゃん。そちらはお客様?」
今の俺と同じくらいの年頃だろうか?ユーリィとよく似た色彩の女の子が出てきた。
「ただいま、ルチア」
その後ユーリィに促され互いに自己紹介をした。
俺の事情を話したところルチアはとても心配してくれた。天使だ。そしてユーリィはルチアに食べ物だのなんだのと叱られている。いい気味だ。
「ごめんなさいハルカさん。何日も森をさまよっていただなんて……。お腹、減ってますよね?直ぐに夕飯にしますね」
なんて出来た娘だろうか、俺を年下扱いしてくる兄とは大違いだ。
「ありがとうございます!」
実際は特にお腹が減っている感覚は無かったが食事そのものは好きなので有りがたく頂くことにする。お腹が減らないのはおかしなことだがビィトと同じ様に特異体質で、寝溜め(正確には寝溜めじゃないけどね)ならぬ食い溜め体質なのだろうか?うーん、わからん。
既に用意が出来ていたのか直ぐに夕飯が出てきた。沢山のパンと肉入りシチュー、多分ハーブティー。なかなか美味しそうだ。
ルチアは俺の住んでいた場所について聞いてなんとか手掛かりを見つけようとしてくれる。いい娘だ。
俺はユーリィとルチアの事、ゼノン戦士団の事、久しぶりの会話を楽しんだ。
それにしてもこいつら美形だよなぁ。さっきまでは気にしていなかったがこうしてテーブルの対面で向かい合うとよく分かる。
ユーリィもルチアも朝日の様な淡い金髪で瞳はエメラルドの様に深い緑色をしている。美しい色彩もさることながら爽やかというか暖かというか優しそうな顔立ちをしている。特にルチアは揺れる木漏れ日の下で本とか読んでそうなイメージだ。可愛い。
まぁ華奢には見えてもしっかり家事もしてるしユーリィが狩に出ている間、家の事を切り盛りしてるんだよな。狩人という家業上仕方のない事かもしれないが家が村の外れ、森の近くに建っているし井戸から水を運ぶのも一苦労だろうに。
「そういえばこの村には塀、というか柵はあるけど『門』は無くて大丈夫なのか?」
ビィトの世界の大抵の町には門が有りヴァンデルや魔物の侵入を防いでいたはずだ。
「あー、確かに門はないね。けどここは辺境の小さな村なんだ。それこそヴァンデルにとって滅ぼす価値も無いくらいのね。それにこの辺りの魔物は知能も低く元々の野生動物とそう変わらないくらいで柵と村の男衆だけで十分対応可能なんだ」
特に重要拠点でもなく人も少ないこの村は滅ぼした所で星が貰える様な功績にはならず、ド田舎すぎて足を運ぶ気にもならんというわけか。成る程。
「言ってて悲しくならないか?」
「ははっ、確かにね。でもこうして平和に暮らしていけてる訳だし悪くはないよ」
「色々と不便ではあるけどそういった意味では良い事もあるのよね…」
ふむ、ここは良いにせよこの世界、危険は付き物だよな。元の世界に帰るためにも世界中を旅する必要が有りそうだし、どうせビィトの世界に来たのならバスターになるのもいいかもな。最初の刻印が痛いのは勘弁して欲しいが。
そんなこんなで楽しい食事は終わった。空腹感はなかったわりに満腹感と満足はある。腹が膨れたせいか少し眠たくなってきた。
今日の寝床はどこだろう?
「ハルカさん、森の中でさまよって汚れてしまったでしょう?お湯を用意したので身体を洗いませんか?」
「なん、、だと、、、!?」
主人公の頭空っぽにした方が動かしやすいですね。深い心理描写とか私には無理です。