仮面ライダーブレス   作:ぴな子

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9.

 沖江から鑑識の結果が報告されたのは、3件目の窒息事件が起こった後だった。

 

 対策室に書類を持って来た沖江は真剣な声色で3人に話し出す。

「結論から言うと、窒息原因の粘着物からカラーエナジーの反応が検出されたわ」

 沖江の発言に驚く者はいない。

「検出されたのは、液体のりと同じ成分だけど、その中に大量のY反応と少量のB反応。おそらくYはジャンクズのものでしょうね。Bは被害者のもの、死ぬ直前に溶け出し混ざったと考えられる。これは第一被害者の結果ね」

「第二被害者からも大量のY反応と少量のR反応が検出された。このY反応は同じもので、fcc800、いえ、これはいいわ。とにかく、同じジャンクズが犯行を繰り返しているのは明確だわ」

 沖江が言い終えると、塚地が考えるように手を顎に当てる。

「それじゃどうして博雪先生たちは感知できなかったのだろう」

 塚地の呟きに洪城は同意すると、柿原が口を挟む。

「それなんだが、お前が言ってたことが気になって教えてもらってきた」

「俺、何か言ってましたっけ?」

「ジャンクズ特有の反応ってやつ。どういう仕組みで感知するのか聞いてきたんだが、あれは他者への干渉力が異常な程高いことで、ジャンクズが出現したと認識するらしい。これがお前たちがよく聞く干渉反応ってやつだ」

「数値が高いと異常ってことは、通常でも何かしら干渉力が働いているってことですか」

 塚地の言ったことに、その通りだと柿原は頷く。全てを把握しているわけではない柿原は自身のパソコンを見ながら、塚地の問いに答える。

 

 柿原は豪山から聞いた言葉を噛み砕きながら説明していく。

「人間を含めた動物、植物等の生命全てには、それぞれの色、カラーエナジーってやつを持っている。それは常に互いに干渉しあっているらしく、こうやって俺たちが一緒にいることでも、感じることはできないがエネルギーが動いている」

 内容がまとめられたワープロの画面を2人に見せ、さらに続ける。

「これが通常時。0から10の数値で表せば、4から6といったところか。この数値以上だと生命の枠を飛び越えた干渉をしていることになる。これがジャンクズが人間を襲っている目印になるってわけだ」

 

「それで今回の事件が発生した時刻の干渉力値なんだが、逆に低い」

「え?」

 柿原の発言に洪城から素っ頓狂な声が出るが、何か勘付いたように口にした。

「被害者を拒否した……?」

 洪城の発言に沖江は興味深そうにどういうことか尋ねる。沖江のぎらついた研究者の目に洪城は萎縮してしまうが、拙い自分の考えをまとめながら話し出す。

「今までのジャンクズは自身と同じ色を求めて襲っていたから、異常な数値が出ていたんですよね」

 塚地は今までを思い出し、頷く。

「でも今回のジャンクズの目的が自身の色を求めることではなく、殺人が初めから目的だったら……」

「……殺人は憎む相手にすることが多い!」

 洪城と塚地は閃いたとバッと顔を上げ見合わせる。沖江と柿原も察しがついたようでなるほどと相槌を打つ。

「殺すほど憎い相手の色を拒否した、反発したため、通常よりも低い数値が観測されたわけね」

 

「だが、肝心の犯人に目星がついていない」

「それならもう目星ついてるんじゃあないの? 洪城くん」

 柿原を遮り、沖江はどや顔の洪城へと話を振る。決して忘れていたわけではないのだが、思い出したような顔になる洪城に、塚地は堪らず溜息を吐いてしまった。

 

「被害者たちの周辺の人間関係を調査したら、ちょっと気になる人物が出てきまして」

 洪城はホワイトボードに張られた資料を端に除け、被害者3人の写真を張ってゆく。

「3人の被害者の共通点ですが、ご存知の通り中学校と部活、そして人間関係。この3人にはもう一人友人がいます」

 第一被害者と最後に会った内の被害に遭っていない、最上梨沙の写真を張り、4枚の写真をまるで囲む。

「この4人は友人ですが、部活内でいじめを行っていたグループなようです。これは美術部の部員からの証言で、菅井あずさという生徒が被害に遭っていたようです」

 菅井あずさの写真が無いのだろう、適当にリボンを付けた少女を描き、矢印で関係を書き込んでいく。

「それでその菅井あずさには1人親しい友人がいるらしいんですが」

 もう一人描きこみ、話しながらどんどん書いていく。

「苗木こよみ、この生徒には事件当時のアリバイが無いのもあるんですが、人物像が不気味で、菅井あずさへの執着と宝物等の発言はジャンクズの色への執着に似ているものを感じざる負えないとしか。あと色々と不明な点が多くて……」

 洪城はホワイトボードに描いた笛木こよみに怪しいと何重も丸で囲む。

 

「次の標的は最上梨沙の可能性が高い、……おいこれ一課の刑事どもに言ったんだろうな!」

「い、いえまだ。沖江さんの結果聞いてからにしようと……」

「馬鹿野郎!」

 柿原が焦りを含んだ怒鳴り声で内線電話を繋げだす。

 

 事の重大さに気づいたのか、洪城と塚地は対策室を飛び出し、階段を駆けるように下る。

「洪城! 最上梨沙の居所はわかっているのか!」

「自宅だ! 2人目の被害者が出てから彼女はまったく外出していないらしい!」

 飛び乗った車にサイレンを付けけたたましい音をまき散らしながら、最上梨沙のいる鶴川に向かって急発進させた。

 

 

 

 

――――――――――――――――――――――――

 

 

 

 

 公園でこよみの帰りをまっていたあずさは、決して長い時間待たされているわけではないのだが、なかなか帰ってこないこよみを心配していた。暇つぶしでさっきまで乗っていたブランコは、今は物悲しく揺れ、金具の擦れる音があずさのいる辺りをより一層切なげな雰囲気を漂わせた。

 怖い事件だって起きている。

 いつも自分を助けてくれるこよみだって、自分と同じ中学生で、もし犯罪者に出会ったらどうしようもないだろう。そんなことを考えるとどうしようもない不安に襲われ、座っていられなくなる。

 

 早く合流したほうがいいよね。

 

 そう思ったこよみは、自分のいる公園から出て先の十字路に向かって歩き出す。この先の家に自分の苦手な人がいると思うと、胸に重いものがこみ上げ溜息がでてしまうのは仕方のないことだろう。

 

 何か声が聞こえる。

「……こよみかな? 誰と話してるんだろう」

 

 十字路を曲がる。

 

 あずさが目にしたのは、こよみの後ろ姿とその奥で尻もちをついている最上の姿。

 表情が見えない二人が何をしているのか、あずさにはわからなかった。ただ、普通ではない空気に声を掛けるべきか戸惑った。

 やめておこう。そう思い曲がり角で待とうと身を引こうとした時、見てしまった。

 

 ぐちゅ、ぐちゅと粘着質で不快な物音を立てながら、こよみの身体が灰色と向日葵色の怪物へと変化していくところを。

 

 あずさはわからなかった。今、目の前で起こっている現実が。

 

 正面で見上げていた最上は直面した死に声も出なかったのか、それともあずさの防衛本能が外部の音を全て遮断してしまったのか、耳に心臓が存在しているように自分の忙しなく動く鼓動しか聴こえてこなかった。

 

 

 

 

 ジャンクズに戻ったこよみは胸から満ち出る粘着物を手に取り、嗚咽をもらす最上梨沙の顔に押し付ける。彼女の口から追い出されていく空気が粘着物の中で気泡になって固まっていく。

「汚いなぁ」

 仰向けで痙攣をし始めた梨沙からカラーエナジーを取り出そうと腹に手を伸ばした時、後ろでトスッ、軽いものがアスファルトを叩く。

 

 反射的にこよみは振り向いてしまう。

 

 十字路の先ではあずさがカバンを落し、こよみ、いや怪物を凝視していた。

 

「あずさ! 待ってて、って言ったじゃん。もうせっかちなんだから」

 こよみは人間態に戻り、いつものように優しい笑みで接してくる。足元の死体なんてどこにでもある石ころの様に。

 いつもだったらこの笑みに救われているのだが、今はただ理解しがたい恐怖を助長しているだけだ。

「ねえ、今日はどこ行こうか? 前言ってたかき氷なんてどう?」

 近づいてくるこよみにあずさは逃げ出すこともできず、小さく震える。

「ぁ……ぃやだ、やだ……こないで……まって、いやだ、こないで、こないで‼」

 恐怖に耐えきれず、小さかったあずさの声は次第に大きくなり、こよみを拒否する叫びへと変化していく。

 

 こよみの足が止まった。

 

 恐怖から逃げようと目をつぶっていたあずさは気づかなかった。

 今にも泣きそうな心憂わし気な感情がこよみの顔に出ていたことを。

 

 こよみは再び足を動かし始めた。ゆっくりと言い聞かせるように言葉を発しながら。

「大丈夫、もうあずさを傷つける人間はいなくなったんだよ」

 

 こよみは手を伸ばす。抱きしめようと。あずさを安心させようと。

 

「こ、よみ……」

 溢れんばかりの愛おしいと思うこよみの感情があずさを引き込もうとする。

 何も考えたくない、自暴自棄に陥りかけたあずさは吸い寄せられるように体を預けようとこよみに一歩、近づこうと足を前に動かす。

 こよみの笑みが深くなった。

 

「何やってんだ! 逃げろ!」

 突然浴びせられた怒声に、あずさは目覚めたようにはっと目を見開く。

 あずさはこよみの後ろにある死体が鮮明に見えてしまった。人間の仕業ではない異常な殺され方の死体を。

「ぅ、あ、たすけて!」

 咄嗟にこよみの手を振り払い、助けを求めてしまった。

 叩かれた右手から、向日葵色のシュシュが弾き飛ばされる。

「あっ」

 目で追ってしまう。今までの2人の友情が、想い出が崩れていく錯覚がこよみを貫いた。

 

 

 

 

 尋常ではない痣の痛みに導かれるように、この場にやってきた夏来は見覚えのある2人の少女と、報道されていたものと同じ死体を見つけた。

 掴まれそうになっている少女に夏来は逃げるように怒鳴る。

 はじかれる様に助けを求める少女を引き寄せる。安堵したのか腰を抜かしてしまった少女を離れた場所に移動させる。その間、もう一人の少女、人間態のジャンクズは微動だにせず、ただ一点を見つめていた。

 

「どうして……」

 ジャンクズは夏来の後ろにいるあずさに問い掛ける様に呟く。

「どうして、あずさはもう傷つかなくていいように、そうしただけなのに」

 泣き出しそうなこよみは怪物へと戻っていく。

 

「君は目をつぶっていて」

 本来のジャンクズの姿になったこよみから庇うように立ちふさがり、夏来はあずさにそう言うと、紋章をベルトへと変化させる。痛みが少し和らいだ気がした。

「変身」

 緑の鎧に身を包むと、剣を生み出し構える。

 夏には珍しい冷たい風が吹きつけ、道端に落ちたシュシュを少しだけ飛ばした。

 

 

 戦闘は苦戦していた。

 決してジャンクズ本体が強いわけではない。むしろ、少し攻撃を与えただけで向日葵色の箇所が灰色に変わっていくほど脆く、傷を治すまでにカラーエナジーを回せないほど弱っている。

 しかし苦戦していたのは、ジャンクズから湧き出る特殊な粘着物のせいだった。脚にくっ付いてしまえば、すぐさま固まり、動けなくなってしまう。

 

『どうしてわかってくれないの!』

 訴える様に発される、泣いているような湿気の含んだこよみの声は悲痛な叫びだった。彼女の声が大きくなるにつれ、身体はさらに灰色になってゆく。

『ただ守りたかっただけなのに!』

 夏来は粘着物をかわしていくが脚などの身動きが取れないような箇所についてしまった場合、既にフィルターを差し込んだ剣を粘着物に突き刺すと剣にカラーエナジーが溜まり、粘着物は木屑へと変わる。

 

 嘆きながら攻撃を繰り出し続けるジャンクズに夏来はしびれを切らせ、槍を生み出す。

「お前がその子を守りたいという想いは、本物で、大切なものだ」

 夏来が槍を手に取ると、黒く細かった槍は形を変え、緑の槍へと変化する。

「でも、お前のやり方は間違っている」

 槍を突き刺そうとするが、ジャンクズは粘着物をこん棒の形に固め、弾き返す。

『そんなことない! あんなのいなくなった方が』

「それでも、あの子はお前にそんなこと望んではなかったはずだ」

 槍のよってこん棒は形を崩していくが、溶けた粘着物は槍の鋭さを損耗させる。

 

「私は、こよみが一緒に! 一緒にいてくれるだけで救われてたよ!」

 夏来の言葉に、座り込んでいたあずさがこよみに訴え掛ける。そこに恐怖は無く、怪物ではなく、こよみという友に対してのものだった。

 人間ではないこよみの手からこん棒が落ちる。

 

『そんなの……言わなくちゃ、わかんないよ」

 カラーエナジーを消耗しきったこよみの身体は人間態になることも難しく、姿を交差させながら夏来に背を向け、ある方向へとおぼつかない足取りで歩き出す。

 

 こよみが手に取ったのは、土で少し汚れてしまった向日葵色のシュシュだった。

 

 破かないように土を払い、あずさのもとへと歩く。あずさもこよみのもとへと走り、身体を支えた。

「こよみごめんね私」

「あやまらないで、あずさの、こと、全部わかってるって、思ってた』

 話すことも辛いのか、もう人間の形を保っていなかった。それでもあずさはこよみを離そうとしない。

 徐にこよみはあずさのおさげの1つを取り、シュシュを付ける。これは2人でお揃いにした、友情の証だった。

 

 いままで黙って2人のやり取りを見ていた夏来にこよみは振り返る。立っているのもやっとの状態で、それでも新しく鈍器を粘着物で生成する。

「こよみ?! なんで!」

 もう戦わないだろうと思っていたあずさはこよみがまだ戦おうとすることに驚く。

『ごめんあずさ。でも私にも、やらないといけない、こと、があるの、私たち(ユノー)の為に!』

 

 ジャンクズは今ある限りの力で向かってくる。

 

 夏来は再び剣を生み出し、フィルターを差し込む。

 ガラスの様になった剣身は、鈍器を砕き、ジャンクズの身体へと突き刺さる。

 

 剣は向日葵色に染まった。

 

「こよみ‼」

 黒く変色していくこよみに駆け寄る。あずさの涙が頬に染み込み、こよみの身体は人間の姿に変わる。しかし浸蝕は止まらず、脚は既に黒い木屑となっていた。

「あずさが……わたしの、いろで……ほんとう、に、よかった……」

 向日葵色のジャンクズは、苗木こよみとして消滅した。

 

 

 こよみだったものを抱きしめ涙を流すあずさに、変身を解いた夏来は静かに声を掛ける。

「……その子のこと、忘れちゃだめだよ」

 あずさは頷く。

「手段は間違っていたけど、君のことを想っていたことは本物だった」

 誰よりもあずさ自身がわかっていることだろう、拭いきれない雫がアスファルトに染みをつくる。

「君が覚えていればその子はずっと生き続けられる。大切な君のもとで」

 夏来はあずさを自分に重ね励まそうとしていることに、自身の未熟さを痛感した。

 

 

 遠くからサイレンの音が近づいてくることがわかる。せっかく塚地を説得できたのに見つかっては元も子もないと、夏来は立ち去ろうとする前にあずさへと声を掛ける。

「たぶん今から警察が来ると思うけど、ここであったことを信じてくれないかもしれない。もし、嘘だっていわれたら、洪城って名前の優しい警察官を頼るといいよ」

「え、どこか行くんですか」

 困惑するあずさの問いは普通だ、むしろ立ち去ろうとする夏来がおかしいことは自身でも分かっていた。

「うんちょっとね」

 苦笑いを浮かべ、夏来はバイクに跨り、立ち去ろうとする。しかし、それを引き留めあずさは聞きたかったことを訊く。

「あの、なんなんですかあれ。それに戦ってるあの姿って」

 あずさの問いかけに申し訳なさそうに謝る。

「じゃあ、名前だけでも」

 名前だけでも、1年ぐらい前に同じことを訊かれたことを思い出し、何も変わってないことに自分が嫌になる。あの時はなんて言ったんだっけ、思い出したまま声に出していた。

「正義の味方ってことにしといて、か」

「俺のことあまり言わないでくれないかな。ごめんね、それじゃ」

 逃げるように立ち去った夏来をあずさは呆然と見ていた。

「正義の味方、かぁ」

 

 

 

 

 

――――――――――――――――――――――――

 

 

 

 

 夏来が立ち去って行ったすぐ後に逆方向から、サイレンを鳴らしたワゴン車が一軒の家の前で止まる。降りてきた2人の男の片方、洪城が粘着物が消えた最上梨沙の死体とあずさに気づき駆け寄ってくる。

 

「菅井あずさちゃんだね、……何があったのか教えてくれないかい」

 警察手帳を見せ、目線を合わせるように屈む。

 塚地は洪城に少女を任せ、柿原に連絡を入れると死体を調べ始めた。

 

「そっか、じゃあ消滅してしまったんだね」

 あずさが懸命に状況を説明してくれたおかげで、洪城は既にジャンクズが戦士によって倒されたことがわかった。少女は戦士のことを正義の味方と呼んでいた。

 

「その正義の味方、について何かわかるかい」

 洪城の言葉にあずさは首を横に振るだけだった。

 

 

 

 

――――――――――――――――――――――――

 

 

 

 

 

「お前の所の稼ぎ頭、消えちゃったんだって?」

 青いストールを身に着けた青年は、本を読んでいた黄色いパーカーの青年の前に現れ楽しそうに話しかけてくる。あからさまに嫌な顔をする青年、ユノー代表のアブールは読んでいた歴史文庫本をとじ立ち去ろうとするが、バトリ代表のメットはしつこく声を掛ける。

「ねーえー、どんな感じなの? お前あの子のこと気に入ってたじゃーん」

 馬鹿にした喋り方は、見下していることを全面的に表現している。

「うっせぇんだよ。関係ないだろ」

 口悪く睨みつけてくるアブールの言葉に、メットの顔から表情が抜ける。一瞬で変わった雰囲気にやばいと感じとる。

俺ら(バトリ)の色を取っておいていい加減な物言いだな」

「っ、んだよっ」

 他とは比べ物にならない殺気に、悲鳴を上げそうになるが必死に飲み込む。

 

 10秒の経っていないが長く感じた殺気は引っ込み、メットは最初と同じように笑っていた。

「そうだ。リレインからお小遣い貰ったから、アイス買ってきてー」

 いつもの調子でパシリに使うメットに、アブールは財布を預かりげっそりと項垂れる。

「てめぇ、一人でお買い物もできねえのかよ」

「俺、人間に話しかけられたら、興奮して壊しちゃうかもしれないしー」

 そう言うと、ベンチのある方へと上機嫌で歩いて行ってしまった。

 

 

 

 

 

 





向日葵色のジャンクズ(のり)

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