ゴールデンタイム   作:みなたか

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(6月13日
ラストを大幅に加筆しました。)


ゴールデンタイム

20XX年 ○月×日

俺は転生者らしい。

坂巻(さかまき) 境也(きょうや)だ。

らしい、というのも今さっき急に前世の記憶とやらを思い出した、といっても全部じゃないが。

多分この後徐々に思い出してくるだろう。

 

 

2017年4月□日

通っているノーブル学園にソルティレージュのお姫様が留学してきた。

昔、お姫様と一緒に遊んだ思い出があるけど、どうせ覚えてないだろう、特に何も関わらないようにした。

 

 

2017年9月○日

しばらく、二学期がスタートしてしばらく、市松央路が転校してきた。ビックリした。

懐かしい、昔お姫様と一緒に遊んだのを覚えている、確かあだ名はイチだったはずだ、それで俺はサキって呼ばれていた、坂巻っていう苗字から取った。

ただ、やっぱり向こうは俺のことを忘れているようだ、だから特に言わずに黙っておこう、

央路と改めて友達になった。

 

 

2017年10月◎日

央路が転校してきて3週間ぐらい、寮でごたごたがあったらしいがそのおかげで央路はノーブル学園に溶け込めたようだ、良かった。

 

 

2017年10月♢日

お姫様、シルヴィと央路と理亜に俺の正体バレた。

というか、お姫様覚えてらっしゃった、央路も、あとこの学園に理亜、ソーマがいた、ビックリ。

ただ、理亜はシルヴィと顔を合わせたくないらしく、会ってないらしい。

 

 

2017年11月●日

しばらくして、シルヴィと央路と仲良くなったころ、理亜がシルヴィにバレた、また4人で仲良くなった。

あ、あと、前世のこと思い出した、この世界、俺のハマってたゲームの世界だ。

ただ、ストーリーは少ししか思い出せなかった。

この世界がゲームだと知っても特に気にはならなかった、この世界が俺の現実なんだから。

ただ、何か凄く重要なことを忘れている気がした。

 

 

2017年11月■日

央路に理亜が好きだと相談された、ええやん!! お似合いやで!! と背中を押した。

ただ、喉に魚の骨が刺さったような違和感がある、なぜだろう、思い出せない。

 

 

2017年12月◇日

理亜が入院した。

 

 

2017年12月◆日

央路が理亜の病院を探し当てて、見舞いに行った。

 

 

2017年12月△日

理亜が退院した。

良かった、でも、やっぱり違和感が拭えない…

 

 

2017年12月24日

色々あってクリスマスの日、シルヴィの大使館でパーティーがあった、

理亜、マリアがシルヴィと昔の約束した、シルヴィが演奏して、理亜が歌う約束を果たした。

ダンスが始まったら、理亜が倒れた。

 

 

2017年●月■日

全部、思い出した。

転生した理由も、なんでこの世界に転生したのかも、そして、転生する時、特典、というものも貰ったことも。

そして、その特典の代償も。

 

 

 

 

覚悟を決めろ。

 

 

 

 

○○○

 

 

 

 

 

央路と理亜が病院から抜け出したので一緒に探して頂戴、と年が明けてすぐシルヴィから連絡が来た、ついに、と俺は思った。

俺はノーブル学園の屋上の扉の前にたどり着いた、まだチェーンと南京錠で施錠されているあいつらはまだ来ていないのだろう、俺はトイレに隠れて、あいつらが屋上に入るのを待った。

 

あいつらが屋上に入って20分ほど、そろそろだろうと、俺は屋上に足を踏み入れる。

気合を入れろ。

 

屋上の扉を開くとそこには央路と理亜が二人仲良く座っていた。

扉が開く音を聞き央路と理亜がこちらを向いた。

 

 

「うぉ、境也かよ、ビックリした…」

 

 

突然だったのだろう、理亜が驚いた声を上げた。

 

 

「ビックリしたって、お前な… シルヴィから聞いたぞお前ら病院を抜け出したって、皆お前らのこと探し回ってるぞ」

 

 

「うっ… すまん…」

 

 

この後のことを想像したのだろう、央路が頭を抑えて嘆いた。

 

 

「けど、よくここが分かったな」

 

 

理亜が疑問を問いかける。

 

 

「ん、まあな」

 

 

俺は適当に返答を濁した。初めから知ってたとは言えない。

 

 

さて、と俺は央路と理亜の顔を交互に見る。

 

 

ああ、本当に

 

 

「…良い顔するようになったじゃねえか、前まで不安で堪らないって顔をしてたのに今じゃ明日も笑顔で生きてやるって感じの顔だ」

 

 

思わず口から笑みがこぼれる。

 

 

「ま、まあ、イチから元気を貰ったし」

 

 

照れくさそうに理亜が答える。

 

 

「ああ、元気を注入してやった」

 

 

「お、今までだったら恥ずかしがっていた央路君が堂々とそういうことを言えるとは…」

 

 

「理亜にはカッコ悪いところ見せられないからな」

 

 

央路はそう言うと理亜に微笑みかける、理亜は照れくさそうにしながらも嬉しそうに笑顔になる。

 

 

「あー、もうはい、お腹いっぱいです」

 

 

二人がそうならもう十分だな、そう思い俺は左手の手のひらに握った右手を打ち付ける。

 

 

「…っよし」

 

屋上に乾いた音が響く。

 

 

「おいおい、急にどうしたんだよ」

 

 

理亜が驚いた様子で声をかける。

 

 

「いや、少し気合を入れようと思ってな」

 

 

「気合… なんで?」

 

 

そう疑問を口にする央路。

 

 

俺はそんな央路を横目に理亜に近づく。

 

 

 

よし。

もう、何も後悔はない。

さて、

ここからだ、

ここからは、

俺の

 

 

 

 

ゴールデンタイムだ。

 

 

 

 

 

俺はソーマとイチに近づく。

 

 

「ソーマ、目つぶりな、イチ、ソーマの手握ってろ」

 

 

イチとソーマは少し困惑しながらも俺の指示に従ってくれた。

 

俺はソーマに手を翳す。

俺は転生する時に貰った特典を使う。

 

 

「いつかさ、お前のゴールデンタイムは湖に沈む夕日だと教えてくれたよな」

 

 

イメージする

 

 

「この朝日の金色はお前らにとって」

 

 

己の全てを引き出すイメージを

 

 

「未来への道になる」

 

 

もう、後悔も憂いも何もない。

俺の全てを出し切る。

体から抜け落ちる感覚がする。

だが、止まらない。

そんなものはどうでもいい。

俺はこの一瞬に、ゴールデンタイムに全てを。

 

 

 

 

金色の道(ゴールデン・ロード)だ」

 

 

 

 

 

俺を中心に光が溢れる。

 

しばらくすると、光がやむ。

 

 

「い、一体何が…」

 

 

イチが混乱している。

俺はソーマに声をかける。

 

 

「目、開けてみなソーマ」

 

 

ゆっくりと、目を開けたのだろう、ソーマが

 

 

「…え、あ、ぅえ、う、嘘」

 

 

「ど、どうした!?」

 

 

「…分かる」

 

 

「…え?」

 

 

「分かる、"色"が分かるの!! イチの顔の色も目の色も髪の色も、今まで金色しか分からなかったのに分かる!!」

 

 

その言葉に俺は安堵した、成功したのだと。

 

 

途端に俺にはありえないほどの重量がかかる、膝を着く、駄目だ、支えきれない。

瞼が落ちる、意識が飛ぶ。

急に膝を着いて、驚いたのだろう、ソーマとイチがこっちをみた。

 

 

「お、おい、サキ!! どうしたんだ!! おい、サキ!!」

 

 

「サキ、おい、サキ!! 目開けろ!!」

 

 

イチとソーマが何か言っているが、俺はそこで意識を手放した。

 

 

 

 

 

 

○○○

 

 

 

 

あれから、理亜は健康体になった、脳にあった腫瘍は全てなくなり、味覚が戻り、目が見えるようになり、耳も絶対音感は無くならなかったが、それでも一般人ぐらいにまでの聴力になり、1ヶ月ほど検査をしたが特に異常はなく、医者も奇跡だ、としか言わなかった。

まあ、そういう特典だったんだ、絶対に医学では証明できないだろう。

 

 

 

そして、俺は…

 

 

 

「ったく、あの時は本当にびっくりしたぞ」

 

 

「タッハハ、また随分と前のことを」

 

 

新郎姿の央路を前に話していた。

 

そう、一体どう訳か俺は生きていた。特典を使ったら死ぬという制約だったのに。

その為にわざわざ遺書まで書いたのに。

急に倒れて、気が付いたら病院のベットの上、央路と理亜とシルヴィとエルさんと玲奈とかその他色々めっちゃ心配された。

央路と理亜には特典のことを色々と問い詰められたが。

奇跡でも起きたんじゃね、と、言葉を濁していた。

 

 

 

「あれから2年か」

 

 

 

そう、2年、理亜が健康になってそれだけの月日がたった。

 

 

 

「ようやく結婚か、長かったな」

 

 

 

そして、今日、理亜と央路の結婚式。

 

 

俺はスーツ姿で招待客として参列していた、俺だけじゃない、シルヴィにエルさんにミナちゃん、玲奈、城ケ崎に色々、理亜と央路を支えてきた人々が参列していた。

 

 

「んじゃあ、俺は向こうに戻るわ」

 

 

「ああ」

 

 

俺はシルヴィたちがいる参列席に戻る。

 

戻ったところでシルヴィが声をかけてきた。

 

 

「どうだった? 央路は」

 

 

「いや、変わらずだよ、少しだけ緊張してたっぽいけど」

 

 

「央路らしいね」

 

 

「ああ、…ところでさ、よくここを結婚式会場に出来たな」

 

 

「ふふふ、凄いでしょー」

 

 

ここはノーブル学園の近くにあったあの湖の畔、小さいころ一緒にキャンプをした、サキとイチとシルヴィとソーマの始まりの場所だった。

 

 

「ソルティレージュの力をもってすればこんなもの朝飯前よ!!」

 

 

と、その大きな胸を張ってシルヴィが答えた。

 

 

「はは、ああ、凄いな」

 

 

そうして数分後、アナウンスが流れた。

 

 

「それでは、新郎新婦のご入場です」

 

 

アナウンスの後、央路と理亜が腕を組み、入場してきた。

央路はさっきみたから特に驚かなかったが、理亜は凄く驚いた。

もの凄く綺麗だった、健康体になってから伸ばした髪は金色に染まっていて、まるでシルヴィの髪色のよう、ヴェールを被り、ウェディングドレスに包まれている。

再び、腕を組み、並んで立つ二人をみた。

 

 

 

そして、その様子を見た俺は。

 

 

 

「…そういうことか」

 

 

 

納得した。

 

 

 

 

「うわぁ!! 凄い、凄く綺麗だわ、理亜、ねえ、境也もそう思うでしょ」

 

 

「ああ、本当に綺麗だ」

 

 

「…泣いてるの? 境也」

 

 

「え、あっ」

 

 

シルヴィに言われ、目を手で覆うと、確かに濡れていた。

 

 

「あ、いや」

 

 

慌てて腕で擦ろうとすると、

そっとシルヴィが腕を押さえてハンカチで涙を拭いてくれた。

 

 

「は、はは、恥ずかしいな」

 

 

涙を拭いてくれるがそれでも止まらない。

 

 

 

「お、俺、さ」

 

 

 

「…うん」

 

 

 

「この、状況を、ずっと、夢見てきたんだ」

 

 

 

「…うん」

 

 

 

「イチと、ソーマ、二人が、結婚式で並ぶ姿を」

 

 

 

「…うん」

 

 

 

「なのに、さ、何でだろう、涙が、さ、止まらないや…、こんな、にも、うれしい、のに」

 

 

 

「…そう」

 

 

 

「おれ、いま、わらえて、るかな…?」

 

 

 

「ええ」

 

 

 

俺はそのまま、止まらない涙をシルヴィに拭かれ続けた。

 

 

 

なんで、俺が特典を使っても死ななかったのか、今、ようやく分かった。

 

 

 

そうだ、そうだよ、俺は、この情景を見たかった、だから今まで生きてこれたんだ。

 

 

 

ああ、もう、本当に、最高の。

 

 

 

 

 

「ゴールデンタイムだ」

 

 

 

 

 

 

○○○

 

 

 

「大丈夫? 境也 寒くない?」

 

 

 

「……ああ、大丈夫」

 

 

 

央路たちの結婚式が終わった夕暮れ時、病院に連れて行こうとするエルさんたちを説得して、俺とシルヴィはとある場所に来ていた。

 

 

 

「……ありがとうな、我が儘を聞いてもらって」

 

 

 

「ふふ、友人の頼みだのも、断る理由が無いわ」

 

 

 

そう言い俺とシルヴィは貯水槽に並んで座った。

 

 

ここは俺たちが卒業したノーブル学園の屋上

理亜と央路のお気に入りの場所だ。

 

 

 

「央路と理亜もこっちに来るって」

 

 

 

「……そうか」

 

 

 

俺はそう返す。

 

 

もう。腕を上げる力すら残っていない。

ここに来れただけでも奇跡みたいなものだ。

 

 

ふと、体のバランスが崩れる、もう体すら支えることすら出来ないみたいだ。

俺は隣のシルヴィの膝の上に倒れこんだ。

 

 

 

「あら、ふふ、どうしたの? 甘えたくなっちゃった?」

 

 

 

「……すまん」

 

 

 

今、俺はシルヴィの膝の上に頭を預けていた。

膝枕だ。

こんな時じゃなきゃ素直に喜べたのに。

 

 

シルヴィはそのまま俺の髪を撫でてくれた。

 

 

「……」

 

 

「……」

 

 

俺たちの間には沈黙が流れていた、だが特に居心地が悪いというわけではない。

むしろ気持ちがいいぐらいだ。

 

夕焼けが俺たちを照らす。

 

 

「……ねぇ」

 

 

「……ん?」

 

 

シルヴィが話しかけてくる。

 

 

 

「私、イチもソーマもサキも、皆大好きよ」

 

 

 

「……そうか」

 

 

「サキは…?」

 

 

 

なぜ、シルヴィが急にそんなことを言い出したのか分からないが……

 

 

 

「……俺も、皆大好きだ、イチもソーマもシルヴィも」

 

 

 

シルヴィは無言で撫でてくれる。

 

 

 

「……一杯貰ったから、金色を、イチやソーマ、シルヴィから、皆から、だから、もう、大丈夫」

 

 

 

「そう……」

 

 

 

「……眠くなってきた」

 

 

「…なら、少し眠るといいわ」

 

 

シルヴィが泣きそうな笑顔で言ってくれる。

 

 

「……そうしようかな」

 

 

「ええ」

 

 

徐々に体の最後の力が抜けていく感覚がする。

ふと、耳に階段を駆け上がる足音が二つ聞こえてきた。

エルさんたちに事情を聞いて急いでるのだろうな…

 

 

「お休み、サキ いい夢を……」

 

 

「……あぁ」

 

 

 

瞼が落ちた。

ドアが開く音がした。

瞼の上から眩しい光を感じた。

頬に落ちる涙を感じた。

 

 

悪くない、本当に良い、人生だった。

 

 

 

○○○

 

 

 

 

彼らの道はこれまでも、そしてこれからも長く。

この、夕日のような金色の輝きを放ちながら続くだろう。

金色の道(ゴールデンロード)のように。

 

 

 

 

 

そんな彼らに俺はピッタリな言葉を送ろう。

 

 

 

 

 

 

めでたし、めでたし、と。

 

 

 

 

 

 




読んでくださった読者様ありがとうございます。
正直、自己満足感が凄い小説だったとは思います、だけど私はこれを書いたことに後悔はしておりません。
主人公がこの後、どうなったのかことに関しては秘密とさせて下さい。

金色ラブリッチェ、最高オオオオオオ!!!!
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