【SLG風】Cinderella in Your City:あなたの街のシンデレラ 作:自称付き人
P「さっきから怯えた子犬の目で君を見てる、あの子たちのこと、教えてくれる?」
美波「え……文香さんとありすちゃん! いつからそこに!?」
目線をちょっとだけズラし、ドアの方に誘導してあげると新田さんも彼女らに気づいた。
P「少なくとも俺から名刺引ったくって睨み始めた時にはいたと思うよ」
美波「なんで言ってくれないんですか!! って、違う違う! 二人とも、もう何もないから入ってきて!」
慌ててドアに駆け寄り部屋に招き入れようとする。が、髪の長い女性と賢そうな女の子は、どう見てもビビっておりなかなか足が動かなかった。
なんで言わなかったも何も、何も言わせないオーラ出してたの君でしょーが。
ありす「みみみみみ美波さん。なな何があったのかわわかりませんが、クールタチバナが全て解決してててて」
美波「ありすちゃんバグってる! そのままだとフリーズタチバナになっちゃうよ!」
文香「えらいこっちゃ。えらいこっちゃです。あのゴッデス美波が激おこプンプン丸になられています。これはえれーことです。えらこっちゃです」
美波「急に語彙力無くさないで! というか文香さん激おこプンプン丸なんて言葉知ってたんだ!?」
美人と美少女が壊れ、原因となってる美女もテンパってる。なんだこの状況。
よし、乗っかるか。(悪ノリ)
P「あー! 怖かったなぁー! 這いつくばって靴を舐めろと言われた時は心臓止まるかと思ったなぁー!」
ありす「!」
文香「!」
美波「!?」
お、よっしゃ釣れた。
美波「何バカなこと言ってるんですか! そんなこと一言も」
ありす「あわわわわわ……みな、み、美波さんが、にっタみナみさんが女王サマに、ミナみサんががガジョジョじょおうサまママまま」
美波「ありすちゃん! 本当にバグってるから! もう正常な動作を期待できなくなってる!」
文香「何故荒ぶられるか。御身は高貴なりし位に在りて下賤なる我等に豊穣と救いを与え給う主ではなかったか。静まり給え。静まり給えー」
美波「文香さんは違う人が乗り移ってるよ!」
P「頭を踏みつけて舌打ちしながら見下してたあの目は本物だわー。真性だわー。あれは完全にプロの手際だったわー」
美波「適当なこと言わないでください!」
ありす「ウィー。ウィー。めもりガおーばーふろーシマシタ。サイキドウシマス。デンゲンこーどヲヌカナイデクダサイ」
文香「しずまりたまえーしずまりたまえー」
ありす「しすてむカドウジュウ、ニジュウハチ、ロクジュウゴ、キュウジュウキュウ、しすてむおーるぐりーん。ワガナハめたるたちばな。メノマエノテキヲセンメツシマス」
文香「静まりたまえー」
美波「何がどうなってるのよもー!!!」
P「あははは!」
一人はイミフなアンドロイド、もう一人はよくわからん祈祷師、残った一人は頭抱えてる。あの美少女、顔が(・◻︎・)って感じになってるよ。
なんだこの状況超面白い!
ありす「テキヲハッケン。タダチニゲイゲキスル」
P「あははは……は?」
気づいたらアンドロイドがこっちを向いていた。なんぞ?って、そういえば敵とか言ってたな。
……とか思ってたら、ものすごいスピードで突っ込んできた。
P「ちょま」
ありす「ヒッサツ! レーザーアーム!!!」
小学生と思われる身長から繰り出される手刀、というより抜き手は。
ソコソコの身長の男に対しての絶対の急所を攻撃するにふさわしい高さにあり。
早い話がチ○コに突き刺さった。
P「ッッッッッッッッ!!!!!?????!?!?」
ありす「アクハホロビタ」ムフー
美波「滅んだどころか最悪の状況だよ......」
激痛で崩れゆく膝と意識の中、最後に見えたのは憎き小学生の自信満々なドヤ顔と泣く直前の会長だった。
意識を取り戻したのは、もう日が暮れる直前だった。
P「あれ、ソファーに移動してる」
ここはどこ、なんてお決まりなボケはせず、とりあえず身体を起こす。床に倒れたんだが、なぜかふかふかの上で寝ていた。
美波「お目覚めですか? 散々引っ掻き回して勝手に寝た後のご気分はいかがです?」
P「高いソファーのおかげで下半身が軽すぎる以外は快調かな」
美波「自業自得ですよ。反省してください」
P「自分のこと棚に上げてよく言うね。他の二人は?」
文香「ここにいます……」
ありす「そこから動かないでくださいね不審者」
目線をずらすと、新田さんとは別の場所に二人がいた。どうやら新田さんを監視役として、二人は通常活動を行っていたらしく長机に仲良く隣同士座っていた。
P「不審者とは随分言ってくれるね。むしろ俺は君に対しては被害者なんだけど」
ありす「は? なんの話ですか?」
P「おーとぼけるか。かなり肝が据わってるなちびっこ」
ありす「そちらこそ、気づいたら勝手に床で寝てたくせによく言いますね」
P「……新田さん、もしかして」
美波「ど、どうやら本当に覚えていないようです」
こそっと教えてくれる新田さん。どうやら冗談を言ってる様子もなく、新田さんも橘さんも、ついでに文香?さんも全員マジな顔してた。
てことは、あのメタルタチバナって素だったのかよ。嘘だろ。
P「あれだけのことやっといて覚えてないのかよ」
ありす「勝手に妄想広げないでください。何があったのかは知りませんが、事実はあなたが床で寝てただけです。はい論破!」
P「会長さん?」
新田「……ここは大人としての深い度量の見せ所かと」
マジかよ……。
P「まぁ……もういいや。ソファーに運んでくれたのは事実だし」
ありす「文香さんが運んだんですからね。感謝してください」フンス
P「なんで君が自慢げなんだ」
生意気なちびっこは置いておいて、ここまでもう関していた美少女に顔を向ける。
こんなおとなしそうな顔して、俺を一人で運んだのか。見かけによらず力強いんだな。
P「えーと、文香さん、だよね。それしか知らないからそう呼んじゃうけど、動かしてくれてありがとう。おかげで背中が痛くならずにすんだよ」
文香「鷺沢、文香です。礼には及びません……私も、楽しかったですから……」
P「鷺沢さんだね。今後ともよ今楽しかったって言った?」
聞き捨てならない単語だぞ?
文香「はい……何やら面白そうなことが起きそうだったので、ありすちゃんに乗っかったのですが、まさかあんなことになるとは……」
P「あのエセ祈祷師は演技かよ! タチ悪すぎるだろ!」
鷺沢「フレデリカさんあたりに良い土産話ができました……」
パワーだけじゃなく、こんな大人しそうな顔してそんなこと言うのかよ! こわ! この子こわ!
P「新田さん、この子大丈夫なの……?」
美波「職務は真面目なんです……よ? 時々急にあのテンションでボケてくるくらいですし……」
明後日の方向を向きながらフォローするな。というか、あれはダメだろ。
あーもう、いきなり試すような真似されたかと思えば、アレを強打されたり、ノリで笑い者にされたり、今日は踏んだり蹴ったりだ。
まぁ、ちびっこを除きこうやって普通に話ができるくらいの関係にはなれた。今後は何とかなりそうだな。
P「やれやれ、このノリに付き合うのは大変そうだな。それに、いきなりあんな喧嘩腰で来られるんじゃ、そりゃ男も近付きづらくなるか」
ちょっと安心して、何気なく、本当に何気なく思った一言だったが。
文香「それは、間違いです。撤回してください」
ほんのり弛緩してた空気を、また張り詰めたものにしてしまった。
P「あ、あー。やっぱりなんか訳ありだったんだ」
ありす「事情を知らないあなたが好き勝手言っていいことではないですよ」
美波「ありすちゃん! さっきのは私が悪いんだし、そんなに気にしないで、ね?」
文香「いえ、僭越ながら……私も先程の言葉は、看過できるものではありませんでした」
美波「文香さんまで!」
P「いいよ、新田さん。彼女らが言っていることは分からなくもないし」
美波「プロデューサーさん……」
ありす「殊勝な心掛けですね。では、先ほどの言葉に謝罪を」
P「いや、それもしないけど」
ありす「なんですかそれ!」
おー。怒った。鷺沢さんも明らかに不機嫌なオーラ漂わせてるし。新田さんだけどうすればいいかオロオロしてる。意外とメンタル弱いのかな?
P「何も知らない俺が好き勝手言った。それは事実だし、言ったことに君らが怒ることもまた勝手。でも、俺は君らが何に対して怒ったのか知らないし、そのことを口に出すなと言われてるわけじゃないよ」
ありす「だからなんだって言うんですか?」
P「だから勝手に怒られたことに対し、こっちが謝る義理もないってこと。せめて何に怒ったか教えてもらわないとね」
文香「それは詭弁……会話の主体は原則受け手です。話し手は受け手に理解してもらえるように話すべき。聞き手が気分を害したら、それは……話し手の責任ではないですか」
P「それは話す側が聞く側に理解してほしいって言う前提がある話。ついでに言えば、相手のことを何にも知らないのに絶対に怒らせるなって無理でしょ? それとも鷺沢さんは、話してる相手が何言われたくないか全部わかる?」
文香「それはわかりませんが……ですが、あなたは学生会が女性だけと言うことを知っていたではないですか」
P「その事実だけね。それがいいことなのか悪いことなのかは知らない。言われたくなけりゃ、事情を公表するなりすればいいんじゃないかな?」
ありす「言わせておけば!」
美波「ありすちゃん。もういいよ」
これはもう学生会と友好関係は無理かなーとか思ってたところに、新田さんの落ち着いた声が響いた。さっきみたいにオロオロした感じはしない。
ありす「ですが!」
美波「急に突っかかったのはこっちだよ。あんな態度とったら誰だって喧嘩腰になっちゃう。まして、原因作ったのはこっちだし」
文香「それは……そうかもしれませんが……」
美波「文香さんも。気にしてくれてありがとうね」
文香「いえ……美波さんが、そうおっしゃるのなら」
ボルテージ上がってた二人がみるみる萎んでいく。これが人徳か……学生会長すごい。
とか思ってたら、居住まい正してこっちを向いた。
美波「学生会執行部のメンバーが失礼なことを申し上げてしまい、失礼しました」
P「まぁ慣れてるから、気にしないで」
美波「僭越ながらこちらの事情を説明しても良いですか?」
こっちの話を聞け、聞いたらそっちもさっきの言葉を取り消せ。
暗に目でそう訴えていた。
うまい落とし所だと思う。事実はどうあれ、吹っかけられたこっちからは今の提案できない。出来るだけ仲良くなりたいこっちとしては渡りに船だ。
P「ありがとう。決して笑ったり貶したりしないから、話を聞いてもいい?」
美波「……ご理解、ありがとうございます」
さて、どんな話が聞けるのか。
文香「見ての通り……美波さんは、女神なんですよ」
P「急にシリアス壊すのやめてくれませんか??」
怒りが収まったと思えば急にネタ突っ込んできた。この子もすごい子だな。
美波「文香さん! もう少し段階を追って話しましょう!」
P「え、今のが核心なの? 自分で自分のこと女神って認める?」
美波「ちちち違います! ただ、ちょっと、ほんのちょっと、関係が、無きにしも非ず、と言いますか……」
なるほど、女神そのものではないがそれっぽいというのは否定しないと。
なんか急に胡散臭い話になってきてない?
ありす「文香さんも私にとっては事実です!」
文香「ありすちゃんは天使です」
P「わかったから。君らの結束が強いのはわかったから。お願いだから話進めて」
美波「いつもはこんなんじゃないんです。本当です。信じてください」
そんな泣きそうな顔で言わなくても。仕事ぶりが優秀なのは噂で知ってるから。
美波「えっと……自分でこんなこと言いたくないんですが、私たち、見た目は悪くないと思うんです」
P「うん、俺も君らのことは本気で可愛いと思うよ。美人と美女と美少女しかいない」
美波「そういうこと言わないでください!!」
おおー照れた。いい反応。でも、下手にいじるとまた長くなりそうだし、そろそろまじめに聞くとしよう。
P「で、それがどうしたの?」
文香「綺麗な女性が一同に会する場所……昨今のライトノベルや推理小説ならありがちな導入かもしれません。ですが……現実なら、どうなると思います……?」
P「……まぁ、群がるよね。盛った男どもが」
ありす「私は今年からなので、実のところそんなに知りません。ですが――」
文香「私は、美波さんが会長になった時から、ずっと一緒に見てましたから」
なるほどね。
知っての通り。新田さんは推薦枠だから、最初は「美人学生会長」って言う肩書き見たさで投票した人もいるだろう。
それだけでも十分男ウケがいいのに、成績優秀、運動神経も抜群ときたもんだ。会長としての能力も持ち合わせてる。
当然――寄ってくるだろう。彼女をステータスとしか見てない馬鹿どもが。
美波「正直、私だけならまだ良かったんです。運営に支障がないように、うまくやればよかったので。ですが……」
P「新田さんだけじゃなく、文香さんもいた、と」
美波「2年目からは夕美ちゃんも手伝ってくれるようになってから、だんだんおかしなことになってきて……」
学生会執行部、会計の相葉夕美さん。
新田さんのようにキリッとした雰囲気はないが、ふんわりとした笑顔が魅力。趣味はガーデニングと女の子っぽく、明るい性格から評判もいいらしい。
話を聞くだけでも、男にモテる要素満載だな。
文香「少しずつ、学生会の活動に関係ない相談や……お誘いが多くなってきました。学生会に興味がある、と言いながら、活動に協力しない方もいて……」
美波「どこから知ったのか、誰か一人しかいないタイミングで訪ねてきて、デートの話ばかりされることもありました。それも一回ではなく、何回も」
P「……なるほど」
最初の新田さんの反応は、そういうことか。
ありす「私がここに入ってからは、そういう人は来てません。ですが、話を聞く限りそんな人がここに近づいて欲しくない」
美波「別に男性嫌い、というわけではない、と思っています。ですが、それでそういう方が少しでも減ってくれるなら、それで構いません……少なくとも、私が学生会長でいる限りはしょうがないと思っています」
かと言って、直接言われていい気分はしない。
そういうことだろう。
P「最近なかったはずなのに、また一人のタイミングで男性がやってきた。しかも知らない部署を名乗って。そりゃ怪しいわな」
美波「本当にすいません。ですが、今までのことから迂闊に信用できないのもあるんです」
P「いや、納得いったよ。こっちこそ、何も知らずにごめんね。あと、話してくれてありがとう」
ありす「わかってくれればいいんです」
P「や、君だけは別だからね? あの痛みは絶対忘れないからね?」
ありす「なんですかさっきから! 濡れ衣ですよ!」フカー!
ともあれ、新田さんの提案に乗っかる形だけどなんとか丸く収まった。
P「うまく運んでくれてありがとう」
美波「いえ、プロデューサーさんが乗ってくれたからこそですよ」
ニッコリと微笑んでくれる新田さん。
P「じゃあ、お互い様ってことで。……流石にそろそろお暇しなきゃね」
起きた時は日没直前だったけど、流石にもう日は完全に落ちている。俺がいたら帰れないだろうし、さっさと出て行くとしよう。
P「長々と居座ってゴメンね。今後ともよろしく」
席を立って扉へ向かう。
よろしく――なんて言いつつ、正直ここにはあまり用もなく来てはならないのだろう。さっきの話を聞いて、何度もここに通おうと思うほど面の皮は厚くない。
P「それじゃ、君らもあんまり遅くならないようにね?」
美波「はい。長々と引き止めてすいませんでした……あの」
また引き止められた。帰り際に話しかけるの好きだな。
P「どうかした? 大丈夫、さっきの話を広めるつもりはないから」
美波「いえ、あの……さっきの話聞いたら来づらいかもしれないけど、またいつでも来てくださいね?」
え、いやいや何言ってんだこの子。
P「あはは、ありがとう。心配しなくても、用があれば遠慮なくお伺いさせてもらうよ」
美波「そういうことじゃなく! ……プロデューサーさん、ちゃんと私たちの話聞いてくれましたし、信用してますから」
文香「他の方とは、雰囲気が違います……少なくとも、何か悪さをするような感じはしません」
ありす「私はよくわかりません。ですが、美波さんと文香さんがおっしゃるのなら、まぁ、ここに来てもいいです」
P「や、メタルタチバナはちょっと」
ありす「ムキー!! なんですか人が譲歩してあげてるのに!」
美波「ほら、ちょっとしか話してないのにありすちゃんがもう懐いてる」
ありす「懐いてません!!」
最後まで騒がしいなぁ。
でも、受け入れられたのは素直に嬉しい。
P「なら、お言葉に甘えて、また来させてもらうよ。ちゃんとお土産持ってね」
美波「ロールケーキでいいですよ?」
文香「あんみつを所望します」
ありす「いちご以外許しません」
P「統一感と遠慮を持とう?」
とかなんとか言いながら、俺は学生会執行部を後にした。
【学生会長】新田美波と出会いました。
【学生会副会長】鷺沢文香と出会いました。
【学生会庶務】橘ありすと出会いました。
【学生会会計】相場夕美のことを知りました。
新田美波:《親愛》《知恵》《意思》《社交性》+5
鷺沢文香:《親愛》《優しさ》《社交性》 +3
橘ありす:《親愛》《運動》《社交性》 +3
街
《健康》30
《文化》35(+5)
《流行》30
《観光》30
《多様性》35(+5)
《利便》30
《人情》30
《活気》30
P
《体力》51(+1)
《運動》49(-1)
《学力》50
《知恵》51(+1)
《センス》50
《優しさ》51(+2)
《誠実》50
《意思》50
《社交性》50