東方忘却記   作:マツタケ

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その10

 

 

 

 

はァーいっ! みんな大好き古河音ちゃんだよぉーっ!!

ふははっ、ついに地の文を乗っ取ってやったぜ☆

 

そんな訳で今回はいまいち今回のすごろくのルールが分からないっていう人にルールのおさらいだ!

 

基本的なルールは普通のすごろくと同じ。

みんなが1人ずつサイコロを振って出た目のマスだけ進む。今回フィールドがめっさ広いので2回振ってその合計の数だけ進む。

マス目に止まると結界に閉じ込められてお題が出されるよ。パチュリーさんがサライ歌ったみたいなアレね。

お題クリアするまで結界は解けないから要注意だ。

マス目はランダムに赤・青・黄の三色のマスが並んでいて、止まったマスによってお題の種類が変わってくるよん。

 

・赤いマス:止まったプレイヤーへの罰ゲームorペナルティ

 

・黄色いマス:他プレイヤーへ罰ゲームを与える妨害マス。

 

・青いマス:罰ゲームや妨害で疲れた体を癒す回復マス(お題なし)。

 

つまりは桃鉄みたいなものだと思ってくれればおっけーね!

分かんない人はごめんあそばせ☆

 

ちなみにステージは全部で3つ。ただ今のステージは迷いの竹林よ。

ゴールに進んだ人から次のステージに進めるから1つのステージでモタついてるとどんどん他プレイヤーとの差が開いてしまうゾ。

 

3ステージ全部をクリアした人から元の世界に帰られる。

だ・け・ど、私がクリアしちゃうと未クリアの人は1ステージ目からやり直しダ☆

 

以上、みんなのアイドル古河音ちゃんでした!

『記憶を失くした霊夢ちゃん』もニコニコ動画にて2話まで配信中だゾ☆

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「ふぅー……ふぅー……」

 

瞳を瞑り、呼吸を整える。

繰り返し・繰り返し・繰り返し、成功のイメージを反芻する。

少女の集中力は今、極限にまで達していた。

 

どこからか、ピーっという笛の様な音が鳴り響き同時に少女の目がカッと開かれた。

 

「あかこあくま きこあくま あおこあくま!

 あかこあくま きこあくま あおこ…あくまっ!

 あかこか…くま きこあくま あおこま……くか!!」

 

ブ――――…… それはまるで断罪の様に、無機質なブザー音がただ空しく鳴り響く。

 

今回のお題、早口言葉である。

 

 

 

 

 

「しっかりしなさい小悪魔、これでもう3回目よ…こほっ

あんまり主人に恥をかかせないでしょうだ……ごほっ! けほっ!!」

 

落ち込む小悪魔に対して主人であるパチュリーは未だそのダメージが残っていた。

まだ次の順がおとずれず小悪魔の順でしばらくお待ちください状態である。

 

「そう言わずにパチュリーさん。難題なお題をどうクリアするかもこのゲームの醍醐味なんですから♪

はぁ…はぁ…それになにより小悪魔さんが可愛いじゃないですか……ハァ…ハァ…ハァ」

 

噛む度に落ち込んで赤面する小悪魔の姿に、古河音はそれを眺めながら身悶えていた。

パチュリーとは別の意味で、彼女もまた満身創痍だった。

罰ゲームも何もしてないはずなのに。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「6……7……8っと!わァーい、私が一番♪」

 

ところ変わってフランドール・スカーレット、ただ今1ステージ目を1着でゴールしていた。

例えどれだけ妨害出来ようとも、最終的にすごろくでものを言うのは運の要素だ。

純粋な者ほど得てして幸運を得る。いつの世もそういうものだ。

 

…………とは現状言い難い。

 

「あらぁ~、フランちゃんに抜かれちゃったか。

まぁいいや。ほらほら~、みんな早くしないと最初からやり直しだよ~~♪」

 

上白沢古河音、ただ今第2位。

時として幸運の女神は微笑まなくても良い奴にも最高の笑顔で微笑む。

ひょっとしたら運命の女神とは盲目なのかもしれない。

 

 

 

 

 

「マズいですよ咲夜さん……。古河音ってこういう波に乗ると手がつけられないんですよ」

 

「というか前々から思ってたけど、あの子の運の要素は両極端な気がするわ……」

 

大吉か大凶か、古河音の運には中間が存在しない。

だからこそ一度波に乗ればどこまでも運は彼女の味方をするし、不幸な時にはとことん災厄が彼女を襲う。

それが良いか悪いかは、本人のみぞ知るところである。

 

「あ、私の番だ。それじゃあ咲夜さん、お先に失礼します」

 

美鈴がサイコロを2回振り、出た目の合計は12。

このゲームで出せる最高の目だ。

 

「……げっ!赤マスだ……。せめて無茶なお題じゃありませんように………」

 

 

 

お題:幻符「殺人ドール」

 

 

「……………え?

 

いやちょっと訳分かんない。コレ咲夜さんのスペルカードじゃないですか。もうこれお題でもなんでも………ぎゃあぁ―――――――――っ!!!!」

 

無数のナイフが彼女の悲鳴と共にその身体に突き刺さる。

その凄惨な光景に誰も反応しないのは、ある意味それが日常ともいえる光景だからだろう。

運の振れ幅が両極端なのは彼女にも言える事だった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「ぜい……ぜい……なんかさっきから地味に運動系のお題ばっかだされるんだけど…」

 

普段動かさない身体を酷使して、良也の疲労はピークに達しようとしていた。

今回のお題はスクワット50回。その前は腕立て伏せ100回である。

 

「ふん、普段からもっと鍛えろという啓示じゃないかしら?」

 

対してレミリアはといえば、青マスの上で涼しい顔で紅茶を口にしていた。

すごろく開始前、瀟洒なメイドが彼女に渡したものである。

 

「いやいやいや、あきらかにおかしいだろ。なんで開始から一度も赤マスに止まってないんだよお前……」

 

レミリアが涼しい顔をしているのは、青マスに止まって回復したからではない。

開始から一度たりとも罰ゲーム・妨害の類を受けていないからだ。

このゲームの参加者はほとんどが紅魔館の住民。他の者が妨害できる黄マスに止まっても彼女を妨害するはずもなく。

加えて、紅魔館以外の者はまるで狙ったかのように黄マスに止まる事はなかった。

 

「そういう運命なのよ」

 

もちろん、コレは偶然などではない。

が、ある意味ではこれも偶然といえるかもしれない。

 

“運命を操る程度の能力”

 

文字通り運の要素を無視して運命を別のものに変えてしまう能力だ。

が、全ての運命が彼女の思うままなのかといえば否だ。

この余りに理不尽で強力な能力故に、この力は本人の意思では扱えない。

逆にいえば本人の意思とは関係なく、彼女の無意識によってその運命があっという間に別のものへと変わってしまう。

意思で制御できない分何が起こるか分からない。今回赤マスに止まった者が毎度嫌がらせのような罰ゲームを受けているのは、彼女のせいなのかもしれない。

 

 

 

 

「………にしても」

 

にやりと浮かべた口元からが吸血鬼特有の犬歯がギラリと姿を見せる。

 

「あれだけ大口叩いておいて、随分とのんびりしているじゃない」

 

 

 

 

「……ぜぇ……はぁ……ぜぇ……はぁ…」

 

真・X(月詠鈴芽)、ただ今最下位。

振ってきたサイコロのマスは今の今まで『5』や『6』・『2』など微妙なものばかり。合計での話だ。

加えて全ての赤マスを避けてきたレミリアに対し、こちらは器用に全ての赤マスを踏み続けてきた。

レミリア曰く、そういう運命なのだそうだ。

 

 

「…ふざけんじゃないですわ………!貴女が能力で私を妨害しているのでしょう!?そうとしか考えられませんわっ!!」

 

「さぁ?私はただ素直にサイコロを振ってきただけよ。言いがかりはよして頂戴」

 

彼女の強みは、その生れ持った才能といっても良い。

“記憶を操る程度の能力”に加えて高い魔力とそれを扱う感性。

それだけで彼女はどんな猛者相手であろうとものらりくらりとやり過ごしてきた。

 

それ故に、その才能が活かされないすごろくという運の要素が強いゲームの舞台に立たされた彼女は非常に脆い。

 

 

「だいたい何ですの“運命を操る程度の能力”って!?チートですわチート!!せんせぇーレミリアちゃんがズルしてますわぁー!」

 

もはやただの子供である。一応この女、本編にてラスボスを務めていた事もある。

レミリアも、ここまで来るともはや彼女に対して敵対心を抱いていた自分自身に呆れ果ててしまう。

 

呆れた様に順番のきたレミリアがサイコロを2度振る。

出た目の数は10。進んだ先は黄マス、妨害マスだ。

 

「……………くくくくっ。ちょうど良いわ」

 

赤い瞳は更に紅く、鋭利な爪は更に鋭く、黒い翼は大きく広がり、歪んだ口元からその牙が姿を覗かせた。

 

 

 

 

 

 

お題:指定した相手と弾幕ごっこ。

 

「……真・Xさん、貴女を妨害させてもらうわ」

 

「え、ちょっと!?今私へとへとですのよ!?」

 

「あら、今から負けた時の良い訳?それに貴女が言ったのよ。ルールに従えって」

 

 

 

 

「……………………」

 

罰ゲームで疲弊した彼女から失われていた冷静さが、レミリアの挑発によって返って取り戻されていった。

相手の記憶…心を読んで相手を煽る。挑発は彼女の最も得意とするところだ。

 

ひと呼吸。 ひと呼吸。 思考を、魔力を練っていく。

 

「聞いているの?まぁ、どうしてもと言うなら………っ」

 

冷え切った思考と練られた魔力が、彼女の言葉を遮った。

高位種族であるはずの彼女が、高位種族だからこそ、彼女の異質さを肌で感じていた。

 

「よろしくて?

 

 

 

 

 

 

 

“妨害”に、なれば宜しいのですが」

 

そこにもう、ただの子供はいなかった。

エセお嬢様は、もういない。

 

そこに立っているのは、記憶の魔女 月詠鈴芽だった。

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