性についての話題になります。
「いっっえーーーーい!!!!」
「煩い」
ぶへへへ、怒られちゃった♡
でも叫んじゃうのも無理は無いと思うんだよねぇ。
うんうん。
だって!!
だってだって!!!
パクの家でお泊まりなんだもん!!!!
「いっっえーーーー
「次言ったら追い出すわよ」
「はい、ごめんなさい」
ぶへへへ、怒られちゃった♡(2回目)
☆☆☆☆
薄暗いとある町外れ。
街灯はなく、人の気配が全く無い廃ビルに囲まれた地下の一角。そこが今回の仮宿だ。
仮宿には4人の姿がある。
一人は背中に逆十字の刺繍が施された黒のコートを着たオールバックの男。その男は瓦礫に腰かけて本を広げている。
そしてその横には頭をチョンマゲにし、着物と足袋を履いた『侍スタイル』の男がいる。
そしてその二人から少し離れた場所に、身長の高い女と低い女が居る。身長が高い女は、何処かうんざりしたような様子を見せながらも、身ぶり手振りも交えて一生懸命に話す身長の低い女の話を時おり微笑みながらも聞く。
「今日はパーティーしないの?」
「えぇ。この人数じゃね」
「なーんだ。つまんないの」
そういって身長の低い女はため息を───
ねぇちょっと待って。自分で言っててムカつくんだけど……。なに身長の低い女って?あるわ。身長ちゃんとあるわ。平均的な身長だわ、こちとら。パクが特別大きいだけなんだよ。身長だけじゃなくて胸も。パクと並んでるから何もかもが小さく見えるだけ。別に小さくないもん。
おっ?なんだその目は?やんのか??
「……ちょっとユリ、抱きつかないでちょうだい」
あ、やべ。
無意識下でパクに抱きついてた。
まぁ仕方ないよね、
だってパクの抱き心地が凄く良いんだもん。腰回りや足には一切余分な脂肪はついておらず、抱きつく事によって見た目以上の細さを実感する。
しかし、パクの体で気にするべきところはそこじゃない。
「っ!!!」
───この胸とお尻だ
素晴らしい!素晴らしいぞ!!
胸は綺麗な円を描くダイナマイトお椀型で、ハリ、弾力を感じると共に柔らかい。とてもこの世のものとは思えない。
ていうかパクって仕事の時はノーブラだよねぇ!!!
抱きついてるだけで感触がしゅごいよぉぉ!!!!
そしてパクのその細いウエストから、徐々に膨らんでいくこのお尻のライン!!これはまるで桃だ。桃のように丸い。掌がお尻に吸い付き、そして沈む。弾力も何もかもが私のお尻だとは違う。
思わず涎が垂れてパクの胸元が開いたスーツを汚しかけたその時──
視界が回転し、背中を固い地面に打ち付ける。あまりに突然の出来事だっため、受け身も録に取ることができず、衝撃で息が詰まった為その場で噎せかえった。
「おいたが過ぎたわね。
ユリ、何か言い残しておきたい事はあるかしら?」
肩で息をし、酸素を取り込みながらも視線をあげると、そこには冷たい目で私を見下すパク───ではなくパクノダ様が居た。
その冷めた目で見下されて、ちょっと興奮してしまっているだなんて口が裂けても言えない。
いや、どうした私。まさかこの短時間でMの才能を開花させてしまったというのか?んもぅ、変態さんなんだからっ☆
いやいやいや、何考えてんだ。
こんなふざけてる場合じゃないぜ。
なんか言わないと………っ!
「えっと……最高……でし……た」
「そう。それは良かった」
私はこれでもそこそこ腕が立つ
修羅場もいくつかぬけてきた
そういう者にだけ働く勘がある
その勘が言ってる
私はここで
死ぬ
アーーーーーッ!!!!!!
「ここはどこ?私は誰??」
「アホやってねぇーで山分けすんぞ」
痛い!!
何故か数十分前の記憶が一切無いが、それよりもチョンマゲ男──ノブナガ=ハザマの手刀が痛すぎてどうでも良い。
頭部を擦りながらノブナガを睨み付けるが本人はどこ吹く風、気にせずにオールバックの男──クロロのもとへ向かう。
クロロは本から此方に向かってくる私たちへと視線をチラリと向けると、本を閉じて立ち上がり、背後にある『財宝』たちへと体を向ける。
財宝には既にパクが手をつけており、ダイヤの指輪などを目の前に持っていっては、吟味していた。
「俺はもう選んだ。後はお前たちが好きにしろ。」
「「了解」」
クロロ──もとい、団長は私とノブナガの返事を聞くと踵を返し、手をヒラヒラと振りながら私たちに背を向けて闇に溶けていった。流石と言うべきか、もう団長の気配は感じられず、最初っからこの場に居なかったのではないかと思うほどだ。
私は団長が歩いて行った方を眺めていると、ノブナガは財宝の方へと歩いて行き、座り込んだ。
「にしても仮宿まで持って帰ってくるのが面倒だったな。こういう仕事の時ほどシズクの能力が役立つってぇのによォ……。一体何処で何やってんだか」
ノブナガはそうボヤキながらも丸められた掛け軸へと手を伸ばす。
「でもシズクの能力って、最後に吸い込んだ物しか出せないんじゃなかったっけ?」
私も財宝の方へ向かって掘り出し物を探していると、黒色の長方形の箱を見つけた。それを手に取り、上下左右斜め下斜め上といったあらゆる角度から見て、触り、振ったりして中身が何かを推察する。
まぁなんにもわかんないんだけどさ。
気になるから開けちゃえ!
私は箱の開け口に指をあてて、ソーッと箱を開けてみる。財宝の中から、こういう中身が何か分からない箱を一気に開けるのは非常に危険だ。念が込められているような感触は無いとはいえ、何が起こるか分からない。警戒しておいて損はないだろう。
パカッという小気味良い音と共に箱が少しだけ開いた。
何も起こらない。
ホッ。
とりあえず、少しでも開いた瞬間にトラップが発動するようなタイプの箱では無いようだ。これなら一気に開けても大丈夫だろう。中身はネックレスとかかな?
『ぶっぶー!!外れだよー!!!』
「うわぁ!!!」
全然大丈夫じゃなかった。
箱を一気に開けると、中から『ハズレ』という看板を両手に持ったピエロの人形が喋りながら飛び出してきた。背中にはバネが着いており、未だにビヨンビヨンと伸び縮みしている。
うぅ……驚きすぎて心臓と尻餅をついた衝撃でお尻が痛い。
私は箱をマジマジと見つめ、ビックリしたよ~と笑いながら二人に話しかけようとしたその時。
私は愕然とした。
信じられない。
あり得ないよ。
だって、そんな、まさか───
「うふ、うふふふ……」
「ぶわはははははっ!!!」
私が二人にハメられたなんて。
「ちょ、まさかこの箱……!」
私は右手で口を隠しながら上品に笑うパクと、左手でお腹を抑え、右手で私を指差しながら爆笑しているノブナガを見上げる。
「えぇ。私たちが仕組んだのよ」
「こいつは傑作だぜ!まんまと引っ掛かりやがった!!」
そう言いながらもパクは私から顔を背けて肩を震わせているし、ノブナガはお腹を抑えながら地面を何度も叩く。
ぐぅ………。
なにさなにさ。二人とも私を玩具にしちゃってさ。そんなに笑わなくても良いじゃん。確かに、まんまと引っ掛かって二人の思惑通りの結果になっただろうけどさ。ふーーーんだ。
「あら?」
「おいおい、拗ねんなよ」
「……別に拗ねてなんかないもん」
……拗ねてなんかないもん。
体育座りして指で地面を弄ってるけど、別に拗ねてるからこんな事してる訳じゃないもん。
視界の端でパクとノブナガが顔を見合わせているのが見える。パクは苦笑いを浮かべ、ノブナガは頭をガシガシと掻き、お手上げだと言わんばかりに両手を上げた。
暫くお互いに無言の時間が流れる。
廃ビルに囲まれている上に、ここは地下の為、音はほとんどしない。聞こえるのは3人分の微かな呼吸音と私が地面を指でなぞる音だけだ。
しかしそこに新しい音が足された。
パクのため息とピンヒールの小気味良い音だ。
その音が此方に向かって来て、止まった。
「仕方ないわね……。ねぇユリ、今晩私の家に泊まりに来ない?」
「……行かない」
「私の手料理も振る舞ってあげるわ」
「むっ………」
「来ると言うならパンケーキも作ってあげるわよ?」
「ほんと!?じゃあ行くー!!」
「単純なこった」
なんかノブナガが言ったような気がするけど知ったこっちゃない。パクの手料理はとても美味しいし、パンケーキなんかは絶品。『幻影旅団』辞めて飲食店開いた方が良いんじゃね?それかバー経営した方が良くね??と思うレベルである。
そんなパクの手料理を食べられるんだったら行かない理由は無い。いいよ。認めてやるよ。拗ねてたよ私わ。
私はパクの手料理で釣られました。
うし、行こうか。
「パク!早く行こうよ!!」
「はいはい。……じゃあね、ノブナガ」
「バイバイノブナガー!」
「おォ、またな」
そうして私とパクはノブナガと仮宿に別れを告げた。
「………まるで嵐だな」
その呟きが誰かに聞こえる事はなかった
☆☆☆☆
私は走る
乱れる呼吸も
纏わり着く髪の毛も
顎を伝って落ちる汗も
何も気に止めない
走りながら気がついた。
念が使えない。
私の身長も縮んでおり、いつもより短い手足を使って必死に走る。服装はズタボロに引き裂かれ、服の役割を果たせていない。辺り一面に光は無く、自分が前を走っているのか、上下左右の感覚すら分からない。
後ろをチラリと振り返ると、無数の手が私を捕まえようと迫ってきていた。
私は冷や汗を垂らし、過剰に分泌された唾液を飲み込むと、前を向いて更にスピードをあげる。
しかし無数の手の伸びる速さは私の走るスピードよりも遥かに速く、どんどん差が縮む。そして遂に私の足を掴むと、私は急に足を掴まれて推進力を失い、前のめりで倒れ込み、地面にぶつかった。
それでも這うようにして前に進もうとするが、何かが私の上に覆い被さった。逃げようにも私の足は相手の足でロックされ手で頭を捕まれ身動きが取れない。
荒い男性の息遣い───まるで獣のような唸り声と共に胸を触られる。
そこには此方を気持ち良くさせようとするような意思は感じられず、ただただ己の欲求を満たすためだけの行為だった。
やがてその手は胸から下に降りていき、おへそを経て股へと手が伸びた。嫌悪感から私はもがくが、今の縮んだ体型では意味を成さない。
男の指が私の秘部に触れ、指を入れようとしてくる。濡れてもいないカサカサの状態だというのに、ローションや唾液をつけずに指を入れようとしてくるのは痛みしか感じない。では、ローションや唾液がついていなければ痛くないのか?と聞かれたら答えはNoだ。
私は痛みから更にもがくが、それは相手の欲情を煽るだけであり、刺激となって相手を興奮させてしまうだけであった。
男は自身のパンパンに膨れ上がった性器を扱きながらそれを私の性器へと近づける。
「待って!!お願い!!それだけは止めて!!!初めては好きな人と───!」
私は身を捩って何とか男から逃れようと試みるが、後頭部に衝撃が走り、意識が一瞬飛んだ。恐らく殴られたのだろう。目の前がチカチカして星が飛んでいる。
「──────あっ」
抵抗を緩めてしまった瞬間
下腹部に今まで感じたことのないような衝撃と異物が私の中に入ってくる感触。自身の性器からミチミチという音と生ぬるい何かが溢れ、膜が破れてしまった痛みが走る。
「~~~~~~~~~ッ!!!!」
私は人知れず、涙を流した。
☆☆☆☆
目が覚めた時に発したそれは、言葉だったのか、ただの意味も持たない声だったのかは私にも分からない。
迫り来る吐き気に口を手で覆い、一目散にトイレを目指して、便器に被さるようにして胃の中の物を吐き出す。食道を逆流し、中途半端に消化された吐瀉物が便器を汚す。
パクが作ってくれたお手製のシチューも、パンも、パンケーキも、全てを吐き出す。
パクへの申し訳なさや生理的なもの、胃酸のきつい臭いからといった、ごちゃ混ぜの涙を流しながら荒く息を吐いた。
一体便器に被さってからどれくらい経ったのだろうか。それは数分でも、数十分でも、もしかしたら数時間だったのかもしれない。
私には時間を気にしていられるような余裕は無かった。しかし、ある程度胃の中の物を吐き出し、涙を流して呼吸を整えたことにより、時間と、背中に沿えられている暖かい手に気づけるほどの余裕が出来たようだ。
「………ごめん、パク」
何の謝罪なのか、自分でも分からなかった。
辺りが真っ暗な事から時刻は恐らく夜、もしくは真夜中。寝ていたであろうパクを起こしてしまった事への謝罪か、せっかく作ってくれた手料理を吐いてしまったことへの罪悪感か、それとも便器を吐瀉物で汚してしまった事への申し訳なさなのか。それら全てを纏めた謝罪なのか。また、それらとは全く別の事に対しての謝罪なのか。
それは私にも分からなかった。
「ごめん」
涙と謝罪の言葉が溢れ出た
☆☆☆☆
やってしまったと思った。
ユリの能力は操作系。今は系統が変わって特質系だが。
幻影旅団の中にもシャルナークが操作系だが、彼はアンテナを指した相手を操り、アンテナが取れるか操る相手が死んでしまえば操れなくなってしまう。
しかしユリの能力にそれはない。
相手や周囲に気付かれる事無く、意のままに操る能力───流石に相手が死んでしまっては使えないけれど。
そんな強力な力を無条件に使える訳がない。それ相応の手順を踏み、『死』というリスクを常に背負いながら彼女は生きている。
そしてその能力の発動条件は彼女にとって最悪なものだった。
念能力にはイメージが大切になってくるが彼女はこのイメージが上手くいかず、自身にとって一番思い出したくない筈だった事が一番鮮明にイメージされてしまうという皮肉な結末を生んだ。
彼女は能力を使う度にトラウマに襲われる。
今回の仕事の前、私たちの為にと彼女は能力を使った。止めはしたが、彼女の耳に私の言葉は届かなかった。それは他の団員たちも同じ事。
私は───私たちはユリに辛い思いをさせている。
ユリは私たちの役に立つためだけに生きていると宣言するほど、何処か盲信的に働いている節がある。それをどうにかしなくてはならないと思い、話し合ってはいるけれど……結局答えは出ないままだ。
そして今日で1つの大きな仕事が終わり、団長からユリのフォローを頼まれたが為にこのお泊まりを進言し、少しでも気が紛れ、笑顔になれるようにとノブナガと私で企てたほんの少しの悪戯も、結局気休め程度にしかならなかった。
涙を流しながら震える彼女をそっと抱き寄せる。
体温は低く、暗がりで顔色は見えないが、恐らく真っ青だろう。
「────ごめんなさい」
「……どうしてパクが謝るの?」
「そうね………私がユリの仲間であり、家族だからかしら。立てる?」
暗闇にも目が慣れてきたお陰で、ユリがポカンとした表情をしているのが見えた。ユリは暫くすると微笑み、私の差し出した手を取って立ち上がる。
「明日何処か行こうよ」
「行きたい所でもあるの?」
「無いよ。でも大丈夫。
パクとなら何処に行っても楽しいから」
「……ユリの体調が良ければ行きましょうか」
「任せて。寝たら治る」
「寝られるの?」
「寝られる。パクが手を握ってくれてたら───だけどね」
そう言って彼女は笑った。
私はため息をつくとユリに新しいパジャマを着せ、枕元に常温のミネラルウォーターのペットボトルを置き、同じベッドに潜り込む。
私が彼女の手をほんの少し握ると、それと同じ程の力で握り返された。
私は彼女の左手を握る自由の効かない右手に代わって、左手でソッと頭を撫でるとくすぶったそうに身を捩るユリに思わず笑みがこぼれる。最終的にはスリスリと甘えてきて、数分後には落ち着いた寝息が聞こえてきた。
彼女の幸せそうに眠る寝顔と、目元に残る涙の跡を見て、私も目を瞑る。
「おやすみなさい、ユリ」
明日はきっと良い日になるわ。
どうしてこうなった……
やっぱり書き溜めしていないと駄目ですね。